- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
490 :434[sage]:2014/02/02(日) 13:20:17.40 ID:YDOppH67 - テスト
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- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
491 :434[sage]:2014/02/02(日) 13:21:52.49 ID:YDOppH67 - お、いけた
434です。昨日の投下を失敗してしまったので、もう一度投下させて頂きます 長い、エロまで遠い、エロが薄い、本番無しなので、必要に応じて「過去編」をNGでお願いします
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- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
492 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:26:27.79 ID:YDOppH67 - 葵にとって本がどういうものか説明するのが難しいように、私にとって、葵がどういう存在であるのかを説明するのはとても難しい。
……いえ、あの、確かに、旦那さんって言えばそうなんだけど。一言で説明出来ちゃうんだけど。 旦那さんである前に、葵は一人の人間で。私にとっては今も昔も大事な人で。昔は、戸籍上とはいえ兄妹だったわけで。 葵をお兄ちゃんだって思ったことは一度もなくても、戸籍上は。 今でこそ、大好きな旦那さんって胸を張って言えるけど、昔は…というか、数年前までは、 葵がどういう存在かを説明するのは、自分にも他の人にも、とても難しかったのだ。 中学生の頃は、変だけど優しいお兄さん、だった。お兄さんって言うのは近所のお兄さんの方で。 神社の一件があってから、葵は、私のことをとても大事にしてくれた。 何故かは分からないけれど、多分、私が彼に懐いたのと似た理由だと思う。つまり、お互いに色々な意味で慣れた、と。 今と同じように、当時の葵は家事をほとんど受け持ってくれていた。 本当に有り難いことに、いつも、部活から帰ると温かいお風呂と美味しい夕ご飯が準備されていた。 実は、新婚さんにありがちな「ご飯にする? お風呂にする? それとも…」というやり取りを、私たちは毎回繰り返していたりする。 「それとも…」は無しで。 お父さんとお母さんは、葵曰く家にいることが増えたらしいけど、それでもやっぱり帰ってくるのが遅かった。 だから、ご飯は大体二人きり。その日あったことを話しながらのご飯を終えたら、葵がお風呂に入ってる間に私はストレッチ。 お父さんとお母さんが帰ってくるのは、二人で勉強をしている時が多かった。 …あの頃の葵は、私専属の家庭教師だったなぁと今でも思う。 わりと厳しい部活に所属していた私が、テストや受験でもあまり焦らなくて済んだのは、どう考えても葵のおかげだった。本当に。 この生活は、高校に入ってからもあまり変わっていない。 私は葵と同じ高校に進学した。 真似をしたんじゃなくて、当時、陸上部が盛んで勉強もできて県立高校で、且つ自宅から通える高校はそこしかなかったから。 高校に入ってからも、葵という優秀な家庭教師に教えを乞うていた私は、そこまで大きな負担もない幸せな高校生活を送ることができた。 勿論、思春期真っ盛り故の悩みはあったし、それがくだらないものだったとか、今に比べれば楽だなんて言うつもりはない。 今も昔も、私は精一杯生きているつもりで、いつの私が良い、なんて言いきれないから。 単純に、もし、お父さんとお母さんが手を差し伸べてくれなかったら、そして葵が受け入れてくれなかったら、 もっと、色々な意味で大変なことがあった、そう思っているだけだ。 ただ、私と葵は、わりと注目を浴びることが多かった。 私自身も含め、周りは皆、多感で不安定な思春期という時期だ。 男の子と同棲なんて(戸籍上家族とはいえ)、友達が、想像力を働かせてしまっても無理はない状況だ、と思う。 しかも、葵はやっぱり、変人だけど滅茶苦茶頭が良い先輩、って有名だったから。 加えて、所属していた部活はこう…忙しくて。男の子とそういう意味で親しくなる人は、ほとんどいなかった。 つまり、遠征先とかで恋愛話が出てきた時に…うん、その、少しだけ…大変だった。質問とか、そういうのが。 私の反応はと言うと、昔から鈍いというか、どんくさいというか…とにかく鈍感だったから、最初のうちはそんなに気にしていなかったんだけれども。 あまりにも沢山言われると、否応にも、ちょびっとだけ、葵とどう接すればいいのか分からなくなって。 それに、正直なところ、そういうことに興味が無いわけではなかったから、その……。 白状しよう。私は一度、葵に迫ったことがある。今となっては思い出したくないくらい恥ずかしい、いわゆる黒歴史というヤツだ。
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493 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:30:26.13 ID:YDOppH67 - その時、葵は大学受験を終えて、例によって本の世界に入り浸っていた。私は春休み。
部活はほとんど毎日あったけれど、毎日夕方には帰れていたから、時間もあった。 重ねて言うなら、お父さんとお母さんは、出張で帰ってこない。なんというか…そう、計画を実行に移すのにおあつらえむきすぎた。 時刻は夜。いつものように、ご飯を食べて、お風呂を済ませて、私と葵は並んで本を読んでいた。 「……ねぇ、葵」 「…うん?」 緊張で震える声に、一拍間をおいて返事をされる。 集中して本を読んでいる彼に話しかけて、このくらいで反応が返ってくるのは結構凄いことだ。その事実が、私のいらない自信を増長させてしまった。 「あの…えっと。葵って、その…今まで、誰かとお付き合いしたこと…ある、の?」 「いや、一度もない」 「ええと…じゃあその…き、きしゅとか、したことあるっ?」 「恋人でもない相手とは、僕個人としては、したくないな」 緊張と焦りとで思いっきり噛んだ私を追いつめることはせず、柔らかい声が返ってきた。 少しまどろっこしい言葉を使うのは葵の昔からの癖で、私はそれが好きだったけれども、この時ばかりは妙に焦れてしまったことを覚えている。 とにかく、本題はここからだ。理由の分からない安堵感に励まされた私は、 「じゃ、じゃあ…し…してみない…?」 「……茜?」 本を読んでいる彼が、思わずこちらを見てしまうほど突飛なことを言ってしまった。 一つだけ断っておくと、この時の私に葵が好きだという自覚は無い。無いけれど、私は、間違いなくこの時既に葵のことが好きだった。 当時は、好奇心と緊張と理由の分からない期待で一杯一杯になってしまっていたから、分からなかったけれど。 キスとか、それ以上のことをしたいと思ったのは、葵だけだった。それは今も変わっていない。きっとこれからも変わらない。 ただ、重ねて言うけれど、当時の私に葵が好きだという自覚は無い。私は、とんでもなく、本当に、救いようがないくらい、鈍感だったのだ。 「……してみるって言うのは、キスのことか?」 言ってしまったという緊張と、恥ずかしい子だと思われたらどうしようという不安とで固まってしまった私に、葵はあくまでも優しい声で確認をしてきた。 私は何度も頷くしかできなかった。耳どころか体中が熱かった。 「…僕には、キスだけで止まれる自信が無い。それは、分かってる?」 一瞬言っていることの意味を捉え損ねて、次いで、顔が爆発するかと思うくらい熱くなった。 とても混乱した私は、物事を冷静に考える思考力を完全に失っていて、阿呆みたいに首を上下させた。 葵の目つきが少しだけ鋭くなる。初めて見る表情に、訳もなく泣きそうになってしまった。 「……目、閉じて」 この時の心情を、上手に表す言葉が見つからない。 緊張と、不安と、期待と、喜びと、羞恥とがぐちゃぐちゃになって、とにかく、私の心はぐちゃぐちゃだった。 ぎゅうっと目をつぶると、頬に手が添えられた。大事なものに触れるかのように、優しく、優しく撫でられて、胸の辺りがきゅうっと締めつけられた。 頭が真っ白になっていても、葵が近付くのは気配で分かった。緊張のあまり強く握りしめた両手に、彼の左手が乗せられる。 一瞬だけ迷ったような気配がして、 「……え……?」 柔らかい感触がしたのは、額だった。 それを認識して目を開けた時には、葵はもう、困ったような笑みを浮かべていた。どうして、と尋ねる前に、頬を撫でていた掌が頭を撫でる。 「…やっぱり、さ。こういうことは、好きで好きでしょうがない人としたほうが、いいと思うんだ」 だから、これで終わりな。 そう言って、葵は本を片手に部屋に戻っていってしまった。残された私はというと。 「………………」 何だかとてもホッとしたのに、同時に凄く寂しくなってしまって、暫くの間座り込んでいた。 初めて見た葵の表情や、優しく口付けられた感触が頭の中をぐるぐる回っていて。 色々と考えて妙に張り切って準備していたのが、馬鹿らしくなって。 でも、それ以上に、私のことを大事にしてくれているのが伝わってきて。 「……寝よう……」 色々と限界だった思考は、考えることを放棄した。 「……え? ……あ、あれ?」 たったあれだけで腰が抜けてしまっていて、結局、動けるようになるまで眠れなかったのだけれども。
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494 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:33:32.15 ID:YDOppH67 - こんなことがあっても、私と葵の関係をどう言えばいいのかは、本当に分からなかった。
葵が私を大事にしてくれているのは分かる。でもそれは、多分、家族愛みたいなもので。 私の方は、大学辺りでようやく(しかも人に指摘されて)好きなのだと分かったけれど、 葵との距離があまりにも近すぎて、なにをどう言えばいいのか、どう伝えればこの感情が伝わるのか、全然分からなくて。 葵が翻訳家という夢を決めてからも、私はただその背中を見つめていることしかできなくて。 私はどうすればいいのか。何をしたいのか。どうすれば、葵の力になれるのか。 そんなことばかり、ただ、ぐるぐると考えているだけだった。 思考の渦からいつ抜け出せたのか、どう抜け出せたのかは、未だによく分かっていない。 だけど、きっかけは、あった…と思う。 葵は、大学を卒業してから近くに家を借りていた。 なんでも、編集者さんとの打ち合わせは東京ですることが多いから、駅の近くに住んでいたほうが都合が良い、らしい。 それ以外にも理由はあったんだろうけど、葵は何も言わなくて、私もお父さんお母さんも何も聞かなかった。 とにかく、駅から歩いて五分程にあるアパートの1DKが葵のお城になったのだ。沢山の本と、必要最低限の家具以外は何もない、葵らしい部屋。 私はそこがとても好きで、暇さえあれば押しかけて、葵が無視しがちな食事を作ったり、家事をしたり、 挙句寝袋と着替えを置いておいて泊まったりもしていた。今思い返してみると、葵の理性の限界を更新させていたのは間違いなく私だと思う。 その日は、私が初任給をもらった日で。次の日に、おじいちゃん達とお昼ご飯をする約束をしていて。 でも、私は、例によって葵の部屋に転がり込んでいた。お父さんとお母さんに連絡をして、資料とにらめっこしている葵の隣でご飯作り。 当時の葵は、講師として働いていた塾をやめて、本格的に翻訳一本に集中するところだったから、大分無茶苦茶な食生活を送っていた。 会うたびにげっそりしていく葵が見ていられなくて、仕事帰りに買い物袋を引っ提げたまま突撃したのだ。 もう少しでご飯ができる時に葵の溜め息が聞こえてきた。私が何も言わないうちに机の上を空けてくれる。 「ご飯、もう少しでできるからね」 「ありがとう。今日の飯なに?」 「キャベツとカブと豚肉の炒め物、お揚げと豆腐とジャガイモのおみそ汁、ご飯と納豆です」 「素晴らしい」 腹減ったぁと苦笑しながら食器を並べていく葵は小さい子どもみたいで、心がほっこりと暖かくなった。 こういう何でもない会話でも、葵とだと普段以上に幸せを感じられて、私は馬鹿だなぁと内心笑みがこぼれる。 「はい、完成」 「よしきた」 ご飯を並べて手を合わせる。いつも通り、幸せな時間。その日あったことを話すのが、中学時代から変わらない習慣だ。 けれど、何故だかその日は仕事のことを話す気にならなくて。私は、今までしたことがない質問をぶつけてみた。
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495 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:38:32.23 ID:YDOppH67 - 「…葵ってさ」
「うん?」 「なんで翻訳家になりたいと思ったの?」 がっつくあまりほっぺについていた米粒を取りつつ尋ねると、葵は不思議そうな表情になる。 「…言ったことなかったっけ?」 「ありません」 「言った気になってたよ。僕は、橋になれたらいいと思ってさ」 「ごめん、流石に抽象的すぎて分からないな」 頭の中のイメージをそのまま話すからこうなる。思わず苦笑すると、葵は恥ずかしそうに頬をかいた。 「だな。えーと…ちょいと長くなるけど」 「聞かせて?」 「ん。…翻訳家を目指す理由は、人それぞれだと思うんだ。だから、あくまで僕個人は…ってことで聞いてほしいんだけど」 「うん」 「初めて、外国の小説を原文のまま読んだとき、驚いたんだ。こんなにすごい本がある、世界には、数え切れないくらい沢山の物語があるって。 でも、同時に、その本の日本語訳がないってことに、驚いた。こんなに面白い話なのに、って」 葵の目は、きらきらと輝いていた。本や物語の話を聞かせてくれる時に、見せる目だ。 小さい子どもが、宝物について、一生懸命話しているような、すごくきれいな目。 「もちろん、翻訳が無くっても原文を読めばいい。でも…原文が読めなかったら、どんなに面白い話でも意味が分からない。 それはもったいないって思ったんだ。本の内容は、好みによって好き嫌いがある。それは当然だ。 だけど、言葉が分からない、ただそれだけのことで面白い物語が読めないなんて、すごくもったいない」 だから、と葵は頬を緩める。 「一冊でも多くの素晴らしい物語を、それを読みたいと思っている人に届けられたら、素敵なことだと思って。 …橋っていったのは、それなんだ。翻訳は、物語と人をつなぐ橋になり得る。 その橋のレンガ一つにでもなれたら、こんなに嬉しいことはないと思った。僕の一生を掛けてもいいと思った。 だから、翻訳家になりたいと思ったんだ」 朗々とした声を聞いていると、私の頬も自然と綻んでいた。少し気恥ずかしげにお味噌汁に口を付ける葵が、とても眩しく感じた。 もしかしたら、私は嫉妬するべきなのかもしれない。大好きな人が、これ以上ないほど幸せそうに、他のことに夢中になっているのだから。 けれど、不思議なことに、嫉妬心はこれっぽっちも湧いてこなかった。それどころか、なんだか凄く嬉しかった。 葵の意思を、少しも迷わずに、私に見せてくれたことが。 その後は、ひたすらほんわかした雰囲気が私たちを包んだ。 後片付けはやるという言葉に甘えて、私はお風呂に入っていた。湯船の中で、葵が言ったことを考える。 きらきらしたきれいな目で、人と物語をつなぐ橋になりたいと、そのためになら一生を掛けてもいいと言いきった、葵のことを思い出す。 ぼんやりしながら、私は何かを考え続けた。 ずーっと心の内にあるこの塊が、もう少しでどうにかできるような気がした。それは、後もう少しで、掴めるような気がした。 ぼんやりとしたままお風呂を出る。髪を乾かしてリビングに行くと、葵は椅子に座ったまま本を読んでいた。 何となく近付き辛くてぼうっとしたまま見つめていると、私に気付いたのか、顔が上がった。 葵は、帰る場所を見つけた子どものような柔らかい目で私を見て、優しい響きの声で私の名を呼んだ。 それだけで、十分だった。心の中の塊が、体の隅々まで溶けていく気がした。私のやりたいこと。私の、一生を掛けてもいいと、思えること。 「――あおい」 「ん、どうした?」 「私たち、結婚しない?」
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496 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:42:27.93 ID:YDOppH67 - ばさりと大きな音がしたと思ったら、両手がきつく握りしめられていた。
驚いて目を瞬く私を、怖いくらい真剣な葵が見つめる。 「……茜」 「は、はい」 「本気か?」 「う、うん…あのっ、私、役に立てると、思うんだ。お給料も頂けたし、自分のことは自分でするし、葵に迷惑かけな」 「そんなことはどうでもいいんだ。そうじゃなくて…僕は…本の世界から、離れられない。茜を、一番には、できない。それでも、いいのか?」 「えと、ほら、同率一位も、あるから」 我ながらトンチンカンなことを言ったと思う。 なのに、葵は痛いくらいにまっすぐな目を向けてきた。 「その気になれば、茜だけを一番にしてくれる人は、沢山、」 「あおく、葵…その、ね。わたしは…葵のことが、好きで好きで、しょうがないの」 だから、と続けることはできなかった。口が塞がれていたから。 突然のことで驚いた私に、あの時と同じ、鋭い光が向けられていた。 深い黒に、私だけが映っていることが嬉しくて、でも少し恥ずかしくて、私は目を閉じて葵に縋りついた。 どのくらいそうしていたのか、実はあまり覚えていない。 最初は触れ合うだけだったのに、葵にもっと深いものを教えられて、私はお互いの熱を交換することに夢中になっていた。 しんとした部屋の中に水音が響いて恥ずかしかったけれど、それが意識に上るよりも速く葵の熱に流された。 「ふぁっ…は…ぁぅ…」 「あかね、かわいい」 「ひぁっ…」 私は完全に腰が抜けていた。興奮でかすれた声で囁かれただけで背中がぞくぞくするくらい、くたくたにされてしまった。 「茜、ごめん、ぜんっぜん我慢できない」 「っ……」 臆面なく言われて頬が熱くなったけど、我慢できないのはこちらも同じだ。少し背伸びして口付けると、葵は嬉しそうに笑って私を抱きあげた。 ……ずっと運動部に所属していたのだから軽い筈はないんだけどとか、その細腕のどこにそんな力がとかの疑問よりも、嬉しさが勝ったのは言うまでもない。 「て、あおいっ、本落ちてる!」 「えっ、…あ、ほんとだ。ついうっかり」 ついうっかりって、あなたが本を落とした上に放置するなんて姿、初めて見るんですけど。 「それだけ衝撃が大きかったんだよ。…あー、でも、女の子に言わせちゃったなぁ…」 「心を読まないでね。それに、こういうプロポーズがあってもいいと思うんだ。世界は広いんだから」 「そうかもな」 楽しそうに笑って、危なげなく私をベッドの上に寝かせた葵は、それはそれは嬉しそうに覆い被さってきた。 なんというか、その、こんな姿は想像すらできなかったから、結構新鮮。 「あ、そうだ。僕こういうことするの初めてだから、何かあったらすぐ言ってくれな?」 「え、あ、うん」 「後できれば、どうすれば気持ちいいのかも教えてほし」 「無理だよっ!?」 「じゃあ探しますか」 そう言って、再び口付けてくる葵。 ムードも何もないって言うのに、触れ合っている箇所から伝わってくる熱だけで、私の体は完全に脱力してしまう。 ていうか、正直なところ、キスされてるだけなのにあり得ないくらい気持ち良くて、どうすればいいのか分かんないんですけど葵さん。
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497 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:46:39.63 ID:YDOppH67 - 上顎をくすぐられたり、舌を吸われたりするだけで、背中をぼんやりとした快感が走る。
その感覚がもどかしくて身をよじると、頬を優しく撫でられた。 葵に触れられている、そう思うだけで、お腹の奥がきゅうと疼いた。……ちょっと、簡単に感じすぎじゃないかな、私。 「んぅ…ふ…ぁ…」 「…茜…なんか、すごくその、あいやごめんなんでもない」 「……誰が、こうさせてるの?」 「僕です。ありがたいことに」 ちゅ、と口付けられるのと同時に、胸元に手が添えられる。いつの間にか前を肌蹴られていたようだ。 真っ赤になった私に笑顔を返して、葵はこそばゆいほど慎重に力を込める。柔らかい刺激を逃したくて小さく身をよじった。 「あれ、痛い?」 「…たく…なぃ、けどっ…」 「そうか。えーと…こういうのは?」 「ひゃんっ!?」 いきなり胸の先を押し込まれて思わず声を漏らしてしまう。自分の意志ではなく、しかも甘い響きの声が出て、思わず真っ赤になってしまった。 半ば非難も込めて葵を睨むと、意外なことに彼の顔もリンゴのようで。 「……ごめん。あの、その…こんなすぐに出るものとは思わな違うごめんなんでもないっ!」 「……大分手遅れだと思う、よ?」 「……申し訳ありません」 なんともくすぐったくて思わず笑みを零すと、葵も一瞬だけ困ったように笑って、すぐにぎゅうっと抱きしめられた。力強い腕の中がとても心地良い。 「うーん…カッコよくリードできれば、よかったんだけど」 「初めて、なんでしょ? しょうがないよ」 「でも、こう…年上の威厳が…」 「そんなの無くても葵はかっこいいってば」 「……はい」 それに、こうして一緒になって駄目駄目なのは、凄く嬉しい。 葵としては、余裕たっぷりでいたいのかもしれないけれど、私としては、情けない姿を見せてくれるのも嬉しいのだ。 だって、こんな葵、滅多に見れないんだから。 「…そういや、ちゃんと言ってなかった」 「え、なにを?」 「心から愛してるよ、茜」 ……情けない姿を見せた直後にこういうこと言うとか、ずるいと思うのですが葵さん。 「へ、そうかな」 「だから心を読まないでってば!」 言葉こそ怒った風を装っているけれど、私の心はそれこそ天にも昇る心地だった。ちょっと、嬉しすぎて、なんて言えばいいのか分からない。 うぅ、と唸る私に口付けて、葵はにっこり笑顔を見せる。本当に、ずるい。そんなに嬉しそうな笑顔を見せられたら、もう、なにをされても許してしまう。 そんな内心が伝わったのかは分からないけれど、葵は額、鼻筋、唇と口付けて、そのまま首を舐めてきた。 ぞくりと背筋が震えて、再び艶の濃さがましてくる。勝手に震える身体も押さえられて、段々なにを考えているのかも分からなくなってきた、その時。 「んっ…」 鎖骨を強く吸われて、ぼんやりとしていた意識が少しだけ明確になる。満足そうな目で私を見上げた葵は、今度は胸元に唇を寄せた。 「ひゃぁっ…」 ぬるりとした感覚の直後にまたしても強い刺激。 視線を落とすと心臓の上辺りに赤い痕が残されていた。そう認識した途端、身体がかぁっと熱くなる。羞恥ではなく、喜びで。 「茜が僕のお嫁さんって、印な」 「っ……!」 思ったのと同じことを言われて、上手な返事を思いつけなかった。どうにか頷くと、葵は一層笑みを深くする。 そのまま左胸に口付けられ、乳首を口にふくまれる。 「っ、あぁっ!?」 またしても自分のものとは思えない声が零れて、慌てて両手で口を抑えた。そうしている間にも、葵は優しい動きで私の胸を愛撫している。 乳首をつぶされたり、こねまわされたり、乳房全体を甘がみされたりして、声を抑えるのが本当に大変だ。 そんな努力を知ってか知らずか、びんと張っている反対側の胸も手で愛撫されて、いよいよ声を抑えるのが辛くなってきた。 刺激を逃そうにも、葵にしっかりと押さえられているから、もどかしさが溜まって逆効果だった。
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498 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:49:44.99 ID:YDOppH67 - 「んっ…ふ、ぅっ…んぅ…!」
「…茜、この部屋って、前住んでた人がピアニストとかで、防音加工されてるんだ」 「っふ…んん…!」 「後、演技で声を出されるのは困るけど、自然に出ちゃうとかなら大歓迎なんだ」 なにが言いたいの、と聞くよりも早く、両乳首を優しくつままれる。 「やっ、ぁんっ!」 「つまり…声、無理して我慢しなくても、平気だぞ」 軽い絶頂で身を震わせた私に、そんな言葉が投げかけられた。 色んな意味で衝撃を受けていた私は、とっさの判断ができなくて、 「ぁ、やっ…あおい…そこ、やぁ…」 「……ごめんな。どう考えても嫌とは思えない」 ぐしゃぐしゃに濡れている秘部にあっさり到達されてしまう。 ごめんとか言ってるのに嬉しそうに微笑んで、葵は私の羞恥心を増幅させるようなことを。 「脱がせたいから、腰浮かせてくれるか?」 「…っ…一々、断らなくても、いいから…!」 「そう? あ、あともうちょい足を開いてくれると助かる」 「あおいぃっ…!」 今この体勢だってすっごく恥ずかしいんだよ!? と睨んでみても、葵は素知らぬ顔で指先を動かしただけだった。 それが丁度一番敏感な所を撫でて、私は再三あられもない悲鳴を上げてしまう。 羞恥心と、指先が当たっている箇所からじわじわ広がってくる快感と、この先への期待と、悦びで、おかしくなってしまいそうだった。 「…な、茜」 「……ぅ」 「僕も、結構、理性が危ないから。協力してくれ。頼むよ」 言葉こそ穏やかだけれども、確かに、葵の目は興奮でぎらぎらしていた。 その目を見てしまうと、羞恥心とかそういうのよりも悦びや期待が勝って、私は大人しくせざるをえなかった。 熱くなる身体は無視をして、腰を上げ、葵がやりやすいように足を開く。恥ずかしすぎて自然と滲んできた涙は優しく拭われた。 目を細めた葵は、逃げられない獲物を前にした肉食獣のようだった。 ああでも葵になら食べられても嬉しいかな、なんてことを思うのと、彼の指が私の中に入るのはほとんど同時で。 「ひっ…ぁ……――っ!」 「……すごいあつい」 「ぅ、ぁ…ふぁ…」 「それに、せまいな。…大丈夫なのかな。壊れたりしないのか…?」 多分思ったことをそのまま口にしている葵に返事をする余裕はなかった。 痛みはほとんどない。けれど、体の中に何かが入って来るという体験は、とても、不思議な感覚を私に与えた。 半端じゃない異物感を感じるのに、それが葵の指だと思うだけで、どうしようもなく嬉しくなってしまう。 一歩間違えれば気持ち悪さに直結しそうな刺激も、葵が私の全部を確認しているのだと実感できて、これまた嬉しくなってしまう。 「あかね、大丈夫か?」 「ぃ…ぁあ…あおくん…」 「……うん」 「あぁあっ!? やっ…そこは、だめぇっ」 反対の手で陰核をつままれて身体が跳ねた。中の感覚が上書きされるような刺激に腰が震える。 「ここ、気持ちいいんだな」 「やっ、あぅ、ひゃ…ぁんっ」 「……皮? ええと…」 「ひゃうっ!? やっ、あおくっ、それやだぁっ!」 「…すごい締まった…」 葵は何やら感動しているけれど、より敏感な所を露にされたこちらはたまったものじゃない。 身をよじって強すぎる刺激から逃れようとしてみても、上手に圧力を掛けられて逃れられない。 「やぁぁあっ! も、やぁあ…あおくんっ…もぅ、ぅ、ぁぁああっ!?」 「……あかね、すごいかわいい」 「ひゃんっ…や、ぁ…も、だめ…あおく、だ…ぁ、はぅ…ゃ、――っ!」 瞬間、頭の中が真っ白になった。初めて感じる深い深い絶頂に、私は、葵にしがみつくことしかできなかった。 強く強く抱きしめて、この、訳の分からない感覚の中に放り出さないでほしかった。
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499 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:52:19.81 ID:YDOppH67 - 「…かね…あかね?」
「……ぅ……?」 「茜、大丈夫か? 僕のこと、分かるか?」 「……ぁおくん……?」 ぼんやりした意識のまま返事をすると、葵は目に見えてホッとした。 その表情が、三年前、初めて肌を合わせた時の顔と重なって、なんとなく頬が綻んでしまう。 回数を重ねても、どんなに慣れても、私のことを心配してくれるのは変わらない。それが、なんだかすごく嬉しい。 「ごめんな、ちょっと無茶させちゃったか」 言いながら身を引く葵。当然、一緒に私の中を埋めているものも離れそうになる。だけど。 「……あの、茜さん? そんなにぎゅってされると離れらんないんですけど」 「…もうちょっと、このままがいいな…」 「いやあの、抜かずの五発目は流石の僕もキツイかなと。せめて休憩を」 「……もうちょっとだけでいいから」 「……はい」 諦めたような笑顔で抱きしめられたまま寝転がる。 身体は、それはもう、私だって疲れているんだけれども。昔のことを思い出したからか、このまま離れるのは嫌だった。 「……やっぱりね、葵」 「うん?」 「初めてなのに、一言目が"ゴムつけてて良かった"は、どうかと思う…」 「……ず、随分とまた昔の話を……!」 「うん、そういえばちゃんと言ってなかったなぁって思って」 あの時は、圧迫感だの幸福感だのお腹の奥で感じる不思議な感覚だの、自分のことで精一杯だったから。 思い出したことこれ幸いとばかりに見上げると、葵はそれはもう恥ずかしそうな申し訳なさそうな顔で、私をぎゅうと抱きしめる。 「いや、あの…仰る通りなんだけどさ。二言だけ弁解してもいいですか」 「どうぞー?」 「あんな可愛い顔で見上げられてた上に、物凄く気持ちよかったんだぞ。ゴムで感覚が鈍くなってなかったら入れた瞬間限界だった!」 「…力説されても…」 「…そうだよな…」 悪かった、と額の上に口付けを一つ。怒ってるわけじゃないんだけどなぁと思いつつ、嬉しいからお返しのキス。 ちゅうちゅうと吸いあって、そういえば、と葵が少しだけ表情を引き締める。
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- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
500 :過去編[sage]:2014/02/02(日) 13:54:46.51 ID:YDOppH67 - 「…どうしたの?」
「あのさ、今度…できたら近いうちに、結婚式挙げないか?」 「……え」 けっこんしき、と口の中で呟いて、その単語の意味を頭の中に浮かべた瞬間、顔どころか体中が熱くなった。 「えっ、でも…ええっ?」 「その…ずっと考えてたんだけど、やっぱり、今からでも式は挙げたいなと思って」 「で、でも…お金は?」 折角の申し出にこんなことを返すのは悲しいけれど、これは大事なことだ。 だって、籍を入れるだけにしたのだって、葵の部屋でそのまま暮らしているのだって、生活が落ち着くまではとにかく貯金! って結論に至ったからで。 私の質問に、葵は穏やかな笑顔を浮かべる。 「お小遣いから貯金しました。まぁ、本当に身内だけになっちゃうけど…父さんに母さん、両方のじーちゃんばーちゃんくらいなら、大丈夫なくらいはな」 「ええ…い、いつの間に…?」 「うーん…いや、ほら…子どもはまだ無理だけど、せめて結婚式はなぁ、と思って。可愛い娘、孫娘のハレの姿、見たいだろうし。 それに、女の子にとっちゃ、結婚式って特別なものだろ? …あと、まぁ、その…」 一度言葉を切った葵は、それはもう恥ずかしそうに笑って、 「……何よりも、僕が、茜の花嫁姿、見たいから、さ」 だから、ちょっと頑張ってみよっかなーと、なんて。少しおどけたように、私の頭を撫でた。 ……もう、ほんとに、本当に、葵はずるいと思う。 別に、結婚式なんて、普通に諦められたのに。葵の傍にいられるなら、結婚式なんて、挙げなくても良かったのに。 周りの人は皆祝福してくれて。大好きな人が、大好きだよーって言ってくれて。それだけで、私はもう、十分すぎるほど、幸せなのに。 ――本当はね。少し…ほんとにちょびっとだけ、残念だったんだ。きれいな花嫁さん、憧れてたから。 心の奥に隠した言葉。誰にも言わなかった。態度にも出さなかった。それなのに、こんな。 「……ええと、茜。あの…僕の、世界でひとりだけの花嫁さんに、なってくれませんか?」 こんなに優しい笑顔で、こんなに嬉しいことを、言ってくれるなんて。 ずるい、と思う。優しすぎて、ひどいと思う。こんなこと言われたら、私は―― 「――はいっ!」 とびっきりの笑顔で頷くしか、できないんだから。
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- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
501 :434[sage]:2014/02/02(日) 13:56:42.37 ID:YDOppH67 - ここまで!
以上、過去編でした。 もしお待ち頂いた方がおられましたら、本当に申し訳ありません。お待たせしました。 相変わらず拙いですが、暇つぶしにでもなれば幸いです。
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