- 狙って誤爆するスレ その42
843 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:13:25.77 ID:9a097SQo - ああもうやめだやめだ。あれはしんどい。
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- エロパロでエロネタ書いて叩かれた 原稿用紙6枚目
3 : ◆Freege5emM [sage]:2014/01/04(土) 01:52:14.77 ID:9a097SQo - ひとつお願いします。
・二次創作(実況パワフルプロ野球9 はるか、あおい) ・15レス、2万文字程度 ・ジャンル:盗撮、和姦 (※「赤田浩司」はスタッフの名前をもじった9主人公の名前です) ・特に見て欲しい箇所 あおい(ボクっ娘、地の文はこの子の視点)が、はるかと9主人公のカラミを映像で見る。 それと同時に、はるかのテキストメッセージを読み進める。 という込み入ったシチュが混乱を招いていないか。
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4 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:53:16.22 ID:9a097SQo - ●1
ボクは今、自宅マンションの一室で、自分のノートパソコンを開いている。モニタには、フォルダがひとつ。 外付けのマウスでそれをダブルクリックすると、フォルダの中が開かれて、 ナンバリングされた四本の動画ファイルと、テキストファイルがひとつ見える。 テキストのファイル名は『あおいへ』と銘打たれている。 ボクはそのアイコンに、ポインタを合わせては外し、合わせては外し、というのを、十分以上繰り返していた。 ――何さ、この有り様。思春期の女子高生みたいじゃあるまいし。 このファイルたちは、ボクの親友・七瀬はるかが、ボクに手渡ししてきたディスクに保存されていたものだ。 ボクは、まだ中身を見ていないが、その内容は、はるかから聞かされている。 このファイルたちには、ボクの親友と、ボクの戦友だった男の人の情事が、記録されているらしい。 ――そりゃ、ボクも、いらないとは言わなかったけど。まさかこうなるとは。 事の発端は、ボクがはるかにした相談だった。 シーズンオフのある日、ボクは、はるかと会っていた。職業の都合上、ボクは全国を飛び回っている。 なので、はるかと直接話をする機会も少なくなってしまって、 久しぶりに親友と水入らずになれたボクは、いろいろなことを話し、いろいろなことを聞いた。 その中で、ボクの恋人が話題に出てきた。 マスコミに漏れたら大事になるので、彼との関係について、ボクはほとんど誰にも話していなかった。 が、はるかには、以前に電話で少しだけ彼について話したことがあった。 『その方と、最近うまく行ってる?』なんてはるかは言ってきて、ボクは咄嗟に口籠った。 そうなるとさぁ大変。はるかはすごく心配そうな顔で、ボクのことをじっと見つめてくる。 無理に聞いてこないのが、はるからしいけれど、これは根掘り葉掘り聞かれるよりつらい。 あんなはるかの視線を浴びる方が、よっぽど内心にチクチクと刺さる。 ボクは、はるかの目に押し負けて、彼についての悩みを打ち明けた。 単刀直入に言うと、ボクは彼とどうやってセックスしたらいいのか分からない、というのが問題だった。 ボクは、初めて交際した異性が彼だったから、性的な経験は無い。知識も保健体育止まりだった。 彼はボクに輪をかけた野球狂なので、彼にリードしてもらうのも、あんまり期待できない。 かと言って、本やビデオで知識を得ようにも、ボクはプロ野球選手だから、マスコミの目を気にしないといけない。 そうそう自分で買いに行くわけにも行かないし、職場に相談できる人もいなかった。 口走ってから、ああ言っちゃったなぁ、と後悔を覚えながら、ボクははるかを見つめ返した。 はるかは難しげな表情で考え込んでいた。 はるかには、ご両親公認の交際相手がいる。 その人とは高校時代からの付き合いで、赤田くんと言って、ボクもよく知っている男の人だ。
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5 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:54:16.90 ID:9a097SQo - ●2
『あおいは、そういうことのやり方、知りたいの』と、はるかは小声で聞いてきた。 ボクたちは、ボクの自宅マンションに二人きりだったから、誰が盗み聞きしているわけでもないのに、 無性に周囲が憚られた。はるかは顔をうっすらと赤くしていた。 知りたくない、と言ったら、嘘になる。ボクだって、彼との関係は真剣に考えている。 しかも、ボクたちの仕事が身体が資本。できるだけ、セックスについて確かな知識を得ておきたい。 ――はるかは、そういう経験があるの。 とボクが聞いてみると、はるかはコクリと頷いた。 可愛い。女のボクから見ても、まず感嘆が、後から少しの羨望が沸き上がってくる。 楚々とした風采と立ち居振る舞いは、中学時代から男子の人気の的だった。 さらにここ数年は、大人の女性の色気が入り混じってきた。ボクとは大違いだ。 『あの――赤田さん、しか、知らないけど』と、はるかは小声で答えた。 そりゃあ、そうだとは思っていたけれどさ。 ただでさえ、知人の情事について知るのは、独特のきまり悪さがあるのに、 それが知人同士となれば、ボクのきまり悪さは二倍になった。 『あおいは、そういうことのやり方、知りたいの』と、はるかは再び小声で聞いてきた。 はるかに性生活について尋ねる、ということは、赤田くんのそれをも知ることになる。 しかも、赤田くんには当然内緒で。さすがに、羞恥心に混じって罪悪感が芽生えた。 赤田くんの話になると、ボクたちはどうも、思春期の頃の心持ちに戻ってしまうみたいだ。 『私は、知っておいた方が、うまくいくと思うよ』と、はるかは続けた。 どうやらはるかは、七瀬家の教育方針によって、初体験の時点である程度の知識を持っていたらしい。 ボクの七瀬家に対するイメージが、半分くらい塗り替えられた。 ボクは、赤田くんには内緒にして欲しい、とはるかに頼んだ。 さすがに赤田くんには、ボクがセックスの知識を必要としている、とは知られたくなかった。 はるかは逡巡していた。隠し事を作る、ということに気が咎めているようだ。 ボクは、じゃあ赤田くん以外には内緒で、赤田くんについては、はるかに任せる、と言い直した。 ボクは焦燥感にかられていた。はるかは『少し考えさせて』と返した。その日、その話題はそれきりだった。 後日、はるかと少しだけ会える時間が取れた。一緒にお茶を飲んでいると、 はるかは徐に一枚のディスクをボクに渡してきた。『誰も居ないところで、イヤホンつけて見て』と囁きながら。 これは、とボクが聞くと、はるかは『私と、あの人の……』とだけ返した。ボクは内容を察した。 そのディスクを、今日ボクは自分のノートパソコンのドライブに入れた。 ボクは固唾を呑んでモニタを見守っていたが、フォルダがひとつ開いただけだった。 どうやら、データをそのままディスクにコピーしているらしい。 てっきり自動再生が始まると思っていたボクは、出鼻をくじかれた。一度固めたと思った覚悟が揺らいできた。 そうしてモニタを見回すと、フォルダの最後に、『あおいへ』と題されたテキストファイルがあることに気づいた。 アイコンをクリックすると、色が変わる。選択された状態になる。 煮え切らないボクは、ダブルクリックができない。マウスのクリック音が、やけにか細かった。 スクリーンセーバーが立ち上がる。マウスに触れて、またモニタにフォルダが映る。 そこからボクは逡巡する。またスクリーンセーバーが立ち上がる。ボクは何をやってるんだろう。 そんな膠着状態は、ボクの携帯の着信音で破られた。 彼専用に設定しておいた着信音だった。ボクはピッチャー返しよりも早く反応した。
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6 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:55:19.61 ID:9a097SQo - ●3
彼との電話が終わると、時間は予想以上に過ぎていた。 一日の予定が片付いてから、はるかのディスクを確認しようとしていたため、 ノートパソコン前でうだうだしていた時点で、けっこう遅い時分だった。 もうそろそろ、寝ておかないといけない時間帯だ。 彼からの電話がなかったら、ボクはこのままノートパソコンを閉じて、ベッドに入っていたと思う。 それで、ディスクの内容が気になり、寝付けない夜を過ごしたはずだ。 けれど、ボクは時計を無視して、ファイルたちを見る腹を決めた。 いくら親友のモノとはいえ、セックスの映像を見るだけでこんな調子では、本番が思いやられるから。 意を決したボクは、まずテキストファイルを読むことにした。 『あおいへ。 考えた結果、赤田さんには内緒で、この映像を渡します。 できる限り編集で短くしましたが、かなり長丁場になってしまいました。 時間に余裕のある時に見て下さい』 冒頭には、こう書かれていたが、ボクは今更止めるつもりはなかった。 編集、ということは、はるかは自分のそういう場面を見ながら、動画を切り貼りしていたんだろうか。 ボクもピッチングフォームのチェックで、似た作業をした経験がある。 けれど、はるかは一体どんな気持ちでその作業をしていたのだろう。ボクには想像が及ばなかった。 『最初のファイルは、全部する前の雰囲気作りだから、 あおいが分かっているなら飛ばしてもいいよ。ただ、肌を合わせる前から、時間をかけて、 お互いの気持ちを盛り上げていくことは、すごく大事だから、忘れないで』 はるかのメッセージで少し拍子抜けしたボクは、一番若いナンバーのファイルをウインドウで開いた。 映像は、リビングルームで始まった。二人が同居してるマンションの一室だと見当をつけた。 赤田くんが、着崩したシャツにスラックスで、ソファに座っている。 手には小さなメモ帳とペンを持っていた。何かメモをとっているらしい。 視点が人間の背丈にしては高いし、カメラもずっと動かない。 おそらく、部屋の高い位置に隠しカメラを据え付けて撮影したんだろう。 程なく画面外から、白いエプロンをつけたはるかが現れる。 はるかの栗色の長髪は、高校時代と違って、リボンでうなじあたりにまとめられている。 そうして耳が出ただけで、はるかがぐっと大人っぽく見えた。 ――浩司さん、か。ボクの前では『赤田さん』呼びだったのに。すっかり若奥様だね。 はるかが赤田くんに呼びかけた。浩司さん、というのは、赤田くんの下の名前だ。 ボクの知る限りでは、はるかが赤田くんを下の名前で呼んでた覚えはない。 二人きりの時は、ずっと前からそう呼んでいたのかも。 はるかが来て、赤田くんはノートと筆記用具を机にしまった。 使い古し具合や、バッグに入れた様子を見ると、野球の研究ノートかも。 はるかが白いエプロンを外す。クリーム色に、ベージュのアクセント模様がついたセーターが、暖かそうだ。 二人は並んでソファに座って、何事か話している。声が小さくなったので、内容は聞き取れない。
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7 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:56:20.98 ID:9a097SQo - ●4
『初めての時は、無理しなくていいけれど、予め“してもいい”と“これからする”の符牒を決めておきましょう。 口に出すと、せっかく作った雰囲気が壊れてしまうことがあるし、言葉に出さずに察するのは、難しいから』 ――いわゆるイエス・ノー枕みたいなもの、ね。 『普通はイエス・ノーしか分けないけど。私が“してもいい”と“これからする”を分けてるのは、 そのタイムラグで準備をして、気分を高めていくため。ちなみに“してもいい”は白いエプロン、よ』 ――え、あれが、既に“してもいい”の合図、だって。 ボクは動揺のあまり、メッセージを読み進める目が止まった。 動画再生ソフトの中の二人は、素知らぬ顔。いつの間にか、黒い酒瓶とグラスをテーブルに出している。 親しげではあるけれど、肩をくっつけたりしていないから、まだイヤらしい感じはしない。 ――もう、この時点で、二人共、する、つもりなんだ。 そう思うと、ワイングラスでちびちびとやっている二人の姿が、焦れったく見えてくる。 画質がそこまで高くないから、二人の細かい表情までは判別できない。 でも、首をかしげて穏やかに笑っているであろう、はるかの目。グラスの脚に絡む指。 時折ジェスチャーの交える赤田くんの手。何もかもが、二人だけのサインに見えてくる。 『次の“これからする”は、私の髪を、あの人が解く時よ』 気づけば、ボクは動画ソフトのショートカットキーで、十秒ずつ動画のコマを送っていた。 ショートカットキーをぱちぱちと、人差し指で規則的に叩いていた。 退屈なパラパラ漫画のように、ソファの二人は、カクカクとぎこちなく動いた。 ――あは、はは。何だろう、一番焦れてるのは、ボクじゃないか。 いつ、赤田くんが、はるかの髪に手を伸ばすのだろう。ボクは動画を見ながら、コマ送りを続けた。 程なくして、赤田くんが徐に、はるかの栗色の髪に手を触れた。 ボクはキーボードからマウスに手を伸ばして、ソフトの再生ボタンをクリックした。 滑らかな動きに戻った二人。はるかの髪をまとめるリボンに、赤田くんが指を触れようとする。 はるかはくすぐったそうな顔をして、首をくねらせ、細い肩を上下させる。 その拍子に、セーターの首元から、はるかの鎖骨が出ては隠れ、浮いては沈みするのが見える。 赤田くんは、それを面白がって、すぐにリボンを解かずに、はるかの首筋に触れたり、肩に手を回したりした。 かすかな笑い声が、ボクの耳に填まったイヤホンから聞こえてくる。 やがて赤田くんは、はるかの肩をがっちりと抱き寄せて、はるかの髪を手櫛で梳き始めた。 体勢が変わって、はるかの表情は少し見えづらくなった。それでもボクは、はるかに釘付けだった。 『あおいって、髪の毛が敏感でしょう。それに、いつもおさげだから、髪を解いたら、かなり印象が変わると思うわ。 だから、ある意味私よりも、髪の毛を合図に使うのは、向いているかもしれない』 ――冗談じゃないよ。ボクがあんなことされ続けたら、本当に悶絶しちゃう。 はるかは、赤田くんの胸に顔を寄せた。ボクからは、はるかの顔が殆ど見えなくなった。 赤田くんが、はるかのリボンの一端を引っ張ると、結び目はするりと解けて、 はるかの髪が、扇のように広がった。動作は、それが孕む意味とは裏腹に、とてもさり気ないものだった。
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8 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 01:57:21.65 ID:9a097SQo - ●5
最初の動画ファイルが終わると、ボクは溜息をついた。 頬が、熱い。手で触って確かめなくても分かる。 心臓の跳ねる音が、イヤホンのせいでいやに大きく聞こえる。 真っ暗になった再生ソフトの画面には、ボクの顔の目から上が、黒と灰色で映っている。 寝る前に解いておいたボクの髪と、さっきぱらりと広がったはるかの髪の毛が、一瞬だけ重なる。 そう思った瞬間、背筋の辺りから、ぞくぞくとした身震いが広がっていった。 イヤホンを外そうとする。手が逸れて、指先が耳殻に当たる。 自分の指なのに、思わず上半身が引き攣ってしまう。 真夜中目前のボクは、ただ赤田くんとはるかがイチャついてる映像を、 飛ばし飛ばしで見ていただけなのに、おかしな気分になっている。 ――彼だったら、ボクの髪を、どう触ってくるかな。 正直、高校時代のボクは、赤田くんのことが好きだった。 でも、あれから数年。今の赤田くんについては、ボクはよく知らない。 ――彼は、この赤田くんとは違って、こんな慣れた手つきじゃないだろうね。 今のボクの恋人を、ふとした瞬間に、あの頃の赤田くんと重ねてしまうことがある。 今の赤田くんを知ることによって、高校時代の赤田くんに囚われた自分の心を吹っ切りたい、 という気持ちが、ボクにはあった。さすがに、その魂胆は誰にも明かせないけれど。 今のはるかと赤田くんとの映像をせがんだ動機に、そういう打算が、無かったとはいえない。 はるかの変わり様だって、相当なものだ。 中学時代まで、はるかに寄り付く悪い虫は、ボクが片っ端から追い払っていた。 だから、男の人とあんなに近づいて、あまつさえ身を預けるなんて経験は無かったはず。 高校時代、はるかと赤田くんが付き合い始めた、と知らされた頃。 二人はそういう触れ合いをしてるのかな、という想像をしたことはある。 もっとも、ボク自身にそういう経験が無かったから、その想像はひどく朧気だったけれど。 ――はるか、この時点で撮られてるって、知ってたんだよね。自分で、仕掛けたんだから、ね。 はるかが赤田くんに向けていた視線は、カメラへの意識をまったく感じさせないものだった。 恋する乙女なんて、可愛らしい瞳じゃなかった。もっと深く、目線がかち合ったら、吸い込まれそうな瞳だった。 首をかしげる角度。くちづけたグラスをテーブルに戻す手の動き。呼吸で上下する肩口。 はるかの一挙手一投足が、なまめかしく見えてくる。女のボクが、どきりとしてしまうほど。 ――いいの、この姿、ボクに見せちゃって。ボクに、こんな姿、見せたこと、無かったよね。 赤田くんと違って、はるかは、この姿をボクに見られることを知っている。 ボクは、はるかと一緒にお風呂に入ったり、布団を並べて眠ったことがあるから、 家族と赤田くんの次くらいには、はるかのことを知っていると思っていたけれど。 いや、赤田くんに対しても、ボクの方が付き合い長いんだから、女同士なんだから、 ボクの方がはるかについて分かってる、なんて心密かに思っていたけれど。 ――そんな、恋人だけに見せる顔、ボクに見せちゃって、いいの。ねぇ、はるか。 ボクは、おそるおそる二番目の動画ファイルにポインタを合わせた。 ここから先には、はるかの、もっとすごい姿が、収められている。 また大きくなっていく心拍音を感じながら、ボクはファイルをダブルクリックした。
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9 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:00:12.28 ID:9a097SQo - ●6
今度の映像は、リビングとは別の部屋から始まっていた。 視点がまったく動かないから、また固定カメラなんだろうと思う。 ――これが、はるかと小波君の寝てるベッド、か。 動画再生ソフトには、部屋の壁と、無地で薄橙色のシーツがかかったダブルベッドだけが映っている。 光の加減は、毛布の柄がかろうじて見えるかな、程度の明るさ。 カメラの高さは、ベッドよりもやや上。アングルは、水平から二〜三十度ぐらい下。 枕が南向きとすると、カメラはベッドの人間を真西から捉えている。 たぶん、壁側に置いてある家具か何かに、はるかはこのカメラを仕込んだのだろう。 そんなことを考えている内に、人影がひとり、カメラの視界に入ってきた。 ――ちょ、ちょっとはるかったらっ、白襦袢なんか着てるよ。 予想外の格好での登場に、ボクは面食らった。 襦袢なんて、今どき和服を着る時ぐらいしか見ないよ。 『パジャマで勝負できる服があるなら、構わないけれど、もし自信がないなら、襦袢はけっこうおすすめ。 まず、ネグリジェとか、凝った下着よりは気楽に着られて、洗い易いのがいいの。 それに着崩れても、ジャージやスウェットほど、だらしない印象にはならないのもいいわ』 ――ま、まぁ浴衣みたいな感じ、と思えば、使えるかなとは思うけど。 ――もしかして、赤田くんの好みなのかな。確かに、清楚なはるかには、白襦袢がよく似合ってる。 真っ白な襦袢の襟をしっかりと合わせて、はるかはベッドに腰掛けた。 薄暗い部屋、暖色のベッドに、はるかのシルエットが白く浮かび上がっている。 さっきはあんなに蠱惑的だった顔つきも、なんだか神妙な気がしてくる。 栗色の髪のしっとり具合も合わさって、まるで斎戒沐浴でもしてきたみたいな風情だった。 はるかが腰掛けているベッドの部分は、カメラ越しにもそれと分かるぐらい沈んでいる。 はるかの体型を考えると、ベッドはかなりふかふかした品物みたいだ。 果たして赤田くんはどんな格好をしてくるのか、と思っていると、はるかが不意に目線を上げた。 赤田くんが部屋に入ってきたようだ。画面に現れた赤田くんは、 はるかに合わせたのか、藍色の襦袢――色のせいで浴衣に見える――を羽織っていた。 二人はベッドに並んで横たわった。ベッド真横からのカメラ視点だと、はるかが手前で、赤田くんが奥。 ちょうど頭から足の先までが収まっている。はるかが、予め計算してカメラを仕掛けたのだろう。 少しはるかが足側の方に身体をずらした。赤田くんの右手を、はるかは両手で握っていた。 はるかは、赤田くんの右手を、恭しく捧げ持つように構え、その中指にくちづけていた。 『普通はキスから始めると思う。指を舐めるのは、一般的な愛撫ではないわ。私が好きだから、しているの。 赤田さんが、普段、野球ボールを握っているこの右手は、すごく特別な感じがするから』 ――その理屈だと、ボクの右手も……彼は、触れたいとか、思ったりするのかな。 はるかの手は白く細い。赤田くんの手は、太く節くれだっている。 バットやボールを力強く握っている画が、簡単に想像できる。 ボクの手は、当然というべきか、赤田くんの方に近い。 手入れはできる限り欠かしてないけど、肉刺の痕は消え切ってないし、皮膚も厚くなっている。
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10 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:01:14.81 ID:9a097SQo - ●7
――女らしくない手、かな。 マウスから右手を離して、モニタのはるかを真似るように、ボクは自分の右手を口元に寄せた。 舌を添えると、塩辛い。短く切った爪を、舌で舐る。はるかの動きに合わせて、指を咥える。 『口唇は、性器よりも敏感な粘膜、という説もあるくらい、特別なところ。 セックスの手順が、決まってキスから始まるのは、そういう合理性があるの』 ボクは、潤んだ瞳で赤田くんを見上げるはるかを、その口中から出入りする赤田くんの指を見ながら、 自分の指を咥えていた。ボクは、はるかを自分に重ねているのか、赤田くんを自分に重ねているのか、 それとも、彼を自分に重ねているのか、曖昧なまま、感覚がふらふらとしていた。 慣れぬくちびる使いで、はしたない音を口元から漏らしながら、右手の指を唾液で濡らしていた。 ――変、なの。こんなの、子供、みたいで。なのに。 はるかの四肢と背中が、白襦袢の薄衣で、その丸みを晒されつつ、隠されつつ。足先から脹脛までがちらりとのぞく。 ようやく赤田くんの指を解放したはるかは、赤田くんに身体を近づける。さらさらと衣擦れの音がする。 動きだけで通じ合ったのか、赤田くんが、襦袢に包まれたはるかの肩を抱いて、今度は唇同士のキス。 はるかが赤田くんの方に顔を向けているから、表情はよく見えない。 その代わり、ぱらりとカーテンのように広がっているはるかの髪――同じ女でも見惚れる――は、 はるかの背中側が見える、ボクの視点じゃなければ、堪能できないだろう。 ボクのくちびるは、はるかたちとは違って、指の感触しかなくて、無性に寂しくなった。 少し恍惚が褪せたボクは、動画からテキストエディタにポインタを動かした。 マウスに自分の唾液がべったりとついてしまったが、後で拭えばいいと開き直った。 『キスをする時は、鼻の頭がぶつかり合わないように、首を少し傾げるといいわ。 歯と歯がぶつかってしまったりしてないかしら。これは、両方が同時にくちびるを近づけるから起こるの。 キスを待つ役と、くちびるを近づける役を分担すること。そうすれば起きないわ』 ――何だよ、はるか。ボクだって、キスぐらい、したことあるよ。 ――彼と初めてした時は、前歯と前歯がぶつかってしまったけどさ。 はるかと赤田くんは、試行錯誤するように、そろそろと手足をずらしては戻し、立てては倒し、 と動かしながら、くちびる同士のキスを続ける。大人しいのに色気を感じるのは、 動きが柔らかくて、二人の間に慣れが見て取れるからだろう。 『この場合は、私が受け。キスは、受けが顔を下にするの。 カメラの位置関係上、見えにくいと思うけど、これはお互いのくちびるを少し離して、舌を絡ませてるの。 こうすると、口の周りが唾液でべたべたしにくくなるわ。 もし口蓋内で舌を絡ませたいなら、くちびるをしっかりくっつけて、 お互い姿勢は安定させて、唾液が外に漏れないようにしながら、するの』 メッセージの解説が、はるかとボクの経験差を見せつけてきて、 ボクは言い知れない疎外感を覚えた。はるかが、大人の階段の数十段上を先行している気がした。 そうしてボクが呆然としていると、二人が顔と顔を離した。はるかは背中を向けているので見えない。 一方、赤田くんは、すっかりでれでれの間抜け面だった。昔から分かりやすいんだから。 『赤田さんのこと、だらしない顔なんて思ったでしょ。だめだよ。他人事だから、そう見えるの』 ――ああ、失礼しましたねぇ。はるかったら、ボクの思考を、どこまで見透かしてるんだろ。
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11 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:03:23.01 ID:9a097SQo - ●8
赤田くんのでれでれ顔で、ちょっと小休止な気分だったボクは、次の瞬間仰天した。 何を思ったのか、はるかがこっち――ボクの見ているカメラ側――を振り返って、ベッドから居りて、 カメラに近づいてくる。え、これ何、いきなりどうしたの。 はるかがこちらに近づいてきて、カメラの視界が、少し乱れた白襦袢の布地に覆われた。 かたん、かたんとカメラそのものが僅かに揺れる。ずりずりと、硬い何かを擦る音がする。 『この辺り、手際が悪くてごめんね。ローションを出しておくの、忘れてたの。 男性のペニスはえぐいよ。味付きで、誤飲しても問題ないローションを用意しておくといいわ。 ローションは人肌に温めておくこと。湯煎よ。電子レンジは傷むことがあるから、避けたほうが無難。 初心者でも、多少は楽になるはず。滑りも良くなって、愛撫もしやすくなるから、一石二鳥』 ――いきなり近づいてきたから何かと思ったら、このガタガタは、ローションを探してる動作なのね。 ――って、男性の、ペニス、ペニスだって、え。 ボクがメッセージ中のペニス、という単語に反応しかねていると、 ローションを探し当てたのか、はるかがカメラから離れた。再びカメラに室内の光景が広がる。 ベッドの上に座っている赤田くんが見える。藍色の浴衣をくつろげていて、その合間からあの器官が見えた。 ――う、うわ、大きい、これ、本当にはるかの中に入れるのかな……。 赤田くんのソレは、ボクやはるかの手では覆い切れないぐらいの長さ、大きさだった。 臍まで届かんばかりな男性のソレを、ボクは初めて目にした。 男の人のソレは、みんなあんなのなんだろうか。まずい、ちょっと怖くなってきたよ。 はるかは、シャンプーみたいな容器から、すうっと掌にローションを垂らして、伸ばしていった。。 指の間で糸が引くほど塗れさせたら、くちびるに一塗り。リップの膨らみが、てらてらと光る。 扇情的なはるかの口を、赤田くんのソレが迎え撃つ。棒というにはいびつな形で、ゴツゴツとした流木を思わせる。 赤田くんのソレの先端に、はるかがくちづける。舌をべろりと晒して、先端の張り出しを舐める。 赤田くんはと言えば、座ったまま、ソレにむしゃぶりつくはるかの頭を撫でている。 はるかは口だけでなく、手でもソレに触れる。蔓のように指をソレに巻きつけたり、ソレの根本の、下の、その、 『野球を見てるとわかると思うけど、睾丸はとてもデリケートだから、無理に愛撫することはないわ』 あの、楚々とした良家のお嬢様のはるかが、こんな、そんな、ねぇ。どう反応しろと。 はるかが、ソレを口に含む。長い長いソレを、ゆっくりと口内に収めていく。 苦しげな表情で、整った顔を歪ませながら、喉まで届きそうな深さまで、飲み込んでいく。 ボクは、思わず自分の喉が突かれたような吐き気を催した。唾液が勝手に口の中に溜まっている。 『ペニスの感覚は、先端と尿道に集中しているらしいので、フェラチオはそこをメインに攻めるべき。 ここまで深く咥える行為は、演出みたいなものだから、真似しなくてもいいよ』 はるかが苦しそうな様子なのを見かねたのか、赤田くんがはるかの頬に手を添えた。制止しようとしてるらしい。 でもはるかは、息苦しさそのままの涙目で、赤田くんを見上げて、頬に添えられた赤田くんの手首を掴んだ。 はるかは顔を上下させる。舌っ足らずな呻きを上げながら、上下の幅が大きく、動きが速くなっていく。 <はるか、止めて。口で出す気分じゃないんだ> この瞬間、この映像の中で、ボクは初めて赤田くんの発言を判別できた。 はるかは名残惜しげな目で赤田くんを見上げ、動きを緩めた。 『当然、喉の奥まで突かれるから、苦しくて、頭がぼうっとして、反射的な吐き気も出てくる。 だけど、それに逆らって押し込んで、押し返されてするのが、最近の私の好みなんだ』 ――そんなことメッセージに書かれても。はるかったら、変態みたいだよ。
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12 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:04:30.14 ID:9a097SQo - ●9
『恥ずかしいけれど、どこが気持ちいいとか、どういう触り方が気持ちいい、という感覚は、 可能な限り男性の方に伝えるべき。男性は手探りだから、こちらも協力しないと、スムーズにはいかないの』 はるかの白襦袢が、汗を吸って、ところどころ肌にくっついている。 絹地だからか、ぴったり張り付くこともなく、それでいて、はるかの女らしい身体の丸みを出すには、充分な具合。 高校時代の美術で見た、フランスかどこかの裸婦絵を連想させる。 ただ、記憶の中の絵と違って、目の前のはるかは、ボクの親友だ。 はるかの眼差しは、観客のボクではなく、映像の中の赤田くんに向けられている。 愛撫に合わせて震える、はるかの手足の動きが見える。はるかの抑え気味の嬌声が、衣擦れ混じりに聞こえる。 赤田くんの手をせがむ台詞を、映像の中のはるかは、カメラの向こうのボクに聞かせている。 画面内に籠められた、イヤらしい熱さが、ボクに迫ってくる。 <はるかってば、何だか、いつもより積極的だね> 赤田くんは、例のでれでれ顔で呟いた。そんな緩みきった顔に反して、手管はすらすらと滑らか。 はるかの白襦袢に包まれた肌を、体温を掬って塗るように、丹念に撫でる。 くすぐったくて、じれったくて、でも、もっと続けて欲しい。分かる。はるかの顔が、そう言ってる。 赤田くんが、はるかの白襦袢の衿に顔を埋める。薄衣と肌の間に蠢く熱気を、吸われてる。 さすがのはるかも、これには参ったようで、眉を下げた困り顔で、くちびるを尖らせていた。 『襦袢を使うなら、普通の下着より篭りやすいので、お風呂では念入りに身体を洗っておいてね』 ――満更でもないくせに、しれっとこんなメッセージ書くんだから。 赤田くんは、ようやくはるかの白襦袢の合わせ目を開く。 絹地の白襦袢から出てきたはるかの肌は、肌下にじっとり血の気の広がっている様がよく分かる。 明るさは肌より白襦袢の方が強いけど、肌の方が彩度が高い。格段の温度差があるように見える。 ――やっぱり高校時代よりも大きくなってる、はるかのおっぱい。 赤田くんの手で包まれると、もう明らかに違いが分かる。大きい。 しかも、包んでくる手に逆らわず、けれど膨らみは主張してくる、絶妙の弾力。 ボクは自分の胸に手を当てる。頼りない。どこぞのメガネには、丸底フラスコ体型なんて言われちゃった。 ただ、仮に、はるかぐらいのものがついてしまうと、本業に差し支えが出るんだよね。 ――や、やだな、ボクったら、もしかして、興奮、してる。 胸に手を当てた拍子に、自分の拍動の強さを思い知る。 はるかの胸がぷるぷると形を変える。襦袢越しに乳首が浮いてて、イヤらしいなんてものじゃない。 ボクの手が勝手に動く。見よう見まねで、赤田くんの手つきに追従する。 ボクの肌にも、いつの間にか汗が浮いていて、顔から落ちた雫が、ノートパソコンのタッチパッドで潰れる。 ――違う、よ。気持ちよくなんか、ない、ないんだ。 そりゃそう。色気の足りない身体に、拙い手つき。 気持ちいいはずがない。ただ、肌の下がフラストレーションに埋められていく。 短く切っているはずの爪が、パジャマ越しの肌に食い込んで痛む。そんな、乱暴にしても、全然ダメなのに。
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- エロパロでエロネタ書いて叩かれた 原稿用紙6枚目
13 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:05:51.89 ID:9a097SQo - ●10
動画再生ソフトに映る二人の姿は、ことこと煮物でもするように、お互いの身体を擦り合う。 ボクは、もう訳がわからなくなってる。さしづめ、鍋を吹きこぼして慌ててる感じだ。 ――やめて、置いてかないでよ、そんな、ずるいよ。 モニタの向こう側の二人は、ボクを置き去りにして先に進む。ボクは停止ボタンすら押せない。 赤田くんの手が、はるかの大事なところに伸びる。白襦袢の色が、濡れて変わってしまっている。 <はるか、やっぱり興奮してるよね> そう言う赤田くんだって、ボクから見たら、充分昂ってるよ。 例のソレは、はるかの身体に隠れてる状態だけど。目がでれでれじゃなくなってるから、分かる。 ギラつく顔が、バッターボックスでの姿を連想させる。 はるかが白襦袢に包まれた脚を捩る。吐息は、音だけで視界が曇らせそうな錯覚がするほど熱い。 聞こえるか聞こえないかの水音が、ついにイヤホンから流れこんできて、 生々しさが増してきて、ボクの意識が釘付けになる。 さっきはるかが咥えた時とは逆に、今度は赤田くんが、はるかの大事なところに顔を近づける。 上のくちびるにしたような、ゆっくりと近づいて触れるキス。 なのにずっと背徳的な匂いがする。 ――ああ、今更。ボクは、何を、覗き見してるんだろ。 赤田くんのソレの衝撃とか、はるかの白襦袢とか、いろいろあって意識から飛びかけてたけど、 ボクが覗き見してるのは、そういうことなんだ、と思い知らされる。 ――はるかったら、赤田くんからはちょうど見えない位置だからって、なんて顔してるんだよ。 それはおそらく、はるかの顔のせいだ。そこにキスされてる、はるかの表情は、 目も当てられないくらい……この映像、はるか自分でチェックしたんだよね。 ちょっと信じられない。ボクだったら即座に映像を切って消去してしまうだろう。 水音が、もう聞き流せない大きさになってくる。 はるかの脚が伸ばされたり、曲がったり、筋張ったり、弛緩したり。 ふらふらした動きの一回ごとに、ボクの親友だった人が変わっていく。 はるかはどこへ行ってしまうんだろう。 はるかは何事か呟いている。ボクには、くちびるが少し開いたのしか分からない。 どこが気持ちいいとか、どういう触り方をして欲しいとか、赤田くんに伝えているのだろうか。 夢現みたいな顔しながら、そんなことができる意識を保ってるのが、空恐ろしい。 ――これ、参考にしろっていうのは、キツイよ。 ボクはまたマウスを動かしてコマ送りをした。 はるかの肢体が、ベッドの上で、あっちへ振られ、こっちへ振られ、その断片が入れ替わり立ち代わり。 乾きかけた右手のべたつきが、ボクをさらに沈ませた。もうシークバーが動かなくなっていた。
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14 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:06:55.40 ID:9a097SQo - ●11
四本の内、二本目まで見終わった。正直、ボクはもう挫けかけていた。 容量や内容に差はあるだろうけれど、ようやく折り返し。 ――展開を考えると、これからが本番、だよね。 既に日付は変わっていた。いつもならとうに寝ている時間だ。 なのにこんなに目が冴えてしまっている。これは、初めてのブルペン入りする前日以来かも。 もう今夜中に眠りにつくことは諦めた。ボクは三番目の動画を開いた。 はるかと赤田くんが向かい合って座っている。はるかはベッドの枕側、赤田くんは毛布側。 ボクから見ると、はるかが左側、赤田くんは右側に並んでいる。 はるかは赤田くんの両肩に手をかけていた。まだ挿入はしていないようだ。 『ここで、本当はコンドームを着けてもらうはずだったんだけど、赤田さんに、はるかとの子供が欲しい、 って言われて、押し切られて、つい私は折れちゃったから、映像では着けずに続行してるわ。 あおいは選手生命にもかかわるから、ここは真似しないで、避妊はちゃんとした方がいいと思う』 テキストファイルを読み進めたら、こんな殊勝なことを書いてたけど、 映像中のはるかは、赤田くんに身体摺り寄せて甘えたい放題してる。 横からのアングルだから、はるかの白襦袢の崩れ具合が目立ってなくて、 また栗色のストレートヘアの長さが際立ってるから、画的に綺麗な感じになってる……けど、 口角の脱力っぷりで、だいぶだらしなくなってる。目の辺りだって、もうぐずぐずだ。 赤田くんは座ったまま上体を後ろ気味に反らす。 重心が後ろに寄ったので、手を背中側に突いて上体を支えている。 はるかは赤田くんの身体を膝立ちで跨いで、赤田くんの肩に手を乗せながら、挿入しようとする構え。 入れる瞬間が、はるかの白襦袢に遮られて――脱がないのかな。赤田くんは脱いでるけど――見えない。 だからボクは、二人の息遣いの変化で、赤田くんのソレが収まったことを察した。 『おそらく、挿入してからは、最初だと上手くいかないと思う。気にし過ぎないようにね。 ほら、イザナギとイザナミだって最初は失敗してるし、私も、それらしくなるまで、時間かかったから』 ――そういうボケは要らないんだけど。 『女性上位の体位は、慣れてからの方がいいわ。抱き地蔵みたいに、男性側の肩に手を乗せるといいわ。 体勢が安定するよ。あるいは、百閉みたいに男性が背中を倒して、手を握り合うのもいいと思う』 ボクの知らない感触をじっくり堪能するように、はるかは繋がった身体を前後に揺すっていた。 下ろした髪に、耳が隠れている。身体に絡みつく白襦袢で、はるかの動きはしめやかに覆われる。 赤田くんの肩に両手を添えているのも、一種の健気さを醸している。 でも、はらはらと揺れる髪が、カーテンのように隠している顔は、 赤田くんの子供が欲しい欲しいと、あそこを奥まで踏み入られて、笑ったり泣いたりしてるんだ。 ボクが映像から分かるのは、はるかの声と、身体の曲線の変わり様だけだったけど。 はるかの声が高くなっていく。ぬっちゃ、ぬっちゃと水音が目立ってくる。 大人しくしていた赤田くんも、テンションが上がってきて、腰を使っていた。 パン、パン、と肌を張る軽快なリズムが響く。やがて、はるかの背中が、がくん、とへたった。
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15 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:08:38.52 ID:9a097SQo - 赤田くんは、腰使いのペースを落とした。そのまま首を曲げて、はるかに顔を近づける。
乱れ気味のはるかのロングヘアに、赤田くんの顔が半分ほど隠された。 はるかは、ボクからでも分かるほど、赤田くんの肩に爪を食い込ませていた。 あんなに食い込ませたら、絶対に痕が残ってしまうだろう。 はるかの嬌声は、喉の奥から滲み出るような感じになっていた。 母音の曖昧な、喩えるなら、子供がしゃくりあげる響きに似ている。 『達する、ということを、どう表したら良いのかは、私もよく分からない。 どうしたらいいか、というのも、アドバイスはできない。身体的には、楽ではないと思う。 体の中を、容赦無く掻き回されてるから、当然といえばそうなんだけど。 でもね、幸せよ。何も、考えられなくなるくらい』 はるかが膝を突いている辺りの、シーツの皺の寄り方をよく見ると、 ただ腰を揺すっているだけではなく、重心があっちこっちに揺れているのが分かる。 栗色の髪と白襦袢のコントラストが、折り重なったり、離れたりしている。 間違いなく破廉恥な光景なのに、幻想的だった。 白の儚さと、覚束ない腰つきが、そう見せたのかもしれない。 ついに、力の抜けたはるかが、上体を倒して、赤田くんの肩口に顔を埋めた。 赤田くんはそれに応じて、片手をはるかの肩に回し、腹筋に力を入れて、ゆっくりと背中を倒す。 絡み合ったまま、ベッドの上に寝転がった格好になる。 はるかの背中に、汗を吸った薄衣がべったり貼り付いて、お尻から脚からの線が丸分かりだ。 もう、これ裸と変わらないんじゃないかな。 姿勢が変わった拍子に、白襦袢の裾から、はるかの足先がはみ出していた。 その足の甲と指は、頻りにシーツを擦って乱している。 はるかの身体には、まだ赤田くんのソレの余韻が残っているらしい。 結局、いつ射精があったのか、ボクには分からなかった。 はるかに比べると、赤田くんの反応は隠れがちで地味だったし。 だいたい、男の人の射精の瞬間とか見たことないし。 ――こりゃ、近いうちにお祝い用意しなきゃいけないな。 はるかは、両腕を赤田くんの首に回していた。 赤田くんは、はるかの頭を撫でて、また乱れた髪を手櫛で梳いていた。 ボクはそれを見ながら、映像の鮮烈さを受け止めきれず、取り留めのない思考に逃避していた。 今夜も、はるかと赤田くんは、このベッドで肌を重ねているんだろうか。 ――何も考えられなくなるくらい、幸せ、か。 もやもやとした澱みが胸を圧すので、ボクは大袈裟に溜息をついた。 動画の三本目が終わると、ボクはイヤホンを耳から外した。 深夜の部屋に響くノートパソコンのファンが、妙に耳障りだった。
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16 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:09:52.55 ID:9a097SQo - ●13
『次は側位。いわゆる菊一文字ね。密着感はそれほど高くないけれど、足腰にかかる負担が少ないのがいいわ。 あとは、挿入角度が深く、しかも斜めだから、普段とちょっと違う気分になるのもいいの』 ボクは最後の、四本目の動画ファイルを再生している。 襦袢を脱ぎ捨ててハダカになったはるかが、ベッドに横向きに寝そべっている。 赤田くんは、ボクから見るとはるかのすぐ奥側に、少し斜めの体勢ではるかに寄り添っている。 ふと、赤田くんが半身を起こして、はるかの髪に手を伸ばしている。 『映像で初めて気づいたんだけど、この時赤田さんが私の髪を結ぼうとしてるのは、 このままだと、私の髪を背中に敷いてしまうからだと思う。 あおいも、髪下ろしたら背中まで届く長さだろうから、気をつけてね』 襦袢ごしに見ていたはるかの身体は、いやらしさが隠微さの内に見え隠れしていて、 ボクでも何とか直視することができた。が、今のはるかは、こう言っちゃなんだけど、全部丸見えだ。 赤田くんの手が、はるかの後頭部あたりで、はるかの髪の毛をいじっている。 ボクの知っていた彼は、野球漬けの朴念仁だったくせに、解く時と言い、結ぶ時と言い、もう手慣れた感じだ。 赤田くんの動きが何か響いたのか、はるかはくいっとおとがいを反らし、ボクには聞き取れない呻きを漏らしていた。 ――ああ、はるかの顔、完全にやられちゃってる。 ほぼ仰向けの、はるかの身体。重力に張り合っているはるかのおっぱいが、 はるかの些細な動きひとつひとつに合わせて揺らぐのが見える。 腰のくびれからお尻のラインとか、女のボクから見ても惚れぼれする。 と、赤田くんがはるかの右膝裏を手で持ち上げて、脚を大きく開かせた。 とうとうあそこまで画面に晒されてしまった。手入れされていたであろう陰毛が、型くずれして肌にへばりついている。 はるかの開かれた脚に、赤田くんが半身を割り込ませて、その、あの――ぺ、ペニスを、 はるかのあそこに差し入れる。赤田くんの目線は、股間ではなくはるかの顔の方に行ってたから、 このやり方も、ふたりは手慣れたものなんだろうか。 『こう、入り口を優しく摩すられるのは、見た目よりも来ちゃうの。期待感を煽られてしまって』 ずる、ずると赤田くんが浅いところを緩慢に動く。はるかの抱え上げられた右脚。 特に膝から先がかくん、かくんと上下する。あまり明瞭でない映像でも、ぬちゃぬちゃと糸を引く湿り気が見て取れる。 宙ぶらりんのはるかの右肢を気遣ったのか、赤田くんは身体をずらした。 ベッドにくっついたまま、びく、びくと思い出したようにシーツを擦って乱す、はるかの左足――を、 赤田くんは膝立ちで跨いで、天井へ高々と伸ばされたはるかの右足を抱え―― はるかのコメントによると、巣篭もり、というらしいが、何がなんやら。 『勢いでこんなことになってるけど、実際は、こんなに目まぐるしく体位を変えない方がいいわ』 ――はぁ、そうなんだ。 体位が移って、下半身同士の密着具合が高まって、より奥まで刺激を受けるようになった。 はるかは、膨らまされた期待感のせいか、とろんとしていた瞳が、目をぎゅっと歪ませたようになる。 空いている両手で口元を抑えている。声を出すのが恥ずかしいのかな。もう、余裕が無いんだ。
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17 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:11:24.13 ID:9a097SQo - ●14
赤田くんは、ゆったりとしながらも、深い抜き差しを続けている。 抱え込んだはるかの右肢が、抜き差しに呼応してびくつくのが、たいそう気に入っているのか、 はるかの脹脛あたりに時折頬ずりしたりもしている。天井に向けられたはるかの足先が、 ぐっと縮こまったり、わずかに広がったりする様が、ボクの見たアングルからでも、ぎりぎり収まっている。 『たぶんその辺りで、赤田さんが、私のアンダーバストのあたりを手で擦ってる場面があるはず。 これ、映像だと地味に見えるかもしれないけれど、私にとってはすごくたまらなかった。 心臓まで赤田さんに捧げたような錯覚がして、ただ触られてるだけなのに、きゅうっと締め付けられる感じがするの』 はるかの奥まで突き刺したまま、赤田くんは空いている右手を伸ばして、はるかの臍のあたりを撫でていた。 下腹部に意識がいっていたせいか、はるかは悲鳴じみた声を上げた。 この反応に気を良くしたらしく、赤田くんは右手をはるかの肌に這わせる。 小さな子をあやすような、優しげな手つきだった。けれど、それがはるかにはたまらないようだ。 薄く開いた目に、涙が滲んでいる。嬌声が啜り泣くような、切羽詰まった響きを交えてくる。 もうぐちょぐちょに濡れてしまっている、はるかのあそこを、赤田くんは右手で軽く撫でて、 陰毛を弄んで、指と指の間に糸が引く様を、はるかに見せつけている。 白く粘つくそれは、最初は精液かと思ったのだけど、どうやら違うようだ。 いやらしく嬲られているというのに、はるかは赤田くんに身を任せたままだ。 荒くなった呼吸、首筋、鎖骨の浮き沈み、合わせて大きなおっぱいもわずかに動く。 さっきまで上に跨って、主導権を握っていた時と違って、もう貪られるばかり。 喘ぎ声が、もう手でも押し殺しきれなくなっている。当然、ボクはこんなはるかの声を聞いたことなんか無い。 ボクが映像を眺めていると、徐に、はるかが背中から腰にかけてのラインを反らせた。 腰がベッドから浮きかけるが、赤田くんに下肢ごとがっちりホールドされているので、 あそこを深く突かれながら、身体をがくつかせることしかできていない。 内腿の震えが、大きく開脚させられてるせいで、あそこ辺りの引き攣りが晒されて痛々しい。 それでいて、なんだか間が抜けた体勢でもあって――もう、現実感が薄い。 赤田くんが、抱えていたはるかの右足をベッドに下ろした。 そのまま、はるかの両膝を寄せてくっつけ――はるかは、もうされるがままだ――両足を胸の方に折り曲げさせる。 そうして上向きになったはるかのあそこを、赤田くんが挿入したまま膝立ちになり、上から責める構えらしい。 直前の体勢と比べると、はるかが脚を閉じて折り畳んだ分、アクロバティックさが薄れた。 代わりに、実用性、というか、射精を子宮まで届かせて、子供を作る、そういう感じが露骨に出てる。 あそこを、あんなに深く、突かれて、はるかはもう、声を留めることさえ忘れて、 きっと、撮られてることなんか忘却の彼方だ。 ――あれだけ、奥まで、やられちゃったら、絶対に、おかしくなる。 頭がくらくらする。机に両肘をついて、頭を突っ伏してしまう。もう画面なんか見えない。 耳に貼り付いたイヤホンから、赤田くんとはるかの息遣いが流し込まれる。 息が熱い。机の板が曇る。腕に触れる頬の感触で、ボクの顔が紅潮してるのが分かってしまう。 あれ、おかしいね。ボクは、何にも、されてないのに。ずくん、と下っ腹が締め付けられる気がする。 ぎしぎしベッドが軋んだり、肌がぶつかり合う音がするのに合わせて、引きつけを起こしたように、 あそこが落ち着かなくなる。もう机に突っ伏したまま、顔も上げられない。 ――やめて、もう、そんなの、見せないで。ボクまで、おかしく、なる。 イヤホンを引っこ抜こうとしても、指に力が入らない。 頬は熱に浮かされたようなのに、手先はかじかんでるのか、うまく動かない。 拭ったはずのマウスに、べったりと嫌な脂汗。
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18 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 02:12:26.55 ID:9a097SQo - ●15
もう画面は見えない。はるかの汗が浮いた肌も、引き攣ったり緩んだりを繰り返す肢体も。 でも見えてしまう。影送りの影のように、視界に焼き付いて、目を閉じても映ったまま。 意識が朦朧としてくる。脚を捩ると、自分の下腹部に意識が行ってしまう。 音で抜き差しを感じる。その度に、はるかとボク自身がリンクしたかような、そんな錯覚が立ち上ってくる。 おかしな話。でも、抜き差しの折々に、はるかが息を飲むのを察すると、ボクの息も詰まりそうになる。 もう頭の中なんて、とっくのとうにぐちゃぐちゃになってるんだろう。 頭を大事な右腕に乗せたまま、商売道具の右腕が痺れてくるぐらいなのに。 脳髄が渦を巻いて、ぐるぐる回って――あの気まぐれな浜風みたいに――目を開けるのも億劫になる。 ――やめてよ、はるか、もう、息も絶え絶えじゃないか。 嬌声で叫び過ぎたのか、はるかの声が、ハスキーになってる。 変な唾が出てくる。喉がぎこちない。ムリヤリ唾を飲み込む。 きっと身体も、奥まで、何度も、何度も、突かれて、ばらばらになりそうなぐらい。 ――やだ、いやだ、こんなの、ボクじゃ、ない、こんなの。 ずくん、ずくんが、だんだん重たくなる。 身体を前に倒したっきり、戻せないまま。臍あたりに鈍い熱さが溜まっていく。 くるしい。あつい。身体が、感覚だけ残して、どこかに溶けていきそう、 『達する、ということを、どう表したら良いのかは、私もよく分からない。 どうしたらいいか、というのも、アドバイスはできない。身体的には、楽ではないと思う』 やめて、本当に、こんなの、やだ。おねがい、はるか、もう、やめて。ボクの、中に、入って、こないで。 『体の中を、容赦無く掻き回されてるから、当然といえばそうなんだけど。 でもね、幸せよ。何も、考えられなくなるくらい』 そんなの、うそ。 ――何で、はるかは、 だって、ボクは、ひとりで、こんなに、苦しくて、切ないのに。 ――そんな、幸せそうな顔、してるの。 ボクの意識は、そこで途切れた。 「あおいちゃーん。どうしちゃったの。風邪なんか引いちゃって。シーズンオフだから、まだそんなうるさく言われないけど」 「ごめんね……その、友達に借りた……え、映画がね、面白くて、つい夜更かししちゃって」 ねぇ、はるか。せっかく身体を張って、お手本を見せてもらったんだけど。 「ふーん。あおいちゃんが、映画にそんな熱中するなんてね。俺もちょっと興味湧いてきたな」 「ぜ、ぜったいダメ! み、見せるのぜったいダメだからっ!」 「あ、ほら、風邪治ってないのに大声出しちゃいけないよ」 それを活かすのは、少し先になりそうだよ。 (おしまい) >>1乙です。
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