トップページ > エロパロ > 2014年01月04日 > /gNXqzPx

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◆.CzKQna1OU
名無しさん@ピンキー
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575 : ◆.CzKQna1OU []:2014/01/04(土) 12:31:21.68 ID:/gNXqzPx
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581 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 20:27:10.09 ID:/gNXqzPx
 メロスは激怒した。

 必ず、かの邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の王を除かなければならぬと決意した。

 メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此このシラクスの市にやって来た。

 メロスには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。

 この妹は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿はなむことして迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。

 メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。

 メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

 歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。

 もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。

 のんきなメロスも、だんだん不安になって来た。

路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈(はず)だが、と質問した。

 若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺(ろうや)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。

 老爺は答えなかった。メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「王様は、人を殺します。」

「なぜ殺すのだ。」

「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」

「たくさんの人を殺したのか。」

「はい、はじめは王様の妹婿さまを。それから、御自身のお世嗣よつぎを。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣のアレキス様を。」

「おどろいた。国王は乱心か。」

「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。
このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。
御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されます。きょうは、六人殺されました。」
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588 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 21:02:17.17 ID:/gNXqzPx
レンアサ投下します。

アーちゃんに手やら口やらでして貰う話です。
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589 :1[sage]:2014/01/04(土) 21:05:27.17 ID:/gNXqzPx



 背後で内鍵を締める音が密かに鳴った。

 ああ、やっぱり。

 と、予感が的中したことを知ってレンは密かに口の端を歪める。可愛らしい嘘に騙され
てここに来たのは正解だった。

 その時、レンは棚に並んだダンボール箱をとっかえひっかえ探っていた。ダンボール同
士がぶつかって擦れ合いごそごそと物音が立った。

 そういう中で鳴った、鍵を締める固い金属音。しかし、レンの耳は自分が立てた音の合
間に鳴ったかちゃりという音を確かに拾った。彼女は音を音で誤摩化したつもりなのだろ
うか。それとも、それとなく気づいて欲しいのか。

 どちらでも構いはしない。重要なのは彼女が行動を起こしたということだ。

 無数の棚が設置され、事務用品を押し込めた薄暗い物置部屋。ここではブラインドから
漏れるわずかな西日だけが貴重な光源だった。足下に射す光をこっそり覗くと、ほっそり
とした脚の影がすぐ後ろに迫っている。

「アサカ、必要なコピー用紙ってA4でいいんですか?」

 鍵がかけられたことに気づいていないと、自分は何も聞いていないと言うようにレンは
目の前の棚から目的の物を探すふりをした。

 すぐ後ろにいるはずの影は動こうとせず、代わりに躊躇うような雰囲気が後ろから伝わっ
てくる。それは行動を起こす機会をうかがっているようにも思えた。

 彼女の行動の理由も、何を望んでいるのかも、全て把握している。しかし、望むものを
望むまま与えてやるほど、レンは親切な性格をしていなかった。

「アサカ、A4でいいんですか? 一箱で足りますよね?」

 棚に手を伸ばしながら同じ質問を繰り返し、背後のアサカの反応を待つ。あくまでこち
らからは仕掛けず、向こうが自発的に動くのに任せる。

 こちらから口火を切ってしまえば話は早いのだが、いつもそれではつまらない。アサカ
自身が欲しいものを欲しいと口にするまで、今日は何もしないとレンはそう決めていた。

 常ならば、夜に自分の部屋に来るようアサカにそっと耳打ちするだけで事は足りる。レ
ンの方から誘うと、体調さえ悪くなければ彼女はいつでも快く応じ、関係を深めることが
できた。

 それはそれで満足のいく関係ではあった。夜ごとアサカと繰り返す享楽と、それが終わっ
た後の安らかな彼女の寝顔を見る瞬間は、何にも代え難い至福の時。

 ある夜、全てが終わった後のこと。穏やかな寝息を立てて眠るアサカの髪を梳きながら、
物思いに耽(ふけ)ると、あることが頭に浮かんだ。いつもこちらから求めてはいるが、
アサカが求めてきたことは一度もない。

 褥(しとね)を共にすることが嫌だということはないだろう。アサカに直接尋ねたこと
はないが、それだけは自信を持って断言出来る。

 アサカに求めさせたら、一体どうなるのか。純粋に興味が湧いた。前例にないことを試
してみたかった。
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590 :2[sage]:2014/01/04(土) 21:07:53.78 ID:/gNXqzPx
 部屋に来いと囁くことをレンは止めた。

 最後に睦み合った夜はいつだったか。正確な日にちは把握していないが、月の満ち欠け
が一回りするぐらいの日数が過ぎていた。

 アサカの体の調子が良い日を最後にしたから、そろそろつらい時期に入っているだろう。

 このひと月近くをアサカはどんな気持ちで過ごしたかと思うと、切なく胸が疼くと同時
に奇妙な高揚感がゆっくりと心の奥底から立ち昇ってくる。

「アサカ、聞いてますか」

 高まる感情が喉を突いて飛び出しそうな衝動を抑え、密かに含み笑い背後のアサカに再
び問いかけた。

「…………」

 ゆっくりと息を吐く音が微かに漏れた。

 まさに今、レンのすぐ後ろ、たった一歩あいた場所で、壮絶な葛藤が繰り広げられてい
る。

 大方、女の自分から誘うのは慎みのないはしたない行為だと、アサカは考えているのだ
ろう。はっきりと物を言う性格の割に、彼女は変に保守的な所があった。

 敬愛するレンを立て、自分は常に一歩後ろに。分をわきまえる、というか一昔前に女の
美徳とされたような、そういう価値観が本人も意識しないところでアサカの中に息づいて
いる。

 そういう昔ゆかしい、慎み深いアサカの一面が、彼女自身の行動を縛って動けなくして
いた。

 ああ、求める身体と律する心に板挟みになった哀れなアサカ。

 出来ることなら振り返って強く抱きしめ、甘く優しく囁いてその呪縛から解き放ってや
りたい。だが、今はそうしてはやれない。

 こちらから抱き締めてしまったら、大事に大事にアサカを焦らし置いたこのひと月弱が
無駄になってしまう。こちらから求めてはいけない。アサカ自身に求めさせなければ。

「アサカ――」

 言いかけたレンの背中に重みがかかる。

「レン様……」

 溜息混じりの声で名を読んで、アサカは身体をレンの背中に押し付けた。決っして小さ
くはない膨らみの柔らかい感触が、背中から伝わってくる。

 アサカの胸に直に触れたり、互いの肌を重ねて体温を確かめ合ったりしたことが幾度も
あった。今更、この程度の接触で動揺することなどないはずだった。

 しかし久方ぶりに感じたアサカの身体は、レンの想定以上に柔らかく、温かく、そして
強く抱き締めたら壊れそうなほど細い。初めて彼女を抱いた時の感動が甦ってくるような
気持ちになった。

「私、何か気に障るようなことをしましたか?」
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591 :3[sage]:2014/01/04(土) 21:09:49.56 ID:/gNXqzPx
「どうしたんですか、アサカ、急に」

「……最近、呼んでくださらないので」

「ああ、そのことですか。単に気分が乗らなかっただけですよ」

「気分が……? 私の身体に、その、『飽きた』とか……」

「飽きるだなんてそんなことあるはずないでしょう。アサカには僕がそんな軽薄に見えて
いるんですか」

 レンはやっとアサカ方を振り返り、なるべく柔らかい声でそう答えた。振り返った先で
泣きそうな顔をしているアサカの頬をゆっくりと撫でながら。

 アサカの身体に飽きるなど有り得なかった。悪戯な風が彼女の白いうなじや太腿を露出
させる度、自分で決めたこの約束事を何度破ろうと思ったことか。彼女を焦らしている間、
レンもまた相当につらかったのだ。

「軽薄だなんてそんなことありません……ただ心配で。もうレン様に呼んで頂けないのか
と思うと不安で、何も手につかなくなって――。だから」

「単純に気分が乗らなかっただけなんですよ。アサカに飽きた訳じゃありません。安心し
ました?」

「あ、はい。安心はしたんですけれど……ずっとしていなかったので身体がその、もどか
しくて……。レン様が、嫌でなかったら……」

 頬を薄赤く染めたアサカは再び身体を寄せてそっとレンの身体に腕を回した。密着して
くる柔らかい感触と体温が否が応にも男の本能を刺戟してたまらなかった。

 とどめは艶やかな髪から舞い上がる、花のような芳香。慎ましやかなアサカらしく、主
張しすぎない程度に微かに芳(かぐわ)しく匂った。

 そのあえかな香りはただ彼女に近づいただけでは気づくことはできない。まさに今、こ
のように密着でもされない限り。つまりは、この香りは、レンのために供されたものだ。

「――そうですねえ……アサカがその気にさせてくれたらいいですよ」

 すぐにでもアサカの身体をまさぐりたいという気持ちを抑えてレンはそう言った。棚が
設置されていない側の壁に彼女を追いやり逃げられないようにして、その火照った身体の
弱い所を思う存分責め立てたかった。

「私、が?」

「そう、アサカが。僕は何もしないし、アサカが何をしても止めません」

 内に秘めた欲望と正反対のことを伝えると、きょとんとしているアサカの顎を捉えてそ
の顔を上向かせた。

「アサカの好きにしていいから、僕をその気にさせてください」

 桜色に薄く色づいたアサカの唇を親指で軽く抑え、つつと輪郭をなぞる。

 指が離れると、その形の良い唇が小さく動いた。
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592 :4[sage]:2014/01/04(土) 21:12:08.67 ID:/gNXqzPx



 小さな唇が触れる。背伸びしたアサカの、ふっくらとした柔らかな唇が。

 その口唇を軽く舐めて同意を示すと、舌が口内へ遠慮がちに割り込んだ。小さな口に似
合いの小さな舌がゆっくりとレンの舌に絡んでくる。

「んっ……」

 ざらついた舌と舌が触れた瞬間に、ぞくりと快感が駆け抜けて二人は同時に息を漏らし
た。ひと月あまり触れ合うことをしていなかった感覚器は、ほんの少し接するだけでも過
敏に反応する。互いの舌を互いに味わうべく舌の味蕾(みらい)を擦り合わせると、ふわ
ふわとした熱っぽい快感が首筋を抜けて後頭部をくすぐった。

「んんっ、はっ……ぁ」

 アサカは鼻から抜けたような声を上げながら、レンの口内へざらついた舌を差し入れる。
暫くぶりの快楽を貪るように彼女が舌を熱心に出し入れすると、ぴちゃぴちゃと卑猥な水
音が薄暗い物置に響いた。

 最初に舌を入れるのはいつもレンの方からだった。舌を絡ませる内に気分が高まってか
らやっとアサカは積極的にレンの口に舌を入れてくる。

 今日のアサカはどうだ。最初こそレンが唇を舐めて誘いはしたものの自分から舌を入れ
て、絡め、激しくこちらの舌を求めている。

 ひと月近くもアサカを焦らした甲斐があった。

「レン様ぁ……」

 甘ったるい声音で愛しい人間の名を呼ぶとアサカはレンの肩に手を置いてさらにぐっと
背伸びをした。

 次の瞬間、耳朶(じだ)に温かいものが触れていた。アサカの唇が触れたのだと認識す
ると、今度はぬるりとした舌が耳たぶから外耳の上部へゆっくりと這っていく。

 そうして外周を一通り舐めた後、唾液で湿った耳朶にアサカはちゅうと音を立てて吸い
付いた。ふっくらした唇が吸い付き、ぬるぬるとした舌が這い回る。

「っは……」

 アサカの耳への口づけは快いだけでなくむずむずとしたくすぐったさを伴っていた。そ
の感覚に我慢出来なくなってレンは小さい声を上げる。

「んっ、ふ……レン様……前、開けてもいい、ですか?」

 アサカは遠慮がちに言葉を紡ぎながらレンのネクタイをつう、となぞる。湿った息と熱
のこもったハスキーな声が、唾液で濡れた耳穴を震わせながら通り抜けてぞくぞくした。

「アサカの好きなようにしていいですよ」

 肩に当たっていたアサカの手が離れ、臙脂色のネクタイを外しにかかる。毎朝、レンの
ネクタイを締めている彼女は手慣れたものであっという間にそれを綻ばせ、ボタンを外し、
黒いシャツを開かせた。

 はぁ、と感嘆の息を吐きアサカは首筋に口づける。そのまま、唇は首を下り鎖骨を舐め、
薄く筋肉のついたレンの胸に落ちていく。
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593 :5[sage]:2014/01/04(土) 21:14:05.21 ID:/gNXqzPx
 正直言ってレン自身は自分のその貧相な体つきがあまり好きではなかった。生まれつき
のものを否定しても仕様がないと分かってはいるから、嫌悪するというほどには至らない。
至らないが、全く気にしていないと言えば嘘になる。

 アサカはレンのそんな心情も知らず、愛おしげに身体に触れ口づける。しなやかな指先
で皮膚を撫でつつ、少しずつ唇を滑らせ姿勢を低くしていく。

 そうして臍(ほぞ)にまで辿り着いた時、アサカは急に頬を赤く染めて上目遣いにレン
を見上げた。

「っ……」

 ズボンの膨らみがアサカの胸の谷間に丁度挟まる体勢になっていた。呼吸する度に上下
する彼女の制服の胸元がレンの膨らんだ制服の生地と触れ合う。

 アサカは胸元にレンの興奮を感じ取って動揺していた。何かを乞うように潤んだ瞳でこ
ちらを見つめてくる。

「あ、の……手、でも……?」

 消え入りそうな声で恥ずかしそうにそう言いながらアサカはズボンの膨らみをそっと撫
でた。レンとしては先程から当たっている彼女の胸の温もりに包まれたかったのだが、好
きにしていいと言った以上頷くしかない。リクエスト権を完全放棄していたことを少しだ
け、後悔した。

 ベルトを緩め、テントを張ったズボンからそれを取り出すとアサカはあっと小さな悲鳴
のようなものを漏らして立ち上がった。耳まで朱に染めてレンの肩口に顔を押しつけ、
「レン様……」と聞こえるか聞こえないかというほど小さく呟く。

 男の欲望の象徴を初めて見た訳でもあるまいに。処女よりも処女らしい、アサカの初々
しい反応にレンはくつくつと笑った。

「レン様、もう、いいですか? 『その気』になりませんか?」

「まだまだですよ、アサカ」

「でも、ここ……」

 アサカは抱きつきながら強張りつつあるレンのものに軽く指をかける。泣きそうな上擦っ
た声が彼女の羞恥心がどれほどのものかを物語っていた。

「アサカだって分かってるでしょう? ここはすぐこうなっちゃうって。もうちょっとア
サカに頑張って貰わないと、『その気』にはなりませんよ。それともアサカはこんなこと
したくない?」

「ち、違いますっ……。レン様に、気持ち良くなって貰いたいです。もっと――」

 肩に顔を乗せたアサカはふるふると首を振り、女性特有のしなやかな細い指でレンの強
張りを包み込む。ゆったりした動きで熱を持ち始めた竿を根元から先の括(くび)れまで
上下に扱いた。

「ぁっ……」

 手の中で脈動するものにアサカは感嘆の息を漏らす。大きくなってます、と耳元でレン
だけに聞こえるよう囁き、大きくなったと言う形を確かめるようにつつっと根元から裏筋
までを指先でなぞった。触れるか触れないかという微妙な刺戟。しかし懐かしい指先の温
もりに包まれ、優しく扱かれた肉棒はぴくりと震えた。
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594 :6[sage]:2014/01/04(土) 21:16:42.45 ID:/gNXqzPx
 返ってきた反応にアサカは気を良くしたようで、どこかぎこちなかった手つきが俄然と
変わった。雁首(かりくび)を刺戟出来るようにしっかりと指を絡め、大胆にそれでいて
丁寧に扱き上げる。そして敏感な先端に滑らかな指先で円を描いた。

「あ……」

 指についた生温かい液体にアサカが何かに気づき、レンの前に跪(ひざまず)く。

「すみません、レン様、気づかなくて」

 言ってちゅ、と先端に口づける。滲(にじ)み出す先走りの液体を気にする様子もなく、
むしろ愛おしくてたまらないと言うように。

 そのまま艶やかな唇で覆う――と思いきやアサカは開いた口からとろりと唾液を垂らし、
熱くなった肉棒に手のひらで満遍なく塗り広げた。

 アサカの唾液に塗れた肉棒は扱かれる度にくちゅくちゅと粘着質な音を響かせる。

「こうした方が気持ち良いですよね? あぁっ、また出てきてます……」

 充血した亀頭から滲む、透明なものと自身の唾液を指先で捏(こ)ねくり回して混ぜな
がらアサカは嘆息した。熱い息が敏感な場所にかかってより一層、レンのもどかしさを募
らせる。

「凄く熱いですレン様、あぁ……」

 扱く速度を早めながらアサカは熱い吐息を何度もそのふっくらとした唇から吐き出した。
レンのものから今、欲望が迸(ほとば)ればかかってしまうほど近くで。そう考えると腰
の奥から熱がふつふつと沸き上がり、アサカの手に握られたものに充填されていく。

 熱(いき)り立つ興奮の至近距離にある桜色の唇。唾液に濡れてらてらと輝く魅惑の、
柔らかいもの。自身が持つその魅力にアサカは全く気づいていなかった。無自覚な無慈悲
さによって、それを行使しようとしなかった。

 しかしそれでも――いやだからこそ、レンは興奮した。自分の魅力に無自覚浩無知なア
サカ。その彼女が「レン様のために」とただそれだけの思いで、こんなにもいやらしい奉
仕をしている。

 アサカはすらりとした美しい指先を、唾液と先走りの液体で汚すことも厭(いと)わず、
レンのために動かし続ける。彼女の指先と唾液がもたらす、とろとろに溶けそうな愉悦が
レンの欲望を凄まじく滾(たぎ)らせた。

「あ、はっ……上手ですよ、アサカ」

「はい、レン様嬉しいです……もっと気持ち良くなってくださいっ……んっ」

 褒められて感極まったアサカが立ち上がり、二度目の口づけをした。すぐさま舌を割り
込ませてちゅ、ちゅ、と熱烈な接吻を繰り返す。

「舌を、出してください、レン様……」

「ん……」

 アサカに言われるまま舌を伸ばすと彼女の唇があむ、と舌を覆った。そして吸い付いた
状態でゆっくりと口唇を前後に動かす――と同時に硬くなって上向いていた肉棒への奉仕
を再開した。
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595 :7[sage]:2014/01/04(土) 21:19:52.55 ID:/gNXqzPx
「っ……」

 瑞々しい唇がレンの舌に吸い付きながら前後に滑る。下半身で動いているアサカの手と
全く同じ速度とリズムで。

 舌から生まれた快感が下半身を昂らせ、昂った肉棒から生まれた快感が今度は舌を昂ら
せる。上と下で快感と興奮のフィードバックが瞬時に起こり、爆発的に悦楽が増大してび
くびくと身体が震えた。

 それはレンのものを安易に咥えることに至らなかったアサカだからこそ考え出した行為、
そして生まれた快感だった。

 どうすればもっと気持ち良くなって貰えるか、真摯なアサカが出した答え。それは唇と
手を器用に使い、上と下両方向から責め立てることだった。彼女が操る、ペイルムーンの
ようなトリッキーな技は、性感帯になった全身を口淫されているような錯覚を生んだ。

「気持ち良い、ですか、はぁっ……レン様ぁ……んぅ、あ、はっ……」

 下からぐちゅぐちゅと、上でちゅぷちゅぷと、いやらしい水音を立てながらアサカはレ
ンの顔を覗き込む。

「気持ち、良いですよ、アサカ……あっ、く……」

「もっと、もっと、気持ち良くなってください……。あぁ、こんなに硬くて、大きくて……
んんっ、はぁっ……熱い……んぅ」

 熱心に扱き上げていたアサカはその形と温度からレンの限界を感じ取り、手と唇を動か
す速度を速めていく。剛直は痛いほどに張りつめ反り返って、溜め込んだものが脈動して
いた。

「んっ、はぁっ……レン様ぁ……先が、感じやすいんですね……」

 赤く充血した敏感な亀頭を中心にアサカは強く擦り扱く。ぐちゅ、ぐちゅ、ぬぷ、ぬぷ
と周囲に響く激しい粘着音。柔らかい粘膜を捏ねくり回され、扱かれ、めちゃくちゃにさ
れ、芯に蓄えた熱が沸騰する。射精感が一気に頂点へと駆け上り、限界を突き抜けた。

「アサカ……はっ、あぁ……」

「はぁっ、んんっ……レン様ぁ……」

 限界を超えた先端からびゅくびゅくと放たれる白い液体。アサカはそれを全て絞り出す
べく根元からゆっくりと扱き上げた。

「いっぱい、いっぱい、出てます……レン様……」

 レンの舌から唇を離し、下半身を見下ろしてうっとりとアサカは呟く。そうしている間
にも後から後から白濁液が吹き出し、彼女の白魚のような美しい指と手を汚していった。

 アサカとの夜の逢瀬を控えていた間、多少は自分で処理していたもののそれでは足りて
いなかったらしい。めくるめく二人だけのひと時を知ってしまった故にこの身体は独り寝
では満足できないようになってしまったのだ。

「レン様、気持ち良かったですか?」

 欲望の証をひとしきり絞り切るとアサカは嬉しそうに抱きついてきた。

「ええ、とっても」
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596 :8[sage]:2014/01/04(土) 21:23:49.67 ID:/gNXqzPx
 射精後の気怠さに目眩(めまい)を感じながらもレンが頷くと、アサカは目をきらきら
と輝かせて無邪気に笑った。初めてアサカのデッキを褒めたあの日のように。

 あんな行為の後に無邪気に笑うアサカが可笑しくて、くすりとレンも笑うと彼女は頬に
キスをしてきた。触れるだけのごく軽いもの。今はもう子供っぽいものになってしまった
愛情表現を何度も、何度もアサカは繰り返した。







 小さな唇が触れる。白濁液で汚れたレンのものに。

 物置の床に零れた体液を見てアサカはお掃除をしないといけませんね、と言った。しか
し床を拭く雑巾を探すでもなく、ついさっきまで扱いていたものに彼女は二度目の口づけ
をしていたのだった。

「先にこちらのお掃除をさせて頂きます、レン様。んんっ……」

 レンを絶頂に導き褒められたという興奮も冷めやらぬまま、仄赤い顔でアサカは白く汚
れたそれに舌を這わせた。いや、興奮が冷めていないから、たまらず奉仕の続きを始めた
のだろう。もっともっと褒められたい、そんな想いで。

 興奮して羞恥のなくなったアサカは遠慮することもなく、存分に舌と唇を使ってレンの
ものを舐め清め、尿動口に残っていた欲望の残滓(ざんし)もちゅうちゅうとはしたなく
音を立てて吸い上げる。

「んんっ、凄いにおい……ずっとしていなかったから、濃くなってます」

 桜色の蠱惑的な唇を白く汚しながら青臭い液体をこくんと嚥下(えんか)し、アサカは
酔っぱらったような声を零した。

「まだ、汚れている所があるかも……ふ、んぅ……」

 あからさまな形だけの理由を口にしてアサカは柔くなったレンのものを頬張った。溜め
込んだ体液を放出し、一仕事を終えたそれを労るように、頬の裏のつるつるした粘膜が優
しく包む。

「っ……ぅ……」

 力を失ってはいたものの、一度達した感覚器はアサカの口内の感触に鋭敏に反応した。
温かい口内で粘膜に包まれ、ふっくらとした唇に迷いない動きで前後に扱かれる。深くま
で咥え込まれるとつるつるとした頬の粘膜が、浅くなるとざらついた舌がちろちろと先端
を愛撫した。

 口内でぬちゃぬちゃと弄ばれた敏感な肉は瞬く間に硬さを取り戻し、さほど広くないア
サカの口内の空間を圧迫した。

「んんっ……はぁっ……また、こんなに……」

 思わず口を放しアサカは瞳を潤ませて太く、長く、硬くなった肉棒をうっとりと見つめ
た。そして存在を強く主張しぎちぎちと強張るそれに浮いた血管に沿ってゆっくりと撫で
た。

「アサカが、ここでとても上手に、するからですよ」
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597 :9[sage]:2014/01/04(土) 21:25:56.88 ID:/gNXqzPx
 レンはアサカの唇を指先でつつく。

「私の口ですると、レン様は気持ち良いんですね……」

 答える代わりに頭を撫でるとアサカは穏やかに微笑んで奉仕を再開する。微笑んだ瞳は
澄みきって聖母の如く眩(まばゆ)い光をたたえていたが、淫棒を咥え込んだ唇は夢魔の
如く艶かしい妖光を宿していた。

 優秀なサキュバスも猛る屹立を全て口内に収めることは難しく、先端付近を口に含み舌
で責めながら精に塗れた手で竿を扱いた。生温かいざらざらの舌は時にちろちろと控えめ
に、時にぺろぺろと大胆に先端を舐め回す。

「ん、んんっ……レン様ぁ、あっ、は……先っぽ舐めひゃら、びくびくして……んぅ、こ
んなに、大ひ、くっ……」

 レンの分身がアサカの口内を埋め、上手く呂律が回らない。陶酔の悲鳴は途切れ途切れ
に彼女の口から零れ落ちた。

「……どんどん熱くなっ、てむっ、んっ……んん、ぁっ、はぁ……この、熱いのはっ……
ここから……」

 そう言ってアサカが触れたのは、レンの欲望の源泉。一つ一つの指先が順繰りに柔らか
いふぐりに当たっていく。口唇での奉仕を続けながら、壊れ物を触るようにごく、優しく。
一種のマッサージを思わせる丁寧さでふにふにと軽く押し揉まれた。

「――痛くはないですか?」

「大丈夫で……っ、ぅ……」

 いったん口を離し尋ねたアサカは、レンの返事が終わるか終わらないかの内にぱくりと
再び咥え込む。

「ぁんっ、ふ……レン様が、元気になるようマッサージします……ん、っは……大事な所
ですから、もし痛かったら言ってください……」

 じゅぶじゅぶという水音の合間にアサカはそう言葉を挟み、寸暇も惜しんで唇を動かし
た。

 亀頭から突き上げて来る強い快感と、陰嚢から広がるやんわりとした快感が交互に去来
する。怒濤(どとう)のように荒々しく、細波のようにか弱く。行きつ戻りつする大小様々
な快楽の波がレンの下半身をさらっていく。

「ん……っは、あ……アサカっ……」

 アサカの口技と手技に魅了され、反射的に喉が仰け反る。

「んふぅっ、ん……気持ち良いれす、か……ぁあ、はっ……」

 右手を竿に。左手を袋に。口唇を先端に。アサカは両手と唇を余すところなく使い、三
点を同時に責め立てた。

 特に艶やかな唇とその中で行われている淫蕩(いんとう)な愛撫は、経験を重ねるごと
に気勢と生彩、そして淫靡さを増しているように感じられた。

 しかし、どれほど肌を重ねても平時のアサカは恥ずかしがり屋のままだ。今はこうして
淫らに振る舞ってはいるけれど、終わってしまうと手入らずの乙女に逆戻りする。
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598 :10[sage]:2014/01/04(土) 21:27:53.57 ID:/gNXqzPx
 次の機会にはまたアサカの大仰な羞恥心を解きほぐす所から始めなくてはならない。厄
介とも捉えられる気質だったが、むしろレンはそれを歓迎していた。

 毎回毎回、羞恥心をリセットされる。ということは、アサカが乱れていく過程を何度も
楽しめるという意味でもある。

 淡く頬を染めたアサカ、泣きそうなほど恥ずかしがるアサカ、レンの反応に嬉しそうな
アサカ、積極的に触れ始めたアサカ。ひとつ、ひとつ、彼女のした表情を思い浮かべて、
その変化を思い愛でる。

「レン様、もっと気持ち良くなっれぇっ、ください……はっ、ふ、ぁあっ……んんっ……」

 そしてまさに今。目の前で、乱れに乱れているアサカがいた。最初はあんなに恥ずかし
がっていたというのに。

 普段は慎ましやかな彼女が欲望漲(みなぎ)る牡を咥え込み、いやらしい表情で満足げ
にこちらを見上げている。

 今のアサカにいつものアサカを投影してみる。皆が知るアサカを。アサシンと恐れらる
ファイターのアサカ、福原高校CF部の副部長のアサカ、ごく普通の女の子のアサカ。

 どれもこれも重ならない。アサカを知る誰も、こんな姿を知らない。アサカがこんな表
情をするだなんて、誰が想像できるだろう。

 こんなアサカを知っているのは自分だけだ。このアサカの表情は雀ヶ森レンただ一人の
ものだ。

 征服欲が満たされ、溢(あふ)れ、ごぼごぼと泡立つのような感覚にレンは荒い呼吸を
繰り返しながら笑っていた。

 それを見たアサカが目元を綻ばせ、手と唇の動きを速めていく。蠱惑の唇から唾液が伝
い流れて肉棒に絡みぐちゅぐちゅとうるさいほどの音を立てた。

「ふ、んんっ……レン様の、好きな先っぽで……たくさん、感じて、いっひゃい出してく
ださ、い……んぅ、はっ」

 牡の欲望を咥え込むアサカの唇。その唇から響くじゅぽじゅぽといういやらしい水音。
視覚と聴覚は瞬く間に官能に支配される。外面から観察したならばそれだけでも十分に淫
乱な様相だが、最も淫乱な様相はアサカの唇の向こう側――レンにしか分からない場所に
あった。

 舌が裏筋に、唇の裏が雁首にぴったりと当てられ、唇が動く度に一緒に擦れる。ぬるぬ
るの弾力ある粘膜が敏感な先端全体を包んで、吸い付き、撫で回して断続的な快感を生み
出している。

 アサカの口内が一つの軟体動物となって妖しく蠢(うごめ)く様相が、レンにしか知り
得ない所に、ある。淫靡、妖艶、退廃、陶酔、悦楽、優艶、蕩揺――。どんな言葉を以っ
てしても言葉にできない――名状し難い、この美しい性の極致を絵画にでも何でも閉じ込
めてしまえたらどんなに良いだろう。

「レン様……ん、ふぁっ、ぁ……レン様ぁ……!」

 己を呼ぶアサカの切ない声がトリガーとなった。あと薄皮一枚という所まで――極限す
れすれまで高められていた欲が迸る。

「あ、はっ、アサカっ……!」
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599 :11[sage]:2014/01/04(土) 21:31:06.77 ID:/gNXqzPx
 アサカの口内に白い奔流が噴き出す。吐精と快感の第一波がびゅと勢いよく飛び出した。
続けて第二波がびゅくびゅくと溶岩のように溢れ出していく。

「んんっ!」

 大量の白濁液はアサカの許容量を超えて唇から伝い流れる。咄嗟(とっさ)に手で受け
止めながら、その余りの量に彼女は目を丸くした。

 レンの欲望を受け止めたアサカは喉を鳴らして青臭い液体を飲み下す。

「んん……はぁ……凄い、量……いっぱい出ました、レン様……」

 アサカは手で受け止めた分も舐めてからレンを見上げて微笑えんだ。その微笑みは優し
い女神のようでもあり、妖しい淫魔のようでもあった。

 レンが絶頂の余韻に浸っていると、正邪を兼ね備えた微笑みが深くなる。女神と淫魔の
均衡が崩れ、淫奔(いんぽん)な悪魔の本性が露(あらわ)になった。

「レン様ぁ……沢山、沢山出したのに、まだ元気で……私のマッサージが利いたのかもし
れませんね。ふふっ……今度はこっちで気持ち良くなってください――」

 ぱさりと床にアサカの下着が落ち、レンの目の前に白い膨らみが晒された。たくし上げ
られた制服、その下から覗く豊かな乳房。

 放精を終えたにも関わらず硬さを残していたレンのものを、アサカは自身の豊乳で挟み
込んだ。

「強い刺戟が続くと身体に悪いですから、今度は優しくゆっくりにしますね……」

 気怠さが充満する肉棒をむにゅりと柔肉が優しく包む。レンは温かいマシュマロに全身
を包まれているような感覚に陥った。

「レン様が『全部』出せるように私、頑張りますから――」

 白い乳房の谷間から突き出た赤い突端にキスをして、アサカは妖艶な微笑みを浮かべた。

 妖姿媚態のサキュバスがその魅惑の美乳を動かし始める。その柔らかく白いものから生
み出される直接的、視覚的な愉悦。その誘惑から逃げられる者はどこにもいない。

 倦怠感に身を浸したレンは、退廃的な悪魔の行為をただ黙って見ていた。







 小さな唇が触れる。それが何度目のことなのか、レンはもう数えていなかった。

 あの手この手でアサカはレンを昂らせ、繰り返し精を絞り出した。温かい豊乳に挟み時
間をかけて射精に導いたと思えば、自分の喉にレンのものが当たってえずくのも構わず激
しい口淫。淫魔の手練手管にレンの分身は翻弄されるばかりだった。

「んっふぁ……あ、んむ……レン様の、いっひゃい、出してください……っう、ん……ぜ
んぶ、れんぶ……」

 アサカの口内に収まった肉棒は幾度も精を吸われていた。にも関わらず若さ故かまだ余
力を残している。彼女はよくそれが分かった上でこうして奉仕を繰り返しているのだった。
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600 :12[sage]:2014/01/04(土) 21:32:42.71 ID:/gNXqzPx
「まだ、残ってまふっ、んっ……今まで溜まった分、れんぶ、出し……んんっふぁ……」

 じゅぶじゅぶ、ぬぷぬぷとはしたない音が立つのも露(つゆ)と気にせず、アサカは淫
蕩な奉仕に耽る。サキュバスの魔性の唇がレンの分身に強く吸い付いていた。精も魂も――
文字通りレンの「全て」を吸い尽くさんばかりに。

 本当に、「全て」を吸い尽くされるのではないか。あのアサカの艶やかな唇に、「全て」
を。

 そんな危うさをレンは覚えた。

「ぁあっんっ……ひゃっ、う、んぅ……っは、あ……あぁっん――」

 肉棒を咥え込んでいるアサカの声。その興奮の中に不意に艶が混じり始めた。レンに奉
仕する喜びからくる声ではなく、明らかにアサカ自身が快楽を貪ることから生じている声。

 見るとアサカの片手がスカートの中に伸びていた。白いスカートの前が捲(めく)り上
がり、中からわずかであるがくちゅくちゅという水音が漏れている。

「アサカ? 自分で、しているんですか?」

「はっ、い……んんっ! は、ぁっ……レン様のっ、んっ……舐めていたら、我慢ができ
なく、てっ、はぁ、ぁんっ……」

 びくっと時折身体を震わせながらアサカは答える。

「――それなら、そろそろ二人でしましょう、ね?」

 そう言ってレンは喘ぐアサカの髪をなるだけ優しく撫でた。レンのその台詞は好色な悪
魔から逃れる唯一の術だった。

 長過ぎる前戯を止め、レン一人ではなく二人で悦楽を分かち合うこと。こちらが力尽き
る前にアサカを疲れさせてしまうしかない。

 人生の内で最も性欲旺盛な年頃とは言え、こう何度も放精をさせられてはさすがのレン
も体が持たない。アサカの奉仕精神が満足するまで付き合ったら、本当に精も魂も尽き果
てる、と本能が警鐘を鳴らしていた。

「でも、んっ……レン様の溜まっている分を全部、出して――」

「もう大丈夫、大丈夫ですから。ね?」

「でも、でもっ……レン様に、気持ち良くなって頂かないと……」

「アサカに気持ち良くして貰って、十分『その気』になりましたから、一緒に二人でしま
しょう? アサカだって、さっき我慢出来ないって言ってましたし」

「私は大丈夫です……こう、して、ぁっ……んんっ……レン様の、はっぁ……しながら出
来ますか、ら……」

 そう言いながらアサカは片手でレンの竿を扱きながら、残った片手を使い自身の敏感な
部分を慰める。

「それに、レン様のものを舐めながら、触る、と凄く、気持ち良く、て、ぁあっ……」

 くちゅくちゅ、ぬぷぬぷという音をレンに聞かせるようにアサカはスカートの中で妖し
く手を動かした。白いスカートの襞が波打って彼女の手つきのいやらしさを見せつける。
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601 :13[sage]:2014/01/04(土) 21:35:06.28 ID:/gNXqzPx
 くらくらと目眩がした。きっとそれは何度もアサカに導かれた射精のせいだけではなく、
アサカの淫らな魔法にかかっているからだとレンは思った。

 アサカの媚態にうっかり魅了されてしまいそうになりながらもレンは首を横に振る。

「折角、二人っきりなのにアサカにして貰うだけなんて、嫌ですよ。僕だってアサカを気
持ち良くしてあげたいんですから」

 そう言った瞬間にアサカは手を止めてはっとレンの瞳を見つめた。

「アサカは、僕のことを気持ち良くしたいんですよね? 僕も同じです。アサカのことを
気持ち良くしてあげたい。同じ気持ちなら、二人で一緒にした方が良いと思いませんか? 
そうしたらアサカも僕もきっと一緒に幸せな気持ちになれますよ?」

 アサカを気持ち良くしてやりたい。それもまたレンの本心だった。

 ここでアサカを説得して前戯を終わらせ本戯で彼女を満足させなければ、という焦りと
打算も確かにあった。

 あったが、「アサカを気持ち良くしたい」という言葉自体に嘘偽りは決してない。

 ひと月弱、焦らし置いたアサカ。その彼女の火照った身体を余すところなく愛してやり
たいと、最初から、確かに、思っていたのだから。

「レン様……嬉しいです、凄く……」

 官能ではなく感激に瞳を潤ませてアサカはゆっくりとレンに抱きつく。

「僕の気持ち、受け入れて貰えますね、アサカ」

 レンはアサカの身体に手を回して抱き返す。

 悪魔のような淫らな本性を晒そうとも何も変わってはいなかった。彼女の身体は柔らか
く、温かく、そして力を入れたら壊れそうなほど細かった。

 静かに頷くアサカの額にレンはそっと口づけた。







 小さな唇に触れる。それは今日、レンからアサカの唇にした、初めての口づけだった。

 唇に口づけようとするとアサカは最初、口でした後だから、と拒んだ。しかし、レンが
どうしてもしたい、とせがむとポケットティッシュを取り出し唇を念入りに拭ってから口
づけに応じた。

 いじらしい気遣いにレンは小さく笑ってから、瞳を閉じたアサカの唇に軽く二度三度、
己の唇を重ねた。

「アサカ、どういう体勢が良い? 今日はアサカの好きな仕方でしましょう」

 短い唇の逢瀬を終えた後、耳元で優しく囁いてやるとアサカははにかみながらレンの腕
の中から逃れ出て、棚の設置されていない側の壁に背を預けた。
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602 :14[sage]:2014/01/04(土) 21:37:50.53 ID:/gNXqzPx
「あの、後ろから……」

 遠慮がちに、上目遣いにこちらを見てくるアサカ。その顔はいつの間にか吸精の夢魔の
面影を失っていた。そうして年相応の恥じらいを久しぶりに見せる姿に、悪戯心がくすぐ
られた。

「ふふ、アサカは後ろからの方が好き?」

「もう、そういうことは訊かないでください……恥ずかしいです……」

 口を尖らせながらもアサカは身体を反転させ、手を壁につき、尻をレンに向かって突き
出すような姿勢をとる。レンがその尻を覆い隠しているスカートを捲り上げると、アサカ
の最も恥ずかしい場所が現れた。

「っ……ぁ……」

 アサカの息を飲む音が微かに漏れる。

 自身で慰めた時に、ずり下げたままだったのだろう。本来アサカのそこを覆うべき下着
は太腿にまとわりつき、元々の役目を果たしていなかった。

 くしゃくしゃの丸めた布の固まり――女子がよくつけているくしゃくしゃの髪飾りによ
く似ているとレンは思った――になっていた下着に軽く指をかけると足首までするりと落
ちた。邪魔者のいなくった白い内股を徐(おもむろ)にさすってみると指先に透明な液体
がべっとりと纏(まと)わり付く。右も左も、あきれる程に濡れていた。

 透明な液体が流れた跡を遡(さかのぼ)り、それを垂れ流すいやらしい場所――アサカ
の欲望の源をレンは焦らすように探る。

 程よく脂肪のついた太腿、その合間にある柔らかくすべすべとした肉の畝、そこから生
える桃色をした一対の花弁、それらの合わさる頂点にある小さな突起――。

「レン様ぁっ……」

 焦らしに耐えきれなくなったアサカが抗議の声を上げる。

 早く、快楽を貪りたい。

 束の間、アサカの声にまたあの悪魔の影が降りてきたような気がした。

「ここに、挿れてください……レン様の、早く欲しくて、変になりそう、で……ぁっ……」

 花弁の内側の肉を指で押し広げアサカはそう懇願した。とろりとした蜜をはしたなく垂
れ流す牝穴を自ら晒して、媚を含んだ表情で後ろのレンを振り返る。

 アサカの言葉よりも表情よりも、ぐしょぐしょに濡れひくひくと収縮する肉の器の方が
彼女の欲望をより鮮烈に体現していた。己の形にぴったりと合う突き出た肉を、今か今か
と、一刻も早く欲しいと戦慄(わなな)いている。

 求めているのは、我が身も同じ。番(つが)うべきものを前にして拒む理由がどこにあ
ろうか。

「いいですよ、アサカ。一緒に、いっぱい、気持ち良くなりましょうか」

 アサカのほっそりとした腰を掴み、アサカが求めて止まないものを、アサカの最も恥ず
かしい場所にあてがい、ゆっくりと突き入れる。
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603 :15[sage]:2014/01/04(土) 21:48:08.18 ID:/gNXqzPx
「んっ、レンさ、まぁ……」

 入り口に分け入った瞬間、ぴくりとアサカが震える。

「あ、ぁ、ぁあっ……!」

 先端が入った後、勢いを増してずるりと挿入するとびくんとアサカの背が跳ねた。膣が
収縮して、中に収まったばかりの肉棒を歓迎するように締め付ける。

「軽く、いっちゃいました? アサカ」

「は、い……あ、はっ、はぁっ……」

「アサカの中、とっても気持ち良いからこのまま動きますね?」

 息を吐き出すアサカの同意を待たず、レンはゆっくりと腰を動かし始める。軽く達した
身体は暇を欲して過敏にびくびくと震えた。

「あぁっんっ……ひゃぅっ……レン様ぁ、少しっ、ま……」

「嫌だって言ったら?」

「んんっ、ぁああっ……!」

 高く鳴き叫び強過ぎる性感から逃れようとするアサカの細腰を、逃すまいとがっちり掴
みレンはゆっくりと抽送を繰り返す。濡れた秘肉がじっとりと纏わり付き、抜き差しする
度にぐちゅぐちゅと粘着音を響かせた。

 言葉と裏腹にアサカの秘芯はレンのものを拒もうとはせず、むしろ逃しはしないと強く
吸い付き、更なる快感を求めていた。

「っは、ぁ……ゆっくりするのと、速いのと、どっちがいいですか、アサカ?」

「んんっ……ゆっくり、で……ぁっ……」

 ぬるぬるの肉の襞の中を掻き分けてゆっくりと突き、ずるりと引く。美しい曲線を描く
くびれを掴んで引き付け、また突き入れる。アサカの熱い蜜壷を要望通りに掻き乱した。
ゆっくりと、念入りに、卑猥な音が彼女の耳を打つように。

 そうするとざらつく粘膜が波打って肉棒に絡み、蕩けるような甘い快感が広がった。ア
サカの切ない嬌声も良い具合に享楽に華を添え、レンの欲望を膨張させる。

「ひゃぁ、んっ……レン様の、おおきく、てっ、はっぁ……気持ち良い、です、あぁんっ……」

「どんな風に? どんな風に気持ち良いか教えて、アサカ」

「ん、ひゃぅっ……どんな風にって……」

「どうしてゆっくりすると気持ち良いのか、教えて? ほら、ゆっくり挿れますよ?」

 喘ぐアサカの背(せな)を片手で撫ぜながら、濡れた蜜壷に突き入れる。返答を躊躇す
る彼女を急かすように、ぐりぐりと肉壁を当て擦りながら掻き分け進んだ。

「んぁ、ぅっ……レン様の、ひゃぁ、んっ……中で、いっぱい擦れてるのが、分かって……
ぞくぞく、し、あぁっん……だ、めぇっ……!」

 結合した場所から新たな蜜を垂れ流し、喘ぎ、震えて、アサカは壁についた手に力を込
める。連動してとろとろに蕩けた牝の秘所がきゅうきゅうと蠕動(ぜんどう)した。
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604 :16[sage]:2014/01/04(土) 21:51:36.06 ID:/gNXqzPx
 始めてから大して時間も経っていないというのに、アサカの身体はレンの予想を超えて
昂っていた。彼女の本能――隠しようのない牝の部分が、夜の逢瀬がなかった間の埋め合
わせを求めているようだった。

「駄目なら止めましょうか、アサカ」

「はぁ、はぁっ……やぁっ、いやです……もっと、して、ください……」

 潤んだ瞳、上気した頬でアサカは背後のレンを見やる。ファイトの相手を鋭く射る冷た
い色の瞳が、快楽に酔いしれ熱く濡れていた。

 アサカの中に収まった肉棒の温度が俄に上がる。何度も彼女によって精を絞り出され、
あと何れくらい保つかと案じていたものが、恐ろしいぐらいに張りつめていく。

「レン様ぁ……もっと、気持ち良いのを、ください」

 艶やかな唇から猫撫で声を発しおねだりするアサカに最後の理知が突き崩される。微塵
に砕けたそれらはもう、レンの欲望を塞き止めることはできなかった。

 言葉を知らぬ原生の頃に一瞬、思考が逆戻りし高まる感覚と感情で頭が支配される。口
角をわずかに引き上げ、レンはアサカの腰を掴み直した。

「いくらでもあげますよ、アサカが欲しいだけ、ね」

 躊躇いなく迷いなく、突き上げる。

 アサカの最も弱い所を。

 何度も、何度も――。

「んっ、あん、ぁっ……あっ、きもち、い、ああっ……あつくて、変に、なっひゃう……ぁ
あん、ぁっ……レン様、レン様ぁっ!……もっと、ひゃ、ぁんっ……くだ、さい、ぁっん……!」

 恥も外聞もなく高く鳴き喚く声。快楽を得ようと艶かしく動く腰。つなぎ目から止め処
なく溢れ出す発情の証とそのにおい。

 ただ快楽を狂い求め、浅ましく腰を使う牝の痴態に牡の本能が奮い立つ。久しくこの牝
とまぐわっていなかったと、ならば、よくよく可愛いがってやらねばならないと、そして、
己の子種を注いで番いの証を刻み込んでしまわねばと――。

「あんっ、あ、ぁっあっ……すごい、のぉ、いい、いいっ、ぁっそこっ……ら、めぇ、そ
こ、ひゃんっあっ……レン、さま、レンさまぁ! やぁっん、も、だめぇっ……」

「ぁ、はっ……はぁっ、アサカっ……」

 発情した牡牝の肉と肉とがぶつかり合い、擦れ合い、絡み合い、求め合う。

 ぐちゅぐちゅ、ぬるぬる、ぐちゃぐちゃ、くちゅくちゅと深まる交合の狂騒が、人知れ
ず黄昏時の物置部屋に鳴り渡る。

 快楽の天井を目指し、雌雄一対の動物はひたすらに互いの肉を貪った。

「あっ、ぁ、あ、あっ、ああっんん、ああぁっ! レンさま、レンさまぁ!」

「アサカ、アサカっ……」

 びくん、と跳ねてアサカの背が大きく反る。強烈な締め付けの後に真っ白な快感が突き
抜けていく。頭の芯を、真ん中を、狙い違わず射抜いて貫通する。
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605 :17[sage]:2014/01/04(土) 21:57:47.99 ID:/gNXqzPx
「はぁっ、はっ、あぁっ……あついの、レンさまの、いっぱい……でて、ぁっ……だめぇ、
まだきもちいいの、いい、の、ぁ……はぁ、はぁ、ぁっ、かんじ、ちゃう……」

 絶頂の余波にびくびくと震えながら、アサカは恍惚と呟く。まなじりを下げ口を半開き
にした蕩けた顔をし、快楽に浸るただの牝に成り下がっていた。そうして、はしたないだ
けの姿を晒していた。

 己の下で快楽を貪る牝に全ての精を注ぐ。会陰の辺りに力を入れ、絞り切る。約束通り
にアサカの求めるままに、全てを。

「はぁ、はっ……」

 二人分の荒い呼吸が宵闇に溶けて消えていく。

 身体が酸素を求めていた。しかしそんなことに構っていられない。奥底から起こる強い
衝動が身体の生理を上回る。

 アサカが上半身を捻りこちらを向くと、レンも誘われるように上半身を倒して顔を近づ
ける。

 どちらからともなく、二人は唇を触れ合わせた。

 一度そうしてしまうと抑えが効かなかった。繋がったまま感情のおもむくまま何度も何
度もキスをした。絶頂の余韻に浸りながら、何かに取り憑かれたように、互いの唇をひた
すらに求め続けた。

「んっ……ふ……レンさまぁ……」

「アサカ……」

 呼吸と動悸が落ち着くまで、交わったまま口づけの応酬を続けた。やがて交合の興奮が
収まってきた頃、レンは力を失った分身を引き抜こうとしたが、アサカの声が行為の終演
を遮った。

「やぁ……レンさまぁ、ぬかないで……」

 幼い子供のような可憐な声での哀願。レンはそれに抗うことができなかった。

 その声には多分に媚びが含まれていて、含みきれない分があたかも妖気のように周囲に
漂いレンをたぶらかした。気づくと濡れたアサカの中に逆戻りしていた。

「まだ、たりないの、まだ……もっとここに、ください……」

 そう言ってアサカはレンのものを咥え込んでいる下の口を指した。その場所はアサカの
蜜とレンの白濁液が入り混じって溢れ出し、ついさっきまでしていた行為の激しさを物語
る。

 レンはくすりと笑い、再度唇で塞いだ。舌ったらずな媚声で牡を惑わす悪魔の口を。

 それは「二度目」の初まりを告げる合図でもあった。







 小さな唇が触れる。壁を背にしてぐったりと座り込んだレンの唇に。
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606 :18[sage]:2014/01/04(土) 22:01:09.84 ID:/gNXqzPx
 アサカはゆっくりとのし掛かって来ると、艶やかな桜色の唇で荒い呼吸を繰り返すレン
の口を塞いだ。

「レンさまぁ……」

 レンはなす術もなくアサカの口づけを受けていた。彼女の中で――あるいは手や口で―
―何度も果てた故の倦怠。身体に負担のかかる立位故の疲労。それらに身体全体を支配さ
れて動く気が起きなかった。

 アサカはそんなレンに愛おしげに口づけている。まだ彼女の方には余力があるらしい。

 一体どこにその旺盛な性欲と体力を隠していたのだろうか。

 一度アサカの中で果てた後、レンは彼女の最も敏感な場所や、豊かな乳房などをたっぷ
りと可愛いがった。力を失った一振りではすぐに彼女を満足させられないと踏んで、回復
するまでの間、それはもう入念に(何度も精を絞られた意趣返しの意味もあった)。

 そうしてこの小悪魔の気をやらせてしまえば少しは己が分身の負担が軽くなると計算し
ての行動だった。しかし、その可愛いがりでは一時アサカの気を紛らわすことはできても、
根本的な彼女の欲を満たすことはできなかった。

 アサカは何かを求めるようにずっとキスを繰り返している。唇だけでなく額や頬にも口
づけて、そこに浮いた汗の珠を舌で舐めとりもした。

 ついには、動く様子を見せないレンの下半身をアサカはまさぐり始める。

「っ……」

 強引に与えられる快感に小さく息を吐いた。もう無理だと言いたいところだったが、重
い身体は言う事を聞かない。

 アサカの指先が下の方で滑らかに動いて、ぐったりとしたものを立ち上がらせていった。
それもまた狡猾で淫奔な悪魔が持つ魔術の一つだった。

「レン様、ずっと立ちっぱなしで疲れたでしょう。今度は私が動きますね」

 いやに興奮した様子でアサカは慈愛に満ちた微笑みを浮かべる。しかし、その表情を形
作る顔の部品は、性的な高揚に染まり、微笑みを清濁の入り交じった異様なものにしてい
た。

 紅潮した頬に潤んだ瞳、そして艶かしい唇。それらが妖しい微笑みを形作る。一度は引っ
込んだはずのアサカの魔性が、再び顔を出していた。

「この体勢ならレン様は動かずにすみますから――」

 屹立したレンのものの上に跨がりアサカはゆっくりと腰を落としていく。二人の体液の
混じったものが、重力に従って二人の間にぽたぽたと垂れた。

「んっ、はぁっ……ぁっ……奥まで、届いてます……はぁ、レン様の……」

「アサカ、もう――」

「大丈夫です。レン様は動かないで休んでいてください。私が動きますから……んんっ、ぁっ……」

 結合部からくちゅくちゅと音を立てながら、アサカは腰を揺らめかせた。対面の状態で
レンの上に跨がり、自ら動いて欲のままに性感を貪る。
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607 :19[sage]:2014/01/04(土) 22:03:27.48 ID:/gNXqzPx
 身体の至る所を丹念に可愛がったというのに、最も敏感な場所で幾度も気をやらせたと
いうのに、アサカの欲望はとどまる所を知らない。

「ぁっ、ん……あつい……はぁっ……とけ、ちゃう……あぁっ……レン様ぁ、いっぱい、
ください……レン様……」

 欲しい、欲しい、欲しい。本能が命じるままにアサカは動く。求める。

 久しぶりの交接に、レンが男――というより牡としての本能が刺戟されたように、アサ
カもまた牝としての本能を刺戟されている。牝の本能がどうしようもなく疼いて、牡を求
めている。

 だから、漫然と快楽を与えられるだけでは満足できない。快楽ためにある突起より、交
尾のためにある牝穴を犯されたくてたまらない。そこに番いの牡を感じたくてたまらない。

 番った相手をアサカの身体は間違いなく覚えている。それは例え彼女の記憶から激しく
求め合った夜のことがなくなったとしても変わらない。身体だけはずっと覚えていて、切
なく疼き、彼女に強く求めさせる。たったひとりだけを。

「レン様、レン様ぁっ……」

 うわ言のようにアサカは繰り返し求める者の名を呼んだ。そして手探りでレンの頬を撫
で、その触った場所にアサカはうっとりと口づける。

 その口づけはアサカの執着の証。

 それも悪くない。宵闇の中で薄ら笑う。

 かつてはレンも他人に強い執着を抱いた時もあった。自分の思い通りにならないことに、
癇癪を起こすような子供っぽい執着心を。

 今ではもう、そういう強い感情に振り回されることもなくなった。自分の感情と現実に
折り合いをつけて日々を過ごせている。

 昔は他人に執着心を向けていたけれど、こんな風に執着心を向けられるのも悪くない。

 アサカの好きなようにされるがまま。最初に言った通りの状態で彼女の顔を見る。

 宵闇に浮かぶ、アサカの顔。欲情し切った夢魔の顔は闇の中でこそ映える。

 ふと気づけばとっぷりと日が暮れていた。ブラインドから漏れていた橙は深い藍にとっ
て変わり、外は夜の帳が下りようとしている。

 通りでアサカが元気になる訳だ。

 ここからは人ならざるもの――闇に生きる悪魔達の時間。彼らは夜にこそ真価を発揮す
る。悪魔の宴はこれから始まるのだ。

「ん、あ、ぁっ……レン様ぁ、見てください、ここ……」

 久しい交接に良がりながら、アサカが指し示す場所。レンの肉棒を咥え込んで放したが
らない、下の口。その快楽に飢えた口は肉欲をなみなみとたたえ、止め処なく涎を垂れ流
している。

 喰われているような気分だった。

 いや、ような――ではなく事実そうなのだろう。アサカのその場所は、飢えた「口」。
長く食事を与えられず、いたく飢えていた。
カードファイト!! ヴァンガードでエロパロ RIDE 2
608 :20[sage]:2014/01/04(土) 22:05:47.16 ID:/gNXqzPx
 一度味わったくらいでは満足できない。貪欲な口の飢えを満たしてやらなければこの宴
は終わらない。

 無論、そうなることは――一度や二度ですまないことは織り込み済みで、焦らしたアサ
カを彼女自身が満足するまで可愛がるつもりではあった。だが、ここまでとは予想がつか
なかった。どれほどアサカに執着されているか、その見積もりが甘かった。

 こうしてアサカの貪欲な一面を引き出してしまったのは、自分の責任。彼女を焦らした
代償はあまりにも大きい。

「ここ、で……はぁっ……レン様と繋がってると思うと、とってもどきどきするんです……」

 飢えを隠すことが出来ずに涎を垂らす口をアサカはレンに見せつける。ひくひくと蠢く
そこは、幾度となく刷り込まれた快楽を再び与えられ、喜びに打ち震えているようにも見
えた。

「――僕もどきどきしますよ、アサカ」

 そう答えるとアサカは嬉しそうに抱きついてくる。レンは黙って彼女の抱擁に身を委ね
た。

 ふわりと舞う馥郁とした香りが鼻をくすぐる。そしてその花の香と発情した牝のにおい
とが混じり合って背徳的な調和を奏でた。

 レンはその香りを聞きながら、長い長い宴の始まりを予感する。

 これでいい。今宵は愛い悪魔の気がすむまで付き合おう。美しき夢魔の贄になってやろ
う。好きなだけ喰らうがいい。

 アサカの腰の動きは段々と速くなり、ぐちゅぐちゅと粘つく音が耳に張り付いた。

「あ、ぁっ……だ、めぇっ……レンさまので、なかがいっぱいになっちゃう……ひゃっ、ぁ
んっ……! あつい、あついの、とけちゃう……あ、はぁっ、あっ、はっ……ぁ、あ、ぁ
ああっ――」

 宵闇が落ちた部屋に歓喜の嬌声が響く。びくびくと震えて夢魔は快楽と熱い奔流を貪っ
た。

 アサカは濡れた唇をレンのそれに重ねる。精と魂を吸われた代償は夢心地になるような
口づけだった。愛を狂い求める夢魔の口づけは温かく柔らかでとてもとても心地がいい。

「レン様、レン様ぁ……」

 いくら吸っても足りない。空腹が満たされない。もっと欲しい。

 アサカは縋るような声を出し、また口づけ、そして――
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609 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/04(土) 22:08:22.09 ID:/gNXqzPx
以上です。

長々とスレを占拠してすみません。


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