- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ7
268 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/03(金) 01:47:20.52 ID:en6FWbXi - みなさまあけおめです
エロなしだけど久しぶりに美男×NANA書いたので投下します 規制に引っかかって変なタイミングになっちゃったけど 次のシーズンに持ち越すのもなんなので落としますね…
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269 :ある晴れたクリスマスの翌日に1[sage]:2014/01/03(金) 01:50:07.21 ID:en6FWbXi - 今年のクリスマスは仕事でNANAに会えなかった。
なぜか恋人たちの特別な日として定着してしまったクリスマス。 もちろん俺だって彼女に会いたかったけれど、お互いの仕事柄、難しいことはわかっている。 世間の女の子はたぶん、俺が思う以上に恋人と過ごすクリスマスを強く夢見ているのだろう。 きっとNANAだって同じだ。寂しい思いをさせたに違いない。 電話で言葉を交わすだけのクリスマス。 今日は会えないけれど、明日会おうと約束した。君に会って話がしたいと。 そしてクリスマスの翌日、俺は朝から彼女を呼び出した。 すっきりと晴れた冬の青空を眺めながら、人気のない教会の門の前で彼女を待つ。 しばらくすると、暖かそうなキャメルのダッフルコートに身を包んだ彼女がやってきた。 こんなに早い時間に待ち合わせなんてめずらしいね、と、不思議そうな顔をするNANAの手を握り、俺は門から教会の敷地内に入った。 「勝手に入っても大丈夫?」 「いいんだ。来て」 茶色くなった芝庭を抜け、教会まで歩を進める。 木製の重い中扉を開け、内部に一歩足を踏み入れた瞬間、NANAが溜め息混じりに感嘆の声を上げた。 「わぁ…!ねえ美男、すっごくきれい…!」 教会の祭壇と左右の壁に立ち並ぶステンドグラスから差し込む朝の光は、清冽な空気を七色に染め上げ、天上の世界をそのまま眼前に映し出す。 ここに来るのは何年振りだろう。もうずいぶん長いこと足を運ばずにいた。 丁寧に整えられた祭壇も、こちらに向かって両腕を広げ、包み込むような微笑みを浮かべるマリア像も、なにもかも昔と変わらない。 外の喧騒を忘れさせる、一種独特で、澄んだ空気の匂いが幼い頃の記憶を鮮明に呼び起こしてくれる。
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270 :ある晴れたクリスマスの翌日に2[sage]:2014/01/03(金) 01:51:21.24 ID:en6FWbXi - 「まぁ、朝から明るい声を聞くのはいいですね」
背後から聞こえたうれしそうな声に振り向くと、黒い修道服に身を包んだ女性が微笑んでいた。 「院長さま…」 「元気そうですね、美男。あなたの活躍をいろいろなところで耳にして、嬉しく思っていますよ」 「ご無沙汰していてすみませんでした。院長さまもお元気そうでなによりです」 長いこと顔を見せずにいた非礼を詫び、しばし再会の喜びに浸る。 「紹介します。こちらはNANAさん…もしかしたら院長さまもご存知かもしれませんが」 隣にやってきたNANAが少し緊張した面持ちでぺこりとお辞儀をする。 「あの…こんな所で騒いでしまってすみませんでした」 しきたりも何も知らなくて、と、めずらしく恐縮してみせる。 こういった場所でシスターに会うのはきっと初めてなのだろう。 「いいんですよ。ここでしきたりより大切なことは、心を開くこと──自分の心に正直でいることです。 美しさに感動する豊かな心をずっと持ち続けていてくださいね」 「はい。ありがとうございます」 ゆっくり見ていってくださいね、と、優しい笑顔を向けられたNANAは、再び教会の中を巡り始めた。 「美男、あなたも見つけたのですね。運命の人を」 静かに問いかける院長さまの声にうなずく。 「私はあなたたちの幸せをいつでも祈っていますよ。どうかそのことを忘れないで」 昔から変わらない、穏やかなのに凛とした声。 背筋がすっと伸び、気持ちが新たになる。 「ありがとうございます」 院長さまの去りゆく後ろ姿に深く礼をした。
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271 :ある晴れたクリスマスの翌日に3[sage]:2014/01/03(金) 01:52:27.48 ID:en6FWbXi - 祭壇の前のベンチにNANAと並んで腰掛け、俺は子供の頃の話を始めた。
ここは自分が育った場所であること。美子と2人で、この教会に併設された施設で育ったこと。 小さい頃はやんちゃで、他愛ないいたずらを繰り返しては、いつも院長さまに叱られていたこと。 「ふふっ…小さい頃の美男、可愛かったんだろうなぁ」 そんなNANAの言葉に苦笑いする。 「俺、可愛いって言われるのが嫌いだったんだ。こんな顔してるから、女みたいだってからかわれてさ。しょっちゅうケンカしてた」 「そうなの?」 なんだか意外。そう言ってNANAが目を丸くする。 「でも、やっぱり可愛い姿しか想像できないなぁ。だって今の美男も、すっごく可愛いんだもん」 「…まあいいか。NANAに言われるなら悪い気はしないよ」 くすくすといたずらっぽく笑う彼女の表情に不覚にもときめいてしまい、反論する気もあっという間に消え失せた。
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272 :ある晴れたクリスマスの翌日に4[sage]:2014/01/03(金) 01:54:19.77 ID:en6FWbXi - それからまた昔話を始める。
この教会で賛美歌を教えてもらったこと。 美子と、施設の仲間と、毎日大きな声で歌っていたこと。 俺が音楽の道を選んだのは、もちろん両親からの遺伝もあるのだろうが、いちばん大きなきっかけはたぶんここで育ったことにあるのだと思う。 子供の頃の話をしているうちに、歌うことが楽しくて仕方なかったあの頃の気持ちがよみがえり、胸が熱くなった。 「ここが俺の原点なんだ。だから、NANAに見ておいて欲しかった」 「…ありがとう美男。うれしい」 NANAが俺の肩にことんと頭を預けた。 「ねぇ、NANA」 「なに?」 肩に頭をのせたまま、軽く答える。 「また一緒にここに来よう」 NANAが軽くうなずいた。 「次に来る時は…NANAは真っ白なドレスを着てる」 え、と軽く声を上げると、NANAは肩から頭を上げ、俺の方に向き直った。 「メンバーや事務所のみんなが俺達を笑顔で迎えてくれてさ。 …ああ、でも美子なんか顔をくしゃくしゃにして泣いてるかもしれないな。あいつ泣き虫だから」 驚いていた彼女の頬が少しずつ色づいていく。 「白いドレスに身を包んだ君が綺麗すぎて、俺はきっと何も言えなくなるんだ。…情けないだろ?」 ううん、って大きく頭を振る。 「それでもここで、神様の前で誓うんだ。君のことを、必ず幸せにするって」 今度はうん、って大きく頷いた。 何度も、何度も。大きな瞳に涙を浮かべながら。 冬の空気にさらされ、ひんやりと冷たくなったNANAの頬に手をやると、指先に暖かい涙がこぼれ落ちてくる。 その雫を親指で拭い、想いを込めて唇に優しく口づけた。 ある晴れたクリスマスの翌日の約束。 守ってみせる。必ず。
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273 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/03(金) 01:55:47.73 ID:en6FWbXi - 以上です
他の職人さんの新作も読めるといいな 今年もよろしくお願いします!
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