- 【何発でも】腹責め専門SS・その12【叩き込め】
480 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/01/03(金) 10:28:06.82 ID:EmyBYuql - 仕上げ人、それは報酬と引き換えに人殺しを請け負う、ひらたくいえば殺し屋である。
ときに仕掛人、あるいは仕事人とも呼ばれる彼らはだがしかし、依頼を受けて殺す相手は生きていては世の中のためにならない悪党だけと決めている。 そんな仕上げ人のひとり、若いが腕利きの仕上げ人として“その筋”では名の通っている冴の家を茅野の亀右衛門が訪れたのは、よく晴れた昼下がりのことであった。 「婆さんとわしの手作りだ、どうぞ口にしてやっておくんなせい」 そう言って背中から下した野菜籠を縁側に置く亀右衛門はどこからどう見ても気のいい百姓爺そのものという風体だが、数年前までは目黒から渋谷、麻布にかけてを縄張りにしていた香具師の元締めであった。 冴も幾度か亀右衛門の依頼で“仕上げ”をしている。 その亀右衛門もいまでは縄張りを子分にゆずりわたし、目黒の碑文谷に引っ込んで古女房と二人して百姓仕事を楽しんでいる、と、冴は聞いていた。 「ところでお涼さんは?」 「涼なら出ていきましたよ」 居間にあがった亀右衛門に茶をすすめながら、相棒が出ていったにしては明るい笑顔で冴はいう。 実は仕上げ人仲間の榊新三郎という浪人が涼の生き別れの父親だったという事実が発覚し、すったもんだのあげく和解した二人は浅草の外れに居を構え、親子水入らずで暮らすことになったのである。 「そりゃあよござんした」 冴の話を聞いて、亀右衛門も笑顔になった。 「こんな稼業、足を洗うことができるならそれにこしたことはございません」 空になった自分の湯呑をちゃぶ台に置き、冴は表情を引き締めた。 「それで亀右衛門さん、今日ウチに来た用向きは…」 亀右衛門の目に、鋭い光が宿った。 「本来なら隠居した爺が出る幕じゃねえんですが、義理があってどうしても断りきれないので、恥をしのんで頼みにやってまいりました」 「仕上げですか?」 亀右衛門は無言で頷き、ふところから取り出した包みを差し出した。 「半金の二十両でございます」 前金で二十両ということは仕上げが終わればもう二十両、しめて四十両が冴のふところに入ってくることになる。 「それで相手は?」 「鬼川部屋の鬼王山」 冴の目が、わずかに動いた。 「あの、大関の?」 「左様で」 鬼王山はその無類の強さで平幕から大関までの昇進最短記録を作りながらも、素行の悪さから横綱になれなかった男であり、悪い噂には事欠かない。 さらに言うなら、過去の仕上げの経験から依頼人と仕上げ人の間を取り持つ仲介人としての亀右衛門は、十二分に信頼のおける男であると、冴は思っている。 鬼王山が生かしておいては世の中のためにならない悪党というのは、まず間違いのないところであろう。 「お引き受けしましょう」 冴は包みを手に取った。 「フン、少しはできるようだが所詮は女子供だな」 「グ…うぅ……」 無意味に大きく胸を張り、両腕を組んで仁王立ちする鬼王山。 その足元には傷だらけの冴が倒れ伏している。 腕っぷしの強さではその辺の荒くれ者などものともしない冴だったが、さすが大関は格が違った。 「それにしても色っぽい恰好してやがる」 冴を取り囲み、好色な笑みを浮かべる鬼王山配下の褌担ぎたち。 冴の仕上げ人コスチュームはいちおう和服には見えるものの、過剰なまでに肌を露出させたシロモノであった。 その細見だが要所要所はむちむちぷりんな肢体をじっくりと眺め、鬼王山は舌なめずりをする。 「いっちょう“かわいがって”やるか」
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