- 【戯言・リスカ】 西尾維新 vol.18 【物語・刀語】
462 : ◆zO7AQfurSQ [sageわっふる]:2013/09/06(金) 21:00:08.27 ID:mDVhzCPh - おいいいぃぃ!何でアニメで「キスしよっか」も「一緒に死ぬなら〜」のシーンもカットされてんの!?
これはもうオーディオコメンタリーを暦と忍にして副音声でやらなければ暴動が起きるレベル そもそも何で四話構成なのさ……というわけでアニメでは描かれなかった滅んだ世界での二人きりのほのぼの空白時間を書いてみたい 花火をしてみよう。 まだ生きているかもしれない人たちへの信号弾にもなるし、というのは言い訳で本当は忍のためだった。 多少なりともこの状況に責任を感じて塞ぎ込んでいたのを励まそうという意図があったわけだが、思いのほか効果があったようだ。 花火について簡単に教えてやると、浴衣を着てみたいと言うので本屋で雑誌を参考にさせた。 能力で造って実際に着るのは本番当日までのお楽しみらしい。僕もちょっと期待している。 僕の分は家にあるし、あとは曇りの日までに場所を決めておかないと。 吸血鬼でなくともキツい日差しの強さにうんざりしながらも街中を徘徊していると、やがて公園に辿り着いた。 いまだに名前を知らない、何だかんだで思い出のある公園。 僕はベンチに腰を下ろした。 ここで。 戦場ヶ原と話して。 八九寺と出会って。 羽川に相談を受けて。 色々あったなとそう遠い昔の話でもない思い出を懐かしむ。 「お前様……」 隣に座っていた忍が僕の腰に手を回してぎゅっと抱き付いてきた。 なんとも言えない表情をした忍の頭に手を乗せて軽く撫でてやる。 そうだ。僕が感傷に浸っている場合ではない。僕の気持ちにリンクして忍まで気落ちしかねない。 僕は努めて明るく言う。 「そうだ忍、花火の会場はここにしようぜ!」 「うん? ここでか?」 「ああ、ある程度開けた場所ならどこでもいいんだ。なら僕はここにしたい」 「まあ儂は構わぬが……何か理由でもあるのかの?」 「ああ、ここはさ」 一旦言葉を切ってぐるりと見渡す。 人気がなく、遊具も申し訳程度しかない寂しい公園。 だけど。 「ここは僕にとって結構思い出深い場所なんだ」 「……そのようじゃな」 「だけどここでの思い出にお前がいたことはない」 「!」 「だから作ろうぜ。この公園での、僕とお前との思い出をさ」 正直少し格好付けた言葉だと自分でも思う。でも紛れもなく本心だ。 忍はしばらく呆けていたかと思うとがばっと僕に抱き付いて、身体に顔をうずめてくる。
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