- キモ姉&キモウトの小説を書こう!part43
566 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/11/24(土) 07:55:55.29 ID:ilRsFmbN - 投下します。
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567 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 07:57:07.23 ID:ilRsFmbN - 仕事の合間に一息いれ、思い出す。
流石に土曜日はやりすぎたか……自分の迂闊さに反省する。 弟を魅了させようと思いついた手だった。 あわよくば襲い掛かってこれば―――詰みだったのに…。 逆に不信感を抱かせてしまった。 しかし、私は気付いていた。弟自身も興奮していたことを。 荒い息遣いと股間の膨らみでバレバレだ。 誤魔化せると思ったのだろうが…甘い。そこがまた可愛いんだけどね―――。 弟が寄生虫…もとい妹を追いかけていって一人ぼっちになった私は、弟のベッドでオナニーにふけってしまった。 つい我慢できなかったから…。 何回絶頂に達したか、覚えていないくらいだ。 今、思い出しても身体から熱が湧き出てくる……。 そんな調子だったから、二人が帰ってくるまでに片付けが終わるかが心配だった。 だから日曜日は嫉妬で狂い死にそうだった。 あの寄生虫はデートなどと妄言を吐いていたが、弟に詳しく聞くと女性に慣れるための訓練、だそうだ。 いずれ私を紳士的にエスコートしながらデートしてくれるということなのだろうか…。 別にそんな必要ないのに…、私に任せれば全部―――いや、弟に全てを委ねるというのも魅力的だ。 じゅる… ―――いかん、よだれが。 今日は早く帰れる、今度こそ弟とご飯を食べよう。 邪魔な虫がいるから外食にしたいが、弟は優しいから家で食べたがるだろう…。 でも、今度の日曜は私とデートしてもらわなきゃね? 我に返ると、周りの人間が私との距離を置いていた。 ……そんなにマズイ顔してたのだろうか。
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568 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 07:58:51.76 ID:ilRsFmbN - ―――夕食の席でアプローチしてみることにする。
「ねぇ、来週の日曜日に映画観に行かない?チケットが“二枚”手に入ったからさ」 枚数は強調して言う。虫の居場所はないのだと分からせる為に…。 「待って下さい。日曜は私と動物園に行く約束があります。そうですよね、兄さん?」 この虫が!!身体に言わなきゃわからないみたいね…。 高校時代に身に着けた合気道で――― 「あー、ゴメン。日曜はゼミの連中と遊びにいくから。それと、動物園の約束はしてないぞ」 「訓練もありますし、その場の勢いでOKしてくれるかと…」 「そんなわけあるか!」 虫の愚策は置いといて…。 「夜も遅いの?早く帰ってこなきゃ駄目よ?」 「いや、夕方には解散になると思う」 「そう、ならそのあとで映画行きましょう。レイトショーなら安いし」 「姉さん、さっきと言ってることが逆じゃない?」 「細かいことは気にしないの。決定ね」 「…ちなみにどんな映画?」 「薄暗い下水の底からっていう―――」 「却下!!ホラーが苦手なの知ってるでしょ!?」 「えー」 ちっ…、また駄目だったか。 ホラーなら気兼ねなく抱きつけるし、抱きついてきてくれたら一石二鳥だ。 まぁまたの機会にするか、がっつくと土曜日の二の舞だし。 ゼミの仲間なら男ばかりだろうから心配は…。 ――――――いや、一人だけ危険人物がいた。 あの雌豚…、たしか弟と同期で仲が良かったはず。 いつか尾行したときに感じた印象…。 まさか奥手な弟に喰らいつこうというのか!? やっぱり心配だ、見に行くべきだろう。 とりあえず、変装道具を揃えなければ…、手始めにコスプレ好きの友人に電話を掛けることにした。
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569 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 07:59:38.87 ID:ilRsFmbN - 日曜日、待ち合わせ場所で待つ弟を遠くから見守る。
見失っても位置はGPSでばっちりだ。 ちなみに今の私の恰好で、私と気づく人はいないだろう…。 ふと見ると、離れた場所から弟を除く怪しい人影があった。 パッと見わからないが間違いない…虫もまた気になったんだろう。 弟の方を見ると、誰かと話していた。 あの雌豚だ! やっぱり来ていたようだ。 どうやら移動するらしい…、そこで違和感を感じた。 ――――たしか弟はゼミの連中と言っていなかったか? どういうことだろう、あとで合流するのだろうか。 いや違う、嘘をついて弟を呼び出しデートするつもりだったんだろう。 汚い手を使う…どう始末してやろうか…。 距離をとって後を尾けることにする。 二人が向かった先はなんとカラオケボックスだった。 まずい、密室で弟が犯される!! どうするべきか?……弟を後ろから上手く倒して、気絶させてから介抱の名目であの女から遠ざける…よし、これでいこう! 弟に気付かれないよう後ろに近づき――― ドオォォォーン!!! …何が起こった!? 辺りが騒然とした――― 見ると、カラオケボックスの入り口が吹き飛んでいた。 ふと虫のほうに顔をやると、携帯を手にしていた。 冷めた目で見ていることからどうやらこいつの仕業のようだ。 爆弾か何か仕掛けていたらしい。 とりあえずは一息だが…。 しかし、何故二人の行動パターンが読めたのだろうか…? まさか全てのカラオケボックスに爆弾を仕掛けていると? 何はともあれ、一つ借りにしておこう。悔しいが……。
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570 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 08:00:42.59 ID:ilRsFmbN - 二人は気まずい様子で前を通り過ぎていた。
私も間隔を空けて追う。 店先を見るとグチャグチャになっていたが、幸い怪我人はいないようだ。 次に向かった先は路地裏にあるイタリアンレストランだった。 中に入り、二人が見える位置に席を取る。 はたから見ればカップルの様に見えなくもない…。 「ひっ!!……あ、あのメニューをお持ちしました…」 いかんいかん。つい殺気だってしまってウェイトレスを脅かしてしまっていた。 オススメのランチメニューを頼み再び観察する。 ―――――――――ただ見るだけがこんなにも疲れるとは思わなかった。 今すぐ、引っぺがしてあの雌豚を屠殺してやりたい…。 「…サラダを…お、お持ちしました…」 ここは一つ、食べて落ち着こう…。 そう考えて握ったフォークが簡単に曲がってしまった。いや、マジックとかじゃなくて…。 なんとか戻そうと反対に曲げたら簡単に折れてしまった。 結局、五本以上のフォークとスプーンを折ってしまった…。 レストランのオーナーには悪いことをしてしまった。 しかし、こっちも一大事なのだ。 あの豚から弟を守らなければ! レストラン内で大事にはならなかったので良かったが、まだ予断を許さない。
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571 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 08:02:12.76 ID:ilRsFmbN - 店を出る二人を追うと、虫が話しかけてきた。
そういえば、こいつの姿を店内で見かけなかったが…高校生には料金が高すぎたかな? 「…提案があります。私と手を組みませんか?一時休戦ということで…」 「そっちの条件は?」 「店内での二人の状況を教えて下さい。こっちも情報を差し上げます」 「…わかったわ。休戦の期限は二人のデート終了まででいいわね?」 さっきのカラオケの一件もあるし、これで貸し借りなしにしておこう。 「そういえば…」 「何ですか?」 「どうして弟があそこのカラオケに入ると分かったの?」 「割引券を渡しておいたんです。兄さんなら必ず行くだろうと」 なるほど、いい手だ。私も今度使おうかしら…。 それから二人を尾行しながらも、情報交換をする。 時刻は夕暮れが迫る頃になっていた…。 今、二人は海辺の観覧車に乗っている。 私たちはというと、観覧車が見えるオフィスビルの屋上に来ている。 双眼鏡でヒットマンよろしく監視というわけだ。 「どうですか?」 「西部戦線異状なしよ」
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572 :水面下の戦い4[sage]:2012/11/24(土) 08:03:11.26 ID:ilRsFmbN - ゴンドラの密室の中、二人がキスするという最悪の事態は避けなければならない。
私は常時監視、虫は携帯片手に待機という状況だ。 「随分古い映画を知っているんですね」 「知識が多いことに越したことはないわ」 「―――昔、お父さんが観てたやつですね…」 「…えぇ」 ふと、父という言葉で家族についてもう一度考えてみた。 今の私たちは何をやっているんだろうかと…。 「皮肉なものよね…同じ肉親を好きになるなんて」 「…それは今更では?」 「何時からあの子に恋してたのかしらね…普通なら、大学時代の仲間や同僚、合コンで知り合った相手と親しくなっていくはずなのに」 「なら今からでも間に合うのでは?兄さんのことは私が―――」 「まさか。でも私たちが自分を取り合っていると知ったら悲しむでしょうね」 「……」 「いずれ答えがでるわ。その時―――」 瞬間、豚が弟のほうに顔を近づけた…マズイ!! 「早く携帯を!」 「は、はい!!」 突然携帯が鳴り、二人の距離は離れた。 危機は脱したか…。 虫…もとい妹は適当なことで弟と会話し、相手に隙を与えないようにしている。 少なくとも観覧車内では要注意だ。 その後、二人が駅で解散するのを見届けてから、私たちも時間差で帰ることにした。 「家族…か」
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573 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/11/24(土) 08:04:32.07 ID:ilRsFmbN - 投下終了です。
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