- ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
931 :姫君と護衛[sage]:2012/10/08(月) 22:46:08.97 ID:HLCg/HJK - ファラフナーズ生存ifの続きを投下します
ルスキニア×リリアーナで捏造オリジナル路線のため、苦手な方はスルー推奨 今回は短めで5レス程度の予定ですが 実験サイト使用による投下のため、ミスや投下切断があるかもしれません
|
- ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
932 :姫君と護衛1/5[sage]:2012/10/08(月) 22:47:34.35 ID:HLCg/HJK - * * *
高らかに響く鳥の囀りによって、リリアーナは目を覚ました。 ひんやりとした初秋の空気を震わせる澄んだ波長が、早朝の空を高く低く渡っていく。 その声の調子で天気を読み取る術を、いつの間にかリリアーナは身につけていた。 今日の天気は快晴のようだ。 大きく伸びをしたリリアーナは、隣で蹲る毛布の塊に目を遣った。 胎児のように身体を丸めて眠る男の口元から、小さな寝息が洩れていた。 伸ばされた腕はしっかりとリリアーナの腰に回されている。 少し伸びた白い髪が、寝乱れて頬に影を作っていた。 ほつれた毛束を優しく除けながら、リリアーナは微笑んだ。 毎朝、目を覚ますたびに、傍らでよく馴れた獣のようにルスキニアが横たわっているのを見るのは不思議な気分だった。 滑らかな肌を撫でると無骨な革製の眼帯が指先に違和感を与えた。 あの逃避行の折、警備隊の銃撃によってルスキニアは左目に負傷を受けた。 治療の甲斐なく彼の視力は失われてしまった。 端正な顔のにあっては異様な印象を与えるその眼帯は、彼らの罪の象徴だった。 ふいに、なめした革をなぞるリリアーナの手に他人の指が触れた。 見下ろすと薄い色の右目と視線が合った。 「リリアーナ」 僅かに目を見張ったリリアーナは彼の名を呼んだ。 「ルスキニア。起きていらしたの?」 「いま起きた」 寝返りを打って仰向けになったルスキニアは手の甲で目元を覆って低く呻いた。 すぐに身を起こそうとはしない彼を見てリリアーナは子供のようだと思った。 寝汚いところがあるのは、共に暮らすようになって初めて知った彼の意外な一面だった。 リリアーナは寝台に手をついてルスキニアの顔を覗き込んだ。 明るい色の髪が髪が流れ落ちてシーツの上に蟠った。 薄い紗のカーテン越しの柔らかな光を透かしたリリアーナの髪が、滝のように彼らを囲い込んだ。 黄金色の牢獄に捕らえられた男が、寝惚け眼のままリリアーナを見上げて何か言いかけた。 彼女はかがみ込んでその唇から言葉を奪った。 顔を離し、徐々に覚醒した様子の彼を見下ろして微笑んだ。 「おはようございます、ルスキニア」 ルスキニアは、彼をよく知る人でなければそれが微笑みだとはわからないほど僅かに頬を緩めた。 薄い唇の端から息を吐いた。 「おはよう、リリアーナ」
|
- ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
933 :姫君と護衛2/5[sage]:2012/10/08(月) 22:48:32.84 ID:HLCg/HJK - 「もう少し、休んでいてください」
ひとしきり朝の儀式を堪能したリリアーナは、そう言って寝台を抜け出そうとした。 朝食を作るのは彼女の仕事だった。 当初は慣れない作業に難儀をし、この世のものとは思えない存在を造り出したこともあったが、 今では茶を淹れ、パンを温める程度ならば文字通り朝飯前だった。 まだあまり上手いとは言えないが、少しは食べられるものも増えてきたのだ。 働かざるもの喰うべからずというのは、空族ならずとも市井の間では当然の事実だった。 リリアーナはここへ来て初めて土を触り、芋を掘ることさえ覚えた。 炊事や洗濯といった日常の雑務は、リリアーナにとっては初めての経験だった。 冗談ではなく、書物より重たいものを持ち上げたことなどなかったのだ。 瑕一つなかった白い手にはあかぎれができ、夜眠れないほど痛むこともあったが、彼女にとってはその痛みすら勲章に思えた。 その栄えある御手をルスキニアが掴んだ。 「朝食はまだいい」 均衡を崩したリリアーナは寝台の上に柔らかくくずおれた。 見上げた天井がルスキニアの顔で覆われた。 ごく近くで、薄い色の瞳が射るように見つめていた。 狩人の美徳である容赦のなさが、彼女をシーツの上に縫い留めていた。 今度は、閉じ込められたのはリリアーナの方だった。 けぶる瞳を瞬かせながら彼女は囁いた。 「わたくしをどうなさるの?」 ルスキニアの指が、リリアーナの唇から頬にかけての曲線をなぞった。 狙いを付けられた獲物の感覚が、彼女の神経を高揚させた。 徐々に頭をもたげはじめていた彼女の欲望を汲み取るように、男は言った。 「どうされたい」 答える代わりに、リリアーナはルスキニアの首に腕を回した。 明るい朝の日差しの中で、ルスキニアはもはやどんな欲望も隠そうとはしなかった。 リリアーナもまた、彼に己のすべてを晒すことを躊躇わなかった。 望み、望まれているという事実が、彼女をより一層大胆にしていた。 姫君であった頃であれば眉をひそめたであろう所作も、彼女の奔放さを繋ぎ止める鎖にはならなかった。 咥えた喉の奥でルスキニアが爆ぜるのを感じるのが、リリアーナは好きだった。 小鳥が枝を離れて飛び立つ瞬間のように、それは力強い歓びに満ちあふれていた。 かたく抱きしめ合うと、その歓びはさらに確かに感じられた。 あるべきものがあるべき所に収まっているのだと思えた。 絡み合う腕や脚、肌の間に存在するのは、互いの欲望以外にない。 ルスキニアの指は、何度でも飽きることなくリリアーナの根源に触れた。 この世で一番珍しい鳥の卵を扱うように繊細な手つきで触れられるのは悪い気分ではなかった。 ルスキニアは相変わらず寡黙だったが、言葉にはしなくても大切にされているということは分かった。 押し寄せる波頭に攫われそうになるのを、二人は幾度となく堪えた。 何度目かの大きな潮のうねりが、自分とルスキニアを柔らかく押し流すのをリリアーナは感じた。 彼とともに、誇らしく強かな何かの一部となって波間に漂うことは、なんと素晴らしいことだろう。 いまやリリアーナを所有しているのは彼女とルスキニアの二人だけだった。
|
- ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
934 :姫君と護衛3/5[sage]:2012/10/08(月) 22:49:50.08 ID:HLCg/HJK - 「わたくし、あなたのことを天使だと思っていました」
浅い息を吐きながら、リリアーナはルスキニアの裸の胸に頬を寄せた。 押し付けた耳から伝わる彼の鼓動もまた、自分と同じように弾んでいることがどこか小気味よかった。 「天使?なぜ」 「最初にお会いしたとき、ファラフナーズ様が、そうおっしゃったの。 あなたたちは、空からやって来た天使なのだと。 だからわたくし、初めてあなたの裸を見た時は少し期待していたのです。 もしかしたら、背中に翼があるのじゃないかって」 「期待に添えず、すまなかったな」 「構いません。あなたが天使だったら、きっとわたくしとこんなことはしてくださらなかったでしょう」 「違いない」 そう言ってルスキニアはリリアーナの頭を抱き寄せた。 接吻を期待するふりをして、リリアーナはそっと目を伏せた。 寝台を共にするようになってから、それまで染み一つなかったルスキニアの背中に傷痕が残るようになったことを知っていた。 彼に羽根がないのは、自分がそれをもぎ取ったからかもしれないと彼女は考えていた。 「…‥後悔、してはいませんか」 「何を」 「わたくしの手を取って、アデスを去ったことです。あなたは、ファラフナーズさまのことを」 取り縋るように見上げると、全てを見透かしているようにも、何ひとつわかっていないようにも見えるルスキニアと目が合った。 「ギルド人の身体能力は、十代後半が最高潮だと言われている。その後はただ衰えてゆくだけだ」 なおも言い募ろうとしたリリアーナをルスキニアの言葉が遮った。 「俺もアラウダも、護衛としては少々とうが立ちすぎていた。後進に道を譲るべき時期だった」 返す刃で深く斬りつけられ、リリアーナは言葉を忘れた。 「後悔しているのは、お前の方ではないのか」 失ったものの数を数えれば、リリアーナの方がその損害の大きいことは誰の目にも明らかだった。 「わたくしは…」 彼女の視線が惑ったのは一瞬のことだった。 すぐにルスキニアを見つめ直したリリアーナは彼の手をそっと取りながら言った。 「わたくしは、後悔していません。こんなに穏やかに暮らすのは、生まれて初めて」 あかぎれの痕の残る細い指が、陽に灼けて少し硬くなったルスキニアの指としっかりと絡みあった。 「あなたの腕の中は、わたくしにとって世界で一番安全な場所なのよ、ルスキニア」
|
- ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
935 :姫君と護衛4/5[sage]:2012/10/08(月) 22:50:41.17 ID:HLCg/HJK - *
その年最初の雪がカルタッファルの家々の屋根を白く染めた朝だった。 リリアーナは夢を見て飛び起きた。 不吉な夢だった。 世界は争いと怨嗟に満ち、空は数多の戦艦で黒く埋め立てられていった。 トゥランに月が落ち、大地は朱に染まった。 夢の中のルスキニアは冷酷な独裁者で、世界を踏みにじった挙げ句に、誰にも看取られることなく孤独の中で世を去った。 目が覚めても動悸が収まらず、瞳からは涙が溢れて止まらなかった。 「リリアーナ!リリアーナ!」 強い力で揺さぶられて我に返った。 「ル…スキニア?」 「どうした、うなされていたぞ」 怪訝な顔をしたルスキニアが顔を覗き込んでいた。 その眉間に皺が寄っているのを見てリリアーナは再び涙を流しはじめた。 正体もなく彼の胸にすがって泣いた。 「ルスキニア、ここにいるのね。わたくしの、手の触れるところに」 表情が変わるということは生きている証だ。 それは、夢の中で最後に目にした彼からは失われたものだった。 「よかった…本当に、よかった」 「俺はここにいる。お前を置いて、どこへも行かない」 ルスキニアの表情は戸惑いの色が濃かったが、手の所作は迷いなく力強く、動揺するリリアーナの心を現実に引き戻した。 広い大きな掌でリリアーナの顔にかかった髪の気束を取り除け、頬を包むようにしてルスキニアが言った。 「消えそうなのは、お前の方だ。リリアーナ」 溢れた涙が、彼と自分の肌の間に染み入っていくのを彼女は感じた。 温かな指の感触は、リリアーナを安堵させるのに十分な力を持っていた。 それでも、すべての不安を払拭するのにはまだ遠い。 身を起こしたリリアーナはルスキニアの頭を掻き抱いた。 「抱いてください、ルスキニア。わたくしがここにいるということを、あなたの手で確かめて欲しいの」 「リリアーナ…」 「あー!まーた朝っぱらから盛ってる!」 突然響いた能天気な叫び声に、ルスキニアの愛撫に身を任せていたリリアーナは悲鳴を上げた。 床に作られた押上式の扉から、小さな頭が覗き、オリーブ色の瞳がこちらを見つめていた。 「ファム!だめだったら!」 押し殺したような叱責の声が聞こえたが、少女は気にする様子もなく梯子の最後の段を踏み上がった。 「こら、総統!リリー様を解放しろー!」 足取りも軽く駆け寄った栗色の髪の少女は、ルスキニアの身体を押し退けてリリアーナの身体に抱きついた。 総統というのは少女がルスキニアに付けたあだ名だった。 左目を覆う眼帯が悪役然としているというのがその由来だった。 「だって、いかにも悪者って感じじゃん」と彼女は宣った。 「実際、お姫さま攫って囲い者にしてるわけだしさぁ」
|