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名無しさん@ピンキー
第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)
シュタインズゲートのエロパロ 4

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シュタインズゲートのエロパロ 4
137 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/10/01(月) 23:09:51.27 ID:Og2edQKG
こんばんは。
今日も更新に来ましたー
シュタインズゲートのエロパロ 4
138 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:16:51.72 ID:Og2edQKG
4−6:2011/02/13 11:38 メイド喫茶『メイクイーン・ニャンニャン』

「うへ、うへへへへへ、フェイリスたんの愛の手作りチョコゲットだお!」

ほくほくした顔でメイクイーン・ニャンニャンから出てくる橋田至。
彼の手には綺麗にラッピングされたバレンタインのチョコレートがあった。
本日のメイクイーン・ニャンニャンはお客様特別感謝デーということで、来店者には猫耳メイド達によって漏れなくバレンタインチョコレートが手渡されるサービス付きだ。
しかも数量限定だが、それが先着でフェイリスお手製の特製バレンタインチョコレートになるというのだ。しかも手書きのメッセージカードつき。
当然のことながら今朝は厳冬にもかかわらず秋葉原の裏通りに行列が発生し、その行列を見て並び始める客まで出てきて、開店時間にはすっかり長蛇の列となっていた。
そんな中、前日からラボに泊まり込んでいた橋田至はその地の利を最大限に生かし、見事行列の先頭の栄誉を勝ち取って、憧れのフェイリスから誰よりも最初にチョコレートを手渡されるというフェイリスファン最大の誉れを手にしたのである。

「ま、コミマで外周シャッター前の行列に並びなれたこの僕の手にかかれば、この程度のことなんて当然だお!」

ふふん、と鼻を高くしながら階段を降りる。
本当なら今日は一日中だって入り浸っていたいところなのだが、客がかなり多いこととタイムリープマシンの開発が大詰めを迎えつつあることもあって、彼は戦利品たるそのチョコを持って早々に退散することにした。
そんな彼が後ろ髪惹かれる思いで振り返ったその時……その横を一人の客が通り過ぎる。

「誰だろ今の男。見たことない奴だけど……?」

怪訝そうな顔つきで眉を顰める橋田至。
顔は一瞬しか見えなかったが、男の彼から見てもなかなかのいい男振りであった。
だがまあいずれにせよ一大イベントたるこの日に、こんな時間にしか来られぬような愛の足りぬ輩如きにこの店の、そしてフェイリス・ニャンニャンへの想いが劣っている筈もない。
己の懐にある愛の第一号チョコ(義理)ゆえの優越感に、自然と唇が得意げに歪む橋田至。

けれど……そんな彼の目を以ってしても、当のその人物が岡部倫太郎だとは見抜く事ができなかった。

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139 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:21:46.82 ID:Og2edQKG
「おかえりニャさいませ。御主人様♪」

全身からあざといほどの媚を振り撒きながら、この店の人気No.1たる猫耳メイド、フェイリス・ニャンニャンが新たな客を出迎える。

「フニャ? ……ニャニャ?」

だが怪訝そうな表情を浮かべたフェイリスは、小首を傾げつつ斜め下から覗き込むようにしてその客に顔を近づけて……

「ニャニャ?! 凶真?!」

そして目を丸くしてぴょーんと一歩飛び退った。

目の前にいるのは確かに岡部倫太郎……鳳凰院凶真だった。
ただし無精髭を剃り黒眼鏡をかけ新調のスーツ(レンタルだが)を着込んだ彼は、いつもとはまるで違う、なんともダンティーで大人びた雰囲気を醸し出している。

「どうした、お前がこの俺を見間違うとは珍しいではないか、フェイリス・ニャンニャンよ!」

鳳凰院凶真となって大仰に右手で薙ぎ払うようなポーズを取る岡部倫太郎。
いつもなら傍目には滑稽そのものにも映る彼の動きは、だが服装のせいか、それとも体の切れのせいか、今日に限っては妙に決まって見える。

「びっくりしたニャ。凶真そんな格好もするのニャ?」
「フフフ、ミッションのためとあらばこの程度の変装など雑作もないこと。恐れるがいいフェイリス・ニャンニャン! この驚異のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真の真の姿に!」

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140 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:25:32.01 ID:Og2edQKG
……嘘である。いや、嘘ではないが正確ではない。
今回の衣装や化粧その他のコーディネートに関して、彼は桐生萌郁の助けを全面的に借りていた。

かつて彼女はラウンダーとして活動する際の隠れ蓑として編集プロダクション『アーク・リライト』に一時的に身を置いていた。
ただ岡部倫太郎は異なる世界線での様子や生活態度から、彼女は単にライターという肩書きを借りるためだけにそこに在籍していたのだと思い込んでいた。
だが……試しにラボの研究レポートを書かせてみたところ、彼女が実際に文章や編集に関する優れた才能を有している事が判明した。

そこでとある件でその編集プロダクションの女編集者と顔見知りとなっていた岡部倫太郎は、彼女に桐生萌郁を推挙したのだ。
かつて彼女が、異なる世界線で勤めていた会社に、もう一度。

そう、桐生萌郁は現在ブラウン管工房でバイトをしながら、『アーク・リライト』の仕事も手伝っている。
私生活に関しては極度にズボラな彼女も仕事に関しては割と熱心で(一度その仕事ぶりを拝見した時など、岡部倫太郎はむしろ「熱心すぎる」と述懐したものだ)、記事の評判も良く、
最近はレポートや特集記事なども任され、かなり可愛がられているようだ。

そこで岡部倫太郎は桐生萌郁に頼み込み、プロダクションのコネを借りて今回の服装などを見繕ってもらったのである。
まあその際に彼女から少々条件を出されたが……それは今回の攻略には直接関係ないので、岡部倫太郎はとりあえず脳の隅っこに追い遣る事にした。
ちなみに彼自身はちょっと髭を剃って顔の部分をいじってもらい、服などはアドバイスをお願いする程度で済ますつもりだったのだが、
どうにも向こうのスタッフが素材のいい岡部倫太郎(当人にその自覚はさっぱりないのだが)にすっかりやる気となってしまい、こうして全身コーディネートされてしまった、というわけだ。

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141 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:29:15.40 ID:Og2edQKG
「けどその眼鏡だけはいただけないニャ。凶真にはちょっと似合わないニャ……ニャ!」

岡部倫太郎のかけている眼鏡を素早く取ろうと手を伸ばしたフェイリスだったが、彼はそれを上体を反らして華麗にかわす。
四度目のタイムリープの時はそれで眼鏡を奪われてしまい失敗したのだ。
だが一度不意打ちを回避さえしてしまえば、痩躯ながら背の高い岡部倫太郎とかなり背の低いフェイリスではその後の戦果は火を見るよりも明らかだった。

「ニャ! ニャニャ!」

まるで猫じゃらしにじゃれつく猫のように岡部倫太郎の眼鏡に幾度も跳びつくフェイリス。
その姿を萌えーとばかりに店内の男性客達が生暖かい目で見つめている。
無論フェイリスもそのあたりは折り込み済みだろう。

「フェイリス、いい加減にしろ。ここのメイドは御主人様の服装にケチをつけるのか?」
「そういうわけじゃ、ニャいけど……」

少ししょんぼりした顔で肩を落とし、その後すぐに笑顔に戻る。

「それもそうニャ! 凶真の言う通りだニャ! 御主人様を席に御案内ニャー!」

フェイリスに案内され店内を進む岡部倫太郎。
その中途、一度だけフェイリスが油断した彼から眼鏡を奪い取ろうと最後の足掻きを試みるが、それに引っかかったのは六回目のタイムリープが最後である。
見事にその不意打ちを見切った岡部倫太郎は憮然とした表情でフェイリスを見つめ、彼女はやけに演出過剰なポーズと鳴き真似で謝罪した。

その後は流石に懲りたのか大人しく先導を務めるフェイリス。
店内を歩く彼の姿にざわ、とところどころでざわめきが起き、フェイリス以外の猫耳メイド達が僅かに頬を染めて彼の姿を流し見た。
しばしの間、この店にしては珍しく接客がややおろそかになる。
そう、彼女たちは明らかに岡部倫太郎に目を奪われていたのだ。
他にも店内に僅かにいる女性客らがなにやら真剣な顔でブツブツと話し合いつつ、彼に鋭く熱い視線を送ってきている。
この後10分ほどしてから彼女たちが持ちかけてくるであろうコスプレの要請……いや懇願だろうか。確かクロトサマだかなんだか……それをなるべく波風を立てずやり過ごす台詞を今から脳内でシミュレートしておく岡部倫太郎。
確か九回目のタイムリープの時のやりとりが一番効果的だったはずだ。

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142 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:32:17.46 ID:Og2edQKG
席に着き、氷水を煽りながら小さく一息つく。着慣れぬ服が少々鬱陶しいが顔には出さぬよう気をつけた。

……正直、服装の方はおまけのようなものである。
彼の本来の目的はその黒眼鏡の方にこそあった。スーツ姿はいわば眼鏡を目立たせぬためのダミーなのだ。

フェイリスには相手の心を読む特殊能力『チェシャー・ブレイク』がある。
とは言ってもESPなどのいわゆる超常現象とは異なり、どちらかと言えば高度に発達した洞察能力のようなものだ。

彼女はそれを相手の表情から探り当てる。
嘘を付くのが苦手な岡部倫太郎など、顔色一つで簡単にその真意を見破られてしまうのだ。
普段ならばそれで特に問題はなかった。彼の言動や行為には基本的に悪意はなく、フェイリスにとって有益であったり楽しみであったりする事が殆どだったからだ。
だが今回は違う。目的自体は彼にとって真剣極まりないものだが、手段としては少々後ろめたいものを抱えている今の岡部倫太郎が、その本心をフェイリスに見抜かれてしまえば一巻の終わりである。

彼女の能力を封じる単純にして確実な方法は目隠しをしてしまうことだ。
相手の細かな表情や顔色から本音を読み取る彼女にとって視界を封じられることは致命的である。
だが……物陰から彼女に襲いかかり目隠しをした上で事に及ぶなど、明らかに強姦以外の何者でもないではないか。

岡部倫太郎は、たとえ最終目的が牧瀬紅莉栖にあったとしても、その時間の流れに於いては目指す相手にとって真摯であろうと、大切にしようと心に決めていた。
かつて彼女たちの大切な想いをひとつひとつ潰してきた、そして今また彼女たちを利用しようとしている己ができる、それがせめてもの事だと思ったから。

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143 :第4章 緊嬢転伽のチェシャー・ブレイク(1)[sage]:2012/10/01(月) 23:33:55.02 ID:Og2edQKG
となれば……フェイリスの視界を封じる以外の方法で彼女の能力に対抗するしかない。
そこでこの変装作戦である。
色つきの眼鏡をかけて視線を読みにくくさせ、髭を剃り化粧をして印象を変える。普段と異なるイメージを与えることで彼女の洞察能力に齟齬を起こさせようとしたわけだ。

実際のところ、かつて異なる世界線に於いて、サングラスをかけて彼女の能力に対抗しようとした雷ネット大会の対戦相手の心の内を彼女は手に取るように見透かしている。
ゆえにこの程度のことで誤魔化せるのかどうか甚だ疑問ではあったのだが、幾度もタイムリープをして確かめた結果、どうやら意外にもこの変装にはある程度効果があることが立証されていた。
彼女のあの何もかも見通すような挙動や言動が、明らかに鈍っているのである。

「…………」

別のテーブルで接客をしながら、じい、と岡部倫太郎の後ろ姿に視線を走らせるフェイリス。
とくんと胸を打つ鼓動、頬に走る僅かな朱色、何かを求めるように微かに動く手指、呟くように開かれた小さな紅い唇。
……そして客の声ですぐに我に返り、全力でもてなし、媚を売るフェイリス。

確かに岡部倫太郎の策は功を奏していた。だがそれは彼の計画通りではあっても目論見通りではなかった。
フェイリスが『チェシャー・ブレイク』と自称しているその優れた洞察能力には、相手の心情を読み取るための冷静な判断力が欠かせない。
だが岡部倫太郎の今のその姿は、知らず彼女の動悸を早め、心を浮つかせて、その持ち味である沈着さと分析力を鈍らせてしまっていた。

そう、正味のところ……




フェイリス・ニャンニャンは、その時、確かに岡部倫太郎に見惚れていたのだ。





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144 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/10/01(月) 23:34:56.58 ID:Og2edQKG
というわけで今宵はここまでー。
フェイリス可愛いよフェイリス。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。 ノノ


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