- 戦隊シリーズ総合カップルスレ18
368 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/06/09(土) 01:32:45.44 ID:ApIJgwCe - 悶々青黄です。
感想いつもありがとうございます。 皆さんに悶々具合伝わっているのがわかるとうれしいです。 投下します。
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369 :【特命青黄】 1[sage]:2012/06/09(土) 01:33:37.61 ID:ApIJgwCe - 「あれ?リュウさんは?」
いつもの位置でコーヒーを飲むリュウジがいない。 「リュウジさんなら医務室に行った」 ヒロムがこちらをちらりと向いて答える。 「え?リュウさん、怪我しちゃったの?」 心配そうなヨーコにヒロムが素っ気なく言う。 「怪我じゃないみたいだけどな」 「…そう」 不安そうなヨーコを見て、ふとヒロムはいつもリュウジがしていることを思い出した。 ヨーコの視界が急に前髪で乱される。 「ちょっ…何すんのよ!」 「心配するな」 ちょっと得意気に言うヒロムに、ニックもウサダも唖然としていた。 「ばっかじゃないの!」 ヨーコは憤慨しながら髪の乱れを直す。 ニックはヒロムを小突きながら、おたおたとヨーコを宥める。 「ヨーコ、あの、リュウジは、ゴリサキが医務室についてったから大丈夫だと思うぜ」 「ヨーコの頭、勝手に触って欲しくないんですけど」 ヨーコの傍でウサダもボソリという。 ヒロムはそっぽを向いてコーヒーを口に含む。 「…ちょっと見てくる」 ヒロムを睨み付けてヨーコは医務室へ向かった。 「ヒロム、あんなことすんな」 ニックがたしなめる。 「勝手なことしないでほしいんですけど」 ウサダがヒロムに詰め寄る。 (ふーん。俺はダメで、リュウジさんだったらいいんだ) ヒロムはコーヒーを飲み干した。
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370 :【特命青黄】 2[sage]:2012/06/09(土) 01:34:24.11 ID:ApIJgwCe - ヨーコが医務室に着いた時は、もうリュウジもゴリサキも戻った後だった。
ヨーコはリュウジの部屋へと向かう。 (あ、ゴリサキ) 丁度ゴリサキがリュウジの部屋から出ようとした所だった。 「リュウさんは?どうしたの?」 焦ってヨーコは尋ねる。 「あぁ、ヨーコ。リュウジ、微熱があるから、薬を処方された。 あまり眠れてないみたいだから、ゆっくり休んだら大丈夫だって。今は寝てる」 「そう」 ヨーコは、ほっとして部屋を見やった。 「もしかして風邪かもしれないから、ヨーコは部屋に戻った方がいい。 うつっちゃうよ」 ゴリサキが心配そうに言う。 「うん。…でもリュウさんに参考書貸して貰う約束してたから」 咄嗟に嘘をついてしまう。 「そうか…。俺、今から緊急メンテなんだ。 ヨーコ、参考書の場所わかる?大きい本棚の右側に参考書は沢山あるはずだから」 「わかった。ありがと、ゴリサキ」 「うつらないようにね」 優しく声をかけるゴリサキにヨーコの良心がちくりと痛んだ。
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371 :【特命青黄】 3[sage]:2012/06/09(土) 01:35:20.45 ID:ApIJgwCe - ゴリサキを見送ってヨーコはそっと部屋に入る。
窓の方から光が洩れている。 リュウジはベッドにうつ伏せになっていた。 こちらから顔は見えない。 と、リュウジが不意に体を起こした。 「…ゴリサキ、悪い。背中、貼りなおすから、新しいの一枚取ってくれるか」 眠っていたせいだろう。掠れたような声で、リュウジが声をかける。 一瞬ヨーコは身を硬くする。 リュウジはゆっくりと半身を起こすと、こちらに背を向けシャツを脱いだ。 あの時より明るい室内でリュウジの背中がはっきり見える。 ヨーコは心臓が早く打つのを感じる。 汗ばんで少しだけしっとりしたような肌の質感にヨーコは赤面した。 リュウジは器用に背中の保冷剤を剥がしている。 「…ゴリサキ?」 右肩越しにリュウジはまた声をかける。 掠れた声はヨーコの胸を締め付ける。 ふわりと甘い香りがリュウジの鼻をくすぐった。 (え…?) 小さな手が肩のあたりに感じられる。 保冷剤を張り直すヨーコの手は微かに震えていた。 保冷剤の心地よい冷たさを感じて、リュウジは息を飲んだ。 「ヨーコ…ちゃん?なんで?」 ヨーコはどぎまぎする心を落ち着けながら、いつもの声で答えた。 「…ゴリサキ、緊急メンテだって。リュウさんを見ててって言われたから」 「…そっか」 リュウジは少し考えて返事をした。 (ゴリサキ、ヨーコちゃんになんで頼んでんだ…?)
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372 :【特命青黄】 4[sage]:2012/06/09(土) 01:36:18.29 ID:ApIJgwCe - ヨーコは、ついた嘘に罪悪感を感じて下を向いた。
リュウジは替えのシャツに着替えると、体を捩ってヨーコの方を向いた。 「ありがとね」 いつものようにヨーコの頭を撫でる。 (ん?) ヨーコのいつもは綺麗に流されている前髪が妙に乱れているのに気付いた。 「髪、どうしたの?」 「え?…あ、これ。さっきヒロムがぐしゃぐしゃに」 ヨーコはちょっと怒ったように言った。 リュウジは苦笑する。 「リュウさん、横になったら?」 ヨーコはリュウジの体を気遣ってそう言った。 リュウジは微笑みながら頷くとゆっくりと横たわった。 天井を見上げたままひとつ溜め息をつく。 ヨーコはベッドの横に跪いて頬杖をついた。 どこか遠くを見ているようなリュウジに、ヨーコは不安になる。 ふとリュウジの手に目がいく。 (リュウさんの手、きれいだな) 上を向いたままのリュウジをちらりと見て、 ヨーコはおずおずと手をのばしリュウジの左手を握った。 リュウジの手が一瞬ピクリと動く。 (…っあ…) ヨーコの握った手を優しくほどいて、リュウジはその長い指をヨーコの指に絡める。 (リュウさんの手、熱い。まだ熱があるんだ) リュウジはまだ天井から目線を動かさない。 時折リュウジの親指がヨーコの指を優しく撫でた。 ヨーコは、自分の手に神経が集中したように感じる。
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373 :【特命青黄】 5[sage]:2012/06/09(土) 01:37:04.26 ID:ApIJgwCe - ヨーコが不意に小さな声で歌い始めた。
リュウジはヨーコの方を見る。 「これって…」 ヨーコは歌うのをやめて頷く。 「リュウさんが歌ってくれた歌。 ちっちゃい頃、風邪ひいて寝てるときに歌ってくれたよね。手、繋いで」 ヨーコは笑う。 「あの頃は、リュウさんがこうしてくれるから、 早く治るんだって思ってたんだから」 リュウジもつられて笑った。 「じゃ俺も早く治るかもね」 ヨーコは笑って頷くとまた歌い始める。 リュウジは再び天井に目線を移して、静かに目を閉じた。 (やっぱり俺はずっと『お兄ちゃん』か『お父さん』なんだな…) そう思うとリュウジはヨーコの側から顔を背けた。 (…やめられる訳がないんだ) 13年はあまりに長い。 兄と父をずっとロールプレイしているようなものだ。 それをすぐに切り離すことは容易ではなかった。 ヨーコの小さな歌声が耳に心地よい。 リュウジは眠気を感じて、深みに引き込まれそうになる。 そして小さな声が遠くになった気がした。 ヨーコは、リュウジの絡んだ指に力がなくなっていくのを感じていた。 「リュウさん?」 そっとリュウジに声をかける。 あ、とも、ん、ともつかない呻き声のような声が聞こえた。 (寝ちゃったんだ)
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374 :【特命青黄】 6[sage]:2012/06/09(土) 01:37:42.12 ID:ApIJgwCe - ヨーコは力の抜けたリュウジの指から、そっと自分の指を抜いた。
「…ん」 ヨーコの手を探すようにリュウジの手が動く。 そして溜め息をつくと、リュウジは寝返りをうった。 こちらを向いたリュウジの顔は、いつもより無防備に見える。 ヨーコはそっとリュウジの髪に触れた。 「リュウさん」 もう一度、小さな声で呼んでみる。 リュウジは静かな寝息をたてている。 ヨーコはいつもリュウジにしてもらうように、優しく頭を撫でた。 リュウジの瞼。 リュウジの頬。 リュウジの唇。 (あの日のリュウさんも今の私と同じ気持ちだったのかな) ヨーコは、『もっと触れたい』という衝動と葛藤しながらそう思った。 (リュウさん、私、大丈夫だよね?) 心の中でそう尋ねると、リュウジの頬に控えめに口づけた。
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375 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/06/09(土) 01:40:58.14 ID:ApIJgwCe - すみません。
(了)入れそこないましたorz 以上です。 赤が出てきたのは>>324を参考にさせてもらいました。 でもこれからの展開に出すかは未定です。 私の力量では青黄でいっぱいいっぱいです。 すみません。 読んでいただきありがとうございました。
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