- 不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part17
80 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/04/14(土) 18:25:52.82 ID:keNtY0xk - 五行戦隊第四話
『蕾の中は』 これまでの超簡単あらすじ 火、灯(あかり):味方 水、清見:寄生中 木、翠:敵 金、鈴華:敵 土、睦美:味方 以下投下開始
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81 :五行戦隊 第四話(1/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:27:55.90 ID:keNtY0xk - ポタッ。
一滴のしずくが頬に落ちる。 そのわずかな衝撃を感じ取り、少女はゆっくりと意識を取り戻す。 「ううぅ……」 小さく漏らした吐息は狭い空間で響き返り、まわりのピンク色の空気の中へ溶けていく。 肉壁によって封じ込められた蜜室。 少女は肘や膝まで壁の中にうもれ、その先は絶え間なく触手に愛撫される。 唯一晒された胴体も、壁から伸び出る触手にがっしり絡め取られる。 触手や肉壁の表面に無数の目玉が見開き、不気味な眼光で少女の姿をとらえる。 天井から白い粘液がポタリ、ポタリと滴り落ち、彼女の澄ましたような顔立ちを汚す。 青色のバトルスーツは粘液にまみれて、 空気と同質の香りを発しながら、肌にベトベト貼りつく。 四肢を拘束された少女はそれをぬぐうこともできずに、 ただ蝕まれる感触を耐えるしかない。 ポタッ、と一滴の粘液がつーんと頬を伝わり、 首筋から服の中に入って、胸やお臍へと愛撫していく。 「あんぅ……!」 ついに耐えきれなくなって、少女は低い呻き声をあげる。 密封された空間内では、その声が余計に響いて聞こえる。 「ハァ……ハァ……」 できるだけ香りを吸わないように息を小さくしながら、 青服の少女――清見は懸命に思考を働かせた。 時間の感覚はとっくに失われ、ここにどれくらい囚われたかも分からない。 ただ滴り落ちる粘液は、彼女の体や精神を刻一刻と邪悪なものに同化していく。 口から吸い込んだピンク色の空気は、体内から淫らなものに塗り替えようとする。 もともと秋水のように澄み切った瞳も、 今ではすっかり虚ろとなり、情欲を求めるように潤む。 知性的だった顔立ちは赤みを帯び、冷淡だった表情に色っぽさを加える。 胸元にある聖なる勾玉は、持ち主の心が淫欲に染まるのと比例して、 明るい青色から深海のような暗い色へと変化していく。 (ここにいると、霊力がどんどん吸い取られる…… 今はまだ意識を保てるが、このままではいずれ) 清見は一度まばたきしてから、ぼんやりとした目線で肉壁の目玉を見つめた。 五行戦隊は今、大きな危機に瀕している。 仲間であり大事な戦力でもあった鈴華と翠は、敵に寄生されその手先になった。 しかも鈴華の話を聞く限り、 どうもこのままでは自分までも彼女達のように妖魔化してしまうらしい。 残りの睦美と灯は、数においては鈴華や翠と互角である。 だが二人とも深手を負った身。 自分を助けに来るところか、下級妖魔相手にどれくらい戦えるかも怪しい。 平たく言えば、絶望的な状況なのだ。
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82 :五行戦隊 第四話(2/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:29:57.66 ID:keNtY0xk -
中でも心を痛めるのは、鈴華と翠が強敵となってしまったこと。 どんなに体が傷付いても、どんなに恐ろしい相手でも。 仲間と一緒いれば希望を持って戦えた。 その仲間が敵となってしまった時、はたして平常心に抑えることができるだろうか。 清見はできる。 もともと彼女は冷淡な人間である。 催淫液によって体が発情していても、彼女の心はいたって冷静だった。 どんな事態でも受け流すようなその性格から、 霊力を正確に制御する集中力は変わらない。 (人間が妖魔化するプロセスは実に興味深い…… だが、それはまた別の機会で研究させてもらうわ) 雑念を全て取り払い、感情を引き締める。 今まで温存した霊力を体内の一か所に集中する。 明鏡止水の境地。 それまで淫欲によってバラバラに縛られた意識が、心の中で明確な一に合流する。 途端、まわりのピンク色の空気を退き払うように、 身の周りから青い霊力が漲ってくる。 体に付着した粘液のうち、妖力との衝突をさけながら純粋な水分だけを取り出す。 しばらくすると、妖液から分離した水滴が周囲に浮かび上がる。 空中を浮遊する水玉は、十、二十とその数が増加していく。 無数の針の穴に糸を通すような作業。 五行戦隊でこれほど霊力を緻密に操れるのも、 ずば抜けた集中力を有する清見だけである。 それらの水珠を使って更なる操作をしようとした時、 突如胴体に絡みついた触手が蠢き出す。 「うぅ……!?」 激震が走った次の瞬間、清見は股間からの疼きが頭まで一気に昇りつめたのを感じた。 歯を食いしばる前に、甘い喘ぎ声が口から漏れる。 「はぁあぐぐっ!」 体を奥からえぐられたような感触。 視線を落とすと、秘所に寄生していた雄しべの触手は意地悪そうにうねり出した。 まるでタイミングを見計らったかのように、清見が最も神経を研ぎ澄ます瞬間を狙って。 快感の奔流はそのまま脳髄を焼き付ける。 抵抗しようとしても、太ももが肉壁にめり込んでいて閉じることさえ許されない。 無数のミミズのような繊毛が、膣の内部でうねうねと蠕動する。 清見は荒々しく呼吸を繰り返す。 頭の中はまわりの白い粘液と同じどろどろに溶けているようだ。 湧き起こるのは切なさだけじゃない。 頭の中で、寄生種に凌辱された記憶が蘇る。 催淫作用のある粘液が秘部から直接体内に取り込まれ、 妖しい快感と心地よい脱力感を全身に送り続ける。 繊毛がびっしりと生えた触手達はしゅるりと、絶頂を迎えない程度に体を撫で回る。 すでに何度もイったことを学習した清見にとって、それは拷問に近い焦らし方だった。
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83 :五行戦隊 第四話(3/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:32:00.85 ID:keNtY0xk -
(だ、だめ――!) 体の限界を越えた瞬間、それまで操作していた水玉はただの水となって落下した。 しかし、異形の動きはそれでとどまることはなかった。 コントロールが失った霊力は、 陰部に繋がった触手を通して外に吸い出されてしまう。 雄しべが左右に傾けると、体もそれ合わせて動いてしまう。 それが敵に利してしまうと知りながらも、清見は止めることができなかった。 (妖魔に見られているのに、恥ずかしいところ全部見られているのに) 肉壁の魔眼の視線は、まるで清見の痴態をあざ笑っているかのようだ。 両腕をバンザイの体勢で固定し、股を大きく開かせる。 彼女が媚びるように、腰で円を描きながら動くところまで丸見えになる。 その対価として快感を得ようとする自分に、羞恥を覚えずにいられなかった。 「はぁっ……ああぁん!」 やがて触手の最後の一突きに、清見は体を痙攣させた。 昇りつめたような快感と引き換えに、 体中の霊力が決壊したダムのように大量に放出される。 頭がからっぽになっていく虚脱が心地良い。 そのまま全身の筋肉を緩め、せわしい呼吸を繰り返す。 同時に、秘部に繋がる雄しべも動きを止め、空間内はただ重い吐息の音が反響する。 また失敗してしまった。 清見はぼんやりと見下ろすと、 陰陽模様が描かれたバトルスーツの青色はだいぶ色褪せてきた。 体が濁液まみれになるのも、 いつから嫌悪よりもぬるま湯に浸っているような気だるい気持ち良さに感じてしまう。 身心が妖気に蝕まれるスピードが、また一段と速くなった気がする。 (なんて厄介な……) 清見は唇を噛みしめた。 敵の触手はただ快感を与えるわけではない。 普段は少しずつ霊力を蚕食しながら、 彼女が力を使おうとした時だけ絶頂を覚えさせる。 まるで動物を調教する時に、習性の刷り込みのようだ。 霊力が奪われるほど、蕾の吸収するスピードも速くなっていく。 かといって何もせずに耐えるだけなら、いずれ霊力が尽きて完全に無力となってしまう。 得意の分析能力もこの淫靡な空気に邪魔されて何も考えられない。 こうしてぼうっとしている間にも、白液がどんどんバトルスーツを溶かしていく。 (速く、なんとかしないと……みんなを助けないと) 絶頂を迎えた後の心地良い疲れが、今頃にぐっと込み上がってきた。 意識が薄れる中、清見はただ仲間への強い思いを抱き続けた。
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84 :五行戦隊 第四話(4/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:34:04.11 ID:keNtY0xk - □
鬱蒼とした樹木に囲まれた森の奥地。 いつもなら穏やかな夜景色が見られる場所が、 今ではピンク色の濃霧に覆い尽くされた。 生あたたかく湿った空気の中、淫らな香りが満ち溢れる。 その甘い匂いに混じって、女性達の嬌声や淫靡な水音が響き渡る。 やや開いた場所に、高さ三、四メートルほどある巨大な蕾が地面に根ざしていた。 暗緑色のがくに盛られた蕾は、動物の心臓を想起させる色や形を呈し、 ドクン、ドクンと鳴り続ける。 蕾の表面には太い脈管が分布して、血液が通っているかのように収縮を繰り返す。 脈管同士が交差する五か所には筋目のような細長い溝が刻まれ、 そのうちの一つがすでに大きな目玉が開眼していた。 水色に光るその瞳は、霧越しの月光に照らされ、不気味な邪光を放つ。 近くの切り株の上に、一人の小柄な少女が座っていた。 膝の上に肘をつきながら両手で顎を支え、 可愛らしい顔立ちにわくわくするような期待感が満ちる。 鼻歌を楽しそうにハミングしながら、両足を前後に揺らす様子は無邪気な子供のようだ。 黄色いツインテールは風に撫でられると、ふわりと空気と同質の香りが煽られる。 くりくりした瞳は食い込むように蕾をじっと観察。 笑うと頬に現れるえくぼや、口からのぞかせる腕白そうな八重歯は、 どんな人も一目で好きになる人懐っこさがあった。 しかし今となってはそのチャームポイントも小悪魔な魅力と化し、 男を誘惑するのに貢献する道具となる。 彼女の名前は鈴華、正義の味方である五行戦隊の一人だった。 だが現在彼女が身につけているのは五行戦隊のバトルスーツではなく、 その面影を残しつつ蕾と同質の触手スーツだった。 生々しい肉質の服。 大きく切り開いた胸部や背部から白い肌が露出し、 夜空の月明かりを受けてあでやかに照り返す。 幾本もの触手が束ねて構成された布地は、彼女の体にぬめりと貼り付く。 体にフィットした服は、少女らしいラインを性的に見せつける。
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85 :五行戦隊 第四話(5/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:36:11.02 ID:keNtY0xk -
触手は太ももを螺旋状に巻き付き、膝以下はブーツのように足を包む。 両腕もまた触手によって悩ましく巻き付かれ、 手の先まで伸びるとグローブ状となって肌に吸いつく。 細い首筋には首輪状の帯をはめられ、触手スーツと繋がって全体を官能的に締め付ける。 スーツのところどころに異様な目玉が見開き、 暗黄色にともる眼光は宿主が並みはずれた妖力の持ち主だと誇示する。 布地を構成する触手と触手の隙間に、クチュ、クチュといやらしい音が漏れる。 よく目を凝らすと、スーツ全体が常に小さく蠢いていると気付く。 あるところでは幾本もの触手に分離してぬめぬめなぞり、 あるところでは裏側にびっしりと生えた柔毛で肌を愛撫する。 それは宿主が心から屈服したことに対し、人外の快感を与える褒美であった。 あたりには他にも四、五個の巨大蕾が根ざしていた。 鈴華が観察している蕾以外、どれも表面に筋目が一つしか存在しなかった。 蕾ごとに筋目は深く閉じていたり、半分ほど目玉として見開いたりしていた。 それぞれの蕾の中に、うら若い女性達が囚われていることを鈴華は知っている。 妖眼蟲の虜となった人間の中で、特に霊力の素質がある女性達。 だが鈴華が一番関心を持つのは筋目が最も多い蕾。 その中に、鈴華と同等の力を持つ少女が閉じ込められている。 「清見ちゃんくらいになると、さすがに寄生のスピードも遅くなるわね。 あーあ、灯や睦美を捕まえる前に清見ちゃんの新しい姿を見せたかったのに」 鈴華はそう呟きながらも、すぐに邪悪な笑顔を浮かべた。 「でも妖眼がすでに一つ開いちゃったし、 この調子で残りの四個も開眼すれば彼女も私達の仲間になって出てくるわ。 どんなふうになるか、想像するだけでぞくぞくしちゃう……そう思わない、翠?」 「うっ……ん」 鈴華が振り向く先に、一人の緑髪の少女がうしろめたそうに顔を逸らす。 彼女が身につけるのは鈴華と同じ趣向の寄生スーツ。 ただ違うのは、鈴華のスーツは暗黄色なのに対し、 彼女のは闇に覆われたような暗緑色だった。 スーツから幾本もの触手が分裂して、まるで植物の蔓のように少女の体を絡め取る。 触手が愛撫した跡には媚液が肌に残り、 清純だったはずの体を官能的な赤みに染める。 周囲にはラフレシアのような毒々しい肉花が咲き、 そこから拡散される匂いが空気中の甘い成分を増幅させる。 花の中央にある目玉達は、少女の熱に浮かされた顔や儚げに息を吐く姿を見据える。 「うふふ……すっかり寄生服の虜になったわね。本当にエッチなんだから」 「ちがう、これは……ああぁん!」 翠は股間に手を伸ばし、これ以上秘所に寄生した触手が暴れないように抑えつける。 しかし、その意に反して喘ぎ声を発してしまった。 そんな彼女の側へ、鈴華は悪戯っぽい笑みを浮かべながら近付く。
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86 :五行戦隊 第四話(6/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:38:13.19 ID:keNtY0xk -
「まだ分からないの。この寄生スーツは、翠ちゃんが逆らえば逆らうほど、 イけない程度の快感しか与えてくれないの。そろそろ全部忘れて、楽になったら?」 「そんなの、できません……」 「ふーん、強がっちゃって」 「……っ!?」 鈴華は翠の首筋に顔を近付けると、白いうなじに舌先を這わせた。 たったそれだけのことで、翠は大きく喘ぎながら体を崩した。 「あははは、あれだけイッたというのに、もうこんなふうになっちゃうなんて。 翠ちゃんって、最初から淫乱の才能があったのね」 「うっ……」 「もしかして、今までわざと抵抗してたのかしら? そうすれば、もっと焦らしてくれて気持ち良くなれるもんね」 「ち、ちがうわ……!」 「そうかな。体の方はそうじゃないみたいだよ?」 「はああぅっ!」 鈴華が翠の陰部に指をあてがうと、電気を受けたかのように体がピンと反応する。 触手スーツが寄生した秘部では、膣奥まで触手の薄膜が貼り巡る。 目にも見えないような小さい繊毛が密生する薄膜は、 快感を与え続けながらも彼女が絶頂を迎えないようコントロールする。 鈴華の指を感知すると、触手はひとりでに膣の入り口を広げ、 異形が分泌した媚液と少女自身の愛液が混ざり合ったエキスをとろりと垂らす。 そこから更に指を少し進めると、 膜越しに膣襞を擦り上げてねちゃねちゃと水音を立たせる。 「はああぁん……くぅんん!」 翠の瞳から徐々に理性が消え、指の動きを求めるかのように体をしならせる。 しかし彼女が快感を満足に得る前に、指が抜かれてしまった。 「ふふふ、すっかり発情しきった匂いになったわね。 これならどんな人間も、この淫気に触れただけで欲情してしまうわ。 ほら、翠ちゃんも味見してみて」 鈴華は指先を近付けると、促されるままに翠はうっとりとした表情でしゃぶりつく。 その淫らな様子に、鈴華は会心の笑みを浮かべる。 いつの間にか、 翠の吐息にもまわりの空気と同じような甘い成分が混じり入るようになった。 それは鈴華にとって、この上なく心地よい淫らな匂いだった。 妖眼蟲によって寄生された草花は、この催淫効果のある香りを放つ魔の植物となる。 そして香りの虜となった人間達は、欲望のままに森へとやって来て、寄生される。 このピンク色の霧の中で、 すでに多くの人達が妖眼蟲を繁殖するために淫行を繰り広げていた。 ある女は何匹もの妖眼蟲に撫でられ、子宮で彼らの妖液を受け止める。 ある女は男の精液を求め、自ら犯しまくる。 ある女は別の女を抱き、互いの陰部に寄生した触手で快感を求め合う。 どんな貞淑な女性でも、 この淫気を受け続ければいずれ淫乱な娼婦に目覚めてしまう。
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87 :五行戦隊 第四話(7/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:40:18.96 ID:keNtY0xk -
妖眼蟲に寄生されその奴隷となった後、 やがて彼女達の体からもこの催淫の香りを放つようになる。 女なら同じ淫奴隷に堕落させ。 男なら誘惑して精液を絞り取り、苗床として新たな妖眼蟲を産み落とす。 彼女達の体が淫らになっていくにつれ、 淫欲の香りの効果が強まり、その影響する範囲も広くなっていく。 文字通り、ここが寄生された者のプラントである。 いつかこの景色が世界中に広まると思うと、鈴華は興奮せずにいられなかった。 「ふふっ、これもみんな翠ちゃんのおかげだね。 翠の能力がこんなにも役立つから、みんなを寄生する手間がだいぶ省けたわ」 「ううぅ……」 翠は火照った顔を悔しそうにうつむく。 妖眼蟲には宿主の遺伝子を取り入れ、進化する力がある。 翠に寄生し彼女の能力を得た妖眼蟲達は、更に効率的な寄生が行えるようになった。 悪の手助けをしてしまった罪悪感の一方、 翠の胸の中に背徳的な悦楽がじんわり広がっていた。 「ねぇ、翠。そろそろまたあれが欲しくなる頃じゃないの」 鈴華は妖しい口調で言いながら、翠の下腹部を優しくさすった。 途端、ゾクゾクするような疼きが彼女の体を煩わす。 背部や腹部など敏感なところを覆う寄生スーツは、 無数の突起を立ててぬらりと撫ぜ回る。 豊かな胸の先端にも触手が吸いつくと、彼女の口から抑制しきれない声が漏れ出る。 妖眼蟲に寄生された女性は、人間の男から精液を搾取し、 より多くの妖眼蟲を産み落とす事が本能となる。 元々高い霊力を持つ翠でも、その宿命から逃れることはできない。 鈴華は頬を紅潮させ、自分の秘裂に指先を入れた。 「はああっ……んん!」 一瞬眉をしかめた後、切ない喘ぎ声とともに陰部から触手の先端が摘まみ出される。 男性器を連想させる形は、禍々しく黒光る。 愛液で濡れた表面は不規則に蠢き、淫靡な匂いがふわりと漂ってくる。 そのグロテスクな一物を目の前にして、翠はごくりと唾を飲み込んだ。 「ほら、私達に寄生して下さった百眼様の分身だよ。 私がほかの男どもから絞り取った精液を、中にたっぷりと蓄えてるの」 鈴華はそう言いながら、愛おしそうに秘裂に寄生する触手を擦る。 美少女とは到底釣り合わない醜い物体。 翠は恥ずかしそうに顔を背けるが、ついつい我慢しきれず盗み見てしまう。 数日前の純真だった自分なら、 この卑猥な形を一秒たりともまともに直視できないだろう。 しかし今の頭の中では、それに媚びたい感情ばかりが浮かんでくる。
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88 :五行戦隊 第四話(8/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:42:21.22 ID:keNtY0xk -
「あぁ……ああぁ」 意識が恍惚としたまま、翠は鈴華の股間に顔を近付ける。 彼女の吐息がかかると、触手がピクンと跳ね返る。 鼻腔から入ってくる淫らな匂いが、自分が卑しい雌であることを思い出させる。 「ふふん、翠には聞こえているでしょ? 子宮の奥から。 犯されたい、受精したい、百眼様の更なる分身を産みたいって声が」 「はぁ、ああぁ……」 翠は思わず手を伸ばすが、それを鈴華がひらりとかわす。 「あらあら。せっかくここまで来たんだから、もうちょっと我慢してみたら?」 「お願い、いじわるしないで……これ以上我慢なんかできないわ」 「あははは……そうだね。翠が清見ちゃんに顔を向けながら、 犬のように四つん這いになってくれたら、考えてあげてもいいわよ」 「そ、そんなことは……!」 鈴華がゆびさす方向を見て、翠は苦しげに呻いた。 清見を閉じ込めた妖蕾の存在が、彼女の良心を呵責する。 「ほらほらどうしたの? 速くしてくれないと、 気が変わってほかの女を犯しに行っちゃうよ。ドクドクした熱い精液を、 ビュビュッと子宮の中に出しちゃうの。それでもいいの?」 「だ、だめ!」 咄嗟に答えた翠は、すぐにハッと顔を赤らめる。 やがて彼女は欲望に抗えないと悟ると、 恥辱に震えながら四肢を曲げ、地面に這いつくばった。 蕾に向けた顔には、仲間に対する罪悪感が滲む。 「聞き分けの良い子には、ちゃんとご褒美をあげるわよ」 鈴華はニヤリとした表情で翠の陰部に寄生陰茎をこすりつける。 肉布同士が触れ合う感触に、二人とも思わず背筋をゾクゾクとさせる。 少女達の体に巻きつく触手はバラバラに解かれ、 互いの触手や体にねっとりと絡み合う。 その一本一本の媚肉から快感が伝わり、神経をたどって脳天を直撃する。 二人分の欲情が重なり合い、あたりの淫香がより濃密なものとなる。 翠は地面の土を掴み、悩ましく声をあげた。 「はああぅんんん! お願い、もうこれ以上……焦らさないで!」 「ちゃんと言ってくれないと分からないでしょ。翠ちゃんがどうしてほしいか、 心の中から思って宣言してくれなきゃ、無理やりやってもイけないわ」 「そ、そんな……」 性器同士がさすり合い、いやらしい水音を立てる。 しかしそれは決定的な快楽とは程遠く、羞恥や焦燥ばかりが募っていく。 「お、お願い……それを、私の中に……」 罪悪感に満ちた、蚊のような消え入る声。 かつての自分なら想像もつかなかいような行動。 しかし、鈴華はここぞと言わんばかりに悪戯っぽく笑った。
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89 :五行戦隊 第四話(9/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:44:21.88 ID:keNtY0xk -
「もっと具体的に言わないと、何のことかさっぱり分からないわ」 「ううっ……」 翠は悔しそうに唇をかみしめた。 頭の中をよぎるのは正義でも仲間の心配でもなく、 鈴華に寄生した一物とそれに貫かれた時の蕩けるような快感ばかり。 今まで正気を保ってきたのは悪に屈せず、最後まで諦めない意思のおかげだった。 しかし抗えば抗うほど、魂の深いところまでに敗北感が刻まれていく。 「お願い……わ、わたしのあそこに、それを……」 「『翠のいやらしいオマンコに、鈴華の百眼様から寄生して頂いた妖眼蟲を入れてください』 でしょ?」 「……っ!」 あまりにも卑猥なセリフに、翠はこぶしを強く握りしめた。 しかし彼女が抵抗の意志を思い立った瞬間、体がビクンと動悸する。 身に着けていた触手は一斉に抽縮し、濡れた粘液の上から体を締め付ける。 肌に吸いつくような水音をピチャピチャ鳴らせ、触手と肉体が密着しているさまを示す。 「はああああっ!」 翠は大きなうめき声をあげ、力が入らない体を地面に預ける。 まるで無数のナメクジが体を舐め回っているような感触だった。 触手の小刻みな蠢きは、体中のいたるところから敏感なポイントを見つけ、 舐め返し、挑発し、煽り立てる。 決してイクことが許されない狂おしい状態。 狂えるものならいっそのこと狂ってしまいたい。 しかしこんな時に限って、頭の中はいつもよりはっきりしていた。 それも体に寄生している妖眼蟲が制御しているからだろう。 翠はもともと強い意思の持ち主だったが、 それも体に烙印された快感によって風化されてしまった。 一度でも妖眼蟲にイかされた雌は、一生その快楽の奴隷となってしまう。 それは退魔の修行を積んだ翠とて例外ではない。 幾日も繰り返して調教された体は、 今となって一刻も触手スーツから離れられないほど淫乱になった。 もはや抵抗に何の意味も無い事を、翠自身が一番よく感じていた。 その屈辱を噛みしめるように、彼女はゆっくりと言葉を紡ぎ出す。 「お願いです……み、翠のいやらしい……オマンコに、 百眼様に寄生して頂いた……鈴華の妖眼蟲を、どうか……入れてください」 蕾から顔をそむけるように、翠は涙ぐんだ表情で懇願した。 親友が囚われている前で、屈服の言葉を並べた惨めな気持ちが胸を占領する。 「あはは、やればできるじゃない。ちゃんと理性を保ったまま言えるなんて、 寄生された頃と比べればだいぶ進歩したわね。さあ、あそこが良く見えるように、 お尻をこっちに向けなさい!」 「はあぁああああん!」
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90 :五行戦隊 第四話(10/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:46:22.56 ID:keNtY0xk -
突然秘部を突きあげられて、全ての感覚が一気にホワイトアウトする。 膣部を覆っていた肉布は妖眼蟲を感知し、抵抗することなく奥へと受け入れる。 一物の表面にある突起が膣内部をこすり、身の毛がよだつような快感を与えてくれる。 あそこを押し広げられる充足感。 触手が抜けた後に残る虚脱感。 禍々しい妖力がもたらす快楽を、もはや拒絶することができない。 肌と肌を突き合う度に、二人の少女に寄生する触手の目玉が黄色と緑色に輝く。 (清見ちゃん、ごめんなさい……私は、もう……) 翠は悔しい気持ちに胸を焼かれながら、最初は小さく、 次第により求めるように大きく腰を振り合わせる。 つい数日前まで貞淑だった自分が、今では自ら進んで犯されようとしている。 その事実がまた、翠に倒錯した快感をもたらした。 溜めきれなくなった唾液が口元から垂れ落ち、清楚な顔立ちに艶美な表情が浮かぶ。 触手が二人の体に塗りたくった汗や媚液は、 時が進むにつれ、淫らな香りを放ち官能を加速させる。 からみつくような喘ぎ声が森の中で響き合う。 鈴華が翠の乳首に爪を立て、悪だくみするように笑みを浮かべた。 「あははは……本当に見損なっちゃうわ。いつも純粋ぶってた翠ちゃんが、 こんなエッチな性格だったなんて」 「ち、ちが……あああああぁぁっ!」 否定しようとした途端、翠の胸が鈴華に弾まれる。 「何が違うの。こんな近くに清見ちゃんがいるというのに、 彼女を助けようともせず、快楽に夢中になってるくせに」 「き、清見……」 翠は残りわずかの理性で、辛うじて仲間の名前を呟いた。 その時、清見を包み込む肉蕾に異変が起きた。 まるで妖気を弾き飛ばすように、表面に青白い霊気が漲っていく。 蕾全体は内側から大きく震動し、中にいる人物が激しく抵抗していることを示す。 「清見……!」 「あらら、清見ちゃんったら、まだ諦めないのね。どうせ無駄なのに」 鈴華は動揺する素振りも無く、不敵な笑みを蕾に向ける。 その言葉を裏付けるように、すぐにどす黒い妖気が表面から広がって霊気を覆い返す。 だが、それでも青の霊気は臆することなく、 妖気の微弱な場所を探りながら幾度となく包囲網を突破しようとした。 「ふふふ……清見ちゃんがあんなにがんばってるのに。 すぐ側で翠がこんないやらしいことをしてると知ったら、どう思うかしら」 「そんなこと……言わないで!」 「灯も睦美も、きっと翠のことを蔑んだ目で見るだろうね。 優しくて正義感の強かった翠が、こんな破廉恥な姿を晒すなんて……」
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91 :五行戦隊 第四話(11/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:48:24.35 ID:keNtY0xk -
「やめて……やめて! これ以上言わないで!」 「どうして? 全部本当のことじゃない。ほら、今こうしている間にも、 私と繋がっているところからスケベな汁をいっぱい垂らして、 恥も知らずに腰を振ってるのに」 鈴華は嘲笑しながら翠の両腕を掴み、腰を突き上げた。 それに合わせて翠は一段と大きい喘ぎ声を発し、背中を弓なりに反らした。 「だ、だめ……はああぁん!」 「きゃはは、私の触手をこんなに締めつけてくるなんて。 そろそろイキそうなのね。ほら、今の顔を清見ちゃんにもよく見せてあげなよ」 鈴華は翠の腕を引っ張り、彼女の顔を強制的に蕾の方へ向ける。 霞んでいく視界の中、 翠はふと蕾の二つ目の筋目がゆっくりと開こうとしているのに気付く。 それと同時に重苦しい黒いオーラが蕾全体を充満し、霊気の流れを鎮圧する。 「ざ―んねん、二つ目の妖眼が開いちゃうみたい。 あはは、清見ちゃんの努力が全部水の泡だね」 「清見……」 翠はどうすることもできずに、ただ悲しい気持ちで目を伏せた。 この寄生の蕾は、妖眼蟲の元々の能力と翠の能力が合わさって生まれたものである。 そのため、翠はほかの誰よりも蕾の構造を知っている。 たとえ彼女や清見以上の実力の持ち主でも、内側から破壊することができない。 霊力は全て吸収され、妖力に転換される。 一般の妖眼蟲の寄生とは違うのは、どんなに霊力が高い人間でも知能を保ったまま、 百パーセント妖魔化させられるところ。 欠点らしい欠点といえばは、宿主の霊力に比例して妖魔化する時間がかかってしまうこと。 妖眼が見開く数の個数がその過程の長さを示す。 あの中にいる清見がどんなに抵抗しても絶望しか生まれないと考えると、 心が締め付けられるように痛い。 「清見ちゃん、ごめん……うぅんっ、はあああん!」 「イク時は、ちゃんと清見ちゃんのことを思いながらイクのよ!」 「だ、はああぁん……あああぁぁん!」 最後の猛烈な一突きに、翠は全身を震撼させるような甲高い悲鳴をあげた。 一物の先端から熱い濁液がほとばしり、 薄膜に広げられた子宮口から奥へとなだれ込む。 それと同時に蕾の二つ目の目玉が完全に見開き、青の霊気は無にかき消された。 ビクビク震える翠のかたわらで、蕾の震動が収まりもとの静寂に戻る。 「はぁん、すっきりした。やっぱ翠ちゃんの中は最高よ」 鈴華が澄ました表情で翠を離すと、その淫部から濁液が溢れかえる。 地面に伏せる翠は口を大きくあけて呼吸を繰り返し、 やがて彼女の体が痙攣し始めた。
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- 不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part17
92 :五行戦隊 第四話(12/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:50:27.16 ID:keNtY0xk -
「カッ……んぐぅ!?」 「おお、もう着床が終わるようだね」 「ああぁんぅぅぅ……」 痺れがまだ取れない体が再びこわばる。 子宮の奥にそそがれた精液は、 翠自身の妖力を吸収し猛烈なスピードで生殖活動を繰り広げる。 やがて、翠は胎内に自分とは異なる生命の鼓動を感じた。 「ハァ……ハァ……!」 息を切らしながら、翠は体の芯から沸き上がる疼きを耐えた。 たった今精液を放たれた経路を、今度は内側から何かが出ようとしている。 痛みと快感、そして新しい生命を誕生させる幸福感が全身を包む。 身にまとった触手スーツは彼女を祝福するかのように、体を優しく愛撫する。 「はあああううぅん!」 一際大きい悲鳴をあげると、ポトッと卵大の種が地面に産み落とされる。 体から全ての力が抜けた後、翠はぐったりと土に横たわった。 「まあ、なんて可愛いかしら。ほら、翠ちゃんの赤ちゃんだよ」 「私の……赤ちゃん……」 鈴華は愛液にまみれた種を拾うと、それを翠の頬にくっつける。 まだ温かい種から伝わる柔らかい感触に、翠は心の奥から親近感を湧かせる。 たとえそれが妖眼蟲の幼虫だと分かっていても、 人間に害を為す悪しき妖魔だと分かっていても、 この母親のような感情を否定することができない。 鈴華は種を近くの樹木にかざす。 種は宿主の存在を感じ取ったのか、未熟ながら小さな触手を伸ばした。 触手が樹皮に接触すると、種は丸ごと樹皮に飛びつき、 そこから樹木全体に触手を脈筋のように伸ばす。 寄生が進むにつれ、もとの樹木の枝は醜い触手のように変化し、 地中からも根元が引き抜かれる。 もとの種は樹皮の表面で目玉となって見開くと、そこに新たな寄生妖魔が完成した。 一般の人間から生まれた妖眼蟲は、妖力が弱く寿命も短い。 しかし翠や鈴華のようなもともと霊力の高い宿主から生まれたものは、 彼女達の能力を受け継いだ強力な妖魔となる。 植物を操る能力を得た寄生種は、自然と植物に利用しその生命力を発揮する。 (そんな……そんな……) 翠は複雑な心情でそれを見届けた。 彼女は誰よりも自然を愛している。 しかし今、目の前で自然の樹木が寄生され、醜い妖眼の樹となってしまった。 生まれたばかりの妖眼樹は、根っこの触手を足のように使ってぞろぞろと進む。 翠の側まで近付くと、いきなり枝触手を伸ばして彼女の胸に吸い付く。 「ひゃっ!?」 突如と、胸中を吸い付かれる切ない感じが全身を襲う。
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93 :五行戦隊 第四話(13/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:52:32.56 ID:keNtY0xk -
「くっ、ああぁん!」 「その子は甘えん坊なんだね。いきなりお母さんに母乳をねだるなんて」 鈴華の言葉は、翠にとろけるような甘い感情を与える。 もともと妖魔を退治するために修得した霊力が、 彼女が妖魔化してから妖眼蟲の成長を促進する最高の栄養分となる。 吸われていく気だるい快感とともに、まるで我が子を慈しむような心情に耽る。 だがそれが人間を襲うことに利用されると思うと、矛盾した気持ちが翠を襲う。 寄生樹が去ってしばらく後、翠はやっと意を決したように立ち上がった。 「翠、どこへ行くの?」 「私……睦美や灯の様子を見てくる。 あの子達だけじゃ、二人を取り逃がしちゃうかもしれない」 「おや、やる気になってくれたの?」 「鈴華ちゃんの言う通り、私はもう昔の私には戻れない。 ならば、あの二人も私と同じ状態に引き込んでやる…… 快楽無しで生きていけない体にして!」 翠は背を向けたまま、冷たい口調で言い放った。 その変貌ぶりに鈴華は心から笑いをこみ上げる。 「やっと分かってくれたのね。 いいわ、ここは私が見張っているから、翠は安心して行きなよ。 まあ、このままでもあなたの部下達がここに連れてくるだろうけど」 「油断は禁物ですよ。彼女達はどんな逆境でも決して諦めないことを、 あなたと私が一番よく知っているはずです」 「分かった分かった。その姿を二人に見せてあげなよ。 ふふふ、きっとビックリするだろうね」 「……」 鈴華が手を振って見送ったのに対し、翠は無言のまま森の影に姿を消した。 「くくく……ただでさえ手も足も出ないはずなのに、 翠ちゃんまで出て来ちゃったらますます勝ち目が無いわね」 鈴華は小悪魔のような笑みを浮かべ、清見を閉じ込めた蕾に視線を戻した。 蕾の表面に見開く二つの魔眼が、ただ不気味に輝いていた。
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94 :五行戦隊 第四話(14/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:54:37.75 ID:keNtY0xk - □
睦美は確かに手も足も出ない状態に置かれていた。 前方では、おぞましい化け物の群れが待ち構える。 後方にあるのは静閑とした人工池で、逃げ道はどこにもない。 妖魔の一匹一匹は胴体の中央に大きな目玉を見開く。 暗緑色の躯体は下から植物のような茎や根が突き立てる。 毒々しい色付けの蔓の触手は、シュルシュルとした不快な音をさすり上げて蠢く。 目玉はきょろきょろ動いて、こちらをねめ付ける。 見た目から判断すれば、木属性の妖魔といったところだろうか。 弱点属性を突かれた睦美にとって、最も戦いにくい一団である。 またしても、今まで見たことの無い新種の目玉妖魔。 睦美にしてみれば、その現象は不思議で仕方なかった。 最初に出会った妖眼蟲は、これといった特徴のない目玉を持った黒色のスライム。 次に確認されたのは、鋼の胴体を持つ黄色いスライム。 そして今、目の前に立ち塞がるこの植物のような緑色のスライム。 痺れ粉のせいで、睦美は下半身に力が入らず、地面から一歩も動けない。 数刻前の戦いでは、清見の水遁術でなんとか森外にある人工池まで脱出できた。 だが応急処置をしようとした矢先に、妖魔の群れに囲まれてしまう。 敵の手の回りの良さもまた、不可思議なものだった。 睦美と背中を合わせ、一人の少女は膝を左右に開き、あぐらを組んで座っていた。 両目は強く閉じ、お腹の丹田の前で親指と人差し指を絡み合わせて印を結ぶ。 彼女も睦美と同様にバトルスーツを着衣しているが、 睦美の褐色とは対照に赤く燃える炎の紋様をまとっていた。 短く切りそろえた赤髪、気の強そうな顔立ち。 しかし今、そこには苦悶な表情が滲んでいた。 冷夜にもかかわらず額に汗が輝き、苦しげな吐息が漏れる。 彼女の呼吸に合わせて、溢れんばかりの熱い霊気が衣を駆け巡り、 体にしみ込んだ瘴気と衝突する。 睦美は目の前の妖魔と対峙しながらも、 背後から聞こえる少女の吐息を注意深く聞き分けた。 灯は彼女と同じく五行戦隊の一員、火を操る。 先刻の戦いで妖花粉を一身に受けてしまったため、睦美よりずっと重症である。 ふと、睦美は素早く印を結び変え、両手を地面に強くたたきつけた。 次の瞬間、その前にある土石が瀑布のように数メートルも逆巻き、 連鎖しながら外側へと広がる。 いつの間にか近付いた三匹の妖眼樹は、一瞬にして砂煙に呑まれ、 土の滝が過ぎると跡形も無く消えた。 土石の奔流はとどまること知らず、敵の群れまで襲いかかる。 妖眼樹達はぎょろりと目玉を動かすと、一斉に根元の触手を地面に突き刺す。 睦美に一番近い妖眼樹に震動が伝わると、 シュルッと鋭い破裂音とともに目玉が弾け飛び、躯体は緑汁となって四散する。
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95 :五行戦隊 第四話(15/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:56:38.84 ID:keNtY0xk -
しかし最初は宙高く巻い上がった土津波も、 地面に突き刺さった根触手とぶつかる度に勢いが弱まった。 途中から体の一部だけが崩壊した妖眼樹は、傷口からドロドロした緑液を分泌し、 元の形に戻ろうと結合を繰り返す。 その様子を見て、睦美は小さく舌打ちをする。 今回の妖眼蟲は殺傷力が低い代わりに、強力な再生能力を持っている。 短時間で性質を変えてくるのも驚きだが、彼らはまるで学習能力を備わっているようだ。 初めは単調でのこのこと襲いかかるだけだった。 それが何度か撃退されると、組織的な動きを見せるようになった。 今でも睦美の攻撃に反応して、前後に並べることによって、 一部の犠牲を出しながらも大勢の個体が生き残った。 この土津波の術は高威力広範囲が特徴の、睦美のとっておきの技だった。 乱戦なら一気に大量の敵をやっつけられるが、その分霊力の消耗も激しい。 敵はまるでその弱点を推測したかのように、一斉攻撃ではなく、 睦美一人では対処しきれない程度の波状をしかける。 その攻撃方法も、回数が増えるにつれ多様化して行く。 (これじゃまるで私が経験値稼ぎの道具じゃないか。生意気な奴らめ) 見る見るうちに回復する敵の姿を見て、 睦美は焦りを抑えながら苦笑いを浮かべた。 しつこいくらいの持久力。 一気決着ではなく隙を見せない堅実な戦い方。 まるで翠の立ち回りを見ているようだ。 翠は今頃どうしているだろうか。 仲間のことが頭をよぎった次の瞬間、睦美は突如左腕を地中に突き挿した。 すぐさまそこから一本の暗緑色の肉蔓を引っ張り上げる。 蔓はまるで海蛇のように、ニョロニョロうねりながら腕に巻きついてくる。 「くっ……!」 油断した。 あの真っ先にやられた三匹の妖眼蟲は、地下を貫通する触手を隠蔽するためのようだ。 地下から不意打ちされないように、まわりの地脈にも霊力を通して警戒していた。 だがあの術を使用する間、地中が大きく変動するため様子を探知するのが複雑になる。 そしてここまで接近されて気付かなかったのは、 やはり消耗で気が緩んだからだろう。 ふと、背後から聞こえる呼吸音が速くなったと感じた。 後ろに座る灯は、額に大粒な汗をかき始めた。 体から湯気が立ち、その中に花粉の毒々しい匂いが含まれていた。 今の灯は特に集中しなければならないことを、睦美は充分わかっていた。 指から伝わる生々しい肉感にはぞっとする。 しかし睦美は手を離すどころか、力を込めて引っ張り上げた。 砂塵が一直線に弾かれ、土の下から長い触手がピンと伸ばされると、 妖魔の群れから一匹の妖眼樹が睦美の方へと引き寄せられる。 それがあまりにも急な出来事だったため、他のスライムは動きを合わせることもできず、 目玉をきょろきょろさせてうろたえた。
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96 :五行戦隊 第四話(16/19)[sage]:2012/04/14(土) 18:58:42.55 ID:keNtY0xk -
宙に飛んだ妖眼樹は、目玉をカァッと大きく見開く。 同時に、睦美の左腕に巻き付いた蔓は猛スピードで膨張し、 彼女の顔や胸へと伸び広がる。 肌をつたう肉片がひんやりしていて気持ち悪い。 だが睦美は迫り来る危険に目もくれず、霊力を溜めきった右拳を打ち出した。 「砕石拳!」 砂と石をまとった拳が敵の胴体中央に寸分違わずめり込む。 だがそれが目玉に命中する直前、妖眼はまぶたを閉じた。 そのわずかな差で、拳が急所からはずれてしまい、柔らかい手ごたえが返ってくる。 肉の中にめり込むほど弾力や反発力が強く、 その隙に目玉は逃げるように反対側へと沈む。 無意味なことだ。 拳が直撃した場所から肉片が石化し、粉々に砕かれる。 それが奥にある目玉の位置まで伝播し、何もかもひび割れて崩れる。 いくら再生能力が高いとはいえ、核である妖眼さえ破壊すれば二度と修復できない。 その核が支配する範囲に限っては。 不意に、睦美の腕に巻き付いた肉帯の表面に、別の目玉がぐにゃりと開眼する。 まるでトカゲの尻尾切りのように、 妖眼蟲は石化した部分だけ切り離して睦美に飛びつく。 (もう一つ隠れて……!) 驚く間もなく、顔面の左半分がぬめっと広がった肉片によって覆われる。 「っ……!」 睦美の右目の瞳孔が大きく開いた。 七色の火花が弾け飛ぶような奇妙な感覚が脳を襲う。 異形に同化されてしまう感触は、すぐにゾクゾクと痺れた心地良いものとなる。 墨汁を吸い込んだ半紙のように、どす黒い思考がこんこんと染め上がる。 しかし、それは決して嫌な感じではなかった。 暗くてしっとりとして、禍々しくて甘い誘惑が満ちて。 一度受け入れてしまえば、欲望の限り何でもできてしまうような病みつき感。 気付いたら口の端が自然と吊り上がり、邪悪な笑みを作っていた。 寄生されている。 五感が徐々に融合しているのが分かる。 敵の目玉の視界が、模糊としながらも自分の脳内に映し出される。 妖眼が見つめる先にあるのは、暗緑色の肉片によって体を半分ほど覆われた少女。 粘液化した触手は左側の頬から滴り落ち、 頻繁に肉組織の構成を変えて周辺へじわじわと侵略する。 残された右側の素顔は、目の焦点を失いながらも懸命に抗おうとしていた。 しかしその努力を物ともせずに、左半身を覆う触手はゆっくりと占領地を拡大し、 少女の全身を包み込もうとする。
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97 :五行戦隊 第四話(17/19)[sage]:2012/04/14(土) 19:00:44.52 ID:keNtY0xk -
その時、睦美は妖眼を通して自分の後ろにいる灯の姿を見つけた。 体がまともに動けないにも関わらず、一生懸命首を伸ばす。 そして触手に牙を立てて、ガブリと噛みつく。 激痛と灯の必死さが、寄生した神経からなだれ込む。 「灯、危ない……来ちゃ、だめ」 辛うじて発した睦美の言葉に、灯は耳を貸すことはなかった。 怒りに満ちた表情で白い歯を肉塊の深くまでずぶずぶと突き刺す。 ジュルルルと嫌な音や泡が立ち、触手は睦美を絡める力を弱め、 灯の方へ肉片を伸ばす。 その一瞬の隙に、灯は顎を噛んだまま体を横に倒す。 肉片が剥かれると同時に、睦美に寄生していた感覚が消え去る。 しかし引きはがされた妖眼蟲は、今度は灯の体を取り込もうと飛び移る。 彼女の体に到達する直前、肉片はフライパンに煎られた卵のような音を立てて、 灯が噛み付いたところから発火した。 炎は目にもとまらぬ速さで妖眼や他の部分に燃え移り、盛大な火の塊と化す。 目玉の汁は一瞬にして最後の一滴まで蒸発し、 残りの焦げた残骸を灯は力強く吐き捨てる。 「この野郎。睦美、大丈夫……がぶっ!?」 大きな物音とともに、灯がいた地盤が陥落した。 睦美はやれやれといった表情で砂煙の中に腕を伸ばし、 生き埋めにされかけた少女を引っ張り上げる。 「……ぷはぁ!」 灯は口の中に入った砂をぺっぺっと吐き出し、上目遣いで睦美を睨みつける。 だから来ちゃだめと言ったじゃない、と睦美は肩をすぼめてみせる。 「周りに落とし穴をいっぱい設置したの。 灯がいなければ、そのまま敵を落とすことができた」 「オレが余計だったのかよ」 「それより、灯の方はどうなったの?」 「ふっふー、一割強も回復したよ! ほら、首より上はもうこんな元気に動けるんだぜ」 「遅い」 灯が自慢げに掲げる頭の額は、容赦の無いデコピンが直撃する。 「いたっ!」 「ねぇ灯ちゃん。ちゃんと真面目にやっているのかしら?」 「そ、そんな怖い顔で両手をバキバキ鳴らせなくてもいいじゃないか……」 「いまの私たちはどれくらいピンチなのか、分かってる? 敵は強い上に、まだ何が出てくるかも分からない。 私達は一刻も早くここから脱出しないといけないのよ」
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98 :五行戦隊 第四話(18/19)[sage]:2012/04/14(土) 19:02:45.19 ID:keNtY0xk -
「そうだけど、そうだけど……だいたいこういう座禅とか瞑想とか、 一番苦手なのは知ってるだろ。後ろで睦美が戦ってる音が聞こえると、 じっとしていられないじゃん。清見みたいなロボット娘と訳が違うから」 「はぁ……」 睦美は呆れたように溜息をついた。 意識を集中し体内の霊力を循環させ、自己治癒力を高める。 霊術者にとって基本的なことだが、 普段から血潮がたぎっている灯にとってそれがなかなか難しい。 五行戦隊の五人の実力は伯仲の間にあるが、それぞれ得意不得意があった。 「ねぇ睦美、そろそろ交代にしない? 睦美のほうが毒が浅いわけだから、私よりずっと速く全快できるよ」 「敵はどうする」 「オレがやっつける」 匍匐前進しながら伸ばす頭の額に、睦美は再びビシビシとデコピンを喰らわす。 「いたっ! いたっ!」 「その残り八割弱動けない体で、どうやって戦うつもりよ。 今みたく芋虫のように転がり回って、体当たりするつもりか」 「そ、それは……口から火炎弾を吐けるもん!」 がおー、と芋虫状態から大真面目に怪獣をマネする灯。 その様子があまりにも可愛かったため、睦美はついに耐えきれず吹き出した。 敵陣の真っただ中にも関わらず、二人は神色自若に談笑を交えた。 倒しても倒しても襲ってくる敵。 安否不明の仲間達。 勝敗は絶望するほどはっきりとして、 残された力で次の朝日を迎えられるかどうかも分からない。 しかし、睦美には怖いという感情が微塵も無かった。 まわりが敵だらけでも、すぐそばで戦ってくれる灯がいる。 灯には孤独の気持ちがちっとも無かった。 まわりが敵だらけでも、すぐそばで戦ってくれる睦美がいる。 たとえここで朽ち果てようと。 最も苦しいな時に肩を並べてくれる温もりの嬉しさ。 「ちぇ、こうなると分かったら、無理矢理にでも翠を引っ張り出すべきだったぜ。 こういうクリーチャーみたいな化け物の処理って、あいつが一番うまいのに」 「確かに翠のような特殊型なら、この手の敵と良い勝負になるかもね」 灯の意外と鋭い意見に、睦美も頷いた。 五行戦隊のうちでも、命を扱う能力は翠ただ一人。 普段はマイペースのおっとりしたお姉さんのようだが、 いざという時にその独特なセンスと能力で何度もピンチを救ったことがある。
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99 :五行戦隊 第四話(19/19)[sage]:2012/04/14(土) 19:04:46.77 ID:keNtY0xk -
ふと、妖魔達がシュルシュルと動き出した。 睦美と灯はほぼ同時に身構える。 妖眼樹の群れは左右に分かれ、一本の道をあける。 そこから歩み出た人物に、二人は愕然となる。 よく見知った、翡翠色のロングヘアをなびかせる美少女。 だがその淑やかだった顔立ちは妖艶に火照り、見た者の情欲をそそる。 睦美は瞬時に、今日学校でのことを思い返した。 あの時の翠も今と同じく、目線が虚ろでどこか落ち着かない雰囲気だった。 ただ一つだけ大きく違うのは、今の翠は学生服を着ておらず、 その下に隠された装束を全て晒し出していることだった。 彼女の格好より顔に注目した灯とは対照的に、 顔より格好を注目した睦美は表情を沈ませる。 翠が身につけているのは五行戦隊のバトルスーツではなく、 同じ趣向ながらダークグリーン色に変化したレオタードだった。 遠くから細部までは見えないが、何かと不気味な淫靡さを漂わせる服装。 「翠、オレ達を助けに……」 パッと表情を明るくさせる灯を遮るように、睦美は低い声で尋ねた。 「やはりあなたの仕業だったのか」 「……そうよ」 「ええぇっ?」 二人の顔を交互に見つめる灯をよそに、翠は目線を伏せながら続ける。 「あなた達が受けた痺れの花粉は、霊服の防壁を浸透するもの。 霊服は妖力による攻撃は中和できても、あの花粉は妖力とは関係無い自然界の物」 「どうりでね。五行戦隊である貴女なら、霊服の構造を最初から分かる」 「ちなみに痺れ以外の害は無いが、最低一日は作用します」 「なかなか厄介なことをしてくれるわね」 「あなた達を苦しめるつもりは無かったです。 あの場で捕まえて、すぐに楽にさせるつもりでしたから。 しかし、それもここで捕まえ直せばいいだけの話です」 翠は冷たい口調で言い切ると、レオタードから無数の目玉が見開いた。 彼女はロングヘアの中から一つの種を取り出し、それを手のひらに乗せる。 種はたちまち一本の蔓になり、彼女が身にまとうスーツと同じ妖力を張る。 その蔓の鞭を大きく震わせると、睦美達を目掛けて空を切る。 睦美は毒蛇のように空中を泳ぐ蔓ではなく、翠の目を見つめた。 霊力と妖力に染まったお互いの敵意が激しく火花を散らす。 月明かりはまだまだ大地を照らし続ける。
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- 不気味なモノに寄生されて虜になる娘!!Part17
100 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/04/14(土) 19:06:49.30 ID:keNtY0xk - 以上、悪堕ち寄生モノでした。
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