- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
230 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/04/09(月) 23:50:58.90 ID:WZCdohue - GJ!
合宿所でお花見いいですね〜 毛虫は廉さんムリだろと思ってしまったww でも今度何かあったら俺んとこ来いっていう廉さん、ステキw 先週嵐が吹き荒れたのをきっかけに、以前投下した「愛の嵐」の続編書いてみました。
|
- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
231 :春の嵐1[sage]:2012/04/09(月) 23:52:22.27 ID:WZCdohue - 来る日も来る日も美子からの連絡を待って、半年が過ぎた。
「俺のそばにいてくれるか?美男」 「まだ、わかりません。でも、いつか…」 そう言って約束らしい約束もしないまま、本物の美男の加入と同時に、美子はA.N.JELLの前から姿を消した。 この半年、新しいアルバムの発表、ライブツアーと仕事は順調すぎるほど順調で、廉は未だかつてないほど充実している。 それだけに、仕事が終わった深夜や、寝つけないまま迎えた夜明け前など、美子の不在が心に冷たい風を吹かせる。 美男はちょくちょく妹である美子の住まいを訪ねているらしい。 その気になれば住所を聞き出して会いに行くことも出来るが、廉は美子から来てくれるのを頑なに待っている。 美子の気持ちを無視して強引に体の関係を結び、自分の気持ちを押し付ける事しか出来なかったあの日々。 もう二度とあんなことはするまいと、廉は固く決心していた。 「わりい〜遅れちゃって。昨夜美子んちに泊まっちゃってさ、寝坊しちゃった」 美男が頭をかきかきリハーサル室に入ってきた。 「えー、美子元気?たまに遊びに来ればいいのにー」 「うん、俺も誘うんだけどさ、そのうちにって言うばっかでさ」 「なーんだよ、水臭いなぁ。あ、俺が美子んちに遊びにいこうかな?」 「それはぜーったいダメ。俺以外は男子禁制だから」 なんだよ、それー、と冗談で落ち込む振りをする勇気と美男の楽しげな会話を、廉は隣でさり気なく聞いていた。 美子の名前が出るたびに心臓が掴まれたようになる。 (美子は何か言ってなかったか?俺の話は出なかったか?) 聞きたい事はたくさんあるのに、それすらも気持ちの押し付けのような気がして、廉は黙り込んでしまった。 テレビ局での仕事を終えて、地下駐車場へと向かう。 車に乗り込みポケットから携帯を出して、美子の番号をいつまでも眺めていた。 今、たった一回タッチすれば美子につながる。しかしそれだけの事が廉にはどうしても出来なかった。 (まだ柊の事が好きなのか?それとも…あんな事をした俺を、やっぱり許せないのか?) 廉はハンドルの上に突っ伏して、後悔の嵐に襲われた。
|
- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
232 :春の嵐2[sage]:2012/04/09(月) 23:53:38.83 ID:WZCdohue - 数日後、合宿所へと車を走らせていた廉は、道路の向こう側に偶然美子を見つけた。
慌てて車を急停止させ、バックミラーで美子の姿を追う。 通り沿いの小さな公園に入って行くのを確認すると、急いで路上パーキングに車を止め、美子の後を追った。 公園内をうろうろし、ベンチに座る美子を発見した。そして、その隣には…柊の姿が。 どうして?という気持ちと、やっぱり、という気持ちが廉の中で交錯した。 美子と柊は穏やかな笑みを浮かべて、なにやら話をしている。 しばらくすると美子の表情が曇り、涙がこぼれ始めた。すると柊は、親指で美子の涙を拭い、肩を抱き寄せた。 顔を覆って泣く美子に寄り添い、柊はいつまでも慰め続けていた。 「そういう事か…」 廉は二人の背後から皮肉めいた口調で吐き捨てた。 振り向いた柊が口を開こうとするのを遮り、廉は二人を罵倒した。 「お前らそうやってコソコソ会ってたんだな。俺の事を陰で笑って、楽しかったか?バカにしやがって!」 嫉妬と怒りと絶望で我を忘れた廉は、心にも無い事を口走ってしまった。 「廉、誤解だ。話を聞いてくれ…」 柊が必死に弁解しようとするが、廉の暴走は止まらなかった。 「もういいっ!お前とはもう関係ない!勝手にしろ!」 美子に人差し指を突きつけ、一語一語相手の胸に刻み込むように言い放った。 美子は呆然としたまま言葉もなく、足早に立ち去る廉の後ろ姿を見送った。 合宿所に戻った廉は、自室にこもりベッドに突っ伏した。 柊に向けられた美子の笑顔が、頭の中をぐるぐる駆け巡り、おかしくなりそうだった。 (俺にはあんな笑顔、見せてくれたことがなかった。つまりは、そういう事なんだな…) ふっ、と自嘲気味の笑いを漏らして、廉はそのまま眠りに落ちて行った。
|
- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
233 :春の嵐3[sage]:2012/04/09(月) 23:55:32.04 ID:WZCdohue - 突然音を立ててドアが開かれ、目を向けると柊が美子の手を掴んで入ってきた。
「何だよ、お前ら。出て行けよ」 「廉、美子の話を聞いてやってくれ」 背を向けた廉に、柊は懇願するように言った。 「柊さん、もういいんです。私、帰りますから」 「ダメだよ、美子。ちゃんと誤解を解かなきゃ」 二人の仲良さげな様子に苛立った廉は、「うるさいっ、出てけっ!」と怒鳴ると柊の肩を突き飛ばした。 柊の体がぐらつき、はずみでぶつかった美子がドアに強く打ちつけられた。 「美子っ、大丈夫か?」 慌てて美子の体を支え、振り返った柊は廉を睨みつける。 「いい加減にしろよっ!」 柊の拳が廉の左頬に炸裂した。 激しい衝撃でベッドに仰向けに倒れ込んだ廉に、柊が馬乗りになった。 そのまま廉の胸倉を掴んで、揺さぶりながら怒鳴り声を上げる。 「どうしていつもそうなんだっ!いい加減大人になれよっ!美子の気持ちも少しは考えろっ!」 「…離せよっ」 「廉が寂しい子供時代を過ごしたのは、俺も知ってる。でもそれは、美子も同じだろ? お前はその時の子供のままだ。 美子はいつも周りの人達の事を考えてるのに、お前は、自分の事ばかりじゃないかっ」 「柊さん、もういいの。やっぱり無理だったんです。今さら廉さんの所に戻ろうなんて…」 「えっ?」 美子の言葉の意味が一瞬わからず、廉は呆けたように美子の顔を見た。 「それって…どういうことだ?」 柊は廉の上半身を持ち上げて、美子と二人で会っていた理由を語りだした。 「美子は俺に謝りに来たんだよ。廉の元に戻りたいけど、俺に申し訳ないって。 それなのに、お前は何だ?半年前から少しも変わってない。 関係を結ぶ時も無理やり、今日だって勝手に勘違いして話を聞こうともしない。 それで、美子を守っていけるつもりなのか?」 柊にここまで言われて、さすがの廉も一言もなかった。うな垂れて殴られた左頬を抑えると、唇の端が切れて血が滲んでいた。 「おい…無理やり関係を結ぶってどういうことだよ」 三人はハッとしてドアを振り返った。 そこには真っ青な顔をして唇を噛みしめる美男と、おろおろと落ち着かない勇気がいた。 「いや、美男、それは…言葉のあやって言うか、そういう意味じゃなくて…」 柊が慌てて言葉を取り繕うが、美男は真っ直ぐ廉を見据えて柊の言葉も耳に入っていないようだ。 「廉っ!どういう事だよっ!」 美男は語気を荒げて、つかつかと廉に歩み寄った。 「すまない…俺、無理やり美子を…」 廉が最後まで言い終わらないうちに、美男は「てめえっ!」と叫ぶと拳を大きく振り上げた。 「お兄ちゃんっ、やめてっ!違うのっ!」 咄嗟に美男と廉の間に美子が割って入り、廉を庇った。 「違うの…。好きなの…廉さんの事」 廉にしがみつきながら震える声で言う美子を、美男も廉も呆然として見つめた。
|
- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
234 :春の嵐4[sage]:2012/04/09(月) 23:57:05.55 ID:WZCdohue - 「とにかく、俺は絶対許さないからな。二人が付き合う事もだけど、俺、A.N.JELLを脱退する事もありうるから」
美男は冷たく言い放つと、美子の腕を掴み引きずるように廉の部屋を後にした。 ベッドの上で虚ろな表情で座り込む廉を、じれったそうに見ていた勇気が廉に駆け寄る。 「廉さん、しっかりしてよ。二人を追いかけて、ちゃんと話さなきゃ」 勇気の言葉に我に返った廉は、柊の顔を窺う。 柊は寂しそうな笑みを浮かべて、小さく頷いた。 慌てて部屋を飛び出し、玄関を開けると、既に二人の姿は無く、突然吹き出した強風に木々がざわめいていた。 それからというもの、美男は合宿所に帰ってこなくなり、仕事が終わると美子のマンションに直行するようになった。 現場で顔を合わせても、ニコリともせず、話しかけても返事もしない。 仕事だけはそつなくこなすが、それ以外では取りつく島もなかった。 美子の携帯に電話をしてみると、機械的なメッセージが流れ、この番号は今使われていないことを知らせるだけだった。 廉はこのまま美子に会えなくなるのでは、と焦り、ある日仕事終わりに美男の後をつけて行くことにした。 合宿所にほど近い場所に美子のマンションはあった。 (こんな近くに…) エレベーターを降りた美男が、外廊下を歩いて行くのを目で追う。 ある部屋の前で立ち止まり、鍵を開けて入って行くのを確認して、廉も後を追った。 廉は部屋の前に立ち、深呼吸を一つしてからチャイムを鳴らした。 「はーい、どちら様ですか?」 インターフォンから流れる明るい美子の声を聴いて、廉の心拍数が跳ね上がる。 「あの、俺…だけど」 ガチャガチャと鍵を開ける音がして、勢いよく扉が開くと、目を丸くした美子が立っていた。 「廉さん…」 「俺、お前と美男に話したい事があって…」 「…はい。上がって下さい」 綺麗に整頓されたリビングには、美子が加入していた時のA.N.JELLの写真が飾られていた。 ほんの半年前の事なのに、遠い昔のような気がして、廉は軽く眩暈を感じる。 「美男は?」 美子に促されてソファに腰かけた廉が部屋を見回す。 「今シャワーを浴びてます。すぐ戻りますから」 廉の前に暖かいお茶を置いて、美子は隣に腰かけた。 久しぶりに二人きりになると、何を言っていいのかわからず、廉はそっと美子を盗み見た。 「あの…」 突然美子から声を掛けてきて、廉は飛び上がりそうになった。 「な、何?」 「長い間連絡しなくて、ごめんなさい。なかなか気持ちの整理が出来なくて、そのうち仕事も忙しくなっちゃったし…」 「いや、いいんだ。別に約束した訳でもないから…俺が悪いんだし」 廉は慌てて返事をして、取り繕うようにお茶をすすり、「アッチィ」と小さく叫び声を上げる。 「大丈夫ですか?」 「あ、ああ。大丈夫だ」 平静を装って澄ました顔を作る廉を見て、美子がクスッと笑った。 「何だよ?」 「いえ、何でもないです」 美子の笑顔につられて、廉もぎこちなく笑った。
|
- 【ドラマ】美男ですねでエロパロ6
235 :春の嵐5[sage]:2012/04/09(月) 23:58:44.67 ID:WZCdohue - その時、シャワーを終えた美男がリビングに入ってきて、廉の姿を見て一気に形相が変わった。
「何しに来たんだよっ。帰れよっ!」 廉も顔をこわばらせて立ち上がり、美男の前に進み出ると、突然床に膝を付いた。 「美男。こんな事で許されるとは思ってないけど、それでも謝りたいんだ。すまない」 両手を付いて深く頭を下げる廉。美子はオロオロして廉の隣に跪き、顔を上げさせようとしている。 「美子、そいつから離れろ。廉、そんな事しても無駄だ。一生許さないからな」 低い冷静な声で淡々と語る美男の口調から、激しい怒りが伝わって来る。 そのまま廉の存在を全く無視する美男の態度に、 「廉さん、今日はもう帰って下さい。すみません」 と美子が言いだした。 痺れる足をさすりながら「また来るから」と言い残し、廉は部屋を出て行った。 「お兄ちゃん、私ね、柊さんの事が好きだったの」 一つしかないベッドの端と端に潜り込んで、部屋の灯りを消すと、美子が小さな声で話し始めた。 「でも、自分の気持ちを自覚した途端に、廉さんの思いに巻き込まれて翻弄されちゃった。 ひどい事されたのに、段々廉さんの事憎めなくなってきたの。可笑しいよね」 微かに笑う美子の声が聞こえた途端、美男は体を起して美子を抱きしめた。 「お前バカじゃないの?お人よしにも程があるよ」 「そうだね、バカだね。だけど、廉さんの事、好きなの」 美男は声を上げて泣き出した。 「お前に俺の代わりなんてさせるんじゃなかった。アメリカなんて行くんじゃなかった。ごめんな、美子」 しゃくりあげる美男の背中をさすりながら、美子が続ける。 「謝らないで、お兄ちゃん。苦しい思いもしたけど、もう大丈夫。今は廉さんに付いて行きたいの」 子供をあやす様に美男の頭を撫でると、美男は恥ずかしそうにその手を払った。 「やめろよ。ガキじゃないんだぞ」 「ふふっ、照れてるの?私は美男の妹で、お母さん。美男は私のお兄ちゃんで、お父さんでしょ?」 そのまま体を倒して、寝ころがって向かい合う。 「お前、もし廉に嫌な事されたら、絶対俺に言えよ」 「うん」 「そしたら今度こそ、あいつをぶちのめすからな」 「うん」 「どんな小さな事でも、我慢するなよ」 「うん」 ニコニコと微笑む美子を見て、美男の心の中の嵐も徐々に鎮まって行った。
|