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名無しさん@ピンキー
とある雨の日の一日
パワポケでエロパロ25

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パワポケでエロパロ25
232 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/02/23(木) 01:53:10.20 ID:SdOm6Nrn
14白瀬SS投下します
パワポケでエロパロ25
233 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:54:05.09 ID:SdOm6Nrn
雨の音が聞こえる
「ん」
その音を目覚ましに目を覚ます
廃ビルの床から上半身を起こし、念のため周りの気配を探る
……誰もいない、勘が鈍っていなければ、だが
凝り固まった身体をほぐすため軽くストレッチをしながら先程理解したことを反芻する
「今日、か……。結構はっきりわかるもんね。……ごほっ、ごほっ」
病人のような咳を繰り返しながら微笑む。この咳との付き合いも長い。すでに日常の一部と化したといえるだろう
そばに置いてあった薬と水を掴み、飲み込む。効果はないよりかはまし程度、ほとんど気休めだ
咳が落ち着いてから立ち上がりビルの出口へと向かう
今日の天気は雨



しとしとと降る雨の中、街を歩く
目的の場所はあったが、まだ向かわない。ちょっとしたことだが準備などもあるのだ
だがそれ以前に、くぅ〜、とあたしにしては随分とかわいらしい音が鳴る
「……はぁ、あたしも人間だものね」
眠るのにすきっ腹では悲しい物があるだろう、そう思い適当な店に入る事にした
ちょっとした事情により懐が寒いので最後の晩餐とはいかないが
からん
最初に目についた喫茶店に入る
入ったことはないがたしかチェーン店だったはず。名前を見た事は幾度かある
今のあたしでも払える金額でそこそこのものが口に入れれるだろう
従業員に一人だと告げ窓側の席に腰を下ろす
「ふう」
息が漏れる。今のあたしにはこんな距離を歩くだけで体が休憩を欲したがる
衰えた物だ、あいつに見られたらどんな風に笑われるか……
「……とっ、危ない危ない」
思い出に浸っていてうっかり意識を手放しそうになる。こんなとこで失ったら本当に笑いものだ
運ばれてきた熱いコーヒーを気付にする。味の方は良くわからなかった
パワポケでエロパロ25
234 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:55:05.11 ID:SdOm6Nrn
その後運ばれてきたサンドイッチをたいらげ、一息つく
食も細くなったな、とぼんやりと思う
以前ならまったく足りない様な量でも、今では食べきる前に満腹を感じ始める
食べる事に関することだけではなく、この体は確実に終わりに向かっている
以前と比べできない事も増え、できたとしても以前ほどではない
老いが怖いと言った博士の言葉も分かる気がする
少し訂正するなら見た目が若いからと言って、怖くならないとは言えないということぐらいか
そう、怖い
人に言った事もないし、勘付かれるようなこともした事はないが、あたしは確実に怯えている
銃が撃てなくなること、走れなくなること、食べれなくなること、咳が続くこと、――終わりに近づくという事
その全てに怯えている
第3世代最高傑作とかなんとか言われようが、怖い物は怖いのだ
……第3世代は人間の範疇である事がコンセプトだから当然とも言えるかもしれないが
話すような事じゃないし、話す相手もいないので数年前からずっと抱え込んできた
だがそれもあと少し。ちゃんと墓まで持って行こう
「よしっ」
顔を叩き思考を元に戻す
荷物があるのを確認しトイレに向かう。最後の準備を整えるために



まだ朝の早いこんな時間だ。誰も来ないだろう
その方が都合がいい。長時間粘っても文句は言われないだろうし
鏡の前を陣取る。鞄から物を取り出す。あたしには無縁だと思っていたものを
化粧品
CCRにいた時は男に舐められると思い、抜けた後はそんな事をしている余裕はなかった
だから一生無縁の物だと思っていた。だけど……
「いくらなんでも、これじゃあ、ね……」
鏡の中の自分と向き合う。何度見なおしても酷い顔だった
眼には隈、頬は痩せこけ、肌もめちゃくちゃ
死にぞこない、そんな言葉がよく似合う。さすがにこれで終わるのは勘弁してほしかった
だから少し前から練習していた。この日のために。顔だけでも全盛期のあの頃に近づくため
「時間もないし始めますかね」
さあ、前哨戦の始まりだ。悔いを残さない様頑張ろう

パワポケでエロパロ25
235 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:56:05.73 ID:SdOm6Nrn
「……こんなもんかしらね」
時間はかかったが何とか体裁は整ったと思う
不健康そうに見えず、なおかつ化粧が濃いなんて言うあたしらしさから離れたことにならないギリギリのライン
お金と時間を掛けただけはあったと思う。これならあいつに会っても笑われはしないだろう
さすが潜入型の第3世代だ。とりあえず博士に感謝してみる
こんな体にしたのも博士なので、本末転倒な気もするが
「うっ、うーん」
同じ姿勢でいたので体が凝り固まってしまっている
思ったより手早く済ませれたので若干時間に余裕ができた
身体をほぐしながら、他にやり残したことはないか考えてみる、がすぐに無い事に気づく
そもそもこの体でできることなど、限られているのだ。余力は少しでもあれの為にとっておきたい
そしてあれ以外の目的は達成した。後は用意したあの場所へ向か
「!?ごほっ!ごほっ!ごほっ!……はっ、はっ、はっ、はぁ。不味いわね」
思った以上に進行が速い。体から少しずつ力が抜け始めてる
動いてないのに呼吸が少し荒い
前言撤回。これは少し急いだ方がいいかもしれない
荷物をポケットに詰め直し、店から出ることにした
カウンターには財布ごと置いてきた



雨の中、早歩きで目的地に向かう。少しずつ息が上がって行くが気にせず進む
ここからはそう遠くない。タイムリミットには間に合うだろう
運よく信号にも引っかからずに進めた。神様が祝福してくれているのだろうか
「こんなしょぼい祝福なんてって前なら思うでしょうけど、今はありがたいわ」
思わず笑ってしまう。人の価値観なんて簡単に変わるものだなと
程なくして目的地に到着する。待っていたのはそこはかとない安堵と
「……最後に会ったのはいつだったかしらね。まあ、久しぶり」
あたしが生涯でただ一人愛した男との再会だった
パワポケでエロパロ25
236 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:57:08.19 ID:SdOm6Nrn
「あ〜、疲れた」
少し息を整えてから、そこに置いてある大きめの石を背もたれに座り込む
そして待っていた男に、今までため込んできたものを吐き出すよう、話しかける
「まったく、最後の場所の用意を女に任せるなんて何考えてんのよ
女の方が長生きする?あたしたちにそんなの当てはまらないでしょーが!
まったく、ここ買うのに今までためてた資金、空になっちゃったじゃない
えっ?資金全部使ったならもっといいとこあるだろって?うるさい!あたしだってビル街の一等地を手に入れたかったわよ
でも偽装戸籍とか手を回してる間にどんどん減っていって、ここ買うので精一杯だったのよ
まったく感謝しなさいよ?あたしじゃなかったら手に入れる事も出来なかったんだからね」
話す
「で、あんたの方は最近どーなのよ?普通?はんっ!あたしたちみたいのが普通だなんて最高じゃない!
あたしの方は最悪よ、最悪!体がドンドンボロくなっていって、昨日できたことが次の日にはできなくなってる何てざらだし
感覚器官も衰えてるから食事を楽しむとかそういうこともまともにできないし。食細くなってくるしね
それ以前にあの環境での生活よ!?体が万全だってフ・ツ・ウだなんて発言あたしにはできないわよ!」
まだ話す
「饒舌になったなって?ストレスがたまってるだけよ。信頼して話せるやつなんてそうそういなかったし
その中で世間話を出来る相手なんてどれだけいると思ってるの?まったくからかう相手がいなくて気が滅入りっぱなしよ
だ、か、ら!あたしが女々しくなったとかそういうのは、一切、無い!」
ただひたすら話し続ける
自分の中の楽しかった思い出を基盤にして、愛しい男との会話を作り上げる
なにやってんだろとか、感じないわけでは無い。思い出に浸るなんて自分らしくないとも感じる
でも最後の日くらいいいかなって、思った
あいつと話した記憶を思い出して、あいつと遊んだ記憶を思い出して、あいつと笑いあった記憶を思い出す
あの日々がよみがえる。2人で何でもできると感じた日々が
幸せだったんだろう。世間一般の意味とは違うかもしれないがそれでも自分は幸福だった
だってあいつといれた。これだけでそこら辺の人より幸せだったと言える。……心の中では
捻くれた自分があいつと一緒になる確率は、そんな高くない、むしろ低いだろう
あいつが事実に気づいた時でさえ、あたしは我が身を優先し組織についた
何度ゲームオーバーを繰り返したら、あたしと一緒になれるんだろうか?
よくこんな女にくっついたな、と考えると思わず笑えてきてしまう
それでもあいつは一発であたしを選び、我が身を危険に晒してでもあいつといたいと、思わせてくれた
その事実を思い出すと身体に何かが満ちていく。久しぶりに本当の笑顔を浮かべれる。枯れかけた自分がよみがえると実感する
だからこれぐらいは許そう。自分らしくなくても。自分へと送る最後の手向けの花として

パワポケでエロパロ25
237 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:58:07.22 ID:SdOm6Nrn
「……あ〜、雨も強くなってきたわね。雨は好きだけど、髪のセットが崩れるのよね
……そうだったわね。あんたは下した姿も好きなんだっけ。まったく何がいいんだか、こんな少年っぽいの
ギャップ?まあ、あたしは大人の女だからね。そう言われたらしょうがないか
……そりゃ、ね。自分でも柔らかくなったと思うわよ。老衰間際なんだしいつまでもツンツンしてられないって」
雨の衝撃を全身で感じる。体が冷えてくるのを実感する。目も少しずつだが霞んできた
最後の瞬間を下を向いて迎えたくない、そう思い石に頭を乗せ、空を見上げる
四肢にはもう力が入らず、投げだした状態だ。首がまだ動いてくれてよかった
顔に当たる水滴が気持ちいい。自分と違う温度という物は気分がいい。あいつがそう教えてくれた
あいつの体温が好きだった。からかわれたくなくてあいつには言ったことないけど、肌が触れ合うときは優しい気持ちになれた
そういう所を見ると、あたしも根は女っぽいのかもしれない。いや少女っぽいかな?
表面がひねくれ過ぎて誰も気づいて無いだろうけど
……いや、もしかしたらあいつは気付いていたかもしれない。なんだかんだで鋭い奴だし
となると、今日の化粧も気づくんだろうか?いや、問題はないんだけど
心配されたくなかった訳じゃなくて、単に一番きれいな頃のあたしを見て欲しかっただけだし
ただまあ、それなりに頑張ったのに簡単に看破されるってのも癪だし、気づかれなかったという事にしよう
っと、目が
「見えなくなった、か。そろそろあたしもお終いかあ」
ふぅ、っと息を吐く。おそらくだが紫色になっている唇が、寒さに震える
死は怖い、が受け入れられないわけじゃない。受け入れるだけの時間はあったし、それに今はあいつと一緒にいる
そもそもこんな業界に身を置いていたんだ。十分長生きした方だろう
ただ、何か足りない。この身を死にゆだねるには、まだ
それはなんだろう?と思考を巡らせてたどり着いたのは
「……あいつの声、ずっと聞いてないなあ」
答えはずいぶんとロマンチックな物だった
前からそうでないかとは思っていたが、あたしはずいぶんとロマンチストなようだ
何処か気恥ずかしくて認めないでいたが、さすがにここまできて意地を張るのもバカらしい気がする
「といっても、今更認めても遅いんだけどね」
あいつの声を録音なんてしてないし、それ以前に録音していてもこの体じゃ操作できないだろう
すごく損をした気がする。飯のタネにもならない維持を張らなければ、満足しながら逝けたなんて
ハッピーエンドが嫌いなんて言ってたから、神様が鵜呑みにしたんだろうか?そうだとしたら実に間抜けな話だ
……それもあたしらしいか。苦笑を浮かべながら意識を手放そうとして



――――――せっかく会いに来てやったんだから、まだ寝るなんて言うなよ



線が一本、指に引っかかった
パワポケでエロパロ25
238 :とある雨の日の一日[sage]:2012/02/23(木) 01:59:06.86 ID:SdOm6Nrn
「……えっ?」
今のは、何?
オカルト、具現化、妄想幻想幻聴希望願望。頭の中であらゆる可能性が浮かび上がるが、纏まりを持たせられない
「は、はは、ははは……。王子様の登場で目が覚めるなんて、あたしは夢でも見てるのかしら……?」


――――――おいおい、俺を王子様扱いなんてどうした?お前らしくないぞ


「――っ!」
夢、じゃない。これは現実?でも何故?どうやって?あいつは確かに……
「あんたそれどうやってんの?アンドロイドも幽霊になれるとでも言うの?」

――――――さあ?俺にもよくわかんないが、話すことぐらいはできるらしい

「ははっ!何それ?そんな無茶苦茶あっていいの?はははっ!」
笑いがこみあげてくる。命の灯火が再燃焼を始める。意識が底から引っ張り上げられる

――――――いいんだよ。知らなかったか?俺とお前が揃えば何でもできるんだよ

「相変わらずクッサイわねえ!あんた最高!あはははははっ!」

――――――それにしてもお前、変わったな。死に際に俺の声が聞きたいだなんて口にするなんて

「変わってないわよ?言ったじゃない、死ぬ時は誰か傍にいて欲しいって!
あんたが死んで、女々しい部分が表に出てきただけよ!あたしはあんたが愛してくれたあたしのままよ!」

――――――そうか。それは嬉しいな。俺の方も相変わらずだよ

「それは最高な報せね。あたしが死んだらあの頃がそのまま蘇るのなんて!あはは、は、は――っ!」
心が躍る。涙があふれる。笑いが止まらない。感情の振幅が制御できない
満たされた。あたしは世界で一番の幸せ者だ。もうこの世に未練はない。あいつの元へ行こう
「あははは。じゃ、そろそろそっち行くわ。約束通り神様に抗議しに行かないとね。…………ねえ、最後にキスしてくれない?」

――――――それぐらい、お安い御用だ

そうして最後に唇にあいつが触れた感触を感じ、今度こそあたしは意識を手放す


今日の天気は雨
神様に祝福された、最高の日
パワポケでエロパロ25
239 :名無しさん@ピンキー[sage]:2012/02/23(木) 02:00:35.52 ID:SdOm6Nrn
投下終了です

こんなおいしい題材をオレなんかが使っちゃっていいのかびくびくしてるがどうしても書きたかったんだ


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