- FFシリーズ総合エロパロスレ 7
413 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:27:05.35 ID:gS0TWRmH - 突然だけど、ラムザ×アグリアスが書けたので投下。
タイトル:人の為と書いて偽り 注意書き 純愛だけではない。 基本的にシリアスな上に流血描写あり。 エロ前後が長い。 PCがよくフリーズする為、途中で投下が切れるかもしれないので、その時はまた後日。
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414 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:27:54.42 ID:gS0TWRmH - ラムザ・ベオルブは自身のミスを悔いた。目的地の白亜城からはまだ遠いと安心し、
敵の動向と地形を把握する為に少数で出かけたとき、敵からの不意を受けたのだ。 機工士や剣聖といった主力は後方で黙しており、強襲によって陣形も崩されたとあっては、 耐えることで精一杯であった。彼自身が使い勝手を知る為不慣れな黒魔道士になっていたこともあり、 時間と共に戦況は悪化。青と白に彩られた空の下に、傷ついた仲間が積み重なっていく。 手当てをすれば助かる見込みはあったが、敵は狡猾でこちらにその暇を与えない。 紫色の悪魔を従えた敵は、ラムザが二度と会いたくない、会うはずも無い人物であった。 「はっ! 仲間を助けることが最優先か! 相変わらずの甘ちゃん坊やだぜ!」 言い終えると、唾を吐き捨て、突き上げた中指を向けてきた。 髪は酷いぐらいに寝ており、常時吊り上げた目が癪に触る。 肌は生きているのが嘘のように白く、相対するように声は大きい。 「そんな甘い考えばかりだからベオルブ家の異端児になるんだよ! いい加減気づけゲス野郎! どうした? 言い返しもしないのか? 『沈黙は金』が通用するのはお前の中だけだぜ! 世間では沈黙は同意、俺の中では無能なんだよ!」 剣を上段に構え、一気に振り落とす! 大気が割れるような悲鳴を出すと同時に、 ラムザの足元から小豆色の刃が飛び出し、体を跳ね上げた。 受身を取りながら、ラムザは一歩引いた。 体内の精神力を魔法へと変換しようと集中しながら、大声を出した。 「アルガス! 僕は自分を恥じている! 一時でもお前を仲間だと思っていたことに! 貴族として、近い立場の友達ができたと喜んだことに!」 「俺こそ同じ貴族として恥ずかしいぜ! 被害者面してりゃあ貴族に磨きがかかんのか?」 「黙れ! 人として外れたお前にどうこう言われたくない!」 「お前こそ外れモンだ! 外れも外れ! 紙屑すら使うのも勿体ねえ、大外れの廃棄物だ! 相変わらず役立たずの粒々共を鍛えて連れているってのか? どいつもこいつも平民から騎士になろうと頑張ったものの、 未だにお前の手下になって使われているだけじゃねえか! 屑鉄は鍛えても名剣にはならねえ! 切り捨てちまえ! 真っ先に死ぬくせに、連中は錘の固まりだ! 少しでも機嫌を損ねたらいつ寝首をかかれるのか分かったもんじゃねえ! 出て行ったら巷でデマを流して俺たちの地位を貶める! 死なせたら遺族がどうのこうの言ってきやがる! 『最後まで立派に戦っていました』『勇気付けられました』、 逃げてばっかりの奴だろうがそんなことを言わなきゃならねえ! 貴族が、下等な奴らの顔色を伺わなきゃならねえってのは間違いだ! 俺の下僕を見ろよ! 人間ですらねえ、反抗する意思なんかそもそも持っちゃいねえ! 死ねといえば死ぬ! 化けろといえば絶世の美女にでも化けるんだろうぜ! これこそ、真に王道を行くものの駒だ! 完全な俺の道具だ! へ、死んだら神の祝福を受ける必要もねえ! 使い捨てなんて最高じゃねえか!」 アルガスが指をつうと横に動かすと、紫の悪魔が吼えた。ラムザの周囲が、 高濃度のガスに包まれたように空気が重くなった。咄嗟の判断から逃げようとしたが、 慣れぬ黒魔道士の体では上手くいかず、爆発を受けてしまった。持っている剣が弾かれ、 体が地面を舐めた。服が爆発で焼け、匂いが鼻に刺さる。 傷を負ったラムザにもう一体悪魔が襲い掛かり、鋭い爪を振り下ろしてきた。 死の直感の中、体が勝手に手を振り上げ、受け止めた。
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415 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:28:30.93 ID:gS0TWRmH - アルガスの舌打ちが響く。
「往生際が悪い奴だぜ。死人の俺もびっくりすらあ!」 培った技術で防いだものの、次もできる保証はない。 それどころか、手が痺れてまともな行動もできそうになかった。 「隊長!」 仲間が、負傷している体を引き摺り、ラムザに近寄った。ハイポーションを使おうとしたとき、 紫の悪魔が飛び掛り、ラムザもろとも壁へと叩きつけた! 仲間は血を吐いて倒れ、持っていたハイポーションは瓦礫の間に落ち、瓶口から中身が零れた。 「大、丈夫?」 眠り子を起こすような優しい問いかけに返事はなかった。命に関わる状況だった。 ラムザも、己の体が死へと向かっていくことを心音の弱まりと共に実感していった。 頭の中に、仲間たちの顔が浮かんでくる。特に、最近戦いに意欲的で、 かつ自分が思い焦がれている女性の騎士の顔が。彼女に想いを告げていない。 裏切られ続けたとき、お前を信じると言ってくれたときの感謝の気持ちも伝えていない。 ピュアな思いをかき消すように、アルガスの胃液をもらすような笑いが聞こえる。 「もう分かったろ! 仲間の特性を生かしたなんてどうでもいい! 要は、正しい道を貫いていけばいいんだよ!」 「アルガス……お前の道は……間違っている」 「ほざいてろボロ切れ! お前には真っ赤になった死に装束がお似合いだ!」 指がぱちんと鳴った。紫の悪魔がラムザを叩き潰さんと再度手を掲げた ――その姿勢のまま、悪魔は前のめりに倒れた。地面に顔をつけて、 踊り狂ったように手足を動かしたが、やがて止まった。背中に、一直線に開いた傷が出来ていた。 アルガスは焦りながら周囲を見回した。 「なんだよ、こいつを倒せるような奴がいたってのか!」 アルガスだけではなく、ラムザも周囲を見た。ナイトのラヴィアンとアリシアが悪魔の前に立ち、 共に斬り付けた。倒すには至らなかったが、相手は完璧に逃げへと転じていた。 こちらの動向を窺っているところを、雷光のような衝撃波が襲った! 「間に合ったな」 ラムザの近くに、新たに女性が一人寄った。影ですら麗しさを持っている。 腰まで届く金髪を後ろで編み、甲冑で上半身を覆う。赤いズボンと膝まで履くブーツ、 体の露出は首から上と少ないが、一目で女性と分かる美しさ。 ラムザは死に掛けの顔に、急に生気を漲らせた。 「アグリアスさん!」 「休め。もうじき援軍が来る」 長い髪をさっと払い、長剣をアルガスへと向けた。 「無双稲妻突きッ!」 直後、雷鳴のような音が衝撃と共に轟き、アルガスの体を城壁から落とした。 「うおおっ!」 転がりながら慌てふためき、受身を取れなかったアルガスに、 地面が破裂したような衝撃波の追撃が決まった。 「げはああ!」 主の絶叫によってか、悪魔たちがうろたえ始めた。だが、すぐに「うるせぇ!」と黙らせた。
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416 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:28:59.63 ID:gS0TWRmH - 「が、ふ! な、なんだ、こんな剣技を使うような奴が、あいつの仲間にいるわけが」
アルガスは転げ周りながら声を周囲に撒いた。受けた技は聖剣技、 そこらの者では覚えようとすることすらできない、高貴な生まれもしくは相当なコネが必要だった。 「あいつはただの甘ちゃんだぜ、そんな奴に、騎士がついていくわけが!」 転がりながらラムザから離れる。悪魔たちがいつでもアルガスを守れる位置にいる為、 うかつに攻撃もできないまま時間が経つ。こちらにとっても好都合だった。 ラムザの体力と精神力を回復する時間が取れたのだから。いつ状況が変わるかも分からない、 たゆたった生温い空気の中、ただ時間が過ぎる。 やがて、アルガスが血だらけの顔で笑った。 「そうか! ラムザ、お前も堕ちたなぁ。どうせ、金か地位でその女を釣ったんだろ! 何を言ってもその程度、ちょっと道具さえあれば理想や信念はどうにでもできるって人間だな!」 「ふざけるな!」 大声を出すまでに回復したラムザは激昂した。隣で、アグリアスが同じように眼光を鋭くしていた。 「その女も、貴族としての面子よりも、お前に股を開く方が好きってことだ! 騎士の名が泣くぜ!」 「黙れ、アルガス!」 アグリアスを侮辱した言葉が出た瞬間、ラムザは今までのどの言葉よりも腹が立った。 頭の中は怒り一色となり、身体は冷却の最上級魔法を唱えていた。 ラムザの体は発動に必要な精神力を既に得ており、数秒で周囲に兆しが見えた。 大気の動きが阻害され、吐いた息がその場に漂う。耳の奥でパクンと音が鳴る。 鼻の穴が塞がり、呼吸がまともにできない。電気が走ったように体が痺れる。 ぼろぼろのアルガスは体を丸め、縮こまった。 「な、なんだよ……寒い……さむい……う、いやだ……。 このさむさは、しんだときとおなじ……いやだ、いやだ!」 指を口元に運び、指笛を吹いた。人間には聞き取れないような周波であったが、 従順な悪魔たちはアルガスの指示に従い、既に生物に悪影響しか及ぼさない環境の中に入り、 主の前に立った。何体も同じようにすると、アルガスは悪魔の体にすっぽりと覆われた。 「だめか!」 固まった悪魔たちに守られ、生き残る――冷えた頭と今までの経験から容易に予想ができた。 だが、もう一つの事態に気付いた途端、心臓が熱を持ち、声が出た。 「アグリアスさん!」 悪魔に守られるアルガスへ、アグリアスは単身飛び掛っていた。 具現した氷に映る彼女の表情には、確かな怒りが表れていた。ラムザが侮辱されたこと、 自身を侮辱されたこと、二つの想いが合わさりアルガスを倒さんと、 ラムザの詠唱とほぼ同時に攻撃へと転じていたのだった。 ラムザは手を伸ばし、彼女を助けようとするがどうにもならない。 異様にゆっくりと流れる目の前の光景を、瞬きもする間もなく瞳に捉えていた。 自らの放った氷の魔法が周囲を包んでいく。アルガス、悪魔、そしてアグリアスを。 断末魔を上げる口も閉じられ、無言のまま死んでいく悪魔たちと、 異常に気付いたときには既にその肌を氷像へと変えつつあったアグリアス。 そして、一人無事にいるであろうアルガス……。 「隊長! 戻って!」 ラヴィアンとアリシアがラムザを冷気から離すように彼の体を運ぶ。泣いたような声が周囲に響いた。 ……間もなく援軍が到着し、戦いはラムザたちの勝利に終わった。
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417 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:30:45.41 ID:gS0TWRmH - 巨蟹の月一日。
太陽が微笑んだように、暖気が降り注ぐ。鳥や犬猫の鳴き声がそこかしこから聞こえ、 かすかな風は草木を揺らして風景に変化をもたらす。奈落も繋がんばかりに大樹の根に紛れて、 ぽつんとある一軒の宿屋の中で、アグリアスは目を覚ました。 「許さんッ!」 と身を起こして声に出した瞬間、神経を槌で潰したような痛みが体中に走った。 痛みに耐え切れず、体を布団に横たわらせる。筋肉痛というよりは、 ダメージが抜け切っていないもので、骨から痛みが滲んでいる。 っと、辺りに目を向けると、苔が生えた情緒あるレンガ、周囲を黒く焦がした暖炉、 模様の無いタイルが敷き詰められた床、使い古した調度品の数々。 戦いは終わった、自分が生きているということは勝利したのだ、と思い、安堵の息を吐いた。 後ろで三つ網に束ねていた髪の毛がはらりと解け、肩にかかっていた。 整えるのが大変なのに、とため息をつくと、下半身におぞましい感触を覚えた。 何か、ハリネズミのようなものが布団の中にいるのか、と思ったとき、 もこもこ、と布団が盛り上がり、「ぷはっ!」と荒い呼吸とともにラムザが現れた。 しかも、一糸纏わぬ姿。いや、彼だけではなく、自分も裸。つまり、一枚の布団の中に、 裸の男女がいたことになる。急に体が焼き石を熱く、真っ赤になる。 蜃気楼でも見ているかのように視界が渦を巻きだした。 「な、ななな……破廉恥な! 貴公、斬るぞ!」 愛剣を探してベッド横で手を動かすが、毛が逆立つような痛みで動きが止まった。 へなへなと背中を出して布団に倒れる。ラムザは布団から出ると、 「誕生日おめでとうございます」と声をかけながら彼女に毛布をかける。 壁にかけてあるバスタオルを纏うと、ベッド横の椅子に座った。 「よかった……本当に心配しましたよ。意識が戻らなかったらどうしようって、 昨日からそればっかり考えていたんですよ。もう、なんて……表現したらいいか……」 しゅんと首を縮める。涙が浮かび、目尻にたまって今にも零れそうであった。 「泣くな! 私は替えがきくんだから」 「貴方の替えはどこにもいません」 「戦力ではもっとマシな人がいるだろう」目を真開き言い切る彼に、アグリアスは顔を軽く振った。 首は痛まない程度の動きだったが、心は釘が打ち込まれたように痛んでいた。 「私は、剣技は未熟だし、銃のように遠くから攻撃はできない。 かといって魔法も秀でているわけではない。極めたようなものは何一つない。 その上感情的になって味方に迷惑をかけてしまう。除名を申し付けるなら、いつでも言ってくれ」 ラムザは、いじけるようにアグリアスから顔を背けた。 「アグリアスさんを除名なんて……口にするのだって恐ろしいんですよ。 そういうことは言わないでください」 真剣な顔と言葉に、胸が熱くなった。体を見られているのとは違う熱さで、心地よい。 もっとラムザの言葉を聞きたいと思いながらも、こほんと咳払いをして、 「昨日の戦いはどうなったのだ?」と聞いた。 「ムスタディオがやってくれました。伯の技も冴えましたし。 ……さすがに、一時撤退にはなりましたけど、誰も欠けることなく戻れましたよ」 「そうか。何も失っていないのなら、それで結構だ。 しかし、後退してしまったな。お前の妹を助けるのが遅くなってしまった」 「気にしないでください。慌てて二歩進んで転んだら大変です。ゆっくりでも二歩進めばいいんです」 「お前は優しいな」 と言いながら、アグリアスはどこかラムザの声に違和感を持った。 妙に声が朗らかだった。泣いている子供をなだめているみたいだ。 「本当に、誰も欠けていないのか?」 「はい。剣に誓います」 言うなり、剣をベッドの傍らから取り、切っ先を上に向け、念じるように柄を額に当てた。 「私の命と同等に大事な剣だぞ?」目を細めて言うと、素直に謝り、剣をベッド横に置いた。 「とにかく、誰も欠けていません」と朗らか過ぎる声を出す。 嘘はついていないように見える。ほっとすると、露出したままの背中を隠す為に毛布をかぶった。
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418 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:32:27.91 ID:gS0TWRmH - 布団の中で体を撫でた。ところどころ触れると傷が痛む。
それに、負った記憶の無い痛みがあちこちからする。毛布をちらとめくり、 光を差し込むと藤色の痕がいくつも出来ていた。左右対称でコブがある。 何かの形に似ていると思ったとき、ラムザの声が聞こえてそっちに気を向けた。 「すみませんでした。僕が、アグリアスさんがいたことに気付かずに魔法を唱えてしまって。 それと、こんなに恥ずかしい思いをさせてしまって」 アグリアスは、フッとため息を吐くと、つむじまで毛布を被った。 「確かに。誰にも見せないと思っていたが」 「す、すみません……でも、僕はアグリアスさんにどうしても死んでほしくなかったから! 温めるなら、酒を飲むより裸で抱いた方が効果はあると聞いたので」 毛布を少し上げてみると、ラムザは視線を下げていた。性器を通り過ぎ、床しか見ていない。 そこまで落ち込んでいると、こちらも状況判断を怠ったこともあり、 責めるのもどうかと思えてきた。布団から顔を覗かせる。 「お前の魔法に気付かずに飛び込んだ私が悪かった。それも、お前を守ることを忘れて、だ。 今後同じ間違いをしないよう最善の努力をする」 「……あ、はい!」 「お互い様だな」 「ええ!」 急に声の調子を上げた。猫がスキップを刻むような明るい声で、皆のことを語りだした。 「僕と偵察隊もすっかり傷を癒しましたよ。回復魔法を唱えあって、 それができないものはポーションを使っています。アルガスは馬鹿にしていましたけど、 こういう仲間同士の助け合いがとても大事だと思うんです」 「全くだ。皆お前のことを信用し、命を預けているんだ。感謝を忘れるな」 「もちろんです! 特に、アグリアスさんはずっと支えてきてくれましたから、一番感謝しています」 「……光栄だ」 「ゆっくり体を癒してください。本当に、助かってよかった……」 感極まっているラムザの声を聞いていると、こちらまで泣きそうになってしまう。 騎士としてそんなところは見せられない、毛布をかぶって表情を隠した。 「そ、そうだ。せめて服を着たい、場所を教えてくれないか?」 「クローゼットの中です。持ってきますね」 「ああ」 「一緒にポーションはどうですか」 「頼む」 「かしこまりました」 ラムザの足音が異様に明るい。朗らかな声とは違い、単に彼が浮かれているだけのようだ。 レンガに靴が当たる音は、こつこつとしているのに不思議なことに気が楽になる。 アグリアスは布団の中でくすっと笑った。ラムザのことを考えると、無表情ではいられない。 何度裏切られても仲間を強く信じられる人柄と、 異教徒とレッテルを貼られてもなお強い精神力をもって行動している姿は、 他に似たものがいないほどの不思議な魅力となって、心を惹きつけていた。 いつしか、どんなときでも彼のことを考えるようになった。今まで経験したことがなかったが、 ラヴィアンとアリシアに相談したら「恋ですね」と断言された。そんなもの、と思ったものの、 以後、意識する回数が増えた。アルガスに飛び掛ったときも、騎士を馬鹿にされただけではない。 それだけであれば挑発で済ましたが、ラムザを馬鹿にされた途端に抑えが利かなくなった。 温め、凍傷から救ってくれたのも彼でよかった。男性はもちろん、同性やモンスターであっても、 裸体を晒したということで誇りは大きく傷つき、安易に許すことは無かっただろう。 ラムザだからこそ、「お互い様だ」と言い切ることができた。
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419 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:33:05.41 ID:gS0TWRmH - (恋、なのか……20を過ぎてから知るというのは正常なのだろうか?
それに、今ラムザのことを考えると、へ、変な気持ちに) 何かが、太ももの間に挟まっているような気がする。寝返りもできない体でもぞもぞ動いた。 毛布を上げて光を差し込ませても何も無い。陰毛に彩られて鮮明ではないものの、 何かが挟まっているとは思えなかった。見えなくとも、確かに体が異変を覚えている。 意識しだすと、感覚がそこへ集中して、もはや頭から払うことなどできなくなっていた。 (ラムザ、お前は何をした?) 思い切って声に出そうとしたとき、ラムザが服の上下、間に下着を挟んで、 ちょこんとポーションを乗せて持ってきた。 「どうぞ!」 「ありがとう、ラムザ」 下半身のことは頭から離れた。しかし、引き換えたように、 今度はラムザのことが気になって仕方が無い。彼の、幾度も裏切りを浴びたにも関わらず、 清流のような輝きの瞳に見つめられているだけで、心音が外に漏れそうなほど高鳴りしている。 ポーションを口から一気に注いで体を冷やしても、高鳴りは一向に収まらない。 顔の赤さは想像するだけでもイチジクの様になっている。思わず彼から視線を外す。 「どうしました?」 「炭酸を飲んだからだ!」 自分でも意味の分からない言い訳をすると、言い直すような速さで、「服を着る!」と叫んだ。 声と行動がほぼ同時で、布団を押しのけ、起き上がった。和らいでいる痛みは、 それでも動きを阻害し、ベッドから体が出たところで動けなくなった。 おまけに、体がつい丸まってしまい、体育座りをするような体勢であった。 手足で大部分を隠したが、ラムザに、明るいところで見られていると考えると、 途端に羞恥に襲われ、足元と乱れた髪しか見えなかった。 ラムザは何も言わず、改めてこちらの視界の中に着替えを置いてくれた。涙が出そうだ。 下着を手に取ると、足を少し上げ、両足に通した。突然、強い視線に襲われ、身が強張った! それは、遠くから弓使いが狙っているようなものではなく、近距離で魔物が攻めるような、 殺意めいた凄まじいものであった――ラムザが体をさらい、疎らな意識の彼女を布団に落とした! 「どうした」と感嘆符もつけられない突発的な声が出た。ラムザは抱きついて、 震えていた。吐き捨て場が見つからない、異常なほどの震えだった。 泣き声さえも震えて聞こえ、彼女の気分を闇とさせた。 胸の中で震える彼は、覆うように手足を伸ばして重なった。抵抗ができないように手首を捕まれ、 ベッドから食み出たところで無理に曲げられた。足が、両膝によって開かれて、 内腿が合わさる。彼の行動が異常と知りつつも、何もできなかった。 アグリアスは言葉につまり、ラムザを見ていた。彼は視線も知らないように、 咽るように泣いていた。目から雫が、熱を持って胸に落ちてきた。 「アグリアスさん……ごめんなさい。僕は、最低の……アルガスの言うとおりの人間です」 「違う。お前は私達がリーダーを任せておいて、些かの不満も」 口が、彼によって塞がれた。言葉が詰まった。息苦しさと嫌悪に振り払おうとするが、 一瞬離れても再び覆われる。口付けの時間は長く、触れている唇から流れてくる唾液が、 どちらのものかも分からないほどに混ざり合っていた。 息もまともにできず、額から汗が吹き出る。目頭がじゅくっと熱くなる。 過去の幻影のように、どうしようもない時間が長々と続く。 不意にラムザが離れ、視線が下へと向けられた。剥き出しになった女性器から、白い液体が零れ出た。 液体が注入されてから時間が経っていると教えるように、一部が乾いていた。
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420 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:33:51.69 ID:gS0TWRmH -
「へ、ザマーねえ! 勝手に同士討ちしやがった!」 アルガスは氷塊が解すると、悪魔の死体を蹴り飛ばした。彼も無傷では済まず、 攻撃を加えれば倒せそうだが、ラムザの体は首しか動かず、ただ見上げるだけだった。 ラヴィアンとアリシアが代わりとばかりに飛び掛ったが、アルガスが放った剣に吹き飛ばされた。 「ラヴィアン、アリシア!」 返事は無く、アルガスの高笑いが轟く。 「お前が気にすんのはあいつらじゃねえ! この女だよ!」 呼気が白くなる中で、アグリアスを踏みつけた。霜が張っており、踏むとシャリと音がする。 「ラムザ、お前みたいに、感情だけで生きる奴じゃ駄目だな。 へ、へ、へ、愚か者ってのは自分が愚か者ってことにも気付かないから反省もしねえ! 同じことを繰り返す、そのうち目も当てられない事態を呼び込んじまう! ベオルブ家のお坊ちゃん、お前の行動の結果が、これだ!」 アルガスは、アグリアスの髪の毛を掴み、彼女の体を持ち上げた。体は恐ろしく青白く、 目は閉じられ長い睫毛に霜がある。唇は、時を忘れたように止まっている。 流した血も止まり、心臓も止まっているのでは、とラムザを焦らせた。 冷気で脆くなった甲冑は、軽く蹴っただけで繋ぎ目が割れ、甲高い音を立てて青の服を露出した。 「おいラムザ、残念賞をくれてやるよ!」 アグリアスの髪を強引に引っ張り、自分と同じ高さにまで持ち上げた。 グローブをはめた手で唇を擦る。青白かった唇が、元の色を取り戻していた。 ラムザの表情が変わった。 「やめろ! やめるんだ!」 「ハッハッハ! そうやって遠吠えでもやってな! 負け犬には相応しい姿だ!」 「貴族としての誇りも忘れたのか!」 「負け犬が意見するな! 得ようとするな! 気まぐれに与えられるモンを、 文句一つ言わず、尻尾と首を振って有り難く頂戴してりゃあいいんだよ!」 アルガスは、言葉の勢いのまま唇を押し付けた。ラムザの息が一瞬止まった。 穢れの無い、美しく毅然としていた女性が、自分の知る限り最も下賎な男に……。 それも、自分の行った魔法のせいで、抵抗することも、 奪われたと認識することもできずに、事実だけが出来てしまった。 貪るような勢いに、アグリアスの髪の毛が振り子のように揺れた。……アルガスの舌が、 スライムが獲物を食酢ように口の中を侵食していく。頬の膨らみが、舌の動きを示していた。 かき回すたびに、空気を混ぜた音が厭らしく響き、金切り声のように神経に堪える音となって、 ラムザに届いた。行為が幻ではないように、青白かった彼女の頬は色づきがよくなっている。
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421 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:35:43.39 ID:gS0TWRmH - 舌を唾液で繋げながら、アルガスは口を離した。グローブで唾液を拭うと、外して投げ捨てた。
「へ、そこらの平民には興味はねえが、騎士ともなれば興奮してくるじゃねえか!」 服の上からでも分かるほどに股間を膨らませ、彼女のズボンに擦り付けていた。 「アルガス、お前は絶対に……」 「這いつくばって凄んでいりゃあ、実現するとでも思ってんのか!」 怒号のままに、彼女の服を破いた! 服の裂け目から、モデルのように見事な膨らみが除ける。 露出するや否や、服の隙間に手を突っ込み、力いっぱいに揉み潰す。 アグリアスの表情がかすかに動くが、どれだけ強く握られ、形を無残に変えさせられ、 授乳の為の突起を赤く肥大化させられ、それが全てラムザの前で行われても、 彼女の意識が戻ることはなかった。破けた服の間に口を入れ、 じゅるっと音を立てて吸うと、アルガスは胸から顔を離し、ラムザを見下ろした。 「ずっと見ていて、お前も思っただろ? もっと下へ行けってよ!」 「下……」 何を言っているのか分からなかった。胸を弄っているという光景だけで、 既に現実のこととは思えなかった。アルガスが、彼女の赤いズボンを脱がせても、 それが何をしているのか分からなかった。彼だけが見えるように、彼女の向きを変え、 下着を剥ぎながら開脚させ、女性器の形を花に例えて詳細に説明し、指よりも先に肉棒を当てても、 ただの動きとしか見えなかった。少しの潤滑油も無いままだった為か、 彼女の表情には明らかな痛みが表れ、小さな悲鳴が出た ――ようやく、アルガス以外の全てのものにとって最悪な事態となっているのだと気付いた。 「やめろォッ!」 動かないはずの体を、引き摺るようにアルガスに向かう。魔法を放つ力もなく、 弱々しく握った拳で殴りかかろうと、城壁を登る。謳うような笑い声がする。 「ほーら、亀頭が完全に入っちまったぜ」 アルガスは、己が少しずつアグリアスと繋がっていくことを説明していた。 「かーっ! 愛液が滲んできて燃えちまいそうだよ」 言葉なんか耳に入れたくない! 怒りのままに、ラムザが拳を叩きつけようとしたとき、 アルガスは、口の端を醜いほど吊って笑った。 それまでアルガスしか見えなかった彼女の性器を、ラムザにも見えるように、 彼女の右足を下げた。ラムザに、自分とアグリアスが繋がっているのだというところを、 まざまざと見せ付けた。破瓜の血が、軌跡を示しながら大陰唇を滑り落ちていく。 繋がったきり離れようとしない二人の姿が、凍結して終えるはずだった生涯を、 体の芯から温めて救おうとしてくれた救世主として、アルガスを好意的に受け止めているように見えた。 涙を流すことなく、小さく声を上げるだけの姿が、騎士としての最後の抵抗に思えた。
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422 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:36:17.96 ID:gS0TWRmH - 「ア、グリアス、さん」
ラムザの体から力が抜けた。彼女が、彼女でなくなってしまった。 登りかけていた城壁から崩れるように落ちた。登ってももう何も変わらない。 失ったものは戻らない。地面に顔をつけたままだった。土と砂が肌にかかり、ちいさな呼吸が出た。 「どうしたラムザ、この、女の声でも、聞いておけよ! お、ラムザって聞いたら、締まりが、よくなったぜ! お前のことを気に入ってるみたいだな!」 下卑た声が震え、息切れが混ざった。アグリアスを侮辱しただけでは飽き足らず、陵辱し、 処女の快感を貪っている。ラムザの耳には、更に、愛の欠片もない性交によって、 彼女が性感を得ている声が届いた。小さな、吐息に混ざるようなものであったが、 過敏になっている今の彼には金属を擦り合わせるような不協和音となっていた。 初めて彼女の声を聞きたくないと思い、耳に手を当てるが、なおも小さな声が聞こえ続けた。 声とともに、性交による振動が伝わってくる。次第に、動きが早くなっていき、 やがて男の大声が聞こえると、途端に声が止まり、唾液を混ぜたような水音が聞こえた。 間もなく、彼女の体が地面に落ち、シャリと霜を潰す音がした。 「ほら、とっとけ!」 ラムザの頭に、彼女が着ていた服が落ちてきた。痛いほど冷えていた。 「へへへ、とっととやっちまっておけば、少なくとも俺よりは前にやれたのにな。 この女は後で相当後悔することになるだろうぜ! お前なんかを信じたせいで、何もかも失ってしまったってな!」 アルガスがそう言い放った瞬間、銃声が響き、彼の体がすっ飛んだ。 荷を乗せたチョコボの足音が聞こえる。雷神の裂帛の気合の声と、 重く破裂するような銃声が空気中に響き渡る! その大音量に紛れて、 アルガスの小さな断末魔が聞こえた。 戦いが終わり、血生臭い戦場から負傷者が運ばれる。迅速な手当てにより、 次々に命が繋ぎとめられていく。幸いにも誰一人欠けることは無かった。 ラムザは意識がある者を元気付けると、気絶しているアグリアスに寄った。 唇からは唾液と共に白い液が漏れ、緩やかに頬を下っていた。 アグリアスは、何が起きたのかも知らないように、小さく呼吸をしている。 最初は呼吸もできない状態だったのに、アルガスとの性交によって回復してしまったことが、 血の気が引くようにおぞましく、握りこぶしから血が滴るように悔しい。 裸体を晒し、股間からはアルガスの放った液が付着していた。忘れたいように目を背けると、 服を脱ぎ、彼女の体に被せた。誰の目にも触れさせたくなかった。
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- FFシリーズ総合エロパロスレ 7
423 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:39:12.72 ID:gS0TWRmH -
ラムザは、今、組み敷いている女性を見て、悔し涙を浮かべていた。 自分の方が、何倍も彼女のことを好きでいるつもりだ。 彼女の両親にも引けをとらないかもしれないと、胸を張って言える。 いない生活が考えられない、それほど思っているのに、彼女を女にしたのは自分ではない。 しかし、自分の起こした行動によって、彼女が男の味を知ってしまったことが堪らなく悔しかった。 「アグリアスさん……貴方の体、冷えていましたよ。服を着せて、 暖炉がある部屋で布団に寝せてもずっと目を瞑っていて。 冷たく、このまま命の灯火が消えてしまいそうで……」 触れている場所は、もはやどこに触れてもぬくもりが感じられる。 「不本意だったけど、僕が体で温めたんです」 「な……」 唾液が乾ききらない口で声を出すと、彼女は固まった。 薄々気付いてはいたが、改めて言われると、途端に普段隠れている女性的な感覚が現れ、 顔を朱に染める。その顔色が、ラムザを一段と喜ばせる。 だが、ラムザの喜びは、到底満足とはいえないものだった。 ラムザは、アルガスがしたように、彼女に自分の味や匂い、 感触といったものを染み込ませたかった。昨日、暖炉に薪をくべ、炎を当てると同時に、 彼はアグリアスの体を肌で温めた。やろうと思えばすぐにでも彼女の体を、 自分の思い通りにできたのだが、眠っている相手に、自分が一方的にというのは不道徳、 人間として恥ずべき行為という考えが強く、行動には至らなかった。 いくら彼女が男に抱かれた体であっても、彼女は認識していなかった。 何もせず、時間が彼女の体の汚れを薄くしてくれるのを待つ気であった。 しかし、彼女の着替えの為に足を上げたとき、アルガスの精液が性器から零れ落ちた ――ラムザの理性は、その瞬間に音を立てて崩れた。押しつぶされそうな後悔の念と、 払拭する為には何でも捨ててしまうであろう強烈な嫉妬が闊歩した。 心の底から彼女を愛している自分が出来ないのに、名前も知られていないような奴が出来る。 不公平なことはいつの世も犯罪のようにあるものだが、あってはならない不公平だった。 アルガスに犯されたときの彼女の姿が脳裏を過ぎった瞬間、意識が飛んだ。 気がついたときには、彼女を組み敷き、抵抗を踏み躙りながら口付けを交わしていた。 高まってしまった自分の性欲はもう引けないところまで達していた。 組み敷き、唇を奪ったということをしてしまったら、もはや後戻りはできない。 体も心も止まらない、アルガスに対する劣等感を振り払おうと必死だった。 「アグリアスさん……」 右手を離し、左手だけで彼女の両手首を掴んだ。彼女の血の流れが悪くなり、赤色が褪めない。 なおも状況を把握できず、ラムザを盲目的に信じている彼女は、唇をぱくぱく動かした。 「ラムザ、いつまでふざけるつもりだ? お前がこんなことをするわけが……な……」 ラムザの手が、アグリアスの胸を握った。 乳房を丸ごと手に収めんほどに形を歪めていた。苦痛を何度も訴えてくるが、 無視し続けていると、次第に、時計の秒針の音のように気にしない存在となっていった。 彼女自身の魅力に少しも劣ることなく、乳房は飽きさせることなく形を変える。 可能な限り握り、内外に引っ張り回す。動くたびにゼリーのように余韻を持つ動きが、 悩ましいほどにこちらを煽る。鎧に阻まれ、未だ誰もこうまでしたことはないだろう形に変えると、 頂の突起に唇を置いた。唇に隠れた歯で軽く擦ると容易に捩れる。歯を離すと戻ろうと波打った。
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424 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:40:01.17 ID:gS0TWRmH - 心音が高まりを見せると、胸から視線を下げた。下着にいつも隠れていた場所を凝視した。
薄っすらと髪と同じ金色の毛が生えているものの、性器の保護というにはあまりにもか弱く、 指で撫でるとさらさらした感触とともに、風に吹かれたようにあっさりと靡く。 毛の流れに視線を沿うと、女性器があった。女性としてよりも騎士としてを優先していた彼女も、 ここは大事にしていたのだろう。汚れは少なく、蹂躙による痕跡が目立っていた。 精液が枝分かれして二つの列を作り、嫌な匂いが出している。自分のでさえも嫌悪になる匂いだ。 既に膜がひしゃげられ、種が奥深くに撒き散らされていると知ったら、 彼女はどんな反応をするだろうか。誇り高い彼女が、美しい顔を惨めに歪めて泣き出すかもしれない。 いっそ自ら死を選んでしまうかもしれない。想像するだけで吐き気がした。 彼女を清めたいと思うと、一秒でも早く埋め込もうと気が急いて、力任せになっていた。 指先が膣口に触れた。夏の日差しよりもずっと熱い。興奮して息が早くなる。 大陰唇と小陰唇の溝に指を当て、くいっと拡げた。どろりと精液が下水のように流れ出て、 指にかかった。同時に一日女性器の中で熟された匂いが広がった。 泣いて痛んだ頭が更に痛くなる。だが、白い液の奥に見える桃色が、一瞬ながらも扇情的に映え、 人差し指が奥へと誘われた。彼女自身が作り出した熱液が爪の間にまで浸透した。 根元まで押し込むと、体全体が跳ねた。とろりと、膣から精液が零れ、手の平に溜まった。 彼女の体が一層強く逃げようと動いたが、構うことは無かった。 傷ついて、まともに動けない彼女の抵抗は弱く、妨げにならない。 膣に入った指をぐりぐりと捻り、膣壁を撫で回しても抵抗は初期と変わらない。 懸命なのは分かるが、雀を捕まえ握っているようなもの、 不意を衝かれなければ絶対に逃がさない(逃がしてたまるものか)。 指が一際力強く押し込まれた。既に動いたこともあり、指が液でべたべたになった。 残念なことに、彼女の体から出たものだけではなく、異物による粘り気も手に絡んでいた。 指先に、関節に、爪の間に触れていると思うだけで胸が焼けるほど悔しくなった。 汚れた彼女を、少しでも早く綺麗にしてあげたかった。 指を抜くと、自身の性器を掴んだ。彼女の体に触れていたことが嘘のように角度が小さい。 自ら扱き、包皮を伸びきらせても屈んだままだった。 「すみません、ちょっと待っていてください!」 返答も聞こえない中、彼女の太ももに自身を当て、濡らした。 鎧に常に包まれ、日に晒したことがないように白い肌は、 敏感な性器を傷つけることがないほど滑々としており、肌の色とは裏腹にほわりと温かい。 すぐ裏に彼女の堂々とした立ち振る舞いを支える力があり、ほどよく固く、 表面の肌触りとともに程よい感触を与える。包皮が伸びきり、 肌色が抜けきらない亀頭をそれでも動かし、経験がないほどに勃起させた。
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425 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:41:18.25 ID:gS0TWRmH - 女性器に添えると、彼女の顔を見た。目は敵意を持って睨みつけている。
歯を食いしばり、首を何度も横に振っている。両腕の抵抗にもならない動きが、 ラムザの左手を僅かに動かし、押さえ付けられても、もがき続ける。ラムザはやめなかった。 「許してください……汚れている貴方なんて、見たくないんです」 瞼の裏に焼きついたままの、アルガスと繋がってしまった膣の光景を消し去りたかった。 呪いを解くように神に祈った。くにゅと先端が触れると、腰を押し進めたが、上手く入らない。 やや下向かせた亀頭が上手く収まるところを見つけると、強めに腰を押し込めた。 膣が拒むように閉じられていたが、力任せに押し切った。根元まで、溶けるように熱くなった。 ラムザは、張り詰めていたような重い息を吐き、大粒の涙を零した。 アルガスだけを受け入れたのではない、自分も加わった。彼女が意識しているという点で唯一人。 鼓動とともに劣等感が優越感にすげ替わっていき、金色の草が揺らめく様のように、 気分が晴れ晴れとする。今なら聖人のように水をワインに変えられるかもしれない。 爽快な気分のまま、腰を微かに動かす。処女ではなかった為か、 膣の圧は痛みを持つほどではなかった。内部は密林のように暑く湿っている。 精液だけでなく、彼女の愛液も確実に出ており、歓迎するように染み付く。 いかなる果実も腐って思えるほど瑞々しく、触れた部分が歓喜した。 「嬉しい……生きてきて、一番……」 アルガスに対する嫉妬が薄らいだ今、自分の為だけに彼女を求め、 入らずにいる部分を無理に入れ込み、本能のまま腰を振った。 幸福一色だった頭は体を味わうごとに白くなっていき、打ち続けているうちに、 憎しみも喜びも消えていった。惚けたような視線を胸に向け、波打つ乳房に顔を埋めた。 頬肉がぴたぴた打たれても離さない。胸の谷間に口を下ろし、藤色の痕をいくつもつける。 愛らしく、一つ一つを舐めた。両頬に柔肉が当たる中、甘美な声が聞こえた。 膣に入った腰を強く深く打ち付けると、一突きごとに艶やかさを増していく。 声を一つ発するたびに、彼女が性欲の虜へと変わっていく気がした。 おぼろげな意識が一段と喜んだ。 突起を口に含み、軽く吸い付くと、痛みの渦中にあるはずの体が跳ねた。 膣の締めが増し、愛液が膣口から零れ、二人の陰毛にかかった。 力を入れて吸うと、突起は瞬く間に赤みと硬度を増した。 もう片方にも指を当て、乳房に埋め込むように押しつける。 胸に包まれ見えなくなったが、硬くなったことを指先で悟った。 涙でぼやけた視界は、彼女の体の変化を薄っすらと確認していた。 怪我の為に元々弱かった抵抗は官能に流されたように、 ラムザの一挙一同を拒む力は皆無に等しくなっていた。 性欲に流されたように、脚が広がり、ラムザをより広く受け入れている。 彼女が性欲に塗れていく気がした。アルガスでは決してできないことを、自分はできる。 急ぐこともなく、誰かに目掛けて吼えることもなく、感情の想うままに存分に動ける。 単純なことが、ただただ嬉しかった。
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427 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:42:26.02 ID:gS0TWRmH - 涙が目元から零れ、撹拌されていたような視界もいくらか正常になりつつあった。
なおも憎悪のように燃えていた性欲に身を任せ、首筋にキスを降らせる。 彼女が目覚めないうちに行っていた数度の口付けは内出血を増やすだけであったが、 今度は性感の裏づけとも言える猫なで声が聞こえた。 蕩けそうな響きに、性の高まりも限界間際に来ていた。 今にも終えてしまいそうな性交の中で、何もかも忘れて彼女の唇を再度奪った。 薄皮越しに硬いものがぶつかり、歯がかちんと鳴ったが、痛みに勝る満足感に笑顔が浮かんでいた。 昂ぶった性欲のまま腰を振った。お互いの体が擦れあう音が、 液体がかき回される音と混じり卑猥に奏でられる。ベッドの足がギシギシと鳴き、 布団は二人の汗と体液で一部が青く透けていた。 彼女は、操られているように抵抗が止み、喘ぎ声以外が出せなくなっていた。 体力も気力も意識も奪われ、騎士という誉れ高い立場であることを忘れ、 本能のままに声をあげているように見えた。 彼女を自分の所有物と言わんばかりに強く抱きしめると、髪の毛を掴みながら、股を擦りつけた。 直後、落雷したように激しい震えが起きた。呻く間もなく、二度三度大仰に振った。 昂ぶった性欲が彼女の中に流れこんでいく。止まない蠕動で、子宮の奥まで運ばれる気がする。 彼女から唇を離すと、耳元に寄せた。 「アグリアスさん……ずっと一緒にいたいです」 昂ぶった気は、既に彼女の中に吐き出した。冷静さを取り戻しても、彼女から離れない。 膣から零れる自身の精液を指で掬い上げると、彼女の顔に塗った。 可能なら彼女に直接咥えてもらいたかったのだが、ほんの少しでも離れることが勿体無かった。 白肌に指の先までつけていたい。性欲で高まった体温が冷えるまで抱いていたかった。 普段から戦塗れで、今後や周囲は自分たちをどう見ているのか等を考えてばかりいた頭の中で、 「嬉しい」という文字が駆け巡り、他の文字を駆逐していった。 彼女の胸に顔を預け、香りに包まれながらはにかんだ。 童貞を捨てたことによる満足感は岩のように堂々と残り、喪失感は小石ほども無かった。 花畑で昼寝をしているような甘い気分が胸を熱くし、口元が綻んだ。 しかし、この気分は、たった一つのことで根底から崩壊していった。 「ラムザ……」 アグリアスの声がした。毅然とした態度が声にまでうつっているいつもの彼女の声ではない。 頼りない、骨折した馬のようだった。ラムザは返事が出来なかった。 目がひび割れるほど乾いていく思いで、布団に染み付いた情事の染みをただ見ていた。 名前を呼んだだけの声は、かつて自分が放った氷塊が生易しく思えるほど冷たく、 絶頂にあった高揚感は瞬く間に降下し、自分という一生物の価値をどん底にまで突き落とした。
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428 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:43:50.44 ID:gS0TWRmH - 頬が温い何かを感じた。自分の涙かもしれないが、確証を持つ気力も湧かない。
だが、同じようにうなじに水滴が落ちたとき、全身の毛が怯えるように逆立った! 彼女の涙、と断定するに、考える時間は必要なかった。 同時に、彼の瞼の裏から消え去ったと思っていたアルガスと彼女の結合の瞬間が思い起こされた。 彼女は、初めて男を受け入れても、純潔が散らされた痛みに顔をしかめても、 膣へと滾った液を吐き出されても、決して涙を流すことはなかった。 彼女の決して折れぬ誇りゆえに、無意識にありながらも拒み続けていたということに思っていた。 気丈な彼女が、自分との性交で涙を流す――感動の涙とは到底思えない――とは思いながらも、 今後も旅を続けるであろう仲間である以上、彼女の心は確かめなければならない。 見えない何かを感じる、古井戸を覗くような、爪の先まで敏感に恐怖を受け入れる状態で、 目を開け、焦点が定まらないまま顔を上げた――後悔した、今日行った全てを。 彼女の顔は、自分が今まで見たどの表情にもなかった。主が攫われたときも、裏切られたときも、 反逆者と位置づけられたときも、「自身の実力が主力に相応しいとは思えない」と、 自分に弱音を吐いているときも、こんな顔はしなかった。彼女らしさはどこにもない。 騎士という大岩で抑えこんでいた数多の感情が、一気に流れ込んできたような、 見るものをも鬱とさせる負を孕んでいた。 嗚咽の混じる声で、彼女の言葉が紡がれた。 「……本当に、お前を信じていいのか……。私を、傷物にするお前を……」 後は、言葉になっていなかった。訴えようという意思だけが、言葉を離れて飛んできた。 ラムザは、自分の行動がいかに愚かなのかと、このときになるまで気付かなかった。 自分が清めるつもりで行った性交は、彼女にとっては単に体を思うままにされたというものであった。 それも、アルガスのように知らぬ内に行われていたのではない、渾身の力で抵抗して、 やめるように呼びかけても、それらを意に介さずに純潔を奪うという、 手札の一つも残さない、完全な敗北を刻み付けるような体験でしかなかった。 信じていいのか、という言葉に何も返せなかった。言葉も顔も頭も沈黙していた。 沈黙は金なのか、肯定なのか、無能なのか……気にかけることもできなかった。 心が止まっている以上、どんな言葉を出しても、文字を並べて発音しただけの、 説得力が乖離したものにしかならなかった。 時間の感覚がなくなったような長い沈黙の中、アグリアスは服を着始めた。 どこを動かしても苦痛が見て取れて、痛々しく映る。だが、体は鉛に包まれたように動かなかった。 裸体が赤と青の衣に隠されていくのに、惜しいと思う心も湧かない。 ラムザは、彼女の剣を拾うと、ベッドと自分の線上に置いた。 着替えが終わったら、腕や性器が斬られるかもしれない。陵辱に対する当然の報いだ。 信じがたいことに、恐怖も湧かない。彼女が全てを決める、と思っただけだった。 着替えを終えた彼女は、髪止めを握り、ラムザに見向きもせずに部屋を出て行った。 急ぐこともなく、足音が大きいわけでもない。扉もきちんと閉めていった。 だが、彼女は決して平常ではなかった。 ベッドの横に、魂のように大事にしていた剣が置かれたままだった。 ラムザは、自分の魂が生贄に捧げられたように頭が空っぽになった、 そのまま性行の匂いが染み込んだシーツに埋まった。訳の分からない震えが体中を蠢き、 痛くなってきた。犯罪者の惨めな気分は、かつて異教者とされた時をも上回った。
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429 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:44:59.99 ID:gS0TWRmH - 天秤の月一日。
「このペースで行けば、明後日か」 ラムザたちは、次の戦いに備え、町に泊まっていた。 行き先は地下、こちらにもあちらにも逃げ場はない。ここまで何人も死傷者が出て、その度に弔い、 経験と魂を継承してきたこの戦いも、次で終わりになるだろうと予想していた。 士気は最高潮に高まり、もはや、この戦いをやめるという選択肢は誰の頭にもない。 ラムザの指示を、人生の終焉への号令と考えるものもいれば、 戦後の新生活について早くも語るもの、日誌を見返して旅を思い返すもの、 お先真っ暗でどうすればいいのやらと悲嘆な愚痴を漏らすものなど多々あったが、 ラムザを離れようとする者は皆無だった。 「隊長、少しお話が」 ラヴィアンとアリシアが、ラムザの部屋をノックした。彼女たちは戦力にはならなかったが、 部隊内で言い争いがあったときなどに調停役を引き受けることが多く、皆に信頼されている。 ラムザは皆の意思を把握する為、度々彼女たちの言葉に耳を傾けていた。 「うん、入ってください」 「お邪魔でしたか?」 「少しぐらいなら大丈夫ですよ」ラムザは余裕を持って言った。 ここ数ヶ月、彼は迷いを振り払うように、行住坐臥を戦闘と鍛錬にかけており、 年齢以上の威厳を漂わせていた。少しばかり彼の前に出るのが怖いというものもいた。 二人も、彼の前に立つと汗が額を覆い、唾液が喉に詰まって言葉が出なくなることがあった。 ラムザが意見を求めなければ話すことも無かったのだが、 逆に、彼女たちから話しかけたときは重大な問題が起きているということでもあった。 「手紙ってわけでもなさそうですね」 ラムザの視線に気圧されながら、ラヴィアンが言った。 「実は、アグリアス様の様子がおかしいのです」 「……詳しく聞かせてください」 ラムザは、自分の命がかかっているように声を強めた。あれ以来、彼女とは口を利いていない。 目線も合わせていない、旅を終えたら二度と会うことも無いと思っていた。 戦闘の最中に助け合うことはあれど、日常の接点は皆無と言ってもよかった。 無論、彼女に興味がなくなったわけでは無かったが、 女性ということもあって踏み切った捜査は出来なかったし、知るのが怖かった。 悶々とした態度は、アグリアスと二人きりになった日を境としていたので、 仲間内では恋の成就によるものというのが定説となっていた。 ラムザの真剣な顔に、二人は顔を見合わせた。どちらも言うのを拒んでいるようであり、 同時に言いたそうでもあった。あまり時間をかけるとラムザに失礼と思ったのか、 ラヴィアンが一歩引いた。アリシアが、搾り出すように喉を押さえ、言った。 「妊娠しているみたいです」 「……」 何を言われたのか分からなかった。同じ言葉を自分の喉奥で反芻し、 コンピューターが答えを導くように音や用法が似ている言葉が次々と出てきて、 状況に合わないものが添削され、最も今の状況に適っているものが、 ようやく定まった。当然ながら、彼が最初に思い浮かべ、最も否定したかった言葉だった。
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430 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:46:51.09 ID:gS0TWRmH - 「妊娠……間違い、ない?」
「はい。毎日日付を睨んではちらちらとお腹を撫でられていましたし、 先週から吐き気にも悩まされていました。剣を握ってもすぐに鞘に納め、 横になる日が続いています。食物も酸味を欲しがっておられますし」 「アグリアスさんが……そんなこと、一度しか」 「心当たりがあるんですね」 ラムザとアグリアスがどういう状況にあるのか知らない二人は、目に尊敬の念を持たせていた。 半世紀にも渡っている戦乱、その裏舞台で芽生えた貴族と騎士の愛が、 最後の戦いを前に結晶となって騎士に宿る――舞台にすればさぞかし騒がれる、 美しく、夢のような恋愛話だろう。 もっとも、ラムザが考えているのは宝石に比肩する美しい純愛ではない。 己の欲から始まった行為が、取り返しのつかない終着点へと行き着いてしまった。 呪いのように、行為の後も苦しめてしまっている、というものだ。 ラムザは癲癇(てんかん)の発作が起きたように壁に頭をぶつけ、 奇妙な呼吸をしたまま体をもたげていた。顔面を蒼白させ、 過度の呼吸が彼の気分を瞬く間に澱ませる。異常に気付いた二人が声をかけると、 ラムザは何事もなかったように表情を偽った。 「ごめん。いきなりのことで、気が動転してしまって。もう大丈夫。 うーん……(腕を組んで考え込んだ)。とにかく事実確認しないと。 何も無かったとしても、確かめないと明後日に支障が出来るかもしれない」 「隊長……」 「アグリアスさんと話し合ってみます。結果如何では……考えないとならない」 口に出せない、考えたくも無い漢字二文字を、三人は同時に想像した。ラヴィアンが、 唾を飲み込むと、穢れを自分で背負うように言った。 「除名、されるんですか」 「……あの人は大事な戦力だ、できればそうはしたくはありません。 だけど……もし本当なら、彼女は足手まといだ。彼女を庇って誰かが犠牲になる、 なんてことは絶対に避けなければならないから」 自分が一番心配ですよ、と乾いた笑いをする。明日には自殺するような表情だ。 握り締めた拳から血が落ち、床にビタと音を立てていた。 逆らえない大きな意思に押され、自らの意見を押し殺しているようであった。 「今日の夜、彼女を僕の部屋に来るように言ってくれますか?」 頼みを受けた二人もまた、躊躇しつつも背を押されたように頷いた。
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431 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:47:48.21 ID:gS0TWRmH - 何も手につかない。初めて読んだときは手が震えた聖典を見ても、文字が頭に入ってこない。
果肉を絞ったジュースは、コールタールのように喉に張り付き、とても飲み込めなかった。 たまに手が暴れるように震え、算術の式が無駄になる。何も聞こえないと思っていたら、 遠くの男部屋で騒いでいる奴の声や、薪がかまどで赤く焼けているときの音が、 耳元でのように大きく聞こえたりする。子供の無邪気な喚き、光物を見つけたチョコボの鳴き声、 紅葉の擦れ合いの音さえも、自分を強姦魔と罵っているように思えた。 暗い視界の中、深い後悔が血のように体中を巡っている。現状に逃げ出したくなった。 自分が隊長という立場でなかったらある程度責任の取り方はある。 額が捲れるほど謝罪をし、彼女の気が済むまで貢物でも土下座でもして、勇猛果敢に戦い、 退却のときには殿(しんがり)を務め、何度か戦った後に責任を取ると言って潔く除隊。 相手の気が晴れないのであれば、更に目や腕を失うことになるが、ともかく示談のようにはなる。 罪は消えるものではないが、これ以上咎めようものなら周囲に睨まれるだろう。 だが、今回の問題はそうやって片付く型ではない。妊娠しているということもそうだが、 隊長という立場、いなくなることは無条件の敗北を意味する。潔く、などとはおくびにも出せない。 急ごしらえとはいえリーダーが居れば、精鋭揃いの部隊は大概の敵は蹴散らせる。 だが、切羽詰まったときには間違いなく悪影響が出る。士気が高まっている今、 自分は抜けられない。少なくとも当面の戦闘が終わってからでなければならないが、 今日の戦いを終えたら二度と彼女とは会わない為何の意味もない。 彼女が命令に従ってくれれば、また後で責任を取る方法を相談するという方法も生まれるのだが。 嫉妬から始まったことが、今や論点が分からないほどに問題は複雑化していた。誰が悪いのか、 今後どうしたらいいのか、命令を出来る立場なのか。そもそも彼女が会いに来るのか、 解決策が見当たらない悩みは、ノコギリ刃となって彼の心をずたずたに斬りつける。 胃液が粘り気を持って口から出て行く。腹が、胃酸に溶かされたように、キリキリ痛む。 いっそ首を剣で裂いて、死を持って彼女に詫びたいほどであった。 何をどうして時間を潰したのか……遂に、ドアがノックされた。 「ラムザ殿」 数ヶ月ぶりに、彼女の声が聞いた。清浄な風が流れていったように耳が途端に機能を回復した。 「どうぞ、入ってください」 無理なほど明るい声を出した。彼女に会うということは、 天国と地獄が揃って自身を迎えに来たように思えた。 「失礼する」 アグリアスは、礼とともに入った。いつもの騎士の姿をしていた。 彼女にはドレスよりも似合っているが、もし身重だとすれば、負担が大きすぎる。 「鎧とか取った方が」 ……口に出した瞬間、裸体を晒したときを思い出してしまうのではないかと懸念したが、 彼女は強く意識するようなことはせず、頷くなり淡々と鎧を脱いでいた。 紫色の服に包まれた体は魅了に磨きをかけていた。ラインが起伏に富んだというだけではなく、 背筋を伸ばして椅子に座る姿は、呼吸を忘れる程美しく、生まれついての令嬢にしか見えない。 顎を少々引き、ラムザに表情を見られまいとする睫毛から覗く瞳の輝きが胸を高鳴らせる。 芸術品のように美しい彼女をまともに見られないまま、ラムザが言った。 「お久しぶりです」 「……」彼女は言葉を忘れたように黙っていたが、やがて「そうだな」と小さく声に出した。 アグリアスの言葉が続いた。 「話は聞いた。断定はできない、と前置きするが、私はお前の思ったとおりになっている」 後ろめたさがあるように、やたらと遠まわしに肯定した。視線は下げたままだ。 手は弱く拳を作り、服を握っていた。彼女は妊娠を両手離しで喜んでいるわけではないらしい。 ラムザの心が一段と痛みを増し、声を低くした。彼女を、しとっと見つめた。 「アグリアスさん……顔を上げてください」 彼女は、ゆっくりと、顔をあげた。数ヶ月ぶりの彼女の目は、変わらず信頼を寄せている。 だが、どこか不安の色があり、人生の選択肢にかけられていることを知っているようだった。
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432 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:48:37.27 ID:gS0TWRmH - ラムザは沈黙が生まれるのを避けるように、言葉を続けた。
「初めに確認しておきたいことがあります。僕はリーダーです」 「うむ。他に適当な人物などいない」 「ですから、僕の命令は、どうしてもというのでなければ従ってもらいます」 「承知している。覚悟は出来ている」 「……」 アグリアスの、変わらぬ決意を持った瞳が、ラムザの心と言葉を止めた。 生まれて欲しくない沈黙が生まれた。「どうしてもというのでなければ」ということは、 逆から言えば、従いたくないのであれば従わなくていい、ということを暗に含んでいる。 いっそ、これから発する、心にもない、と前置きしてもよいほど不本意な言葉を、 合理的な理由もなしに否定してくれるように思っていた。 彼女が頷いた瞬間、彼女の騎士としての最大の見せ場を、消してしまうことになる。 新たなメンバーが増え、補給役の者もいる中、彼女は戦力になろうと努力をし続けた。 前線もすべて実力で勝ち取った。築き上げ、護り続けてきた誇りを無にしてしまうのは、 自分が同じ立場だったらと考えるだけで、誰かに八つ当たりしたくなる。言いたくない。 だが、情だけに任せた命令は、隊長としては決してやってはならない。 彼女は全く戦えないわけではない。戦力にはなるし、砲弾のように見捨てる覚悟があれば、 除名など言わなくてもいい。だが、ラムザには、彼女を見捨てるなどということはできない。 彼女が危険な状態になると、自分の危険を顧みず助けにいってしまうだろう。 命は星より重い、しかし大勢を動かす使命は一人の命よりも遥かに重い。自分は死ねない。 願望とはかけ離れた、喉を裂いてでも言いたくない言葉を口にせざるを得なかった。 おそらく、より強い心労を与えることになるだろう、と予感していても。 一秒でも長く、彼女の顔を見ていたい。 許されるのであれば、爪先だけでも彼女の体に触れたかった。 性欲を挟まない、偽りの無い愛情からの想いだった。が、それを許されるわけもない。 ラムザは、すっと彼女を見つめた。目には光が無く、糸で操られているようであった。 「アグリアス・オークス……貴方を除名します」 怒りも悲しみも表情に無かった。言葉も無い。頭を深々と下げ、停止した。 顔を上げるまでの時間が無限に思えた。上げたときには、陵辱直後のような、 彼女らしさの無い表情が取り憑いているのではないかと思ったが、顔はなおも凛としていた。 淡々と剣を持ち、脱いだ鎧を持つと、ドアノブを回した。去り際に、もう一度頭を下げた。 別れの言葉も無い、実にあっさりとしたものだ――ラムザは弾けるようにドアを開け、 彼女に追いつくと、背中にしがみ付いた。薄壁を貫く大声を出した。 「すみませんでした! 僕は、僕は最低です!」
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433 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:49:29.14 ID:gS0TWRmH - 「……謝らないでいい」
冷静な声が、かえってラムザに突き刺さる。 「アグリアスさんをこんな、こんなことにしてしまって!」 「私の体が選んでしまったことだ。仕方が無い」 横顔を見せた。呪いから開放されたように微笑んでいる。 「戦いを続けていればいずれ私は流産してしまう。 分かってはいたが、未婚の騎士が戦わずにいるなどということも出来ない。 体の調子も悪くなり、食や生活リズムも変わって、どうしようかと悩んでいたところだ。 除名で吹っ切れた。子供の為に生きることは、私が女らしくなるきっかけになるかもしれない」 自嘲気味に笑った。 「アグリアスさん……」 ラムザは、目に涙を溜めていた。涙を出す感情の源泉が変わらない。 悔しいのか嬉しいのか頼もしいのか、ただ溢れる涙を彼女の衣に染み込ませた。 「戦って、奴等を倒し、妹を助け出してこい」 「はい……はい!」 「分かったらもう泣くな。生まれてくる子に、情けない顔を見せる気か?」 「やっぱり産むんですか?」 アグリアスは答えにくそうに頷いた。鎧を脱いだ為か、 栄えた女らしさがちょっとした仕草や俯いた顔に宿り、優美と同居していた。 「私との子供が嫌なのか?」 「そんな、とんでもない! 夢のようです!」 「嫌と言ってもらいたかったのに」 「えっ!」 「……嘘だ、二度と言わないから許してくれ」 ほとんど感情がなく言っていた。 「嘘をつくことに慣れていないから、正直怖かったです」 ラムザは泣きそうになっていた。 彼女は持っていた剣と鎧を床に置き、ラムザと面向かいになると、 両頬を手で軽く覆い、唇に、真綿が触れるような柔らかいキスをした。 初心に真っ赤になった彼の背中をどんと叩き、離した。 「奴等を倒し、妹を助けて……帰って来るんだぞ。私はお前を待つからな」 「ええ、必ず!」 キスと背中の後押しの効果は絶大だった。あらゆる計算を一瞬で解きそうだ。 やる気が漲っているのがわかる。彼の言葉全てが信じられる気がした。 アグリアスは、彼の視線に微笑を返すと、武具を拾って女性部屋へと戻っていく。 後姿を見送ると、ラムザは拳を何度も握り直し、納得がいったところで歩き出した。 「アグリアスさんは強い。剣技では一番じゃないかもしれないけど、誰よりも心が強い! こんなときの除名に従って、しかも僕のことを後押ししてくれるなんて! 頑張らないと!」 意気込みそのままに床を踏みしめる。床板が軋む勢いのまま主力メンバーを集め、 明後日に向けての会議を始めた。
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- FFシリーズ総合エロパロスレ 7
434 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:50:31.21 ID:gS0TWRmH -
「ラヴィアン、アリシア……ラムザに勝手に言ったな?」 女性部屋に戻ったアグリアスは、テーブルを挟んで二人を座らせた。 鎧を脱いだからといって、鍛錬に裏打ちされた威圧感は消えたわけではなかった。 見る見るうちに二人は青ざめ、ほぼ同時にテーブルに額をぶつける勢いで頭を下げた。 「すみません! 苦しんでいる姿を見るのが本当につらくて」 「間接的にとはいえ除名させてしまいました! どんな罰も受けます!」 首を差し出すような体勢の二人に、「顔を上げろ」と指示をする。アグリアスはため息を吐いた。 「咎める気は無い。私のことを考えてのことだ、というのは分かっている。 ……分かっているが、それを踏まえて言わなければならないことがある」 腹部に手を当てた。ラヴィアンとアリシアの目が煌く。 二人とも、既に戦場から離れたアグリアスを、騎士から母という目で見ていた。 ラムザに報告してからも、子供は男? 女? どっち似? 名前は? など、 ありきたりな話をして、アグリアスが女性として目覚める空想を広げていたのだ。 だが、当の彼女は体を弱く震わせ、幽霊が出すような弱く掠れた声を出した。 「もう、いない」 「え」 「堕胎した。お前達がラムザに言う少し前に」 三人が凍りついた。……暫くの沈黙の後、ラヴィアンが前のめった! 「どうしてです! あんなに、毎日お腹を愛でていたのに! 隊長との子供なのに」 アグリアスは、音が分かるほど強く歯を噛み締めると、テーブルに手を叩きつけた! 「犯されて出来た子だぞ! あんな行為、望んでない……望みたくも無い!」 普段は冷静な彼女の、激情そのままの声が続いた。 「毎晩夢を見る! 騎士の信念と共に築いてきたものが、 戦闘に出続けようとした努力が、ラムザへの思いが、全てが蔑ろにされる夢だ! 汗だらけで目を覚ます! 朝だけじゃない! 寝てすぐに夢を見て、 耐えて再度寝たと思ったら同じ夢だ! この三月で三桁も見たッ! 十分な睡眠もとれず、それでも騎士として戦闘はしなければならない! あのままの日々が続いていたら、どうせ流産していた! 私の命も危険だった! それならいっそ……」 アグリアスは、手で表情を隠した。 「不安に……負けたんだ……」 慟哭のような勢いに、二人は質問も出来ずに、開いた口をそのままにしていた。 「美しい夢のような恋愛話」の事実を知った反動も強いようだ。 やがて、二人揃って目元に涙を浮かべ、アグリアスに聞こえないように堪えつつ泣いていた。
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435 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:52:53.23 ID:gS0TWRmH - アグリアスは口にはしなかったが、毎晩の悪夢とは、ラムザ以外の何かが圧し掛かり、
その子供が生まれてくるというものだった。記憶にはないが、起きるたびに体が震えていた。 なぜこんな夢を見るのかとずっと疑問だったが、先日日誌を捲って、 ラムザに犯された日(奇しくも自分の誕生日であった)を見たとき、合点がいった。 あの日、彼を受け入れさせられる直前、「汚れている貴方は見たくないんです」と言った。 自分を犯した者がラムザ一人ではないのだと気付いた瞬間、 大樹のように堂々としていた筈の心が折れた。お腹が空になった後、 夢は夢、ラムザの子の可能性も捨てきれないと気付いたが、既に遅く、愕然と後悔した。 「堕胎した今となっては、流産の心配は無くなった。 休めば戦える、と思っていたが、除名を言い渡された。夜明けと共にここを去る」 「言えば、戦わせてくれますよ! 隊長だって一緒に」 「……子を殺したなんていえば、ラムザの士気がどれだけ下がったものか……。 私達は皆でラムザを信頼し、ラムザも私達を信頼している。ラムザの士気は皆の士気だ。 『最後かもしれない戦いだ、子供はいないから戦わせてくれ』なんて……言えるものか」 「だから、廊下で隊長を励ましたんですか? 子供を産むと言って」 アグリアスの声が、異様に小さくなった。 「……嘘をつくことが、こんなにつらいなんて初めてだ。 でも、ラムザの為……万全なら、帰ってくると信じて……帰ってこなかったら、私は――」 言葉が途切れた。子供がいた腹部を押さえながら、ベッドに崩れた。部下の前で泣く。 声も涙もいつまでも出てきた。止まない。頭が割れるように痛い。 目の奥が焼けるように熱い。喉が瞑れたように痒い。 体中に堕胎の罪が圧し掛かり、潰されてしまいそうだった。 そのまま、どれほど時間が経ったのか……時間の感覚が凍ったまま、号令が発された。 ラヴィアンとアリシアは、戦いのためアグリアスを残して部屋から出て行った。 今まで幾度も聞き、生死の境となっていた号令を聞いても、もう体は反応しなかった。 お腹が空になったという感覚に、意識を支配されていた。 「本当に、もう、いないんだな……。すまない……許せとは言わない。償いは、いつか必ず……」 うわ言と共に、深い眠りに落ちていった。
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436 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/05/13(金) 23:55:39.65 ID:gS0TWRmH - 終わり。
では。
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