- 【ひぐらし】07th総合part24【うみねこ】
258 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/02/03(木) 01:32:02 ID:Z/ag4fTf - >>257
ありがとう、最後もうちょっと修正したら書き込んでみるよ。
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260 :名無しさん@ピンキー[sage]:2011/02/03(木) 12:06:18 ID:Z/ag4fTf - 出来た!
とりあえず、初めての文なので変なとこあっても多目に見て下さい。 戦人犯人説、ゲロカスOKな人じゃないと読んでて嫌になっちゃうかも。 設定が微妙に本編と違っても見逃してもらえるとありがたい…。
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261 :1[sage]:2011/02/03(木) 12:31:52 ID:Z/ag4fTf - 全てを猫箱へ閉ざし、平穏を取り戻した黄金郷。
繰り返されていたゲームも決着がついたことで、かつては敵対していたヱリカでさえも、渾身のトリック持参で戦人相手にミステリー談義にやってきたりするらしい。 ベルンカステルのような航海者達はまた退屈から逃れるために去っていったが、『千年後くらいに気が向いたら遊びにくる』と言ったその表情は穏やかだった。 戦人は一人書斎にこもり、窓の外一面に広がる薔薇を眺めながら紅茶を楽しんでいた。 領主の証であるマントと片翼の印されたジャケットを脱ぎ、いつもより少しラフな格好でいたにも関わらず、黄金郷の主として威厳と貫禄に満ちたその姿はただ座っているだけでも洗練された仕草を際立たせる。 「随分こ洒落たティータイムじゃない。」 自分以外誰もいないはずの書斎から突然響いた声に驚きもせず、戦人は薔薇園を見つめたまま答える。 「なかなかの眺めだろ?気に入ってんだ。」 ゆっくり振り向いた戦人は、やっぱり何の驚きもなく客人を迎えた。 「みんな弁当持って森へピクニックだと。ロノウェもついて行ったから美味い紅茶は期待すんなよ。」 戦人の前に黄金の蝶が集まり、センスのいいティーポットとカップが現れる。 空中で浮いたまま注がれた紅茶は、ほのかに薔薇の香りを漂わせながら客人へ振る舞われた。 「全然驚かなくてつまんない奴ね。」 「書斎に入ってこれるようにしてやったのは俺だぜ?」 「なーんだ、最初から気付いてたんだ。ますますつまんない奴ね。」 ドスンと音を立ててソファーに飛び乗ると、戦人は苦々しく笑った。 「まったく、相変わらず客のくせに図々しいやつだな。まだ千年どころか三ヶ月も経ってないぞ。ベルンカステルなら来てないぜ?」 戦人の前に立つのは、去ったはずのラムダデルタだった。
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262 :2[sage]:2011/02/03(木) 12:40:43 ID:Z/ag4fTf - ラムダは、戦人が黄金郷の平穏を勝ち取るために、傍観者でありながら共に死線を潜り抜け力を貸した。
そこまでさせるほどに戦人の“絶対”は強かった。 ラムダは過去に力を貸してきた絶対の意志を持つものの中でも、戦人の強さは筋金入りだと認めている。 でもそれは、中身が何であれ絶対の意志を純粋に愛すラムダには、戦人の意志に逆らえないような妙な感覚にとらわれてしまう要因だった。 誰の“絶対”に力を貸してやるかはラムダの気紛れではあるけれど、それすら戦人の“絶対”に引き込まれた結果のように思えてしまう。 力関係は圧倒的に自分の方が上なのにそんなことを思うのは癪だったので、それを気取られぬようわざとらしくおどけてみせる。 「をーっほっほ!あんたみたいに女心のわからないやつには理解出来ないだろうけど、離ればなれの時間だってなけりゃ愛は深められないのよ。ああ、私のベルン…今頃どこで何をしているのかしら。」 次に会う時はジャムのお風呂でホイップクリームのシャンプーをして、チョコレートのシャワーをかけてたっぷり愛してあげるからね。 そんなことを言いながら恍惚と語る自分に戦人が呆れたような溜め息を返すのを見て、ラムダはちょっぴり安堵した。 「ということで、別にあんたに用はないのよ。アウアウローラに呼ばれたんだけどいないみたいだし。」 「あうあう…って、あのフェザリーヌに?」 「ええ。楽しませてくれた礼をするって言われて立場上断るわけにもいかないから来たけど。どうせあの人のことだから、そんなこと言ったのも忘れて退屈のあまりボケて寝込んでるんじゃない?」 「お礼ねぇ…ろくなもんじゃなさそうだな。」 「ま、そんな訳よ。これアウアウローラにと思ったけど、仕方ないからあんたにやるわ。お茶菓子の足しにしなさいよ。」 ラムダは立ち上がると、フェザリーヌに渡すにしては大きすぎる紙袋を出した。 戦人は、彼女がしっかり黄金郷の住人の分まで手土産を用意して訪れていることを察して思わず微笑む。 「もう帰るのかよ?せっかく来たんだからゆっくりしてけよ。お礼をしたいのは俺も同じだからな。郷田のフルコースでもてなすぜ。」 「あんたまでお礼?何か気持ち悪いわ。まあ私を崇めたくなっちゃうのは当然だけどね!」 「失礼だな。まあ真面目な話、お前が力になってくれていなかったら今の俺たちはないからな。感謝は尽きないぜ。…ありがとう、ラムダデルタ。」 ラムダは次の言葉を言い淀んだ。 ラムダの力の恩恵を受け感謝する者は沢山いるが、人の情に脆い一面があるとはいえ残酷さも併せ持つ彼女を恐れない者はいない。 戦人のストレートな感謝の言葉に畏敬ではなく純粋な親しみが込められているのを感じ、少しの温かさと同時にそれとは真逆のざわつきを胸に感じた。
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263 :3[sage]:2011/02/03(木) 12:46:51 ID:Z/ag4fTf - 「な、何よ改まって。私はあんたたちの言う最高のハッピーエンドが見たかっただけよ。この超パーであるラムダデルタちゃん様がほいほい力を貸すわけがないじゃない。」
「はあ〜お前も素直じゃねぇな。お礼くらい素直に受け取っとけよ。お人好しのくせに。」 戦人の言葉を最後まで聞くことを待たず、それなりに楽しげな様子だったラムダの表情から笑みが消えていく。 悦に入ってもいい場面なのだ。 なのにこの胸に渦巻く不快感はなんだ。 この馴れ合った会話を終わらせろと本能が知らせる。 ラムダは自分でもよくわからない不安感を振り払うように、場の空気も一変させた。 「…ちょっと。これまで何だかんだで見過ごしてやってたけど、あんまり私をなめてもらっちゃ困るわね。前にも忠告したはずだけど。」 それまでの無邪気な振る舞いからは想像できないような威圧的な光を瞳に宿して凄むラムダに、戦人は怯むことも、また謝罪することもなかった。 戦人は笑う。 それは不穏な空気を更にかき乱すような、挑発的な響きだった。 「別に悪ぶらなくなっていいじゃねえか。お前は何だかんだいいつつ、いつも俺の味方だった。お前は悪役じゃなくて“絶対”に律儀なだけだろ。」 忠告を無視されたのだから、今すぐ力で捩じ伏せて立場をわからせてやればいい。 頭ではそう思っているはずなのに、戦人の有無を言わさない眼光の強さがそうさせてくれない。 そうだ、私はなぜか戦人に逆らえない。 こいつはこの鋭さと強かさを武器に巧みに生き、黄金郷を作り上げた男だ。 ラムダの肌が、密かに粟立った。 「…っ!!?」 そのモヤモヤとした思考も、戦人の不躾な行為によって強制的にかき消されることになる。 自分がソファーに押し倒されたことを理解した時には、もう身動きがとれなかった。 それは体格のいい戦人にガッチリと組みしかれたからだけではない。 顔を上げれば嫌でも間近で絡む視線に息苦しさを覚え、無意識に目を逸らす。 「お前、怖いんだろ。」 戦人の逞しい身体にすっぽりと覆い隠され、体温まで伝わってきそうな距離にさすがのラムダも動揺を隠せない。 高級感のある真紅のシャツと、燃える様に赤い髪。 灼熱の地獄へ引き込まれたようでクラクラする。 なのに、氷のような瞳がラムダを突き刺すようにい抜いていた。 「地獄へ蹴落とす側にいて初めて安心する、か。それだけじゃない。自分の幸せも怖いんだろ。地獄をさ迷いながら、ありもしない温かな夢を見ているのかもしれないと。」 「…ヱリカね。お喋りなやつ。まったくどいつもこいつも随分私をなめてくれるじゃない。」 ラムダは過去のゲームの中でヱリカと語ったことを思い出した。 自分やベルンカステルの経験したことは、所詮他人に話したところで理解できることではない。 ただあの時は話してもいいかなと思った。 もしかしたらラムダも少しだけ、自分のことを理解して欲しかったのかもしれない。
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264 :4[sage]:2011/02/03(木) 12:55:01 ID:Z/ag4fTf - 「絶対の魔女が現実を絶対と思えないなんて滑稽で笑っちまうぜ。」
どうせ理解されないとわかっていたことでも、一言くらいは言い返さねばあまりにも不様だ。 「あんたに何がわかるのよ。私はあんたみたいに出ようと思えば出れる地獄に甘んじてたわけじゃないわ。誰も助けにくることもない正真正銘の地獄から、死に物狂いで這い出たのよ。」 わかるものか。 この腕を掴む温もりも、惨めな自分が産み出した幻想かもしれない恐怖を。 目を閉じれば、あの肌を包むおぞましい空気すら鮮明に蘇る。 ああ、何でそれをわかっているのに今こんなにも固く目を閉じてしまったんだろう。 目を閉じることで何から逃げ出したかったというの。 戦人から?馬鹿げてる! ラムダは自問自答を繰り返す。 でも本当はとっくに答えを見つけている。 戦人の大きな瞳が、その奥の冷酷な鋭い光が、そして長い睫毛が作り出す憂いのある影が、端整な顔に浮かぶ薄い笑みが、怖い。 身体中の血を沸騰させるのは、怒りだけではなかった。 ラムダは意を決して目を開ける。 目を閉じていた時間は十数秒ほどの短い時間だったが、心は軽い疲労感を覚えていた。 「…はいはい。笑えばいいわよ。もう離して。帰るわ。」 「逃げるなよ。」 戦人は尚も手を緩めない。 「逃げてないわよ。大体何のつもり?私を馬鹿にして笑うだけならもう用は済んだでしょ。」 「まだ、済んでない。」 ヒッと情けない声が出てしまったかもしれない。 唐突に、ラムダの肌を戦人の手が滑った。 それも本来ならドレスに隠れた場所である大腿を撫で上げられたことにより、嫌でも戦人の思惑を理解することになった。 「何すんの!?ちょ、ちょっと、ま、わ!」 覆い被さった戦人の唇が首筋をなぞる。 電流のように一瞬で、ラムダの全身に甘い痺れが走った。 「俺に見せろよ。夢か現実かわからずに苦悩しながら悶える不様なところ。お礼にもうお前の地獄は閉ざされたことを思い知らせてやるから。」 吐息が鎖骨に当たり、その熱さがゆっくりと下へ移動していく。 重なった身体から、鼓動が大きく響いた。 自分の?戦人の? わからない。わからないけど苦しい。 「あんた正気?仮にも新婚でしょうが!ベアトを裏切るわけ!?」 流されてしまいそうな理性を振り絞って口にした言葉は、的確に戦人の動きを止めた。 安心していいはずが、なぜかラムダ自身の胸にもチクリと痛みが走る。 ゆっくりと顔を上げた戦人は、やはり高級感のある漆黒のタイをシュルシュルと緩めながら、口元だけで笑った。 まるでそれは課せられた枷を自ら外していくようだった。
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265 :5[sage]:2011/02/03(木) 12:58:13 ID:Z/ag4fTf - 「俺を誰の息子だと思ってんの?」
「る、ルドルフ…」 「ベアトは好きで俺の傍にいる。俺は何も強制していないし懇願もしていない。」 戦人はラムダの癖のない柔らかな髪を指で掬い、キスを落とす。 そしてサラサラとこぼれ逃れるプラチナブロンドの輝きを楽しむかのように見つめ、再びラムダに向き直った。 「お前も本気になったら簡単に俺の腕からすり抜けられる。…お前は、好きで俺から逃げない。」 俺は、最初から。 …こういう奴だぜ? そう耳元で囁いた戦人は、恐ろしいまでに冷たい瞳で笑っていた。 でもラムダは見てしまった気がする。 その瞳の中に、愛に裏切られ傷付いた悲しみが燻っているのを。 何よ。 あんただって怖いんじゃない。 無償の愛をもらっても、信じるのが怖い。 どうか自分の存在意義を愛して認めてと言いながら、裏切りを恐れて自ら孤独の世界へ足を踏み入れる。 やっと手に入れた安息の地でさえ信じられずに失うのではないかと、怯えてる。 ラムダを見下ろす戦人の顔に、赤髪がハラリと一筋垂れて目にかかった。 「…泣いてるみたい。」 「え?」 ああ、もうダメかもしれない。 ラムダの中で何かが崩壊していく。そして崩壊へ向けて亀裂の走った隙間から数々の謝罪があふれ出る。 ベアトごめん。ごめんなさい。 「…教えてよ、私が今ここにしっかりと存在してるって。拒絶なんかしないから、だから私を抱いてよ!幻想なんて吹き飛んでしまうくらいに!」 最後まで言えたかどうかわからない。 戦人の舌が絡む。 歯列をなぞられ、何度も角度をかえて口付けては急速に下半身に疼きを植え付けられた。 いつの間にか背中に回っていた手が素早くファスナーを下ろし、みるみるうちに淡いピンクのドレスから、白く柔らかい肌がさらけ出されていく。 戦人の手つきは荒々しいようで、至極丁寧だった。 ラムダも拙い動きながら舌を絡め、手探りで戦人のシャツのボタンを外していく。 直に素肌に触れると、恋しいような苦しい気持ちが込み上げた。 ラムダのはだけた胸元から、ベアトほど豊満ではないが形の良い膨らみがこぼれ出る。 羞恥を覚えるより早く熱い手のひらで包まれ、敏感な先端を口に含まれ、舌で転がされた。 「あ、んっ」 胸からお腹へ、腿へと戦人の唇が触れていく。 焦らさないで。お願いだから。 早く私を翻弄して。 ラムダは今にも飛び出してしまいそうな言葉を、最後の意地で飲み込んだ。
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266 :6[sage]:2011/02/03(木) 13:06:03 ID:Z/ag4fTf - 「戦人…、…。」
「…ん。」 それでも戦人はわかっているというかのように返事をする。 その一連の流れに恋人同士の睦み合いを連想させられ、ラムダは軽い目眩を覚えた。 戦人は慣れた手付きでガーターを外し、下着をスルリと滑らせる。 そして既に疼きを誤魔化しきれなくなってしまったラムダの秘部に、躊躇いなく顔を埋めた。 「あ!!はあ…んん!」 花芯を舌で弄び、とろけた蜜を啜る。 ねっとりと舐め上げられるだけで腰が震えてしまうような快感に襲われる。 その間にも、戦人の片手は胸の柔らかな膨らみと先端の小さな飾りを愛撫するのを忘れない。 「ラムダ…お前。白くて柔らかくて…マシュマロみたいだ。」 戦人が大腿に軽く歯を立てる。 「あ、あん、んっ…」 もう、戦人の熱い吐息がかかるだけで全身が溶けてしまいそうだった。 「それから甘い。なんか、ほっとする。」 予想外に穏やかな表情を浮かべながらも戦人は再びラムダの秘部を舌でなぶり、中を指で探る。 クチュクチュと響く水音が嫌でも耳に入り、羞恥と興奮で余計に溢れてしまうのを感じた。 もう指では足りないと、全身が表していた。 「戦人…!舐めながら中もしたら、あ!あダメ、ん!」 「…我慢しないでイケよ。」 「やだやだやだ、あっあ…ああ!お願い入れて!戦人のでイキたい…私を一人にしないで!」 きつく閉じた目尻に涙の粒が溜まった瞬間、ラムダの中へ熱くたぎった戦人が一気に侵入した。 「ひああっ!」 「く…、う、キツイ。」 まだ幼い子供のように小柄なラムダには戦人のそれは圧倒的な質量で、身体の内側から壊されてしまいそうだった。 でもそれは痛みでではない。 頭の中が金平糖の花火でスパークして、毒入り蜂蜜の甘い痺れに全身を貫かれるかのよう。 「ばとら…ばとら!はあっ、あ、あん」 ラムダは戦人を受け止めながら無意識にキスをねだり、戦人もそれに応えて深いキスを何度も落とす。 「痛くないか?」 「痛くない…き、気持ちいい、ん、あ、ああっ、もっと…もっとして!」 ラムダの目尻に大きく膨らんだ涙の粒は、律動に合わせて今にもこぼれ落ちそうに目尻で揺れる。 生理的な涙なのか、感情的な涙なのかラムダ自身よくわからない。
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- 【ひぐらし】07th総合part24【うみねこ】
267 :7[sage]:2011/02/03(木) 13:08:14 ID:Z/ag4fTf - 「…泣くなよ。」
戦人の唇が目元に押しあてられた。 どうしてそんなことするの。 強姦まがいなこと平気でする冷酷男のくせに、どうしてそんなに柄にもなく優しくするの。 その表情の中に、本当の戦人を知ったと錯覚してしまうじゃない。 ラムダは心の中で戦人の気紛れな行動を恨めしく思う。 「…泣いて、ない。」 「泣いてんじゃねえか。」 「そんなこといいから…お願い…ん、はあ…もう、私…」 「…わかった。」 戦人の律動が早まると、ラムダはどんどん高みに上りつめていく。 戦人もそれは同じらしく、苦しそうにしかめた顔はゾクゾクするくらい色っぽかった。 すぐそこに見える絶頂に向かって、離さないというようにラムダの中はヒクヒクと戦人のものをくわえ込んだ。 「あんっあっ、ああ、イク…もうイッちゃううぅ!!」 「はあ、う、く…!」 奥深くまで貫かれた瞬間、ラムダの膣は激しく戦人を締め付けた。その刺激に合わせ、戦人はラムダに深く身体をうずめて精を放った。 汗や愛液で卑猥に濡れた身体で重なりあったまま、乱れた呼吸だけが室内に響く。 まだしっかりと繋がった下半身だけでは足りないかのように、戦人はラムダを両手にかき抱き閉じ込めた。 ラムダもまた、戦人の身体の重みを心地よく感じながら、背中にしがみつくように腕を絡ませていた。 爪痕をつけてしまったかしら。 ぐちゃぐちゃな頭の中で、妙に冷静な考えが過った。 戦人が身体を起こす。 …寂しいなんて思ってしまったのは、今まで密着していた素肌が冷たい空気にさらされて寒かったからに違いない。 「また来いよ。ベルンカステルより愛してやるぜ?……俺はお前を逃がさない。」 はだけたシャツを直しながら言った戦人の表情には、愛し合う二人が身体を重ねて最後の壁を壊し、心が深く結び付いた時に生まれる穏やかさは…なかった。 「…バカ言うんじゃないわよ。今のはベルンと再会するまでのほんの暇潰しよ。あんまり調子に乗ると、ベルンじゃないけど最低最悪なカケラの深淵にぶちこむくらいはするからね。」 ラムダは戦人を押し退けて立ち上がり、足元に落ちたドレスを拾う。 どうしてか顔を見られたくなくて、戦人に背を向けて袖を通した。
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268 :8おわり[sage]:2011/02/03(木) 13:15:42 ID:Z/ag4fTf - 背中のファスナーをあげるため身をよじろうとしたとき、一瞬先に戦人の温かい手が重なった。
意図を察し、大人しく身を任せて手を引っ込める。 愛してやるですって? 愛なんて“絶対”信じないくせに。 惚れた女も殺せるくらいに非情なあんたの言うことなんて聞いてたら、“絶対”報われないに決まってんじゃない。 ああ、あんたの言う通りこれはしっかり現実だわ。ほんとにしっかり教えてくれたわけね。 こんな苦々しい幻想、わざわざ地獄で夢見るはずがない。 ゆっくり丁寧にファスナーが上げられていく間の僅かな時間、ラムダの瞳から涙が一粒流れ、小さな小さな飴玉になってキラりと落ちる。 その輝きの美しさを誰も知ることのないまま、飴玉は砕けて消えていった。 絶対の魔女は最後に祈る。 願わくは、黄金郷での永遠の安息がいつか戦人を癒しますように。この黄金郷以外では叶わなかった彼の潔白は、悲しみと孤独で赤く沈んでいくのだから。 ―――――――――――――― 「起きていたの?とっくに眠りについたんだと思ってたわ。」 よく知った声が思考を遮り、フェザリーヌはほんの少し意識をそちらに向けた。 「…持て成しをせぬことを許せ、我が巫女よ。もう少し思考を楽しんだら梅干し紅茶とやらを入れてやろう。」 目を瞑ったまま告げると、フェザリーヌは再び思考の波へと意識を漂わせる。 「嫌に上機嫌ね。筆をとる楽しさが再燃したみたいだけど、どうせ人を好き勝手引っ掻き回した挙げ句飽きて投げ出すだけでしょ。」 ベルンカステルの言葉にはからかうような響きはない。 表情を見ずとも、彼女が辛辣にフェザリーヌを批難していることがわかった。 「そう厳しいことを言うな。私は序章の数行を書いただけ。気に入らなければ先を読まずに引き返すことも出来るくらい数行だ。」 ベルンカステルは訝しげな表情を浮かべながら、フェザリーヌの意図を探ろうと素直に耳を傾ける。 「そしてもし読み手が先を望んでも、私は干渉も鑑賞もしない。本に鍵をかけ、登場人物だけが見る束の間の夢を邪魔しない。私はその夢がどんな物になったかを想像することで、一緒に夢を見た気になって楽しんでいるだけだ。」 「…つまり、結局引っ掻き回して楽しんでるだけね。」 …フェザリーヌは、もう答えない。 このままフェザリーヌが沈黙を決め込むことを察したベルンカステルは、小さく舌打ちして踵を返した。 「やれやれ。ふらりと帰ってきたと思いきや所詮は野良猫、気まぐれなものだ。…こう不機嫌では、物語の配役を聞いたら鋭い爪で引っ掻かれ兼ねぬ。」 足音が躊躇いなく遠ざかっていくのを聞きながらも、フェザリーヌは引き留めることなく小さく笑う。 笑みを浮かべたまま目を瞑り、観劇の魔女は無限に広がるエピローグを楽しむのであった。 おわり
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