- 母親が他人に侵される 漫画・小説 #12
965 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 15:37:55.74 ID:BCw8lZb5 - >>964
支援サンクスです(笑) 奴は白いシャツに、黒のロングコートを着ている。 それから、黒いマフラーだ。
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966 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 15:40:17.42 ID:BCw8lZb5 - もう少しちゃんとした格好の方が良かったかもしれない。
朝の空気は凍っている。 そう表現して良いくらいに凍て付いている。 白い息を吐きながら、俺は身震いして自分の両腕を摩った。 奴の背中を見る。
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967 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 15:42:27.92 ID:BCw8lZb5 - こんなクソ寒い中、奴と抱き合ったりしたらどんなに暖かいんだろう。
そんな妄想が俺の脳裏に浮かび上がる程、朝は寒い。 俺は奴の隣りに駆け寄る。 どうして奴はいつも俺の目の前を歩いているのだろう。 不思議な男だ。
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968 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 15:45:00.76 ID:BCw8lZb5 - 人間が出来ていて生活力があり、かつ容姿端麗で、
女の好みを語りつつ、男の俺を抱く。 そして恋人が居ない。 今は俺が奴の恋人という事になるのだろうか。 良く分からなかった。
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969 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 15:47:14.40 ID:BCw8lZb5 - 俺は確かにこの謎が謎を呼ぶ、俺より僅か身長が上の男に抱かれはしたが、
それと付き合うという事とは別な気もする。 今から考えれば、酒にも酔っていた訳だし。 奴の様子を伺うように、奴の方を見てみた。 奴は俺の視線に気が付いて、俺を見る。
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970 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 16:17:34.46 ID:BCw8lZb5 - 髪の毛は黒くて、襟足は短い。
黒が奴の白い肌を引き立てるようだが、朝の冷たい空気が、 奴の像をよりくっきりと鮮明にしているみたいだ。 顎に指を添え逡巡し、寒いのか、と聞いて来た。 それから奴自身のマフラーを首から逆に巻いて外し、 俺の首に巻く。
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971 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 16:19:51.47 ID:BCw8lZb5 - 俺はどうするでも無く、されるがままになる。
黒いマフラーは奴自身の体温で暖められて暖かい。 そしてまた歩き出す。 目を点にして奴の背中を見た。 俺はその場に呆然と立ち、己の首に巻かれたマフラーを見る。
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972 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 16:22:08.39 ID:BCw8lZb5 - 暖かい。
確かに暖かいんだが、そうじゃ無いんだ。 俺が聞きたいのは、口にしたかったのは、 俺が奴の恋人なのか否かという事だ。 なのにどうしてこうも奴は、 何も言わせなくする何か、に満ち溢れているのだろう。
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973 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 16:28:20.13 ID:BCw8lZb5 - それのせいで俺は、何も言う事が出来なくなる。
陳腐に表現すれば、胸の奥が苦しくなるのだ。 だから、ただ黙って奴の後ろを付いて行く事に決めた。 例え奴がこれからどこに行こうとも、俺は付いて行くのだ。 奴が前で、俺が後だ。 数歩分の何かなのだ。
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974 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 16:30:31.91 ID:BCw8lZb5 - 首に巻かれたマフラーに、首を竦めるようにして顔を埋める。
アロマみたいな奴の香りが染み付いている。 どうする事も出来ない香りが、俺を満たしている。 着いたぞ、と奴が言った。 そこはこっちとあっちを繋いでいる橋だ。
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975 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:03:17.09 ID:BCw8lZb5 - 河川の幅はそんなに広い訳では無く、
向こう岸とこっちでは大声を出せば会話出来る程度なのだが、 奴が目指していたのはここらしい。 初詣と橋は何の関係も無い。 俺は益々分からなくなった。 この橋に何か特別な意味でもあるのだろうか。
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976 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:06:08.35 ID:BCw8lZb5 - それとも奴にとってはそうなのだろうか。
橋の真ん中辺りに向かって行く奴の後ろを歩いて行きながら考える。 そろそろだな、と奴が言った。 何が、と聞く前に、橋の中腹に辿り付いた俺の横から照らし出すように、 眩しい光が輝いた。 見ると、空が地平線の辺りから赤、紫、黄色、青の順にグラデーションになっている。
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977 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:08:20.36 ID:BCw8lZb5 - そしてオレンジ色の、真っ赤に焼けた太陽が、
地平線の向こうからもったいぶる様に、 ゆらゆらと這い上がってくる。 夜明けのまさにその瞬間。 明けましておめでとう。 右隣に立って夕日を眺めるように、橋の手摺に凭れ掛かっていた奴が、 微笑を浮かべて俺にキスをする。
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978 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:10:40.13 ID:BCw8lZb5 - 咄嗟の事で、俺は目を閉じる事が出来なかった。
だが、奴を目の前に感じながら俺はゆっくりと目を閉じる。 唇と唇が重なり合って数秒、静かに離れる。 俺も手摺に凭れながら、 初詣じゃねーじゃん、と唇を尖らせて見せた。 初日の出も初詣も大して変わらないだろ。
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979 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:12:54.74 ID:BCw8lZb5 - 奴の言葉には何故か説得力がある。
隣りで太陽に向かって、頭を下げたり手を叩いたり。 俺はみかんを押し潰したみたいな朝日に向かって、 適当にパンパン、と両手を二度合わせた。 そうじゃないだろ、と奴が俺の後ろに回り、 二度頭を下げるんだよ、ほら。と指示を出した。
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980 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:44:30.28 ID:BCw8lZb5 - 仕方なく俺は太陽に向かって二度頭を下げる。
それから奴は、後ろから囲うように俺の手を取り、 二回手を叩かせた。 ニ礼二拍一礼って言うだろ。お前、恥掻くぞ。 真後ろで奴が笑ったのが分かった。 耳に生暖かい息が掛かったので。
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981 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:46:48.26 ID:BCw8lZb5 - それからこう、と、奴は俺の腹を抱えるようにしながら
身体を前に倒す。 俺は手摺に両手を付いて、体が前に倒れそうになるのを支えつつ、 奴の上半身に押されて自然と頭を下げる格好になる。 わざとやってんのか、この馬鹿。
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982 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:49:05.40 ID:BCw8lZb5 - 奴の生暖かな息が俺の耳朶に掛かり、上半身が後ろから抱き寄せられて、
下半身はと言えば、ぴったりと押し付けられている。 俺は自分の中から熱いものが湧き出るような感覚に襲われて、 動けなくなった。 いや、動けない、の間違いだ。 じっとりと、こめかみに脂汗が浮かぶのが分かる。
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983 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:52:09.70 ID:BCw8lZb5 - やめろ、と俺はようやく口を開いた。
何が、と奴はしれっとして答える。 言葉を発した際の息が俺の耳に掛かる。 離れろ、と漸く言いたい言葉が喉の奥から絞り出される。 二礼二拍一礼、ちゃんと理解したか。 奴の一言一言が、近くにあるせいで、やたら大きく聞こえる。
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984 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 17:54:59.16 ID:BCw8lZb5 - 低い声が耳元で、大音量で響くのはどうにも落ち着かない。
俺は寒さから来る生理現象以外で、体が震えそうになるのを押えながら、 ごく冷静に、分かったから、と伝える。 それで漸く奴は俺から離れた。 奴が俺から離れると、身体を翻し、奴を睨む。
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985 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 18:27:26.10 ID:BCw8lZb5 - 軽く驚いているような奴に対して、
自分の首に巻かれているマフラーを素早く外し、 奴の首に引っ掛けるようにすると自分の方へ引き寄せる。 ほぼ強制的に唇を重ねる。 してやったりだ。 奴が思わず手摺に両手を付くのが分かる。
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986 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 18:29:39.50 ID:BCw8lZb5 - いや、やられたのは俺の方か。
囲まれてしまっている。奴の両腕に。 俺は唇を離した。 それから、お互いどちらからとも無く身体を抱き締め合って、キスする。 こんな朝早い時間だから、誰にも見られてないはずだ。 いやむしろ、外だからこんなに体が熱いのかもしれない。
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987 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 18:32:11.08 ID:BCw8lZb5 - 刺す様な空気の中で、寒空の下、俺は奴の体温だけを感じている。
唇から、吐息から、身体から、腕から、足から、全身で。 さっきの軽い口付けとは違う、濃厚なキス。 熱い。 寒い。 熱くて寒い。 寒さのせいで研ぎ澄まされた感覚が、全神経が奴との行為に集中する。
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988 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 18:35:00.84 ID:BCw8lZb5 - 奴の右腕が俺を抱き寄せる。
左手は手摺に付いて身体を支えてるらしかった。 中で舌を絡ませる。 時々、卑猥な音が聞こえる。 俺は奴の脇の下から両腕を入れ、抱き締めてキスに夢中になっている。 奴を強く求めている。
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989 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 18:37:47.35 ID:BCw8lZb5 - 奴も俺を求めている。
互いの体温が体の狭間に篭って暖かい。 ずっとこのままでいたい。 このままでいたくない。 気持ちが容赦無く、左右に揺れている。 俺は自分の求めるままに、盛り上がった股間を奴に押し付ける。
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990 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 19:10:10.70 ID:BCw8lZb5 - 身体を強く抱き締める。
奴も俺の尻を撫でさするようにして股間を押し付けてくる。 俺の腰が壁に当たったせいで、強く押し付けられている。 ヤバイ。 こんなところで逝きたくない。 直ぐにでも逝ってしまいたい。
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991 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 19:12:32.05 ID:BCw8lZb5 - 重なりあった上半身から、どくどくと心臓の鼓動が伝わって来る。
奴にも伝わっているのだろうか。 いや、隠しようが無い。 俺の吐息も、瞳も、唇も、心臓の鼓動も体温も股間も何もかも、 奴から逃れられない。 全部奴に捕らえられてしまっている。
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992 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 19:14:54.01 ID:BCw8lZb5 - そのうち、ぽつ、と俺の髪の毛に何かが空から落ちて来たのを感じた。
でも俺は気にしない。 気にする余裕も無いのだ。 それからまたぽつ、と俺の手にひやっとしたものが触れる。 今度は頬に。 流石に奴も気が付いたか、俺の頬を生暖かな舌でねっとりと舐め上げる。 エロい。
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993 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 19:17:09.70 ID:BCw8lZb5 - どうして奴はこんなにもエロなのか。
普段落ち着いていてセックスは激しいなんて、 益々反則じみた男だ。 まもなくして空から水を並々張った金手洗を引っ繰り返したみたいに、 そろそろと雨が降って来た。
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994 :やっと書ける( ・`ω・´)[sage]:2012/09/20(木) 19:20:16.87 ID:BCw8lZb5 - 始め細やかだった雨粒は、やがて強さを増し量を増し、
抱き締め合ってキスに夢中になっている俺たちの頭上に降り掛かる。 激しい雨では無く、静かな雨。 寒い日の午後に長く降るような雨だ。 髪の毛に降り掛かった水滴を始めは弾き返していたのだが、 やがて湿り顔を伝ってくる程になる。
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