- 消費税増税 いつまで待たせるのか − 読売新聞
401 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 06:45:41.74 ID:iG5+k9hr0 - 社説:消費税8%へ増税の原点を忘れるな
毎日新聞2013年10月02日02時30分 安倍晋三首相が消費税率を来年4月から8%に引き上げることを表明した。 私たちは、増大する社会保障費と危機的な財政をふまえ、消費増税は避けて通れない道だ と主張してきた。現在の経済状況を考慮しても、先送りする事情は見当たらない。昨年の 自民、公明、民主各党による「税と社会保障の一体改革に関する合意」と、その後の関連 法成立に沿った首相の判断は妥当と言える。 増税によって、社会保障の持続可能性は高まり、財政を健全化していく第一歩となる。そ の結果、国民、とりわけ若い世代が抱く将来への不安がやわらぎ、不透明感が解消されて いくことも期待される。 ◇軽減税率の導入急げ しかし、これだけでは不十分である。政治が、民間が取り組まなくてはいけない課題は多 い。すぐにでも、取りかかる必要がある。 安倍政権はこの2、3カ月、経済状況をみて引き上げを実施するかどうかを判断するとい う「景気条項」に基づいて、対応が揺れた。結局、景気への悪影響を抑えるとして、公共 事業をふんだんに盛り込んだ5兆円規模の「経済対策」と、復興特別法人税の「前倒し廃 止の検討」を決めた。 景気を考えた何らかの対策は必要かもしれない。だが、それを口実に政権や党の支持基盤 強化につなげようと公共事業のばらまきなどに走るのは、国民の痛みにつけこむもので、 何のための増税かわからない。 そんなことに精力を傾け、理屈付けに躍起になる前にやるべきことがある。 まず、増税と表裏の関係にある安心できる年金、医療、介護などの具体化だ。社会保障制 度改革国民会議がまとめた改革策は、年齢を軸にした現行制度を見直し、所得に応じた負 担と給付への転換を打ち出した。「抜本的な制度見直しは棚上げ」との批判もあるが、子 育て支援策の充実などは評価でき、政治的困難さを克服して着実に実行に移してほしい。 不備や課題は、そうした中で柔軟に対処していけばいい。 増税による財政のゆとりは、こうした社会保障策の充実にのみ使うのは言うまでもない。 それが税率引き上げの原点である。 しかし、8%では借金の穴埋めにも不十分であり、2015年10月に予定通り消費税率 を10%に引き上げる判断を迫られるだろう。持続的な社会保障制度の構築に責任を持ち、 原点を守るうえで、それは当然の政治的決断と言える。 第二に、弱者への配慮は、さらに手厚くすべきだ。逆進性の強い消費税の増税は、経済的 に苦しい人に強いしわ寄せが及ぶ。所得が低い層への効果的な対策に知恵を絞らなくては ならない。 そのためにも食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけ ない。すぐに制度設計に取り組むべきだ。 http://mainichi.jp/opinion/news/20131002k0000m070126000c.html
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402 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 09:56:38.70 ID:iG5+k9hr0 - 欧州各国のほとんどが、食品のほか新聞、書籍類の税率をゼロや数%に抑えている。「知
識には課税しない」という考えは、だれもが情報を入手しやすい環境を整え、民主主義を 支えるうえで不可欠だ。 ◇政治への監視強めよう 忘れてならないのは、歳出の徹底した見直しを進めることだ。アベノミクスや東京五輪開 催にうかれているのか、国の財布のひもを締め、財政規律を守るという当たり前の考えが 最近、すっかりかすんでいる。増税は、歳出削減とセットになって大きな効果と納得感を 生む。定数削減など国会議員自らが身を削る約束も果たしてほしい。 個人を含めた民間も、やるべきことがある。 民間企業は新しい分野への投資や技術革新、経営改革などに挑み、雇用の拡大と賃金の底 上げを図ってもらいたい。「日本経済の活性化につながる」として消費増税を支持した経 営者は少なくない。法人税の実質減税という思わぬ果実も得た。さまざまな要求をして、 あれこれ国にお膳立てしてもらう段階は過ぎた。そろそろ経営者が動く番だ。力量をしっ かり見せてほしい。 消費増税が公平感を伴って浸透していくには、価格への円滑な転嫁が欠かせない。下請け 仕事をもらったり、原材料を納入したりする弱い立場の中小・零細企業は、増税分を一方 的に負担させられるのではないかという不安がある。公正取引委員会は監視を強める方針 だが、大企業や流通段階を担う業界は、中小・零細企業を泣かさない円滑な転嫁を進めて もらいたい。 国民にとって増税の痛みは大きい。電力料金引き上げや円安などによる食品の値上げ、介 護や医療分野での負担増などが相次ぐ一方、毎月勤労統計によると基本給は8月まで15 カ月連続で減少している。 それでも最新の毎日新聞の世論調査では「消費税を予定通り引き上げるべきだ」が、先送 りや増税反対を抑えて最も多かった。将来の国づくりへの前向きな一歩として、やむを得 ないとの考えだろう。政治への関心を高め、税金の使われ方をしっかり監視しなくてはい けない。金も出すが、口も出す国民でありたい。 http://mainichi.jp/opinion/news/20131002k0000m070126000c2.html
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403 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 15:25:47.18 ID:iG5+k9hr0 - 消費税8%決定日本再生へ確実につなげ成長戦略の具体化が急務だ
2013.10.2 03:09 安倍晋三首相が消費税率を来年4月から3%引き上げ、8%とすることを正式表明した。 安定的な社会保障財源の確保と財政健全化に向け、確かな一歩を踏み出した意義は大きい。 安倍首相は1日の記者会見で増税の理由について「国の信認を維持し、持続可能な社会保 障制度を次の世代に引き渡すため」として国民に理解を求めた。 景気への影響を懸念し、増税先送りを求める声は政府内にもあった。その中で、ぶれずに 法律通りに増税の実施を決断した安倍首相の姿勢を支持したい。 消費税増税は17年ぶりとなる。日本は今、デフレから脱却し「失われた15年」を埋め る過程にある。安倍首相は増税による景気の落ち込みを防ぎ、日本経済を上向かせる成長 戦略の具体化を急ぐことが必要だ。増税による財政再建と成長は「日本再生」のために、 どちらも欠かせない。 ≪政治も身を切る覚悟を≫ 一方で、国民に増税という負担を求める以上、政治も自ら身を切る覚悟を示すべきだ。予 算削減などを通じた政府のスリム化を図ることも必要だ。安倍首相は選挙制度改革を通じ た定数削減などを主導し、増税への国民の理解を求めてほしい。 日銀がまとめた9月の短観で、企業心理の大幅改善が確認された。今年4?6月期の実質 国内総生産(GDP)も年率3・8%増に上方修正され、堅調な個人消費に加えて設備投 資もプラスに転じた。来年4月の増税実施に向け、景気は着実に回復傾向にあるとの判断 は妥当だ。 増税の目的は言うまでもない。高齢化に伴って増加が続く社会保障財源について、税収が 景気に左右されにくい消費税の税率引き上げで確保することだ。 税収と同じ規模の国債発行に頼る、借金頼みの財政運営には決別しなくてはならない。 財務危機に見舞われた欧州をみても、財政に対する市場の信認を失えば国債価格は暴落し、 金利は急騰する。そうなれば景気を直撃し、国の予算編成にも支障が生じる。持続可能な 財政は国の成長を支える基盤と認識すべきだ。 その意味でも国際公約となった消費税増税の実施は、安定的な経済成長を果たす日本再生 に舵(かじ)を切る意思表示と受け止めたい。 ただ、すでに政府の債務残高が1千兆円を超え、財政再建は増税のみでは達成できない。 消費税を法律通りに平成27年10月に10%に再び引き上げても、国と地方の基礎的財 政収支を32年度に黒字化させるとの政府目標はクリアできない。厳しい歳出削減にも同 時に取り組む必要がある。 とくに、高齢化で膨張が続く社会保障費への切り込みは待ったなしだ。現行制度をこのま ま続ければ、高齢化などの影響で年1兆円規模で必要な予算は増える。これを放置してい ては、財政健全化の道筋は描けない。社会保障制度改革国民会議が示した改革案の具体化 を急いでほしい。 増税対策で検討するとした復興特別法人税の前倒し廃止は、日本経済に活力を与えること を目指すものだ。 被災地の復興財源の確保は当然だが、これによって税負担が軽減される企業は、積極的な 設備投資や賃金引き上げなど、日本経済の成長に資する責務があることを忘れてはならな い。 ≪バラマキは許されない≫ 消費税増税に伴う低所得者対策では、住民税の非課税世帯を対象に1人あたり年間1万? 1万5千円を支給するという。増税の影響を強く受ける低所得者層への配慮は必要だが、 単なるバラマキは許されない。 低所得者対策は、やはり軽減税率の導入を軸とすべきだ。 コメ、みそなど基礎的な食料品や新聞・雑誌などに消費税負担を抑える軽減税率は透明性 が高く、低所得者に恩恵が広く行き渡る。欧州では付加価値税(消費税に相当)の税率が 20%前後だが、生活用品を広く軽減対象と認めることで高い税率に国民の理解を得てい る。日本も導入すべきだ。 産経新聞とFNNが9月実施した世論調査によると、来年4月から予定通りの消費税増税 の実施を「支持する」と答えた人は、3分の1にとどまった。 生活に直結する消費税増税に反対する声は根強い。これからも丁寧な説明が欠かせない。 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131002/fnc13100203100003-n1.htm
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404 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 17:56:38.87 ID:iG5+k9hr0 - 1万円支給バラマキより軽減税率を
2013.10.7 03:46 来年4月の消費税増税に伴う低所得者対策として、総額3千億円の現金給付が盛り込まれ た。 住民税の非課税世帯など2400万人を対象に1人1万円、うち年金受給者には1万5千 円を支給する。 消費税は、生活必需品に使うお金の割合が高い世帯ほど負担感が重くなる「逆進性」が指 摘されている。増税時に一定の激変緩和措置を講じるのは理解できる。 だが、現金を広く給付する必要性は感じられない。これでは典型的なバラマキだ。低所得 者対策では、透明性の高い軽減税率を早期に導入すべきだ。 安倍晋三首相は消費税率を8%に引き上げるのに伴い、景気の腰折れ防止のために5兆円 規模の経済対策をまとめる考えを示した。この中で「簡素な給付措置」として低所得者向 けに現金を給付し、今年度補正予算で財源を手当てすることにした。 政府は、この給付によって税率を10%に引き上げる予定の平成27年10月までの生活 必需品の増税負担分を賄えるとみている。 これから具体的な制度設計を詰め、市町村を通じて来年6月以降に支給する方向だ。 平成9年4月に消費税率が3%から5%に引き上げられた際、高齢者を中心に約950億 円が支給された。今回の支給もこれにならった措置だが、対象人数は2倍以上に拡大し、 支給総額は3倍に増えた。これでは効率的な増税対策とはいえまい。 それよりも軽減税率を早期に導入し、コメやみそといった生活に欠かせない基礎的な食料 品などを対象にして消費税率を低く抑えることで、低所得者層の税負担軽減につなげてほ しい。 日本の消費税に相当する付加価値税率が高い欧州では、軽減税率が広く普及している。 「知識には課税しない」との伝統が確立しており、新聞や雑誌などの活字メディアも軽減 対象になっている。国民の知る権利を保障するうえでも役立っており、こうした先行事例 も参考にしてほしい。 自民、公明両党は近く軽減税率に関する議論を再開する。自民党は「消費税率を10%に 引き上げる際に検討する」との立場だが、円滑な導入を図るには、今から詳細に制度設計 に取り組まなくてはならない。国民を巻き込んだ建設的な議論が欠かせない。 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131007/fnc13100703470000-n1.htm
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406 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 20:45:49.40 ID:iG5+k9hr0 - 17年ぶり消費増税―目的を見失ってはならぬ
安倍首相が、消費税の増税を決めた。5%の税率は来年4月から8%に上がる。 97年4月に3%から5%になって以来、17年ぶりの消費増税だ。これまでは所得税などの減税とセ ットだったが、今回はない。金額にして8兆円余り。わが国の税制改革史上、例のない大型増税である。 家計への負担は大きい。 ■一体改革の原点 それでも、消費増税はやむをえないと考える。 借金漬けの財政を少しでも改善し、社会保障を持続可能なものにすることは、待ったなしの課題だから だ。 「社会保障と税の一体改革」という原点に立ち返ろう。 国債を中心とする国の借金の総額は国内総生産(GDP)の約2倍、1千兆円を突破した。今年度の一 般会計では、新たな国債発行が40兆円を超え、予算の半分近くに及ぶ。 最大の原因は、高齢化に伴う社会保障費の伸びだ。医療や年金、介護の財源は、保険料や窓口負担だけ では足りない。国や自治体が多額の予算を投じており、国の社会保障費は年に1兆円ほど膨らみ続ける。 将来の世代に借金のツケを回しながら、今の世代の社会保障をやりくりする――。こんなことをいつま でも続けられるはずがない。社会保障を安定させ、財政の危機を未然に防ぐには、今を生きる私たちが もっと負担するしかない。 では数多い税金のうち、なぜ消費税なのか。 社会保障による給付は高齢者向けが中心だ。お年寄りの割合は上がり続けており、所得税など働く世代 の負担だけに頼るわけにはいかない。 しかも、現役組は賃金が増えないなか、子育てや教育、住宅など多くの負担を抱える。支援を強化しな いと、人口減少に拍車がかかりかねない。 こうした点を考えれば、国民が幅広く負担し、税収も安定している消費税が、社会保障の財源に最もふ さわしい。 あわせて豊かな人たちを対象に、所得税や相続税を強化する必要がある。格差を縮めるためにも不可欠 だ。ただ、これだけで消費増税に匹敵する財源を確保するのは難しい。 ■法人税減税への疑問 政府の責任は、規制改革などで経済を成長させつつ、税金をしっかり集め、むだ遣いせず効果的に配分 することだ。この三つの課題に向き合わなければ、増税への理解は得られない。 ところが、安倍政権は増税で予想される景気悪化への対策を理由に、これに反するような政策を打ち出 した。 5兆円の経済対策である。 所得の少ない人の負担が重い消費増税では、低所得者への支援策が必要だ。補正予算にその費用を盛り 込むのはわかる。 しかし、対策の柱がなぜ、法人税の減税なのか。 政権は、与党内の根強い反対を押し切り、法人税の減税方針を打ち出した。東日本大震災の復興費にあ てる上乗せ増税を予定より1年早く今年度で打ち切ることや、その先の税率引き下げの検討を急ぐとい う。 企業は経済成長の担い手であり、雇用の場でもある。国際的に法人減税の競争が続いているのも事実だ。 ただ、日銀の統計では、企業(金融を除く)は現金・預金だけで220兆円も抱え込んでいる。多くの 企業は、収益が上向いても使おうとしない。 まず、こうした現状を改める必要がある。安倍首相は税率引き下げをテコに賃上げを迫る構えだが、財 政への影響が大きい一律減税の前に、賃金や雇用、投資を増やした企業の税負担を軽くする手立てに集 中すべきではないか。 ■政権に自覚はあるか 経済対策は支出面でも疑問がある。代表例が公共事業だ。 老朽化した社会インフラの更新は急ぐべきだが、公共事業が足もとの景気を支える効果に飛びつき、 「金額ありき」で上積みする姿勢がありありだ。バブル崩壊後、毎年のように補正予算を組んで財政を 悪化させてきた愚を繰り返すのか。 消費税の制度そのものにも課題が残る。 国民が払った税金がきちんと税務署に納められることは税制の大原則である。業者の手元に一部が残る 「益税」対策を徹底することが欠かせない。 業者間の取引に、税額を明示したインボイス(明細書)を導入すべきだ。商品やサービス自体の価格と 消費税分の区分けがはっきりすれば、取引時の転嫁がしやすくなり、立場の弱い中小事業者が泣き寝入 りすることも減らせる。 税金は安いにこしたことはない。それでも納税するのは、政府が暮らしに必要な政策に取り組むと信じ るからだ。 消費増税の目的をはき違えていないか。安倍政権は、国民の厳しい視線が注がれていることを自覚すべ きだ。 http://digital.asahi.com/articles/TKY201310010501.html
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- 消費税増税 いつまで待たせるのか − 読売新聞
407 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/10/10(木) 23:33:30.33 ID:iG5+k9hr0 - 消費増税を財政改革の出発点に
2013/10/2 3:30 安倍晋三首相が予定通り消費税増税を決断した。5兆円規模の経済対策で景気を下支えし ながら、5%の消費税率を2014年4月に8%まで引き上げる。 17年ぶりの消費税増税を実行し、財政再建の一歩を踏み出すことを評価したい。日本経済 の成長基盤を強化しつつ、さらなる歳出・歳入改革も進めるべきだ。 4?6月期の実質成長率は前期比年率3.8%で、1?3月期の4.1%に続く高成長となった。 9月の日銀調査では、大企業製造業の業況判断指数がリーマン・ショック後の最高を記録 した。 法人減税で成長強化も アベノミクスの効果もあって、日本経済は着実に回復している。米国の財政運営を巡る混 乱や新興国の景気減速といった不安は残るとしても、増税に踏み切る環境が整ったとみて いいだろう。 本格的な財政再建が避けられないにもかかわらず、日本はその努力を怠ってきた。国と地 方の長期債務はいまや1000兆円に上る。次の世代に過大な借金を負わせ続けるわけにはい かない。 首相は記者会見で「経済再生と財政健全化を同時に達成するほかに道はない」と語った。 景気の腰折れを避ける対策を講じ、15年10月に予定している次の増税につなごうというの は妥当である。 対策の柱に据えたのは企業の活力を引き出す法人税減税だ。設備投資や給与を増やす企業 向けの政策減税を実施する。復興特別法人税を1年早く打ち切り、法人実効税率を14年度 に38%強から35%台に下げることも検討する。 政策減税も景気のてこ入れには一定の効果があるだろう。しかし国内企業の競争力を高め、 日本の立地・投資環境を改善するには、主要国よりも高い実効税率の引き下げに踏み込む 必要がある。 復興特別法人税の廃止はその一歩だが、これだけで終わらせてはならない。15年度以降の 課題となる実効税率の一層の引き下げを実現するため、財源の確保を含めた検討作業を急 ぐべきだ。 「企業に法人税減税を与え、個人に消費税増税を迫るのは不公平だ」との不満は強い。 「東日本大震災の被災地復興を軽視している」という批判も出ている。 だが景気の本格回復に欠かせない設備投資や雇用、賃金を生み出すのは企業だ。その負担 を恒久的に軽減し、日本経済を底上げすれば、個人にも恩恵が及ぶ。 復興予算については、被災地以外の事業への流用も表面化している。25兆円と見積もった 復興経費の妥当性をこの機会に検証し、復興特別所得税にも軽減の余地がないかどうかを 探ってほしい。 法人税減税にこだわった安倍首相の期待にこたえ、投資の拡大や賃上げに踏み切る企業自 身の努力も望まれる。政府が過剰な圧力をかけて減税の見返りを迫るのは問題だが、企業 がいたずらに手元資金を積み上げるのでも困る。 心配なのは財政規律の緩みである。安倍政権は防災・減災や東京五輪開催のための公共事 業も対策に盛り込んだ。国民の負担増を緩和するという名目で、不要不急の支出を膨らま せてはならない。 低所得者や住宅取得者に現金を給付し、負担感を和らげるのは理解できる。所得や資産な どの状況を適正に把握し、ばらまきを排除するよう注意してほしい。 もちろん今回の消費税増税だけで財政を再建できるわけではない。税率を10%まで上げて も、国と地方の基礎的財政収支を20年度までに黒字化するという目標は達成できない。歳 出抑制と歳入確保の努力を継続する必要がある。 歳出抑制の努力足りず 今の安倍政権に足りないのは歳出抑制の覚悟だ。その本丸は社会保障費の効率化にある。 高齢化の進展などに伴って自動的に膨らむ年1兆円規模の「自然増」を放置したままでは、 消費税率を2ケタに上げても追いつかない。 余裕のある高齢者には給付の抑制と応分の負担を求め、現役世代の重荷を減らす抜本的な 年金・医療・介護の制度改革が欠かせない。その具体策を示し、歳出抑制の手段を定めな いと、財政運営への信頼感は高まらないだろう。 財政再建と成長を両立できてこそ、日本経済の真の再生につながる。金融緩和と財政出動 の成果だけに寄りかかるのではなく、成長戦略の具体化も進めるべきだ。 医療や介護、農業などの規制緩和は道半ばである。容積率の緩和や混合診療の拡充などを 特例的に認める「国家戦略特区」の詰めも急ぎたい。できるだけ自由度の高い環太平洋経 済連携協定(TPP)の締結にも努力してほしい。 http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60492280S3A001C1EA1000/
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