- エネルギー政策 「原発ゼロ」転換が急務だ
43 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2013/01/27(日) 23:02:04.99 ID:gPmdO4ki0 - 科学ジャーナリズム
未来託す研究 育む重責 昨年の暮れ、一冊の心躍る本に出違った。表題はぐっと砕けて『ボクらのエネルギーって、どう なるの!?』。著者は岸田一隆氏、物用学を専門とする本格的な研究者でありながら、憂国の思い があって、科学ジャーナリズムに真摯に取り組む文事家でもある。 全編ことごとく考えさせられる内容たが、とくに私の目を惹いたのは、巻末に併載された対談、 原子核工学者の大井川宏之氏と著者がADSについて語り合う一章だった。ADSとは「加速器 駆動核変換システム」の略称であり、簡単にいえば、原子炉の核廃棄物に中性子を当て、放射能 の減衰期を現状の10万年単位から数百年規模に短縮する装置だという。 素人論議の喧しい原発問題だが、なかでも話題の焦点になってきたのは、使用済み核燃料の最終 処理の方法だろう。この対策の一つとしてかねて、使用済み核燃料を再処理して再利用する工程 が考えられてきたが、この計画は容易に進展していないうえ、この工程で生まれる高レベル放射 性廃棄物が、やはり1万年単位の問題をひきおこす。 これは原発廃止論者には鬼の首を取ったような論拠であり、原発維持論者にとっても良心の痛み をもたらす難題であった。フィンランドのように核廃棄物を岩盤の底深く埋蔵するにしても、10 万年はあまりにも長く、人類の未来に想定外の危険を及ぼす恐れがあるからだった。その危険が ADSによって数百年単位に圧縮されるとすれば、もはや廃棄物の最終処分場は必要なくなり、 中間処理施股を補強するだけで十分になるはずである。 この技術は原発運営の是非にかかわらず、有益な存在であり、現に無数の原発を抱えた全世界に とって大きな貢献となるだろう。実用化にはまた課題もあるが、ADSが完成すれば、日本の強 力な輸出品となり、その経済効果も計りがたい国益になるにちがいない。こう想像すれば、欣喜 雀躍したくなる話題なのだが、対談を読み進むと、じつは真の問題はその先にあることがわかる。 現在、ADSの研究では日本とベルギーが先進国らしいのだが、ベルギーが2016年に施設着 工を決めているのにたいして、日本には研究段階の実験装置があるばかりだという。京大などで 行っている実験のアイデアは最先端のものだが、なにぶん全体の研究予算が少なく、若手研究者 の多くをベルギーに送り込んでいるのが実情である。 (2013年1月21日03時01分 読売新聞) http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#/news_20130120-118-OYTPT00998
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