- 堺屋太一
64 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2019/08/22(木) 19:14:04.93 ID:Z0ZXvCC6 - /// 「うつむき加減の時代」をどう生きるか 45 ///////
「好縁社会」へ――都会性を深める政策を このことは、五番目の、世の中全体が「建設型職縁社会」から「消費型好縁社会」に変わる ということを意味している。 これまで、日本では年間百五十万戸前後も住宅が建てられてきた。したがって、宅地は広がり、 都市はどんどん拡大した。道路も地下鉄も、水道も下水道も、延び続けた。商店街には新しい ビルが建ち、道路沿いにはファースト・フーズ店とディスカウント・ストアが新設されたものだ。 これまで行われてきた都市政策は「都市拡大政策」だった。経済成長と人口の増加によって、 ますます都市に集まってくる人々をいかに都市域に収容するかというのが、日本の都市政策の 中心課題だった。そのためにこそ、膨大な公共事業を行ってきたのである。 ところが、これからの時代は、都市の人口もそれほど増えない。一九九四年からは東京圏も 流出超過に転じた。近畿圏はずっと前からそうなっている。これからは、都市の人口増加率は きわめて低いものになるだろう。そうなれば、「都市拡大政策」は不要となり、「都会深化政策」、 つまり都会性を深めていく政策が重要になってくる。 都会性とは何だろうか。都会の何よりも重要な要素は、多様な選択性だ。われわれが都会に 住むことを好む最大の理由は、いろいろなものを選択できる点にある。 ///////// 堺屋太一著 ///
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