- 【経済政策】安倍政策と麻生政策の理論的相違
84 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2013/03/05(火) 15:05:34.50 ID:oxbuJ27a - 吉川『デフレーション』:混乱した本だし、10年以上前の小野義康との論争蒸し返し。
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20130304/1362379152 さて、本書の主張の中心は以下の三つだ。 ・貨幣数量説はまちがっているので、それをもとにした理論はすべてダメ ・お金は実体経済に影響しない(してもわずか)だからリフレとかダメ ・日本では賃金の下方硬直性が低い。だからデフレになるのだ。 でも、貨幣数量説がまちがっているといっても、どのくらい? あらゆる時点で厳密には成立しないにしても、長期で見ればだいたい成立している、というのが主流経済学のコンセンサスではないの? ぼくはそう思っていたし、ウィキペディアの英語版にもそう書いてある。相関係数ゼロならば、それはもちろんモデルには使えない。 でも十年スパンで見てr2が0.8くらいあれば、それを元にしたモデルを全否定する必要はない。近似として十分に使えるだろう。 でも、本書は貨幣数量説があまり成立していない昔の時期と、理論的にケインズとかがそれを否定していることを立てに、貨幣数量説がすべてダメ、それを元にした理論一切ダメ、となってしまう。 それは変じゃないだろうか。 そして、それをやってしまったために、この本は基本的にお金(マネーサプライ)の役割もほぼ完全に否定することになる。 もちろん、利子率経由で少しは効いてくるんだ、という逃げはうつ。 でもゼロ金利だということを盾に取り、リフレ論者みたいにそれが大きいということは認めないし、またそれが期待に作用する経路も考えず、インフレやデフレに作用する可能性も見ない。 ゼロ金利下ではマネーサプライを増やしてもダメ、というのを彼はしつこく述べる。だから金融緩和は効かない、と。 でもクルーグマンの最初の論文ですら、それについては明記している。ゼロ金利下では、今のお金を増やしてもダメだ、と。 それを今更得意げに言われても、「それで?」というだけだ。 だからこそ、将来のインフレへのコミットが重要だ、期待を経由してそれが効いてくるんだ、というのをクルーグマンは何度も指摘している。 でも、吉川は、現時点での金融緩和が効かない、貨幣数量説はだめ、だから将来の金融緩和も効かない、よってこの手の話は全部ダメ、とやってしまう。 そしてその道をすべて否定したことで、デフレがもはや金融的な現象ですらなくなってしまい、実体経済の結果だ、とされてしまう。 要するに、お金は実体経済に影響しない、という話だ。 これってまさに、吉川が批判するRBCとかの立場そのものじゃないんですか?
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