- アナリティカル・マルキシズム/分析的マルクス主義
88 : 【中吉】 【1620円】 [sage]:2011/01/01(土) 20:09:49 ID:ck3JGsgO -
まず、資本主義が、マルクスがそのことを指摘して以来、百数十年を経過した今日なお、 恐慌・不況の周期的到来という事態から、抜け出せないでいる、という問題です。資本主 義的生産様式のこの矛盾の分析に正面から取り組んだのが、今回の研究でその形成過 程を探究したマルクスの恐慌論でした。 現在、この問題を考えるとき重視するべきことは、マルクスの時代から現代までのあいだ に、独占資本主義および国家の経済への全面的な介入の体制―国家独占資本主義の巨 大な発展があった、ということです。国家の経済への介入の体制は、一九二九〜三〇年に 世界資本主義を震撼させた大恐慌以来、とくに第二次世界大戦後の世界では、戦時だけ でなく平時の資本主義の特質となりました。これは、資本主義の枠内に国民経済的「計画 化」や「規制」の要素をとりいれ、資本主義社会ではいつも祭りが終わってから%ュく(マ ルクス)とされた「社会的悟性」を、祭り≠フ前あるいは最中に働かせようという側面をも つもので、この体制の経済学的表現といわれたケインズ理論の信奉者たちは、一時は、 「ついに恐慌のない資本主義に到達した」と、その成果を賛美したりしたものでした。 しかし、国家独占資本主義によっても、恐慌を生み出す資本主義の矛盾・対立を克服す ることはできませんでした。国家の経済への介入の成果≠ヘ、第二次大戦後でも、恐慌 や経済循環の現れ方を緩和したり、その形態を変化させたりするにとどまり、ついに一九 七〇年代には、いわゆる近代経済学の陣営で、理論的にも、経済政策的にもケインズ 主義の破綻≠ェ声高に叫ばれるようになりました。国家の力を総動員し、国のテコ入れで 恐慌をくいとめるというのは、資本主義にとっていわば最後の手段≠ナしたが、その最 後の手段も、その力を使い果たしてしまったことが、資本主義世界の共通の確認となる、そ ういう段階を迎えるにいたったのです。 -------- 不破哲三著『マルクスと「資本論」 ―再生産論と恐慌』下巻二六九頁 http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101957003
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