- ◆不要な官制事業が国民生活を地獄へ導く 第二地獄 [転載禁止]©2ch.net
69 :堺屋太一[sage]:2017/08/16(水) 02:58:16.87 ID:gfiA93a5 - 金融、証券不祥事の背景は何か。
「日本の企業とクーデター以前のソ連共産党の組織原理に共通点がある。それは競争制 限とノルマ主義だ。ソ連では共産党一党独裁のもとで、いわば日本相撲協会に所属する力 士が優勝を争うように書記長や地区委員のポストを争い、日本では免許を与えられた会社 だけが証券市場を通じて利益獲得競争に奔走した。ともにプレーヤーの数が限られた組織 の中で内部競争させる仕組みだ。参入が制限された組織にいる限り、人間は生活が保障さ れた。ソ連ではノーメンクラツーラ(特権階級)として一般民衆よりも水準の高い生活を 送ることができたし、日本では政府が決めた高い手数料や、低い預金金利で会社の利益が 確保され、社員は安定収入、管理職、役員は交際費使用権を得られた」 「もう一つの共通点であるノルマ主義は、ノルマを達成すれば特権階級の中で地位が上 がる仕掛けだ。したがってその組織に所属する人間は組織内部での評判だけを気にするよ うになる。日本のノルマは前年比、他社比、予算比と三つの比較で決める『三比主義』で、 常にこれを上回るようにノルマが課せられる。これは全員が頑張ればハードルがさらに上 がるという”無限地獄”。しかも問題なのは評価の基準が数量なので、ノルマを達成するた めに質の落ちる取引が増えた。ソ連では生産量を増やすために質の悪い家具や紙を作った が、日本では企業が暴力団や料亭のおかみと付き合うことになってしまった。これが日本 社会全体の構造的欠陥で、官僚がからんでこうした土俵を作った。」
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70 :堺屋太一[sage]:2017/08/16(水) 02:59:35.54 ID:gfiA93a5 - 「1980年ごろまで企業の業績評価は営業利益に基づいていた。そこへアメリカのビ ジネススクールが『何が何でもその時、勝てばいい』という思想を持ち込んだこともあっ
て、80年代の半ばころからは金融収支とか不動産売買による利益を区別しない経常利益 の多寡に業績評価の基準が変わってしまった」 「営業利益と営業外利益の区別がないままノルマを課すから質が低下するのは当然で、 これが今日のバブル経済の原因になった。本来、経営者は『利益はこの程度』『社会的評価 はこれぐらい』といった企業の最終的な理想を公に示さなければならない。しかしその理 念を提示できないまま『三比主義』でノルマを課すからオイルショック以前はシェア競争 に明け暮れ、オイルショック以降は利益額競争に走った」 理念を説くだけでは体質は改まりにくい。現実的にどんな評価基準が考えられるか。 「利益の額でなく、取引の質を業績評価の基準とする『利益質基準』を導入すべきだ。ま だ研究段階だが、利益質を外延性、継続性、好感度の三つの要素に分け、企 業があらかじめ設定した理念にしたがって三つの要素の加重のかけ方を変える。理念はキ チンと社員に公表し、はじきだした利益質を人事評価に反映する必要がある。重要なのは 経営者が企業の理念と利益質の尺度を社員や社会に明確にし、理念の実現に強い意思を示 すことだ。そうすれば企業の体質はうんと変わる。それをしないで不祥事のたびに監査制 度を強化するのは最悪だ」 「外延性」・・・同じ取引額でもグループ内での取引は質が低く、外で稼いだ取引は質 が高いと規定する。例えば銀行でA支店の口座をB支店に移し替え、帳簿上、B支店の売 り上げを伸ばすのは外延性が低い。 「継続性」・・・ある利益が来年も再現できる質のものか、一過性の取引かを評価する。新 製品の販売は継続した利益をあげるから、一回限りの不動産売買による利益より質が高い。 「好感度」・・・その利益を得たことが好感を得たか、悪感情をもたらしたかを評価する。 好感度は「取引相手からの好感度」「従業員の好感度」「世間一般の好感度」の三種類がある
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71 :金持ち名無しさん、貧乏名無しさん[sage]:2017/08/16(水) 03:07:41.49 ID:gfiA93a5 - j
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72 :堺屋太一[sage]:2017/08/16(水) 03:08:05.45 ID:gfiA93a5 - 「うちの会社だけが突出して『利益質基準』を導入するわけにいかない」という反論が聞こえてきそうだが。
「それは理念がないからA証券会社が五千億円の利益をあげたからと言って、なぜ他 の証券会社までがそれに匹敵する利益をあげなければならないのか。もちろん企業は利益 をあげなければならないけれど、無限に利益だけ拡大するのが企業の理念とは思えない。 現に利益だけ追求してきた企業が今は赤字の危機に立っている例が多い。少なくとも85 年のプラザ合意までには同じような考え方が各業界にあった。薬品業界はすべて武田薬品 を目指していたわけではないし、アパレル業界でも森英恵や三宅一生がワールドやイトキ ンと利益量競争など意識してはいないだろう」 堺屋 企業は利益追求体だが、質の高い利益を追求すれば、必ず長期的に繁栄すると同時に品格のある企業になる。利益質の第一の尺度は「外延性」だ。 企業の外から上がる利益が重要で、子会社への押し売りなどは駄目だ。 第二に技術開発で新製品を作り、さらに次の技術を生んでいく「継続性」。一度限りのもうけである土地転がしとは違う。第三は、仲間や取引相手、世間から受ける「好感度」だ。 ――「利益質」は決算書から読み取れるか。 堺屋 決算書ではわからない。経営者のための利益質決算書をつくろうと提案した。土地の転売など一時的利益なら1点、技術開発なら5点、 新規顧客の開拓なら3点などと加重係数を掛けて利益質ポイントを出す。それで人事評価をしようという提案だ
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