- 【文藝】日垣隆★134【春秋?】©2ch.net
527 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:38:56.42 ID:pRsqq+fB - 「ガッキィファイター」2016年12月23日号
通巻 第557-3号 ■目次■ □脳梗塞になっちゃった(29) ◆挑戦 「既知なる未知」の世界へ バカラ編 □お知らせ ◆ジンバブエの、史上最高桁数紙幣 謹呈 ■■脳梗塞になっちゃった(29)■■ ★挑戦 「既知なる未知」の世界へ バカラ編★━━━━━━━━━━━━━★ 12月11日号の「カジノで再デビュー!」から間を空けてしまった。お許し願いたい。こ んなことは公言したくはないが、帰国後、風呂場で大胆に転倒した。退院後の室内での転倒 は40回ほどだが、ほぼ連日から、最近では月1くらいまで鍛えてきた。室内で普通(笑) に転倒するのは、慣れのごとき油断も大きい。 家の中の階段や風呂場は骨折を伴いやすく、足や腰の骨折は、それまでのリハビリを泡と 消してしまう。だから現実には、階段や風呂場での転倒は一般的に少ない。介助や、単独で も相当に気をつけるゆえに、転倒は避けられている。 が、やってしまった。海パンを履いているわけではないので、完全に上向きに両手両足が 広がったまま、しばらく身動きができなかった。助けを呼んでも、誰にも聞こえないし、次 第に骨折や捻挫はしていないことにも気づき、起き上がりさえすればなんとかなると思っ たけれども、このあられもない姿は家族にも見られたくない。 今日も痛みがあるものの、なんとかなった。めでたい。 カジノでは、私は負けるつもりでいた。必勝法(詳細は『脳梗塞日誌』大和書房)なしに は、勝てるわけはない。 一般論で言ってしまえば、「その日に勝って帰れるのは20人に1人」との説と、カジノ PR側の「15人に1人は勝って帰りますよ」説の中間くらいであろう。 日本の代表的賭博、年末ジャンボ宝くじは2,000人が入れる体育館を5,000も集めて、 そのなかでたった1人がトップを狙えるにすぎない事実を分かっていないのは、確率的感 性がアレなのだろう。 カジノの諸ゲームは、0〜5.25%のコミッション(搾取率)を取られるだけである。日本 の競馬は25%だから、カジノはかなりプレーヤーに有利にできている。 ブラックジャックやバカラに関していえば、それぞれ0%と2.5%でしかない。にもかか わらずなぜ、15〜20人に1人しか勝って帰れないのか? 1) 長くプレーをやりすぎ、大数の法則に従って負ける。 2) 勝ち方と負け方は、□イーブン(損も得もしない)のタダ働き――同額をかけ続ける 人に多い、□大きく賭けたときに勝ち、小さく賭けたときに負ける、□大きく賭けたときに 負け、小さく賭けたときに勝つ、□大きく賭けても小さく賭けても負ける――だいだいこの パターンに入る。
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528 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:39:28.91 ID:pRsqq+fB - 必勝法というものは、いかなる場合にも勝つことではない。7〜8割の勝率をキープして
いれば家の何軒かは建つ。 プロ級の〇■さんが、心優しいゆえとは思うものの、フェイスブックの秘密グループに、 「おはようございます。私は一足お先に帰国します。みんなの日垣さんを6時間もプレイ させてしまったこと、大いに反省しています。我欲にまみれたカジノのなかで、日垣さんだ けが唯一無私の境地でプレイされていたように感じました。ほんとうに、こころ震えるほど の感動に満ちたツアーでした。」と投稿して一足早く帰路につかれた。 お世辞だろうとはいえ、私のプレーは断じて一喜一憂することはない。よく見ていると、 負けたときは顔を歪めたりするプレーヤーは多い。初期のころは、どうだったのだろう。 ほとんど50%:50%に近いゲームで、20人ないし15人に1人しか勝てないカジノにあっ て、負ける構造を知っておくことがいかに肝要か――。 繰り返しになるけれども、今回はカジノをやるだけで満足、というより正直にいえば、負 けるのは前提として、リハビリの一環としても、29年やり続けてきた「初心者」として、 もう2度とやれない、と諦めるのは早すぎるのではないか、と▽◎さんに背中を押しても らったことが大きい。 カジノ論ではなく、これは人生論。3年前は自己新、年間プレー220日という記録――仕 事を終えてから夜2〜3時間――を最高峰として、あれだけ強いプレーヤーになり(自分で 言うな?)ながら、脳梗塞がごときの前に諦めるのはどうなのか――。 私は負けるだろうと思っていた。良くて、15〜20人の1人に連日またはトータルで入る ビギナーズラックは皆無ではないが、どこまでプレーができるか、それから諦めても遅くは あるまい。 バカラのテーブルで臨席した※▲さんは、大きくチップを伸ばした。25回ほどの、その テーブルでの終盤の闘いでは、私は19回勝った。※▲さんは、私と違うほうに2度賭けた ものの偶然にも2度とも彼は外したためか、私と同じように賭けてきてくれた。本物のビ ギナーにもかかわらず、彼は高級スイートルームとビジネス航空券をタダにして余りある 程度の勝ちを得た。いつも通り、けっきょく全員が勝利して帰国することになるのだが、勝 つためには1) 読みやすいテーブルを選ぶこと、2) だらだら長居しないこと、3)要は勝 ち逃げすることに尽きる。
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529 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:40:41.31 ID:pRsqq+fB - カジノ3日間のために、私が初心にかえって鍛錬したことや、一緒に闘う友人たちにお
願いしたことは、以下のとおりであった――。 1) 右手右足が麻痺しているので、最初は車椅子を用意してもらった。車椅子のプレーヤー は意外に多いのだが、ソウルのウォーカーヒルでは他に車椅子の人はおらず、それなりに気 配りをしてもらえた。良いテーブルを見つけて、ここでバンカーに大金を張らなければいつ 張るの、という場面に遭遇することはままあり、そのときテーブルに座っている8人の他 に、外側からチップを置くことが頻繁に起きる。車椅子は最初の1時間で慣れ、実践では歩 くことにした。 2) 全身の関節がまだ不自由であるためもあり、立ってプレーすることも、座ってプレーす ることすら、こんなに自然にできるとは予想していなかったうえ、まっすぐの姿勢で最初の 6時間を立ったり座ったり、とにかく妥協することをせずカジノを楽しむことができた。 3) 先ほどのバカラのテーブルで、私は素朴な疑問をビギナーの※▲さんに問うた。「勝った ほうが嬉しいですかね」と。 「あたりまえじゃないですか」と笑われたみたい。 私は、負けたときの潔い切り上げが肝要な試練だと思っていただけでなく、私独自――と 同じやり方をしているプロを世界各地で26人見たことがある――の方法とて断じて100% ではなく、8割方は勝てる場面でも負けることは当然ありえ、「敵ながら天晴れ」との構え をとる。 4) カードをうまいこと「めくる」ことは、そのテーブルで最も多額を賭けた者の特権なの だが、頻繁にやってくる「めくり」を両手で行うことに9カ月もかけて、ようやくというと ころまで来ていた。現実のカジノでは最初はうまくできず、「めくり」はやったふりをしな がら、実はカードの中身をチェックできなかった。見たふりをしてディーラーに返し、そこ でオープンされて、勝ってたのね、みたいな。 2日半めで「めくり」が完成した。 実践がなければ、9カ月もカジノリハビリなど続けられるものではない。もちろんカジノ が目標には見えず、トランプを切る、1枚ずつ右手でハート、クローバー、スペード、ダイ ヤに分けるだけのことが今春までは毎日やってもできなかった。 トランプも麻痺した手には良きリハビリのツールなのだ。 形式は、このように積み重ねてきたが、問題は「勝てるのか」。 これには、私の病名の一つにある「記憶障害」などとともに「高次脳機能障害」が決定的 であった。 本当に好きなカジノを1度でもできればいい、と思っていたのに、いきなり勝ちが見え た。 なぜか――。 (つづく)
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530 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:41:20.10 ID:pRsqq+fB - ■■お知らせ■■
★ジンバブエの、史上最高桁数紙幣 謹呈★━━━━━━━━━━━━━━━★ 昨日(12月21日)、ジンバブエ政府は自国紙幣を中国元に切り替えた。 自治体や国はどんなに赤字を作っても「潰れることはない」現実を私は世界を見てきて確 信している。 ジンバブエには、ハイパーインフレ前、最中、事後に行った。 私の手元にある100兆ドルは、本日より紙切れになった――というより100兆ジンバブ エドルは、すごいことです。 120名様限定で、プレゼントいたします。当選は発送をもってかえさせていただきます。 ↓ (URL省略) こちらからお申し込みになり、実際には郵便振替を選択してください。郵便振替は同封せ ず、課金もいたしません。 お楽しみに! では、また!
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531 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:47:45.41 ID:pRsqq+fB - 「ガッキィファイター」2016年12月24日号
通巻 第557-4号 ■目次■ □脳梗塞になっちゃった(30) ◆高次脳機能障害なんのその! □今週のコメント ◆クリスマスの10カ月前に起きたこと ■■脳梗塞になっちゃった(30)■■ ★高次脳機能障害なんのその! ★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ 脳卒中(脳梗塞など)や交通事故での頭部破砕、戦場での脳負傷などにつきまとう場合が 多い高次脳機能障害を、本格的に治療してくれるところは日本に少ない。ない、といったほ うが正確だ。 たまたま私は米国海軍病院からスタートしたため、脳機能の快復に向けた取り組みもな されたが、現在に至るまで日本では何もされなかった。 自覚する、ないしは論理的にそういうことだとしか考えられない、という判断らしきもの ができれば、あとは自らの工夫や努力次第ということになる。制度としては後進だが、遅れ た役人集団のせいにしているほど暇でもない。キャリア試験をパスしても、問題解決能力が 向上する次元とは異なり、ましてギャンブルを謳歌することなどできぬ。進学や就職や結婚 などを軸に人生は例外なくギャンブルなのだから、地頭を研鑽し、おのれにしかできない方 法や仕事や生き方を良きに計らう工夫こそが、人生という羅針盤でも最も肝要なストラテ ジーだということになる。 リハビリ病院で、平均の知能はもともと「ある」と推測された私(←謙遜)が、退院3カ 月後の診断時に「病院階下のお昼900円を3度も確認したのに850円を出してしまいまし た」と言ったら、治癒もできぬ医師は「それは高次脳機能障害ですよ〜。よく自覚されまし たね〜」とニコニコしながら話し、しつこいが本当に嬉しそうだった。 リハビリ病院の医師は、ほかにやることないしね。医師や裁判官の95%は学校と、せい ぜい異様に狭い世界しか知らないわけであり、そんな医師たちのなかでも、とりわけ鳥の糞 みたいな方々が集まってくる。「病院」として成り立たせるために、外来リハビリ患者には 2週間に1度は診断しなければならない厚労省の規則があるからであり、患者ともまともに コミュニケーションがとれない医師も少なくない。それをフォローするのは看護師たちで ある。「調子はどうですかぁ? 寒いですね。ではまた」て診断なん? ご苦労様。 脳を病前より優れたパワーに引き上げる工夫の数々を、多少でも知ったらいいのにね。
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532 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:48:13.78 ID:pRsqq+fB - 高次脳機能障害用には、本物の高次脳機能障害キャリア役人が監修しちゃった所定の試
験がいくつもあり病症が判定されるのだが、あくまで「意味のない平均」でしかない。 中学の数学教師が昼食代の計算を間違えてばかりいるようでは復職は不可能でも、全身 が麻痺して寝たきりになっても作家の本職さえできれば仕事はできる。平均に達している かどうかだけテストして、かつなんの手当てもしない現状を毎日見聞していると、治療が可 及的すみやかに必要なのは彼らであることがよくわかる――という皮肉を言っている場合 ではないなあ。 高次脳機能障害には、3次元の認識――つまり上下の感覚がなくなってしまう場合もある。 階段があることそのものや、上がっているのか下がっているのかも判別がつかない症状は、 歩く機能が残っても、介助なしに歩くことがきわめて危険であることは了解されよう。 同じ階に入院していた、ごく普通にGUCCIやディオールやエルメスを着こなしている 貴婦人は、かなり歩けてはいたのだが、ツエを補助道具として認識できず、すぐ放り投げて しまっていた。 お金持ちなのに、お金持ちであること――口座関係や株関係すべて――を忘れてしまっ た若い社長は、普段は賢明なのに重大事でとりわけ健忘があるとは、家族以外には気づかれ にくい。 視覚の半分が完全に消えてしまうパターンも多く、病院内の廊下は介護士や看護師が付 いていてくれるので入院時はいいとしても、退院後に単独で歩道を歩くのは危険すぎ、また 食事も見事に、まるで壁でもあるように半分が見えていないため、箸がつけられない――。 脳という現象に熱い関心を持たざるをえない。 昨夜(12月23日)は御茶ノ水にて、70人ばかりが駆けつけた、コラムニストにしてコ メンテーターでもあるコータリン(神足裕司さん)のトークショーがあった。神足さんは丸 くて大きな頭には毛がなく(←禿げさんね)黒縁のメガネと蝶ネクタイがトレードマークで もあった。 脳卒中で倒れたのは5年3カ月前のことだ。生死の狭間を彷徨いながら、急性期の病院 を経てからずっと日々リハビリに励み、今春から新聞で週1回の連載も続けている。この4 月から完成文を週1で書くように――家族や編集者にフォローしてもらいながら――なっ てから、断然「高次脳機能障害」が改善されたことは疑いない。 書くことは生きることであり、病者は書くことで快復を果たす。 私もかつてそうであったように、神足さんは今はほぼ発話ができなくなり、かつて動いた 左手は止まりながらも、利き腕の右手と回復(新たな回路を形成)しつつある脳機能を頼り に、書くことを目標にすることを諦めたことはない。 今年の夏、神足裕司さんは再び緊急入院をする。悪性の癌だった。神足さんは両方を経験 して、脳卒中が如何に重く長く苦しい病であるかを実感した。が、そのことを彼は「不幸中 の幸い」と書いている。彼はそんな重大な局面でも、否そんな局面だからこそ思考は深みを もつ――。
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533 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:48:38.64 ID:pRsqq+fB - 私は小脳、言語中枢、記憶、バランスなどが壊滅的ダメージを受け、英語もドイツ語も日
本語も同時に崩れ、運動能力や記憶も絶望的なところまでいきながら、おそらく職業的な部 分――執筆構成や数学的に正しい(笑)ギャンブルなど――は30年もやっているので「ス キルの壁」が部厚くなっているとしか考えにくい。同じダメージでも、通常の3倍の受難に も耐える。 「今は秋ですか、冬ですか、春ですか、夏ですか」というような定型の質問を、私にしてみ るとナンジャラホイと思える問いでも多くの患者が間違える実態を目の当たりにした。高 次脳機能障害は誰にも同じ症状をもたらすのではなく、職業的訓練が100倍違えばダメー ジも、またその快復も違う――という事実が藪医者によって書かれた専門書にはない、しか し実に肝要な指針なのである。 このたびのカジノツアーでは、ソウルというあまりにも近い場所ではあるものの、7〜8 月にチャレンジしたロシア旅行に比べれば、かなりハードルは高かった。 チェックインは1時間前でいいことになっており、家族がタクシーで羽田空港まで同行 してチェックイン後、あとはANAのアテンドを受けた。どこでも「並ぶ」こともなく、す べてがスムーズに運び、ラウンジで仕事を済ませ終え、搭乗開始直前に迎えに来てくれる― ―たぶん歩けないことはないのだろうが、ここで疲れてしまってはカジノに集中できない。 そういう問題なのか? もちろんそういう問題である。羽田空港や金浦空港で苦労して、旅 の目的を遂げられず寝込んでいたとしたら、ANAのスタッフだって嬉しいはずはない。 搭乗客のなかで最も早く案内されるのが、このアテンドされたものたちであり、ハンディ のある者としては、実にありがたい。 コンプ(カジノ側のサービス)でホテルを無料にしてもらうことや、勝ち負けにかかわら ずカジノによっては利用頻度によってビジネス航空券をプレゼントしてくれる。私は五大 陸のほとんどの国のカジノに行っているのに、最寄りの韓国のカジノは30年で50回程度、 そのうちの過半は済州島であり、ソウルでもそれぞれの勝負はよく覚えていても、どのホテ ルのカジノであったかは、よほど通ったところでないと覚えていない。 ▽◎さんと同じ便で土曜日の夜早めにホテルに着き、ANA地上職員(なのかな)による アテンドには、この▽◎さんも同行してくれた。この件で話はしなかったけれども――職員 がいるからね――なるほど、と驚く部分もあったに違いない。私は国際線アテンドは3度 目になるが、そのたびにこのおかげで安心の海外旅行ができるようになった。来年――退院 1年後には――アテンドなしで世界を動き回れると思う。 ホテルも甘えて▽◎さんに「隣室に確保してくれませんか」と依頼していた。何が起きる か分からない――いずれ話すことがあるかもしれないが、夏のモスクワで脳震盪(のうしん とう)を卓球中の転倒で起こしてしまった際、10時間も大変な事態になった。もちろん本 人は覚えていないが、モスクワ在住の友人とその日は一緒におり、完璧な対応をしてくれて いた――からでもあり、朝のビュッフェが難関のためもあり(隣室を)お願いした。が、申 し込み時にはスイートルーム(も含めた全室)がひとつしか空いておらず、別館や隣のホテ ルに宿泊は別れた。
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534 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:49:11.93 ID:pRsqq+fB - そのあたりの見極めが私自身にまだできづらく、ひとりになればなったで気を引き締め
て、ということになったり、16階の部屋でぐっすり眠り、17階のVIP(?)用の朝食は、 まだ右手が不自由なのだが、初めて店員の協力も得ず独力で運ぶことができた。箸はまだ苦 労しているものの、ナイフとフォークとスプーンなら簡単に右手で食せるようになってい る。11カ月かかった。 私には、そんなことでも嬉しいのである。 カジノは地下全体をしめており、韓国に17あるカジノのなかで、ウォーカーヒルは最も 歴史が古かったかと思う。私は何度か来た記憶があり、どういう闘いをしたかは覚えている ものの、ウォーカーヒルかどうかは関心がないか、高次脳機能障害によるのか、とにかく曖 昧だ。〇■さんはカジノ側からのオファーでホテルの高級ルーム無料サービス組である。 先発隊の〇■さんに車椅子を借りてもらったり、着くなりカジノカードを作ってもらっ たり――ちょうど10年前にもウォーカーヒルのカードをつくってもらっていたこともわか った。 この1年、汗をかく運動もできず、喫茶店で読書も、右手で包丁も、飼い犬を抱いてやる ことも、落語会で座ることもできていなかった。アイロンや洗濯や簡単な料理や掃除機や楽 器などは使えるようになってきてはいる。 謎を解く、長めの売文を書く、地道にリハビリする――のは、今もノンストレスだ。映画 や宝塚はよく観るところまできたが、ブロードウェイ通いにあと半年はかかりそう。ダイビ ングは以外に簡単だった。宇宙旅行は無重力なので、やります。今冬は野沢温泉の7キロコ ースでスキーを。テニスは、お金を取れるはずもないが、ゆっくりラリーができるまで、あ と数カ月――。 まずラケットを持てなかったのだ、今年の4月までは。持てても、振ることができず、ボ ールを捉えるまでに10カ月かかった。 カジノも、同じような経緯を辿らねば復帰はできなかった。 最初はブラックジャックを、車椅子に乗って1時間ほどやって、軍資金は減った。闘う以 前の、配札がかなり悪かったのだが、車椅子でのプレーに慣れていないこともあり、その席 を離れることは敢えてせず、まずは流れを読めるかどうかを見極め、バカラのテーブル―― ブラックジャックのテーブルよりバカラのそれは5倍ほどある――に移ることにした。 出る札が、以前よりよく見える。勘違いかもしれぬが、その日は6時間、翌日とその次の 朝と、合計3日で12時間、負ける瞬間は一度もなかった。 短時間、ルーレットやポーカーも試してみた。偉そうに言うつもりは皆目ないのだが、他 のプレーヤーがみなカモになった。おいっ。
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535 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:49:38.36 ID:pRsqq+fB - 実のところ、イメージや直感や映像記憶に強い右脳――ダメージを受けなかった――が、
左脳を強力に補助してくれていることは明らかだった。 入院中、つまり半年前まで「二つのことを同時にできない」この病に特徴的な症状と格闘 し、いまカジノの巨大空間を――車椅子をや徒歩にかえて――バカラの過去と予想掲示板 を瞬時に見ながら、歩きを止めることもなく、最良のテーブルの最良の流れに合流する機会 を逃さなかった。 予想外の展開だった。 負けて当然と思っていた。趣味として一度だけでいいから楽しみたいとカジノリハビリ をも続けてきたのに、高次脳機能障害が良い方向に出て、右脳が驚くほど働きぶりを増して いた。 2日目の夜、というか3日目の午前3時45分、ビギナーながら見事に勝ちをおさめた※ ▲さんと、4度目も勝ち逃げさせてもらうことにし、翌日の朝1時間だけまた勝ち逃げする ためのチップを残して、ほかは日本円にかえた。 これも誤解してほしくないのだが、私は良い闘いができれば楽しいのである。780万円ほ どが与えられたが、そのことはどうでもよく――以前よりパワーアップしたことは本当に 嬉しかった――、けれども私がiPhoneやらチップ入れに肩にかけていたGUCCIの小型バ ッグには、そんなお札は入りきらず、紙袋に入れてもらって、右手では落としそうだったの で、※▲さんが部屋まで一緒に持ってきてくれた。優しい。 これはサラリーマンの年収に匹敵するのだよ、と※▲さんは言った。 そんなセコイこと思っていたら、着実に勝ち続けるギャンブラーにはなれない――時間、 局面判断、軍資金、精神、観察を冷静に続けることができただけで私は充分だった。 みんな、ありがとう!
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536 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:50:07.78 ID:pRsqq+fB - ■■今週のコメント■■
★クリスマスの10カ月前に起きたこと★━━━━━━━━━━━━━━━━━━★ 私はキリスト教の家庭で育った。去年も三大宗教の聖地をめぐり、イエス・キリストが産 まれた(とされる)ベツレヘムにも寄った。 西暦は、もちろんキリスト暦であり、イエスの生誕を西暦1年としているが、西暦が考案 されたのは5世紀のことだ。クリスマスを仏教徒が盛大に祝うのは世界的には理解不能だ が、セクスができればいいのかな。 そういえば、私はクリスチャンでありながら、聖母マリアに関する不可侵な物語を疑って いるひとりではある。 聖母マリアは、大工のヨセフと結婚し、ベツレヘムの馬小屋でイエスを産んだことになっ ているが、「父と子と聖霊」を三位一体とするキリスト教にあって、聖母たるマリアは処女 でなければならない。世俗的な夫ヨセフとの性交渉の結果なら、「父と子と聖霊」の不可侵 域が崩壊する。 かわいそうなヨセフ(>_<)。 私にとってクリスマスは、ヨセフの心情を思いやる記念日なのである。アーメン。 では、また!
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537 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:51:56.17 ID:pRsqq+fB - 「ガッキィファイター」2016年12月30日号
通巻 第557-5号 ■目次■ □今週のコメント ◆何が変わったのか、と自問できる人は良い1年だったのでは ■■今週のコメント■■ ★何が変わったのか、と自問できる人は良い1年だったのでは★━━━━━━━━━★ 昨年の今ごろ、私は絶望感さえ失っていた。数百数千のことができなくなっていたのに、 喪失感がない。 むしろ毎日言われたことを、きちんきちんとやるだけで精一杯だった。だから、不安がま ったくなかった。1ミリも不安がない――なんだか変だ、という認識はあったのを思えてい る。 この1年、私を差別し蔑げすんだ人を忘れはしない。大きな約束を、私の状態を見て平気 で反故にした編集者は、ここまで醜くなれるのかと、同じ業界にいるものとして恥ずかしく は思った。いつか復讐は遂げて差し上げようとも思うが、もちろん業界のためだ。 いまは、すべてを顧問弁護団に任せ、私は私にしかできないことを少しずつ遂行するのみ である。 何もかも絶望的、という状況がありうるのだろうか? 投げやりになっているだけだ。しかも、投げやりになれるほど元気なんだよなあ。 これ以上、悪いことは起きない、と考えている人はアレかもしれない。 5年3カ月前に同じ脳卒中になった神足裕司さんの、トークショーが1週間前にあった。 今年7月にコータリンは入院したという。内臓が「ぐちゃぐちゃ」と医師団にいわれるほど の癌。彼はいまも執筆に執念を燃やし、少しも諦めていない。 そんな姿が、我々を励ましてくれる。我々が彼を励ますのではない。びっくりだよね。
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538 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2017/01/03(火) 20:52:17.39 ID:pRsqq+fB - 恥ずかしげもなく言えば、私はものすごく努力をし――これまでにこんな努力をしたこ
とはない――、各種療法士20名との関係もすこぶる良い――私は素直なリハビリマンであ り患者である――。 常にいくつかの目標を立て、数カ月単位でできるようにしてきただけではない。 以前は冗談で言っていたことが、現実になった。 たとえば利き腕でない左手は、スーパーレフトハンドと言っていいかと思う。誰もそうは 言ってくれないけどね。箸も、パソコンも、いまこの原稿を書いているのも、ボールを投げ るのも、かつては考えられない強さになっている。 右脳の躍進にも驚かされる。負けるのは確実と思っていたカジノのポーカーとバカラで、 以前より簡単に状況や流れがつかめたことにはっきり気づいた。 かつては、ものすごい計算を必要としたのに、今月のソウルでは一瞬にして読めたのであ る。 その後、記憶や思考に右脳が強く、左脳をフォローしてくれるため、新しい芸術的世界を 得た。 面白いことだと専門家に話したら、そのような研究は20年前からなされてきたが、本人 からこんな話を聞くのは初めて、と感動というか感謝までされた――。 同時に、右手でクレジットカードのサインもし、食事も、そうそう、わずか3回だが懸垂 ができるようになった。昨年のいまごろ、右手も右足もピクリとも動かなかったのだから、 努力や工夫や目標を持つことのたいせつさとともに、リハビリの療法士に素直に対するこ とは肝要であった。どんなにアホレベルの療法士も、無碍(むげ)にはしなかった。 この1年は、そんな、長い長い1年でした。 メルマガ読者の支えなくして、私は生きてこられなかった。 心から感謝を申し上げます。 良い晦日を! では、また!
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