- 野良猫愛好会
392 :わんにゃん@名無しさん[]:2007/10/16(火) 20:11:00 ID:6XeeHaHi - 会社に一匹の黒猫が住み着いてもう6年にもなるだろうか。余り人間には近づいてこないが、食堂のおばちゃんに食糧をねだる時の鳴き声が可愛らしい猫だった。
ある雨の日ふと外を見ると廊下とトイレの植え込みに真っ白の洋猫の雑種が震えながらこちらを見ているのに気付いた。 雨に濡れてたのもあってガリガリに痩せ細って焦点も合っていないぐらい衰弱していたが、かなりこちらを警戒していてサッと逃げていってしまった。 会社は周りは田んぼで猫とはいえ敷地内に入ってしまうと中々出られないようになっている。またいつか見掛けるだろうと次の日からレトルトの猫のエサを常備する事にした。 数日後、やはり同じ場所でその白猫を見掛けたので窓から猫のエサを落としてやると余程お腹が空いていたのかガツガツと貪りついてきた。 雨降りではなかったので毛は乾いていたがやはりガリガリで不憫だったのでそれから数週間エサやりを続けた。
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393 :わんにゃん@名無しさん[]:2007/10/16(火) 20:25:50 ID:6XeeHaHi -
更にある日、会社敷地内のエサやり場近くではあるが別の場所で産まれて数週間であろう仔猫を五匹見つけた。 白二匹 キジ二匹 黒一匹 あの白猫は仔猫に乳を飲ませる為に食糧を探していたのだろう。 白猫はガリガリになりながらも仔猫達に乳をやっている姿に心打たれた会社同僚とエサやりの日々が続いた。 数ヶ月後、仔猫達はみるみる大きくなり、痩せ細った白猫と見分けがつかなくなる程になった。 合計7匹もいる猫達は会社でも有名になり他の従業員もこっそりエサをやりだしたのだが、同時に猫反対派も動き出し本来なら出来ないのだが「毒入りエサで駆除しろ」と会議の議題に持ち上がる程になってしまった。 猫達も大きくなり行動範囲も広くなるにつれ、仔猫がいるという噂も更に広まっていったある日、いつものエサ場に見慣れない仔猫がいる事に気付いた。 茶色と白の斑猫だった。
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394 :わんにゃん@名無しさん[]:2007/10/16(火) 20:35:41 ID:6XeeHaHi -
こちらに背を向けて地面に落ちているエサの残りを食べていたので、挨拶代わりにガラス戸をコンコン叩くと「うわっ!」というびっくりした表情でこちらを見るやいなや一目散に逃げていってしまった。 だが、この会社に仔猫が迷い込んでくる事は余りにも不自然で、心ない人間が会社に持ってきて捨てていったと考えられた。 当然先住の黒猫、白猫とその子供達の縄張りだったので、その茶色猫は侵略者であり、当然先住猫達は茶色猫を威嚇し、時には爪で引っ掻き、茶色猫は木の高い場所まで避難してやり過ごしていた。 夕方、エサをやろうとガラス戸を開けると、その音につられて猫達が猛ダッシュで集まってきた。生粋の野良で数ヶ月エサをあげても触らせてくれない程警戒しているのだが、一匹だけ怖がる事もなく近づいてくる仔猫がいた。 茶色猫だった。
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395 :わんにゃん@名無しさん[]:2007/10/16(火) 20:45:21 ID:6XeeHaHi -
その茶色猫は周りの猫達から威嚇され憔悴していたが、エサの匂いに引かれ、わめきにも近い鳴き声でエサをねだり頭を擦り付けてくる。 一通り腹を満たすと今度は「ここから出して」と言わんばかりに室内に入ってこようとする。 顔つきと人間や室内に臆する事なく近付いてくる事から「元飼い猫」確定の瞬間だった。 今では、この茶色猫が一番のお気に入りで、昼休みは必ずこいつと遊んでいる。 会社の者が奥さんがOKだったら連れて帰ろうという事で、もしかしたら構ってやれるのもあと数日かも知れないし、こいつと離れると思うと涙が出てくるが幸せになって欲しい。 冬になるまでに他の仔猫達の里親を探したいと思う。
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