- 【77〜78】昭和52年度生まれの無職と有職のクズ 3
687 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 22:09:28.31 ID:5EsGAfpv - 「あ……痛え……」
瞼を開くと右側に砂利敷きの地面が見える 開いた右の掌の先には黒光りするCz75… チェコ製のオートマチック拳銃が落ちている。 自分が置かれた状況を把握するのに、数分を要した。 そうだ、俺を追ってきた連中と撃ち合いになったんだ。2人組をそれぞれ撃って……その後3人来たんだったな 胸を撃たれて仰向けに倒れこんだんだった。 良く助かったもーーー 「あれ!!!」 右手で胸を触ると穴が空いていて、大量の血液が流れ出ていた。 もうすぐ死ぬのか?俺。……にしては、痛みも何も感じない。いや、何故か心臓の鼓動も感じないのだけど…… 試しに首の左側の頸動脈に人差し指と中指を宛ててみる…… 脈が無いーーーこれって、死んでる!!
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689 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 22:22:20.00 ID:5EsGAfpv - 「うーん、藤間くん間違いなく死んでるよーキミ!」
妙に明るい呑気な声が聞こえて来たので、砂利の上から体を起こす。 ドロリと粘度を増したドス黒い血液が胸に開いた穴から流れ出てくる。 声のする方を向くと、アロハシャツにチノパン、そしてビーチサンダルを履き赤いセルフレームのサングラスをかけた老人がこちらを見つめている。 禿げた頭に、顎には長い白髭……子供の頃に見たアニメ、ドラゴンボールの亀仙人みたいな出で立ちだ。 「自分が撃たれて死んでる上に、亀仙人みたいな爺さんって、我ながらセンスの無い夢だな!」 思わず、そう吐き捨てるように叫ぶと 件の亀仙人……いや、老人は言い放った 「夢じゃないよ藤間春雄くん。キミは間違いなく死んでるよ。」 あぁ、夢なら覚めてくれ!今すぐにだ!! 頬を思いっきりつねってみたが、夢から覚める様子はない。それどころか、痛みも全く感じないのだ。
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690 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 22:34:18.54 ID:5EsGAfpv - 「さっき、瞼を開けた時に「痛え」って言ってたけど、痛いわけないよね?だって藤間くん、キミ死んでるんだもの。本当に痛かった?」
老人は立て続けに口を開いた。 癪に触る爺さんだ。ぶん殴ってやろうかーーー 起き上がって、堅く握った拳を老人めがけて突き出した。 老人はサッと右手を顔の前に出すと、俺の拳を握りしめた。物凄い力だ、一体こんな老人の何処に、これほどの力があると言うのか? 老人は俺の拳を握ったまま「ほいっ!」と言うと俺を押し返した。 「うわっ!?」 宙を舞うように俺は地面に倒れこむ。 「痛てててて……」 「だからさぁ、藤間くん、キミ死んでるんだから痛くないよね?」 確かに痛くはなかった。条件反射なのか、ついつい口から「痛い」と言葉が出てしまったのだ。
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691 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 22:44:59.89 ID:5EsGAfpv - 「……夢じゃなかったら、死んでるはずの俺がなんで、こうして動いたり喋ったりしてるんだ?そしてあんたは誰ーーー」
俺が喋るのを制するように老人は右手の人差し指を立てて顔の前で左右に振った。 「説明しようと思ったら、藤間くんがいきなり殴りかかってきたんじゃないかぁ」 そう言うと、老人は倒れている俺に手を差し出した。 老人の手を掴んで立ち上がると、老人は続けて口を開いた。 「ワシは神なんだけどさ、藤間くんがあまりにも、この世に未練タラタラだったから、こうして現れたワケ」 「神って……死人を蘇らせるなら、胸に穴開いたまま、脈止まったまま、血だらけのままじゃ、色々マズイでしょ?それに…」 「おいおいおい!藤間くん、誰もキミを甦らせるなんて一言も言ってないよ?死んだ人を簡単に甦らせたら、それこそマズイでしょ?」
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692 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 22:52:48.31 ID:5EsGAfpv - 「じゃあ…」
「キミねぇ、人の話…いや神様の話は最後まで聞きなさいよ。胸の傷と、血だらけなのが問題なら消したげるよ、ほいっ!」 見ると胸に開いた穴が消えている。もちろん血の一滴も付いていない。だが、シャツに開いた弾痕はそのままだ。 「藤間くん、キミは死んでるんだから身体はドンドン腐って行くよー。時間が無いからね!」 そう言うと老人ーーーいや、神様はフッと姿を消した。 「神様ぁ!どうしろって言うんだよーっ!!」 叫んでみたものの返事はなく、自分の声が暗闇にこだまするだけだった。
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693 :名無しさん@毎日が日曜日[]:2019/11/12(火) 23:00:52.36 ID:5EsGAfpv - https://i.imgur.com/MjCiruS.jpg
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