- クラシック板・教養学部ドイツ科
711 :名無しの笛の踊り[]:2013/11/23(土) 20:12:03.86 ID:A2igBxIY - 全国の病院職員が虎雄の運転手をするたび、赤信号で止まろうとすると、後ろから「行け」と頭を殴られたという。
「私も何度も殴られたり、蹴られたりして、頭から血を流したこともあります」と地方病院幹部。 「身内が死にそうなときはお前も信号を無視するだろう。俺を待っている人が全国にいる。 だから止まっている暇はない」と虎雄は言ったという。 医療を受けられず死んでいく人をなくすため、全国200の病院を造りたいと虎雄は語っていた。 (11月14日の産経新聞より) 「俺を待っている人が全国にいる」とは、同じようなエピソードがあるオーストリアの某大物指揮者を思い出したが、 それはさておき、この問題からは人間の本質にかかわる重要な問題を考えされられた。 「人間の命を救うこと」と法律を守ることのどちらが大切かという問題。 (今にもサンデル教授が出てきそうだな。笑) ドイツでもやはり医学部と法学部が強い力を持っていると、独文科の教授が言っていた。 ドイツにおいて人々は、芸術家に対する尊敬の念を日本などよりもより多く持ち合わせているが、 それでも自分の息子を芸術家や作家にしたいと願う人は少ないだろう。 トーマス・マンの小説でも読めばよく分かる。 徳田虎雄氏の医療に対するあまりにも高い熱意と志の高さ(とそれゆえの犯罪)、Lebenに対する意志、 そして医者である本人が現代医学では治せない難病に罹ってしまったという人生の皮肉。 文学にはもってこいの題材ではないだろうか。 とりあえず青木理氏のノンフィクション「トラオ 不随の病院王」でも読んでみるか。
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