- ヴァイオリン レイトの会 31巻目
270 :名無しの笛の踊り[sage]:2013/05/11(土) 15:52:12.45 ID:mBwuDq/6 - 教育ママのスパルタというといつも実家の隣を思い出す。
「やりなおし!!!ばしぃん!!!!(何かを叩く音)」 俺より年上の隣の息子の毎日の自宅練習。頼りないヴァイオリンの音がいくつか続いた後に合いの手のように入れられる怒声。 確かスズキだったはずだ。学歴コンプ丸出しの母親は付属レコードを自分で聴いて丸暗記したらしい。 息子が音を外すと最初からやり直させていた。彼が通して曲を弾いたのを聞いたことがないとうちの母は言う。 ヴァイオリンばかりではない。勉学一般がそうだった。休日も塾に費やされ夜も母親付きっきりで勉強。 実家で今でも語り草になっている名文句を紹介する。闇を切り裂いて近所に響き渡った叫び声だ。 「イワバシルタルミノッ!スソノサワラビノモエイヅルッ!!!ハルニナリニケルカモでしょおッッッ!!!!ばしぃんッッッッ!!!(何かが折れる音)」 回覧板を回そうと隣に行った反対側の奥さんが怯えてうちに逃げてきたこともあった。 地獄の鍛錬あっての賜物なのか、地獄から脱出したくて死に物狂いだったのか、隣の息子は本当に東大に入ると外資に就職、そのまま日本を飛び出して一度も戻って来ない。 親の葬式に来るかどうかが実家では賭けの対象だ。もちろんヴァイオリンを続いているとはとうてい思えない。
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