- 【大英帝国勲章第2位】内田光子【グラミー賞受賞】
284 :みつお[]:2013/05/09(木) 11:31:32.91 ID:R66KCE3H - 才能さえあれば音楽家になれるのか?個人的な結論としてはノーです。当然、才能が何を意味するか
によります。わたし個人の言語領域でそれを定義してみましょう。音楽家にとって才能とは―― @心の奥深くに根ざす、生まれながら備わった衝動。つまり深部の様々な情緒を音楽を通し表現させ る衝動です。音楽でなければならないのです。詩をつくりたい、絵を描きたいであればその人は音楽 家ではない。音楽が生得の重要性をもっていること。それを通し自己表現したいという衝動。 Aわたし個人としてはある程度の知的能力を加えたい。それ無しにバッハから例えばブーレーズまで どうして扱えますか。ある程度の知性はあればラッキーというより、個人的には必需品としたい。 Bこれに関しては誰もが受け入れるテクニックの問題。過去も必要とされてきましたが、近年はます ます重要視されています。 C以前は才能の一部と考えていなかったのですが、カリスマ性を加えます。 とはいえ@以外はすべて人生を通し獲得可能なのです。カリスマ性でさえそうです。音楽を真に理解 すること、確信からカリスマ性が備わるのです。したがってわたしの意見としては、才能が生まれな がら備わったものという考えは間違えです。
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- 【大英帝国勲章第2位】内田光子【グラミー賞受賞】
285 :みつお[]:2013/05/09(木) 11:37:16.39 ID:R66KCE3H - そこで、音楽家には何が必要かという問いへの答えになりますが。最も重要なものとして2つ指摘し
ましょう。ひとつはキャラクター(人間性)。音楽家はもちろん、画家、たとえ政治家であっても キャラクターは必要です。キャラクターを通し、単なる天才少年、天才少女が真の音楽家に生まれ変 わるのです。それ無しに人は成長できません。キャラクターこそ重要な点、人にとって道徳的中枢と いえるものです。これこそ他の要素を超えて大切なものではないでしょうか。それからもうひとつ、 なかなか難しいことですが、ラッキーであること。得ようとしても手に入るものではありません。 以上が私の個人的見解です。 おそらく皆さんは仰る。「世界は変化している。20世紀、技術の進歩があらゆるものに変化をもた らした。そして社会も変わった。レコード会社からオフアーが減った。経済的状況。銀行の破綻・・」 私はここでそれらを問題としません。皆さんが議論されることでしょう。「音楽はiPodにダウンロー ドできるためもはやCDが売れない。」わたしには何のことだが意味がわからないですが。「人がコン サートへ行かなくなった。」クラシックを聴く人が減っているそうですが、原因は生活にあるのでは ないでしょうか。人は(子供時代)家庭で音楽を聴き始めます。また学校でも美しい音楽と触れ合う ことができるでしょう。このふたつ無しにどうして人は成長して音楽を求めるようになりますか。 クラシックに関してですが、才能の一部は後に獲得できます。(聞き取れない)
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- 【大英帝国勲章第2位】内田光子【グラミー賞受賞】
286 :みつお[]:2013/05/09(木) 11:41:20.58 ID:R66KCE3H - ひとつだけ言っておきたいことがあります。おそらく今回の出席者の中でわたしが唯一現役の音楽家だ
と思いますから言わせていただきたい。もちろんわれわれは食べていかなければなりません。重要です。 われわれの多くは、わたしもその中の一人ですが、日々の糧を送りつづけてくれるような裕福な家庭の 出身ではありません。したがって自活しなければなりません。そういった問題は当然あるのですが、 それでも音楽家を単なる職業ではあるとはいえません。召令つまり聖職です。それを忘れるべきでは ありません。たとえ出演料が得られなくても私は同じことをしているでしょう。音楽家であることは 名誉です。とはいえ、どうすればこの音楽界で若者たちの生活が可能となるのか。音楽学校からは次々 に卒業生たちが出るような状況で。才能の極めて高い若者たちが生き残れるように、われわれの財団 は援助を試みているわけですが・・とにかく以上が私の言いたいことです。音楽家であることは名誉 です。私としては他にやりたいことはありません。 話を聞いていただいてありがとう。さあ皆で議論を進めましょう。
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287 :みつお[]:2013/05/09(木) 11:44:59.55 ID:R66KCE3H - ミツコ今日の名言:
To be a musician in not a profession, but a vocation. 音楽家は職業ではない。召令、すなわち聖職です。
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