- 朝比奈隆
644 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 01:06:20.00 ID:ytwW3vaK - 日本のオーケストラが上手になって、「もう技術的には世界一だよ」という内外の評価を受けていた
ので、早速レコードを作りました。西欧のレコードよりも確かできれいな演奏、アンサンブルもばっち り、録音技術も世界一。西欧のレコードと比べても遜色ないと思われるレコードが出来たので、世界 の名盤と並べて売り出しました。 ところがなぜか売れ行きはさっぱり良くないのです。これを買わない日本人は目が無いのではない か、ひとつ世界のマーケットで売ってもらおうと、イギリスの親会社、EMIへ売り込みに行ったところ、 相手はその録音を聴いて言いました。「うん、大変見事なレコーディングだ。演奏には一つもミスが 無いし、合奏も乱れが無くてアンサンブルも完璧だ。録音も非常にクリアーでどの楽器も明瞭に聞こ えて素晴らしい」。しめた!これなら話が進むかなと思っていると、続けて曰く「だけどね、これは全く 売り物にはならない代物だ。問題外だよ。でも折角だからアメリカへ持って行って音響機器メーカー の製品のデモ・レコードに使ってもらったらいい」。 つまり音響的には大変優れているけれど、音楽的価値はゼロだということです。いったい何が駄目だ というのだ?世の中にはこれよりも欠陥が目立つレコードがたくさん出ているではないか。当時の私 はまるで見当がつきませんでした。そういえば日本のオーケストラの腕前は世界一流だと言われて いても、カラヤンが日本のオーケストラを指揮したレコードを作ろうという話は全然出ませんでした。 出典:紙谷一衞「人を魅了する演奏」(角川学芸ブックス)pp.40-41
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- 朝比奈隆
648 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 01:54:18.83 ID:ytwW3vaK - 私たち日本人は西欧音楽に魅せられ、小学校の時からそれを教えられて、数々の名曲を演奏するように
なったのですが、間もなく西欧音楽を正しく演奏することがなかなか難しいことを知りました。西欧のドレミ ファの音階は、私たち日本人が血の中に持っている民族的な音楽のセンスとはかなり異なるもので、和 音も初めてだし、リズム感も私たちが持っているものとはかなり違うものだったのです。 そこで、幼児期のいろいろな感覚が育つ時期から教え込めば、何とかなるのではないかと試みたところ、 それがうまくいきました。その教育を延長して高度な演奏技能を身につけるまでのシステムを作り上げた のが、現在の日本の音楽教育の姿なのです。ですから日本の音楽教育は楽譜通りに正確に演奏できる ことを目的にしており、先生方はそれを教えることが音楽教育だと信じています。しかもその成果は、 様々のコンクールを制覇することで高く評価されています。楽譜通りに正確に音が並んだ演奏で十分満 足してしまうという私たち日本人の特質が重なって、現在の音楽教育の目的は正しいという確固たる信念 が築かれてしまっているのです。西欧の人々からどう言われようと自分たちは十分に楽しみ、満足してい る。だからこの音楽教育は何も変える必要はないと考えられているので、何十年経っても私たち日本人 の演奏はそのままです。ここに改善の難しさがあります。 出典:紙谷一衞「人を魅了する演奏」(角川学芸ブックス)pp.22-23
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- 朝比奈隆
649 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 01:57:04.34 ID:ytwW3vaK - >>646
訴求力以前に、音楽になってないと言われたというエピソード。確かできれいな演奏、アンサンブルも ばっち りなのに…。
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- 朝比奈隆
650 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 02:17:11.12 ID:ytwW3vaK - >>636
聴音が音楽教育の必須要素として取り入れられている≠聴音ができればいい演奏家になれる と言っているだけ。単にロジックの問題。
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- 朝比奈隆
651 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 02:19:06.76 ID:ytwW3vaK - >>650
間違えた。 聴音が音楽教育の必須要素≠聴音ができることがいい演奏家になれる必要条件 と言っているだけ。単にロジックの問題。
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- 朝比奈隆
656 :名無しの笛の踊り[sage]:2012/06/01(金) 09:45:44.97 ID:ytwW3vaK - >>654
「楽員1人1人が楽譜をどの様に演奏しているのか」聴き取るのは、「音楽」の話。 「音を当てられる」のは物理的な感覚とか記憶であって、音楽ではない。 朝比奈が否定しているのは、後者。 海外で活躍している日本人のほとんどは留学経験があるか、幼少時から欧米の 教育を受けている。日本の音楽教育だけでは通用しないのは厳然とした事実。 朝比奈は日本の音楽教育を受けなかったことによるデメリットとメリットを両方 体現している。だから評価が難しくなる。 大植の演奏は、一度大フィルの東京公演で聴いたが、すっかり退屈してしまった ので、それから二度と行っていない。アルプス交響曲であれほどつまらない演奏が できるとは信じがたかった。
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