- 【リドリー・スコット】最後の決闘裁判/The Last Duel【マット・デイモン ベン・アフレック】 Part.2
4 :名無シネマ@上映中[sage]:2021/10/22(金) 18:19:57.85 ID:ezOYO518 - ☆『最後の決闘裁判』をより深く知りたい人のための参考文献 ☆
・エリック・ジェイガー「最後の決闘裁判」(ハヤカワ文庫NF) … この映画の原作本。エリック・ジェイガーはUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の英文科教授。 本書を書くためにフランスへ渡り、幅広く史料を渉猟したとのこと。 ・山内進「決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景」(講談社現代新書 ※絶版) … 著者は法学者。カルージュ=ルグリ裁判についてはほんの一部分で紹介されている。 第一次史料(当時の文献) ・ジャン・フロワサール「年代記」 Jean Froissart, Chroniques …14世紀フランスを理解する上での基本文献。フロワサールについては以下を参照。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%AB フロワサールの記述には問題点も指摘されている。
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5 :名無シネマ@上映中[sage]:2021/10/22(金) 18:21:42.94 ID:ezOYO518 - 「ルグリは誤って告発され、不当に処罰されたのちに真犯人が名乗り出て明らかになった」という逸話を述べている一次史料
・サン・ドニによる「年代記」 Religieux de Saint-Denis, Chronique du religieux de Saint-Denys(1380-1422) … サン・ドニは聖職者だと思われる。原典はラテン語だが、フランス語に翻訳されたものが刊行されている。 マルグリットは無実のルグリを誤って殺してしまったと後悔して、その後、一生を修道院で過ごしたと記述されている。 ・ジュヴェナル・デ・ジュルサン「シャルル6世史」 Jean II Juvenal des Ursins, Histoire de Charles VI … サン・ドニよりも後に書かれたと思われる年代記。似たような逸話を記述している。 ・ジャン・ル・コック「ガリア人ジャンによる取調べ録」 Jean Le Coq, Quaestiones Johannis Galli(ラテン語文献) … カルージュ=ルグリ裁判におけるルグリ側の主任弁護士。当時においても高名な弁護士だった模様。 その覚え書には事件の当事者たちを客観的に捉えて個人的な人物評などを書き残しており興味深い。 ル・コック本人はルグリの証言にやや疑念を抱いており、全面的に信用はしていなかったが、 確たる証拠もないため、最後に「真相は闇の中だ」と書き残している。
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6 :名無シネマ@上映中[sage]:2021/10/22(金) 18:23:08.81 ID:ezOYO518 - 山内の著作からこの事件について書かれてある部分の抜粋↓
「…それでも、決闘はなくならなかった。一三八六年には、フロワサールの『年代記』にも 記されている有名な決闘裁判が行われた。これは、この裁判に臨席するために、 百年戦争でイングランド軍と戦っていたフランス国王シャルル六世がパリに戻り、 原告の介添人にエドワード黒太子の義理に息子、聖ポル伯ワルランがなったほどの大事件であった。 決闘したのはジャン・ドゥ・カルーズュという騎士とジャック・ルグリであった。 事件は、ジャンの妻がある人物に襲われ、犯されたことに始まる。妻は隣人のルグリが犯人と考え、 夫にそう伝えた。夫はルグリを訴えたが何の証拠もなく、ついに決闘裁判ということになった。 決闘当日、妻は黒い喪服を着て、火刑台の上に立ち、二人の戦いを見ていた。夫は病気で弱っていた。 もし力だけで勝負がつき夫が敗れるならば、夫は生きていても絞首され恥辱のうちに死ぬ。 自分は姦通のかどで火あぶりにされるだろう。大勢の観衆の前で、戦いが始まった。 衰弱していたジャンは傷を負い、敵に追い詰められていった。あわや最後の一撃というとき、 ジャンの剣がルグリの体を貫いた。ジャンが勝ったのである。こうして、妻と夫の名誉と生命は 保たれたという。
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7 :名無シネマ@上映中[sage]:2021/10/22(金) 18:23:51.59 ID:ezOYO518 - できすぎた話のようだが、これは本当にあったことである。ほかにもこの決闘にふれている歴史書がいくつもある。
ところが、それらによると、この事件には後日談がある。ジュヴェナールの『シャルル六世史』では、 その後、真犯人が死の床で真実を伝えたために、ルグリが無実であることが判明した。また聖デニスの 匿名氏の手になる同名の作品によれば、夫人は無実の者を殺してしまったことを深く悔やみ、 その後の人生を修道院で過ごしたという。これがきっかけとなったか否かはわからないが、 これ以後、パリでは決闘裁判は行われなかった。」
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