- 【連載中】北方謙三の作品を語る・第二巻【楊令伝】
550 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2011/12/18(日) 00:02:44.76 ID:jgJCG/zW0 -
死びとの慟哭を激しい砂塵がかき消していた。 かすかに浮かぶ二つの馬影は陽炎の如くゆらめきながら四つになった。 そして、瞬く間に大きくなった一つの影に蘇hは思わず身構えた。 「これだけ反応がないってことは『史記』はつまらねえということか?蘇h」 あたりに聞こえるように武松が大声をあげると、>>543は、ひ、といって尻もちをついた。 「わからないのだ武松、私には」 「激動の時代、芽吹いた若き二人の才を伝えるもの、とだけ聞いた」 燕青が唇を動かさずに言うと、公孫勝が口元だけ冷笑をたたえた。 「お前達も買って後悔すればいい、という先達の罠であろう」 「そういう考えは好みません、私は・・」 「ケッ」 侯真の言葉を遮るように武松は突然、傍らの>>545の墓碑に気を放った。 蘇hはかろうじて、その拳を受け止めた燕青の動きを見てとった。 「やるのか?」 燕青は静かに微笑を浮かべた 「盲人にはどうでもいいことだ、武松」
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