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84 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2015/10/31(土) 18:20:27.79 ID:p4lsfLGo - ならば一休さんは、画虎が実体化して暴れたことを肯定しているのかと云えば、聊
か歯切れが悪い。続けて、こんな事を言っている。「譬ば、本性奸佞にて、且邪智あ る者、或は亦庸才なるも、憖に漢学して眼其用を做すときは、心高慢り己に惚て、博 に誇り俗を欺き、利を尋ね名を鬻ぎて、反て身を修め心を正しくし、家を成し、道を 行ふ、真の学問には疎にて、只世俗を非とし賤しめて、身は是魔界に在るを思はず、 甚だしきに至りては、乱を起して刑せられ、衆と争ふて兵せらる。かくの如き白物の、 悪名を貽すが如きは、瞳子なかりし這虎の、眼に点して遂に那禍事を惹出せしと、亦 年を同くして論ずべし。……中略……眼目の資助は人によるべし」 即ち一休さんは、虎の実体化を政権の腐敗・退廃のためだとして責任を追及しつつ も、虎そのものに対しては否定的なのだ。また、従来、八犬伝読みの先人たちは、こ の画虎実体化事件を、大塩平八郎の乱に重ねて見てきた。是認すべき解釈であろう。 確かに大塩の乱の首謀者、平八郎の、高慢だとか何だとか、特殊なパーソナリティー 故に起こされたものだとも、当時は説明されていた。まだ幕府の権力は強大だった。 少なくとも公刊の場で、あからさまな批判は慎むべきものだった。コレは則ち、幕府 に敵対する者を批判しなければならないことをも意味する。敵に敵対しない者は即ち 敵であるという、幼稚でヒステリックな心性が陥り易いトンチンカンを幕府が有して いたならば、もしくは有していると目されていたならば、庶民は保身のために、幕府 に敵する者にこそ敵対する態度を見せねばならない。それは心の真実を表現したもの ではない。処世術といぅヤツだ。 とはいえ、私は馬琴が保身のために、心にもなく虎の実体化に、<下手に学問して 慢心した者が、智恵を付けて今まで見えなかったモノが見えだしたため不磨をもつに 至り、暴動を起こした>との隠喩を付したと断言したいワケではない。まぁ、その気 持ちは嘘ではなかっただろう。ただ、一休さんの会話文中、虎を聖なるものと規定し て権力の腐敗・退廃を責める部分と、虎への否定的な評価の部分は、文章表記上かな り接続がギコチない。義政への批判が飽くまで本筋であり虎への否定的評価は<取っ て付けた>印象が拭えないのだけれども、まぁ、其処までは追及できない。義挙であ ろうが暴動であろうが、多くの人々が命を落とし傷付き焼け出されたとしたら、その 行為を肯定評価することは出来ない。馬琴が、例えば一休さんの如き仏教者にシンパ を抱いていたならば、禅宗を排撃した平八郎より一休さんの立場に近かったなら、尚 更だ。 上記要約で、仁を除いて、キーパーソンは三人いる。巽の配偶者、細川政元、そし て一休宗純だ。巽は重要な機能を果たすが、彼の転機は、駆け落ちも再び堕落して稚 児に見放されるのも、配偶者の存在に依る。鍵となるのは、配偶者の方である。この キーパーソン、考えてみれば皆、変態だ。一休さんは、まぁ八犬伝中ではオイタをせ ずに澄ましているが、要約の中に滑り込ませた如く、変態和尚だった(ことに少なく とも近世ではなっていた)。政元が愛宕信仰、即ちダキニ法の熱心な行者であったこ とは、どうやら事実であったようだから女色を注意深く避けた事も本当だろう。男色 に耽っていたとしても、不自然ではない。また、巽の妻も変態だ。一休さんと政元は、 その環境になければ、男色家にならなかったかもしれない。しかし、巽の配偶者だけ は、別だ。彼女は、女性である。夫と見知らぬ少年が、一つ屋根で過ごし事を以て、 <ヤったんだろう!>とキメ付ける。かなり不自然である。そりゃぁ、「稚児」には、 僧侶の<性的対象(desired)>なニュアンスも確かにある。しかし、だから といって、キメ付けるか? 普通。夫が斯道を嗜んだ<前科>があれば、また別だが、 そんな設定には、八犬伝は触れていない。 ……巽の妻、夫との爛れたセックスに溺れるだけでは飽き足らず、夫と男の子のセ ックスを妄想したのだ。一休さんや政元より、変態だ。二人は、まぁ性欲の存在を前 提とするならば、<仕方無しに>男色に走ったとも弁護し得る。しかし、巽の配偶者 には、そんな必要はない。<好きで>オトコとオトコのセックスを妄想したのだ。こ れを変態と云わずして、何をか変態と云う。 ……此処で疑問が涌く。巽の配偶者が女性であるとの前提に立てば、確かに変態だ。 では、男性であるとの前提に立てば? ……やっぱり変態である。しかし、変態は変 態でも、両者の質は相違する。
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