トップページ > 漫画キャラ > 2012年06月19日 > sKC5lZaj0

書き込み順位&時間帯一覧

19 位/891 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000005200000007



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
◆dYJkK3WzQm8c
名無しかわいいよ名無し
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い

書き込みレス一覧

【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
66 : ◆dYJkK3WzQm8c [sage]:2012/06/19(火) 15:51:52.98 ID:sKC5lZaj0
 俺はスポーツドリンクのボトルを片手にベンチへと座り込んでいた。気温は相変わらず高いが、木陰とそよぐ風のお蔭でそれなりに涼はとれている。
平日の真昼間に、サングラスをかけた大の男が人気のない神社のベンチでふんぞり返っているなど、下手をすれば警察に連絡されかねないことだったが、俺は部屋に戻れない理由があった。
そのものずばり、Gのせいだ。

 あくたむし、と敢えて古語で表現させてもらいたいソイツらは、俺が実家に帰省している間に部屋のどこかに苗床を獲得したのか恐るべき増殖を遂げていたのだ。
それは俺の想像の余地をはるかに超えていて、室内のそこここから"かさかさ"という笑えない雑音が響いてくるほどだった。

 俺はその場で右足を軸に華麗な半回転をすると、残暑厳しいこの最中を全力疾走して駅まで向かった。
元来汗っかきな俺はたったそれだけのことで滝つぼで心身を鍛える修験者のような水ぬれ状態に陥ってしまったが、やつらがのうのうと群れ暮らしているあの部屋にいる事の方が数十倍も恐ろしい。
もし1カ月の間あくたむしと一緒に暮らせと言われたら、100万円積まれたって俺は断るだろう。――1,000万円なら少しは心動くかもしれないが。

 それでも、あの部屋に遊びにくる奴らの事を考えると、やはり金の問題ではなくGどもは排除されて然るべき存在なのだ。俺は知っている、キリカって案外虫に弱いんだぜ。

 そういうわけで、俺は部屋全体にはびこる脂光りする蟲たちを排除するべく動き出すことにした。
駅のコインロッカーに荷物を預け、最寄りのホームセンターでバ○サンを購入し、部屋の隙間を目張りして、買いたての最終兵器を起動させたのだ。
俺がこうやって神社で涼をとっているのは、今現在バル○ンが室内でもうもうと煙を噴出しているからで、きっと中ではあくたむしどもが阿鼻叫喚の地獄絵図を展開していることだろう。

 していなかったら、困る。

 神社の中心には、きっと古くからこの地を見守ってきたのだろう鎮守の樹がでーんと座り込んでいて、俺と言う部外者に無言の圧力をかけてくる。どことなく尻の座りが悪いのはきっとこのためだ。
俺はそれほど熱心に不可思議なものを信じる性質ではない。
だがこうやってナニカを感じる以上は、不可視の神性というものがこの世界のどこかに存在していて、俺たち一般人の眼には届かない所で好き放題しているかもしれないのだという可能性自体を否定するつもりもなかった。

 そういえば、と思い出す。1月3日の夜、正確には1月4日に差し掛かった時間帯に、アイツらが突然に訪れた事を。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
67 : ◆dYJkK3WzQm8c [sage]:2012/06/19(火) 15:52:50.10 ID:sKC5lZaj0
 なんだかんだと忙しく二年参りにも初詣にも行けなかった二人は、ちょうど良い機会だと深夜にこの神社へと向かったのだという。
そしてこれからの自分たちに幸あれという願いを込めて五円玉を賽銭箱に放ると、ついでに俺の部屋へと押しかけたのだ――片や白い振袖で、片やふりふりのメイド服で。

 その時の俺の驚きようといったら、到底言葉で表せるものではなかった。だって、あのキリカがだぜ?それも実用的な使用人服ではなく、某東京の聖地にある喫茶店あたりのウェイトレスが着ていそうなブツだ。
紺を基調ワンピースに、ひらっひらのフリルのくっついた純白のエプロン。
ワンピースの裾にもエプロンと同じく純白のフリルが盛大にあしらわれていて、やはりひらっひらだ。
本来髪留めとして機能するべきカチューシャは装飾の方にその役目を傾けているらしく、てっぺんにはでかい白リボンが仰々しくくっついて猫耳のようにぴんと立っている、どんな材質で出来ているのだろうか。
腰にもやっぱりでかいリボンがくっついていて、却って動きを阻害しそうな有様だった。

 キリカがあたふたとして釈明したところによると、正月三が日が忙しすぎて臨時のお手伝いさんとして美国邸を走り回ったキリカは、着替えるのを忘れてそのまま神社に行き、そしてその勢いのまま俺の部屋へとやって来た、ということらしい。

 俺が顎を撫でながら、似合ってるぞ、と端的な感想を述べると、キリカにしては珍しいことに顔を真っ赤にして縮こまっていた。

「あんまりじろじろ見ないでよぉ……」

 若干涙目になって抗議するキリカに、俺は翌日の天候をひどく気にしたものだ。珍事件の後には、得てして天気が乱れる。
実際にしてその次の日、正月の真っただ中だというのにどういうわけか雨が降ったのを、俺はよく覚えている。織莉子は終始、恥ずかしがるキリカを見てにやにやしていた。舌なめずりする"けだもの"の笑みだった。

 結局のところ二人は、俺が実家から強制的に持ち帰らされたきんぴらごぼうと栗きんとんをたらふく食らい、お神酒(と称した俺秘蔵の八海山・大吟醸)を一口飲み、お年玉をせがんで帰っていった。
おおみそか、実家近くの神社で賽銭勘定のバイトをして得た俺のなけなしの臨時収入は、泡沫へと消えたのだった。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
68 : ◆dYJkK3WzQm8c [sage]:2012/06/19(火) 15:53:34.99 ID:sKC5lZaj0
 蝉が鳴いている。きっと、残された生命を精いっぱいに燃やして、最期の叫びを上げているのだろう。

 神社の中心、つまり鎮守の樹、から少し外れたところに、地上3メートルばかりの簡易式の櫓が建造されている。辺りに鉄骨と白い張り布が配置されているところから鑑みるに、近日中に祭りでもやるのだろうか。

 思えば俺は、所詮は仮住まいのことと決め込んで地区の行事やなんかに参加したことがなかった。今年くらいは参加してみようか、面倒くさがってないで。もし、祭りが終わってなかったら、の話だが。

 そんなことを考えていると、腰に付けたポーチが鳴動した。見ると、奴――呉キリカからのメールだった。

 From:呉☆おりこラブ☆キリカ
  Subject:今どこー?(´・_・`)
  Text:今日帰ってくるんだったよね?σ(^_^;)
     部屋に鍵掛かってるんだけど(>_<)

 説明すると、この登録名はキリカから連絡先を受け取った時のものをそのまま使っているのであって、俺があれこれ付け加えたわけではない。
当時の俺も、このミドルネームは何だと問い詰めたものだが、キリカはしれっとして笑いながら、

「だってその通りだもーん。あ、心配しなくてもおにーさんのことも大好きだからね?もちろん、織莉子が一番ではあるんだけどね!」

 そんなことを言ったものだ。いろんな意味で二の句が継げなかった。

 俺は○×神社、とだけ打って、返信キーを押す。アイツにはこの程度で十分だ。Gの大量発生と、それを駆除するために今こうして部屋を空けているのだという事実は、直接会って説明しようと思う。
キリカの慌てふためく様が目に浮かぶようだ。アイツら、とりわけキリカの奴にはいつも迷惑かけられ通しなわけだし、このくらいはしたってバチはあたらないだろう。

 俺が悪意に満ちた笑みを浮かべていると、早くもキリカからの返信メールがきた。

 From:呉☆おりこラブ☆キリカ
  Subject:りょうかーい( ̄^ ̄)ゞ
  Text:そっち行くから待ってて(^з^)-☆

 これが女子中学生のメールなのだろうかと思うとげんなりする。齢80を超えた祖父がガンガン絵文字つきのメールを送ってくるからだろうか、俺はいまひとつ顔文字というモノにピンときていない。
そのせいで、周囲からは「お前のメールは淡白だ」と悪評たっぷりだ。他人に強制するものではないと思うのだが……

 俺は空になったペットボトルをゴミ箱に捨てると、大きく伸びをして、再びベンチに腰かけた。なんだかんだ言って九月だ、もう秋なのだ。風は、あの暑苦しい日々と比べるとやっぱり涼しくなっていた。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
69 :名無しかわいいよ名無し[sage]:2012/06/19(火) 15:58:31.86 ID:sKC5lZaj0
 足音がする。アイツお気に入りのブーツが、地面を蹴り石畳を踏んづけた時に立てる音だ。

「やっほー、おにーさーん!」

 さあ、おいでなすった。二次性徴未満の少年滲みた声を出しながら、静謐な神社にとたたと足音を響かせながらキリカが現れた。もう足音だけで特定できてしまうというのは、喜ぶべきか、悲しむべきか。

「ひっさしっぶ……」

「ああ、ひさしぶり」

 俺はキリカに顔を向けた。活動しやすい半ズボンに、黒のタンクトップ。肌の見えている場所は須らくこんがり小麦色に日焼けしていて、この夏を大層に満喫していたのは明らかだ。
お前中学三年生だろ、受験生じゃなかったのか。

 だがどういうわけか当のキリカは、手を尻尾のように振りながら走ってきたのだろう姿勢を維持しながら、遥かなるアイスエイジの時代に氷漬けにされたマンモスのように固まってしまっていた。
そして若干引いていた。さらに顔は引き攣っていた。

「なーに固まってんだ、おまえ」

「それは、ないよ……」

「……は?」

 俺は眉間にしわを寄せてキリカに疑問の声を呈した。いったい、なにが"ない"と言うのだろう。
俺の服装はシンプルなデザインの、言っちまえばいつも着ているような地味路線を驀進するものだった。
財布やなんかの貴重品を入れるバッグだって、東京某所の免税店で買ったシックなやつだ。
違いを強いて挙げるならば、それは俺がサングラスをかけていることくらいだ。

 かつて二人を連れて室内プールに行った時、俺は腹立たしい事に二人の父親に間違われた。
それも何人かの節穴のような眼を持った奴らにではなく、当時プールにいた人間全体によるマクロなものだった。俺は深く傷ついてげっそりとした。
それを見かねた織莉子が、俺にサングラスをかけるようアドバイスをくれたのだ。

 確かに、昔見たドラマやハリウッド映画なんかでは、カッコいい俳優たちがイカしたグラサンを付けて銃をばんばんぶっ放している。
ターミ○ーター(初代)などでは、州知事扮する殺戮マシーンがカッコよく極めていた。
作中でのそれはカメラアイを覆う生体組織が失われてしまったがための苦肉の策だった。
だが、それにしたってカッコいいものはカッコいい。

 そうして俺が買ったのは、あ○ない刑事に出演していた舘ひ○しや柴田○兵がかけていたのと同じタイプ。
ウェリントン型と呼ばれるタイプのサングラスだ。
どうやら近年流行りはじめたモデルらしく、雑誌に紹介されており「これなら俺も……!」と思い購入に至ったわけだ。
サングラスに合わせて髭も伸ばした。

 織莉子の勧めがなかったら、きっと俺にはサングラスを買うような機会は一生涯なかったことだろう。
今度会ったら、改めて感謝の意を示したい。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
70 :名無しかわいいよ名無し[sage]:2012/06/19(火) 15:59:58.47 ID:sKC5lZaj0
「だって、明らかに堅気の見た目じゃないよ、それ……絶対に、外した方が良い、そのサングラス!」

「なに〜?俺は織莉子の勧めでサングラスかけてるんだぜ、この老け顔を晒すのはご免だしな」

「に、したってそれはない!今の方が格段に悪いよ、まるでマフィアじゃないか!」

「……そんなにひどいのか?」

「うん、そりゃあ、もう」

「…………」

 俺は悩んだ。キリカは得てして、歯に衣着せない物言いをする。そのせいで俺はしばしば心抉られる思いをするのだが、逆に言えばそれは忌憚なき意見でもあるわけだ。
であるならば、俺の今の外見は腹立たしいことに堅気のそれではないというわけで、出来る限り早急に髭を剃り眼鏡をかなぐり捨てるべきなのだろう。
道行く人がぎょっとした顔をして俺から離れて歩こうとするのも、致し方のないことだったのだ。

 だが、こと俺の頭を悩ませているのはそこではない。それが100円ショップで買ったようなサングラスであれば俺は廃棄に躊躇をしなかっただろう。
だが基本的に安物買いの銭失いを恐れる俺は、買うと決めた物はそれなりに良いお値段の品を選ぶことにしている。
このサングラスもそれなりに値が張っていて――実の所2万円近い。
一般庶民たる俺の感覚から言って、それだけのものを易々と手放そうとは到底思えないのだ。

 だから俺は、

「……もう少しだけかけていようと思う」

「……まじで?」

「これ高かったんだよ……もったいないじゃないか、まだ実家にいる間にしかかけてなかったってのに」

「おぅふ……実家ではずっとそれかけてたんだ……」

 憐憫の情に溢れた視線を送るキリカに、俺はやりきれなくなった。
ああ、もう、俺の馬鹿野郎が。もっと自分の容姿を、客観的に慮って然るべきだったというのに。

 堪らなくなった俺は、話題を変えることにした。後悔で胸が張り裂けそうになったからだ。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
71 : ◆dYJkK3WzQm8c [sage]:2012/06/19(火) 16:12:12.88 ID:sKC5lZaj0
「と、ところでだな。この神社には、なんだか櫓やなんかの用意があるようだが、近々祭りでもあるのか?」

「えーっと……そうそう、おにーさんの顔のインパクトで忘れるところだったけど、まさにその通りでさ。
実は今日の夜に今年最後の夏祭りがあるんだよね。それで、織莉子がこの区を代表して挨拶をすることになったんだ。
で、せっかくだしおにーさんも一緒に出店を巡らないかって、誘おうと思ってたんだ。……でも、そのグラサンかけてる間はご遠慮願おうかなぁ」

 まじか、そんなにひどいのか。

「だからそう言ってるじゃないかって。ーー黒スーツ着てボディ・ガード風なら、まぁ、なんとか?」

 俺はサングラスを外す決心をした。

 深々と溜息をつき、天を仰ぐ。弦に指を掛けて、払うように外す。
整えてあるとは言え髭面の俺は、きっと外見年齢5割増し以上になっていることだろう。

 外したサングラスをキリカに押し付けて言う。

「これ、やる」

「へ」

 意味が分からない、といった体できょとんとした顔になるキリカ。

「俺がそいつをかけてると、外見がろくでもない事になるってのは良く分かった。だがそいつはン万円した代物でな、そうそう廃棄もできないんだよ、もったいなくて。だからお前に押し付けちゃる。
なんなら織莉子の方でも良いが、まぁなんか機会があったらかけてくれ。何であれ、俺よりは悪くなることはないだろう」

「……良いのかい?高いというのなら、そうポンポンと他の人にあげちゃって良いもんでもないと思うんだけど」

「……俺も変わったのさ」

 俺は隣に座るキリカから、敢えて視線を外した。遠くを見るような目をして、

「始めは迷惑でしかなかったお前らが、今ではひどく身近だ。こんなにお高い買い物でも、お前らにならあげちまっても良いんじゃないかって考えられちまうくらいにな」

 その言葉を噛みしめるように眼を閉じ俯いているキリカの肩に、俺はぽんと手を置いた。

「ま、ガキはガキらしくありがたがってプレゼントを受けとりゃ良いのさ」

「またそうやって子ども扱いするぅ!」

 ほっぺたを膨らまして抗議するキリカの頭を、俺は出来る限り豪放に笑いながらわしゃわしゃと撫でた。
まだ夏の気配を残す日差しを受けた黒髪の熱さも、今日ばかりはとても心地いいものに感じられた。

「――ありがと」

 小さな声だった。
だが、キリカの発したそのお礼の言葉は、俺の耳には確かに届いたのだった。
【おりこ☆マギカ】美国織莉子と呉キリカは薔薇4本目可愛い
72 : ◆dYJkK3WzQm8c [sage]:2012/06/19(火) 16:15:08.19 ID:sKC5lZaj0
以上、前編でした。
悩んだ結果、家主にはサザエさん時空に入ってもらうことになりました。
おりキリが高校生になっちゃうと、他の同学年の子との繋がるが生まれて、多分家主は役割を終えますから。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。