- はい次の方。
644 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 01:58:43.89 ID:skVovTOl -
よく判らないが私は何かの運動部の合宿に参加しているらしい。 その主将かと思われる青年が新人たちに発破を掛けている。 そして私もまたその新人の一人らしい。 なぜなら私も数人の新人たちと一緒に説教を聞かされているからだ。 己の姿はよく判らないがどうも私も青年の姿をしているらしい。 そうでなければこの場にこうも自然に溶け込めないはずだ。 「ラケットも持たずにこの合宿に来ている奴がいる」 主将がさらに声を荒げる。
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- はい次の方。
645 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 02:07:58.18 ID:skVovTOl -
なるほどどうやらこれはテニスの合宿らしい。 主将が高くかざした右手にはテニスラケットが握られていたからだ。 ラケットを持って来ないも何も私は寝るとなりこの場に連れてこられたのだ。 そういうことは予め連絡をしておいてもらえると対応の仕様もあるのだが。 まあしかし夢というものは総じて突然に始まるものなのだ。 予告されたとてラケットなんぞは装備できなかったであろう。いやはは。 さてどうやら主将の訓辞が終わったらしい。 皆は寝る支度に取りかかっている。 さて私はどうするかな。
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- はい次の方。
646 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 02:18:06.98 ID:skVovTOl -
皆さんはどうだか知らないが私の場合は夢を見ていても半分覚醒していることが多い。 特に嫌なシチュエーションに当たると覚醒している部分がこう考えるのだ。 ─なんだこの状況は。 ─このままここに身を置いてもどうらロクなことにはならんだろう。 ─いくら夢とは言え同じ見るならいい夢を見たいものだ。 ─ならばさっさと違う状況に身を移そう。 ─なあにどうせこれは夢の中だ。 ─何をやらかしたってまったくどうってことはないのだ。 勿論このときもこう考えまして。 ─よし。皆が寝静まった頃にここを抜け出そう。 まあ半分は覚醒していても後の半分は夢の中にいる訳です。 突然に強制場面転換できるだけの力もないワケで。 ある程度ストーリーに則った形でのプチ反逆しかできません。いやはは。
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- はい次の方。
647 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 02:29:41.02 ID:skVovTOl -
ではそろそろこんな鬱陶しい合宿から抜け出して。 もっとこう楽しいところへ行こうではアリませんか。 合宿所を出て判ったのであるが。 ここは山奥にぽつんと存在している山小屋のようなところらしい。 ここから「楽しいところ」へ行くには相当かかるものと思われる。 ちんたらちんたら歩いてなんぞいたらまた鬱陶しい状況に傾いてしまうであろう。 ここはさっさと場面を変えねばならない。 それには車が要るのだ車が。 と。ここは夢の都合の良いトコロで。 そう思う間もなく暗闇の中に冷たく黒光りする高級車がうずくまっていた。
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- はい次の方。
648 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 02:38:47.52 ID:skVovTOl -
次の瞬間には山道を駆け抜ける私がいた。 くねくねと続くワインディングロード。 快調に山を下りているらしい。 道はどんどん下っている。 平野部に出た。 田畑の間に民家がぽつぽつと散らばっているような田舎の風景だ。 それだけならどうと言うことはないのだが。 そうではない。これは異様な光景である。 なぜなら見渡す限りの平地が数万数十万という人々で溢れかえっているのだ。 これは一体何なのだ。 普通ではない。胸がぞわぞわしてくる。
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- はい次の方。
649 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 02:50:36.01 ID:skVovTOl -
とその時。 群衆がどっとどよめいた。 空から何か金属的な音が降ってきた。 咄嗟に車を捨てて私も反射的に空を見上げる。 なんということだ。 とてつもなく巨大な宇宙ロケットのような機体が空に跨っている。 ジャンボジェット機どころの比ではない。 その十倍はあろうかという大きさだ。おそらく全長数kmはあろう。 中央に筒型の胴体がありその周囲にはさらにいくつかの細長い筒状のものが付いている。 全身はほとんど白色であるが所々黒っぽいところが見えている。 ななな何だこれは。 これから何が起。と思う間もなく中央の胴体のパネルがかぱかぱかぱっと開いた。
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- はい次の方。
650 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 03:00:56.33 ID:skVovTOl -
次の瞬間その親ロケットの腹の中から蜘蛛の子を散らすように円盤型の機体が次々舞い降りてきた。 蜘蛛の子とは言えデカい。 しかも無駄に機体の色がカラフルだ。 金属的な光を帯びた赤や緑の機体。 銀色で縁取りされたその姿はいわゆるUFOという形状をしているのであるが。 キィィィィィィィィィン。 耳が潰れんばかりの音がする。 どんどん下に降りてくる。 いや下ではない。こちらに向かって降りてくるのだ。 緑の機体の裏側がずんずん迫ってくる。 巨大だ。もう空が見えない。 そこで私は気づく。 そう言えば地球が終わるのではなかったか?
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- はい次の方。
651 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/07/27(水) 03:10:27.64 ID:skVovTOl -
しかしどういう形で終わるとは聞かされていなかった。 これは宇宙人の侵略なのか? はたまた地球外に脱出するための助け船なのか? 駄目だ。もう潰される。 耳をつんざく金属音。人々の阿鼻叫喚。光から闇。 はっと起きる。 ああ。いつの間にか100%夢に嵌り込んでいた。 ふう。今夜の移動作戦は失敗だ。 せっかくあの鬱陶しい山小屋から脱出したもののまた妙な状況に巻き込まれてしまった。 まあしかしそうそう毎度うまいことはいかないものだ。 自在に夢をコントロールできるとなればギネスブック。いやノーベル賞ものの快挙だろう。 さて。トイレに行ってまた寝るか。 もう夢は要らん要らん要りません。 しかしあろうことかこの後私はまた先程の夢の続きの世界に引き戻されるのであった。
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