- はい次の方。
437 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/02/03(木) 02:35:12 ID:jcRqBc1u -
あのなあ婆さんや。 芝刈りて何や芝刈りて。 山にゴルフ場でもでけたんかいな。 それを言うなら柴刈りやろがぼけ。 それとなあ婆さんや。 せっかく川へ洗濯しに行ったちうのに何で手ぶらで戻ってくるんじゃハゲ。 桃拾てこんかい巨大桃。川上からどんぶらこすっこんごう流れてきたやろが。ああん? 見過ごしてどないすんねやこのあんぽんたん。 あの桃な。もう隣の性悪婆さんに持っていかれたがな。 ほげーほげー。 ほれ見てみい。隣で桃太郎が生まれよった。 このまま指くわえて見とったらやな。隣が大金持ちになりよるんじゃ糞忌々しい。 とにかくわしは今から鬼ヶ島に向かうよってにな。 婆さんは大急ぎで黍団子を大量生産してくれ。
|
- はい次の方。
438 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/02/03(木) 02:36:41 ID:jcRqBc1u -
わしの仕事は鬼をそそのかして桃太郎征伐に向かわせることや。 ─将来あなた方をやっつける桃太郎が生まれましたよ。 ─このまま放っといてはいけません。 ─そうです。ヤツが小さい今の内に息の根を止めておきませんと。 まあわしの話だけやったら信憑性がないんでな。 行きがけに国会図書館で「桃太郎」の絵本借りて鬼どもに見せるよってに。 まあしかしあいつらは無駄にプライドが高いよってにな。 わしがとっておきの情報を与えたところでこれ。 ─何じゃいそんな奴。取るに足らんわ。 ─わざわざ出向くまでもないわい。ここでどーんと待ち構えじゃはっはっは。 まあこんな具合にもなりかねん。 そこで婆さんの出番じゃ。 婆さんの仕事はこれ。 毎日黍団子を大量生産してこの辺一帯のイヌ・サル・キジを買収しとくことや。 他の動物どもにはやらんでよろしい。 とにかくイヌ・サル・キジに招集かけて毎日一個ずつ団子をめぐんでやってくれ。 これでいつか糞桃太郎が旅立ってもやな。誰も団子ひとつ程度では家来にならんはずや。
|
- はい次の方。
439 :大納言 ◆DYNA.53IRM []:2011/02/03(木) 02:38:21 ID:jcRqBc1u -
それどころか糞桃がのこのこ歩いてきよった日にゃこれ。 婆さんに一芝居打ってもろてやな。ええか。泣きながらこう言うだけでええんや。 ─うわあああ。団子泥棒じゃあああ。あの男がわしの団子を盗みよったあああ。 するとやな。今まで手なずけてきた付近の何十何百というイヌ・サル・キジがやな。 わあああんと糞桃に寄ってタカってあっと言う間に蜂の巣じゃ。うははははははは。 こうなるとやな。婆さんの団子は超有名になってやな。 ─桃太郎をもやっつけたスーパー黍団子。ひとくち百万馬力! うまいこといきゃ鬼どもからも謝礼のひとつでももらえるんでな。 それを資金に近代的に機械化され衛生管理の行き届いた団子工場を設立してやな。 各地の百貨店・KIOSK・道の駅・スーパーマーケットに全国展開と。 まあこれくらいしとくとやな。 後世に語り継がれる頃にはこれ。 「泥棒桃太郎を動物たちとともに力を合わせてやっつけた爺さん婆さんの物語」と。 こんな感じの勧善懲悪ストーリーになってやな。 わしらが主人公の絵本がばんばん出版されとるはずや。 つまりが金も名誉も手に入るちう訳や。 そうとなったら急いで出発せんと婆さんわしの図書館カード出しとくれ。
|