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名無しさん@お腹いっぱい。
リタイアして南の島で第二の人生

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リタイアして南の島で第二の人生
933 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:23:42.86 ID:bfTKbzZf
昭和頃の東北田舎町。港に小さな漁船が停泊していた。
 漁師が小さな網に魚をとってきた。その魚はなんとも生きがいい。それを見た東京からの旅行者は

「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」

と尋ねた。 すると漁師は

「そんなに長い時間じゃないよ」

と答えた。旅行者が

「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」

と言うと、漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。

「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」

と旅行者が聞くと、漁師は、

「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房と昼寝して。
夜になったら友達と一杯やって、歌でも歌って…ああ、これでもう一日終わりだね」

リタイアして南の島で第二の人生
934 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:24:13.86 ID:bfTKbzZf
すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。

「経営コンサルタントをしている人間として、きみにアドバイスしよう。
いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。
それであまった魚は売る。お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。
自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。その頃にはきみはこのちっぽけな村を出て
 東京に引っ越し、会社も全国各地へと進出していくだろう。きみは東京のオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。

「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」

「20年、いや! おそらく25年くらいで、そこまでいくね」

「それから、どうなるの」

「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」

と旅行者はにんまりと笑い、

「今度は大きくなった会社の株や東京の不動産を大企業へと売却して、きみは億万長者になるのさ」

「それで?」

「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、
日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんと昼寝して過ごして、
夜になったら友達と一杯やって、歌をうたって過ごすんだ。
でも、今とは違う。東京で起業家として成功した億万長者という名誉が君や家族には手に入るんだ。
どうだい。すばらしい人生だろう」

リタイアして南の島で第二の人生
935 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:25:45.99 ID:bfTKbzZf
お前と飲むときはいつも居酒屋だな。一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
昭和バブル前、俺が貧乏浪人生で、お前が月20万稼ぐ漁師だったとき、
 おごってもらったのが居酒屋だったな。

「最近、毎晩のように飲み歩いてるぜ。金が余ってしょーがねーから」

 そういって笑ってた若かった頃の姿が懐かしい。
昭和バブル全盛の頃、俺が大学を卒業して、会社へと入社して初任給22万だったとき、
 お前は月30万稼いでいるって胸を張っていたよな。

「毎晩残業で休みもないけど、金がすごいんだ」

「後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」

「網元の息子も、船員まとめている俺に頭上がらないんだぜ」

そういうことを目を輝かせて語っていたのも、居酒屋だったな。
あれから20年たって今、こうして、たまにお前と飲むときも同じ居酒屋だ。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのは、お前と一緒の時だけ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、最近、馴染んでいる店と比べると酒が色付水みたいだ。
質の悪い油で揚げた料理も、喉に妙な感覚を残す。
 毒を食わされているような気がしてならない。

 別に綺麗な女が居る店じゃなくてもいい。もう少し金を出せば、こんなジャンクフードじゃなくて、
 本物の酒と食べ物を出す店を知っているはずの年齢じゃないのか?
でも、お前がポケットから取り出す。クシャクシャの千円札三枚が眼に入り、
「もっといい店を知っているから行こうぜ」とは言い出せなくなくなるんだ。
リタイアして南の島で第二の人生
936 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:26:18.64 ID:bfTKbzZf
前の水産会社クビになったの聞いたよ。お前が体壊したのも知ってたよ。
新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う若い20代のフリーターに混じって
 感覚が違って何を話せばいいのかすら、わからない人間の中で、
 場違いさに逃げ出したくなる中、他に居場所が無いからでバイトを続けているのも知っている。

 その雇い主と同業者団体の飲み会で会った事あるから
 気合いと根性の入った体育会系の若いモンを安い金で雇うのが好きで
 文句を言ったのを見せしめに、どんな目にあわせているかを聞いた事ある
 若いモンに「こうならないように言う事を聞いて頑張れ」って言うためだけに
 年寄りを雇って、どんな目にあわせているかも耳にした。

もういいだろ。20年前と同じ居酒屋で、20年前と同じように

 初心を失わずに同じ事を継続する事は美しい。いつかは成功できるという夢を持とう

 だなんて、昔、誰かに刷り込まれた夢だけを語らないでくれ。
 実現するためには、どんな努力をすればいいのかすらわかってないから
 お前にとっては永遠に夢のままで、他の誰かが実現したのを讃えるだけなのに

 いつか叶うかもしれない夢を見て、実現できると信じて生きていく
 そんな、バクのような生活は、20年前の若かった頃の お前のような
 隣の席で浮かれているガキどもだけに許される生活なんだってば。

 わかっているけど、今さら変えられないからピエロのように踊っているのか?
 ドサ回りの演歌歌手が、同じ歌を何年も歌っているかのようだ。
リタイアして南の島で第二の人生
937 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:26:43.17 ID:bfTKbzZf
 同じ頃に知り合った、もう少しマシな店で会っていた知り合いの
 アザ笑うような噂話が脳裏に蘇る

「ああは、なりたくないよなあ。本当に、みっともない。
 でも 言っても聞かないだろうし、変えられないもんだろうな
 まわりにいる人間とかも、他人事だから、の一言で言わないし諦めんだろ

 一生、わけのわからん戯言や、叶わぬ夢を語って
 馴染んだ現実を関わった人間に馬鹿にされるだけで過ぎていく
 何も手に入れられない。誰にも相手にされない人生

 それも人生って言えば人生ってわけなんじゃない。」

 それから3年が経過した春、
 「若い頃に混じって高齢者が、そんな仕事をするなんて自殺行為」
 と言われている仕事を作業中に倒れて亡くなったと連絡があっての葬式。

「良かった。仕事が無くなって無年金で生きていられたら、
 誰かが面倒みなくちゃならない所だった。本当に良かったア」

 ヤツの兄貴と、その奥さんが、コッソリ喜んでいた。
 ふと思う、奴は、なんのために生きていたんだろう。

 まわりの人間の心の中では、何年も前に墓の下にいるのと同じ存在になっていた
 早く消えて欲しいだけだったイメージが残骸のように残っただけ

 だが、本人が勝手に思い込んだ世界の中では
「自分の夢だけを追って他の事を考えなくて良かった」幸せな人生だったんだろうか
 今となっては、本人に聞く事はできない。生きている内に聞いてみればよかったかなあ。
リタイアして南の島で第二の人生
938 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:29:01.80 ID:bfTKbzZf
ほんの数日前の出来事です。 近所の海で漁作業をしていたら
 ボランティアの団体さんがやってきた。 そして俺の姿を目にするや

「ここは漁禁止だよ!」

「放射能の汚染された海でなにやってんの? 常識ないの?」 と罵声を浴びせてきた。

10年近く通っていてそんなことを言われたのは初めてだったので固まっていた俺を取り囲み、

「魚が汚染されているのを知ってて漁りなんかしてんの?」

「食べたらガンになる可能性が高いから出荷しちゃダメだからね」 などと語り出す。

そこに県土木事務所の巡回員さんがやってきて、降りてきた職員が「どうしました?」と声を掛けてきた。
ボランティアおじさんはここぞとばかりに、

「ちょっと! この人釣りなんかやってるんだけど、注意してよ!」

と叫んだのだが、職員はキョトンとした顔で

「え?漁は禁止されてませんけど???」

 と一言。 予想外の答えに興奮したのか、おじさんは

「え?なに言ってんの?高濃度放射能が蓄積された魚だらけなのに
 釣りなんかして良いわけないでしょ!!」

と食い下がるも、

「いえいえ、禁止されてません。放射能汚染なんてありません。安全です。大丈夫です。」 とバッサリ。

ばつの悪そうに、それでいてまだ「そんなはずは無い」だの
 「なんで禁止にしないんだ健康被害が発生してからじゃ遅いだろう」
 などと言いながら立ち去ろうとするボランティアの団体さん。

そこに職員の口から一言。

「あ、ちょっと、この地域での撮影や土砂、水などの採取には許可が必要です」

あの時、振りかえったボランティアの人々の顔は一生忘れない

リタイアして南の島で第二の人生
939 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2012/04/01(日) 17:32:13.12 ID:bfTKbzZf
夜中、眠れなくて近所のファミレスでドリンクバー頼んで暇つぶししていたら
 後から来て、近くの席に座った男女二人の会話

男「はぁ……なんで、あんな能無しと一緒にいたと!?」

女「…ごめんなさい…」

男「まじショック…俺メール見たときまじ泣きそうやったもん。なんで!?」

どうやら女の浮気がばれたみたいで

女「(よく聞こえなかったけど、多分寂しかった的なこと)」

-バシッ!!-

 女「痛っ…」

男「寂しかったら誰でもよかとやっ!! お前、酒ば飲んだら相手は誰でもよかと…」

女「ぐすっ…うっ、ごめんなさっうぇ…(嗚咽はんぱないwww)」

男「…楽しかったよ…去年の3月に赴任してきた時から今まで…」

女「わっ、わがれっだぐないっれずぅう」

もう女の方は凄い大声で、隣にいる私とか目に入ってないんだろうなって感じで…

女「なんでもっ、なんでもしますっぅえ」

男「いいよ。なんもせんで…まさかこの俺が浮気されるとは!!なぁ!?」

女「だってっ…」

俺「ぁあ!?だって何やっ?」

 女「(ずっと泣いてる)」

女「……もう、うちのこと好きじゃないですか?」

男「うん」

女「わっ、わかっ、わかりっましたっ…今まで、ありがとうございましたっ。
もう販売員も…辞めます…御世話になりました所長。」

女が男に一礼して、反対方向にすごすご歩いて行こうとしたときに、
 男が女の腕を引っ張り。ぎゅって抱き締め、満面の笑みで語りかける

男「うそwww 別れるわけないやんwww 反省した!?」

いきなりの展開に煙草吸うの忘れてガン見してしまった。
それから女がありえないくらいぎゃんぎゃん泣いて、ごめんなさい連発してたwww 最後に男が

「俺、嫁おるけど、単身赴任で今は一人暮らしやし、お前のこと大好き やっけんな!!
 あんな能無しみたいな同じ年代の貧乏な甲斐性の無いガキと我慢大会みたいな生活するの嫌やろ
 一生、面倒みちゃるけん。俺の言う事だけば聞いて そばにおれ!」

って言ってて、どっちが悪いのか解らなくなった…


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