- 【記念・追悼】真樹日佐夫研究【心のマキビル】
70 :名無しさん@一本勝ち[]:2013/04/05(金) 13:24:40.64 ID:zrciicXP0 - 印象に残る食材とくれば、勝昭との喧嘩騒動に纏わる豚の耳を外すわけにはいかぬ。
「勝昭、表へ出ろ!」 巨きな身体をしていながら気弱な性格が災いして 今ひとつ結果が伴わない勝昭に活を入れる腹積もりで、実戦空手の手ほどきを、 と路上決戦を促したが、視線を伏せて、さながら戦意喪失の体の勝昭の表情を視て 私の叱咤が空回りに帰したことを悟り知らされた。 元々生真面目な勝昭が、大山の期待に応えようと大会で満足の行く成績を残すための 鍛錬に励むのは致し方ないにしても、今ひとつ殻を破れないでいたのは 無手勝流の概念が勝昭に決定的に欠如しているからではないか? これは、私が大山に空手の手ほどきを受けた当初から右顧左眄していたもので、 喧嘩空手を標榜しながらも、極真空手の実戦性を乖離せしむものでは、と 長年、私に頭の体操を強いるにも似て、なにやら靄のように私の想念の中に蠢く正体でもあった。 戦意喪失した勝昭に勝利の目があるはずもなく、年下の後輩相手に真剣勝負に及ぼうとした 自分の浅慮を愧じ入ったことであった。 翌日、わざわざ東武デパートに赴き豚の耳を仕入れてニンニク漬けの下拵えまでして、 私に御馳走してくれた勝昭の真摯な態度が、わだかまりが氷解したことを教えていた。 今だから明かせる食材談義懺悔である。
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