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この名無しがすごい!
安価・お題で短編小説を書こう!8

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安価・お題で短編小説を書こう!8
21 :この名無しがすごい![sage]:2020/04/05(日) 21:22:16.94 ID:1dJ33h6X
>>2
お題:『トライアル』『レビュー』『クリスタル』『マシマシ』『午前零時』

【トライアルセクション】(1/2)


 埠頭は、午前零時を過ぎたと言うのに、煌々と灯りがともり、疎らであるが人影も出ている。
 都内へと運ばれる物資が、次々と運び込まれ、湾岸用リフトが絶え間なく動いていた。

「大忙しだな、仕方がないが……」

 その、復興の為の支援物資の積み降ろしを尻目に、男は、寂れた倉庫街へと歩みを進める。
 待ち合わせ場所である倉庫へと赴いた天津 恒は、その廃墟然とした佇まいに眉根を寄せた。

「本当に、ここで合ってるのか?」

 待ち合わせは午前零時三十分、場所は湾岸倉庫17番。記憶と照らし合わせた場所は、確かにここだ。

「待っていましたよ? 天津さん」

 やけに耳に残る老人の声に、恒は、ビクリと肩を震わせ振り返る。
 いつの間にそこに居たのか、老人は杖をついた姿勢で佇んでいた。

「あんたが……あー」
「はい、依頼人の山田 太郎です」

 あからさまな偽名に恒が溜め息を吐く。
 しかし恒は、ここに仕事をしに来たのだ。特に彼の場合、依頼人が訳ありと言うのも良くある事だった為、その事はスルーする事にした。
 山田に連れられ、倉庫へと入る。と、途端に地面か揺れ、倉庫中央にポッカリと穴が開いた。
 山田は躊躇うことなくその穴に入って行く。
 恒も、渋面を作りながらも、その後に続いた。
安価・お題で短編小説を書こう!8
22 :この名無しがすごい![sage]:2020/04/05(日) 21:26:41.73 ID:1dJ33h6X
【トライアルセクション】(2/3)


 ******

 クリスタルガラスで広く視界を取られたエレベーターで降りた先に有った物に、恒は驚きのあまり息を飲んだ。

 20m近い人形のそれは、彼の認識に間違いがないのならば、“ロボット”と呼ばれる物だろう。

「……何だ? 映画の撮影でもやろうってのか?」
「それも楽しそうですがね、貴方にお願いしたいのは、アレのパイロットですよ」
「!! ……冗談だろ?」
「本気です」

 天津 恒と言う男は運び屋だった。今まで、有りとあらゆる手段、乗り物を使って、頼まれたモノを運んできた。
 その為、今回も、その類いだろうと思って来たのだが……

「いや、流石に筋違いだろう? 俺は、単なる運び屋で……」
「謙遜しないでください、我々とて、色々と調べましたよ? バイク、自動車、航空機から船舶、果ては重機まで自在に操り、有りとあらゆる場所へ荷を運ぶ」
「買い被りすぎだ」

 確かに恒は、あらゆる乗り物を乗りこなし、その、依頼達成率は100%に近い。
 だからと言って、ロボットの操縦など、あまりに毛色が違うだろう。それに……

「コイツに乗せようって事は、つまり、アレと戦えって事だろう?」
「はい、その通りです」

 この所、日本にはエイリアンが襲来していた。
 全長20m近い、その来訪者は、日本全国に降り立っては、何かを探すかの様に荒らし回っていた。
 各国は、当初こそ、このエイリアンに対処すべく動いていたが、彼等の目的が日本であると分かった途端に、軍を引き上げ、全ての対処を日本に任せる事にしたのだ。
 それでも一応、支援物資を日本に送る程度の援助はしているのだが……

 日本政府は、このエイリアンに対抗する為、国防相だけでなく、民間にも広く対応策の依頼をし、各企業がそれに応えた。

 この、山田からの依頼も、そう言った物の1つだろう。

「無茶を言う。第一、ここまで作ったんだ、テストパイロットだって居たはずだろう?」
「いや〜、お恥ずかしい話ですが、先任は寿退職致しまして……」
「えっと、おめでとう?」
「授かり婚だそうです、ウチの整備員と……」

 居たたまれない空気に、恒が視線を逸らす。

「お願いします!! 国防相のトライアルまで、1ヶ月を切ってしまったんです!!」
「いや、同情はするが、さすがの俺も、ロボットの操縦なんか自信ないって!」
「大丈夫です! 調査の結果、貴方か一番適正があったのです!!」

 そう言えば、恒の事を調べたのだと山田は言っていたか。
 確かに今までも、命ギリギリの仕事はしてきた。しかし、ロボットに乗ってエイリアンと戦うと言うのは、勝手が違い過ぎる。

「悪いが、他を……」
「料金はマシマシ! 特別手当てと、危険手当ても付けますので!! お金が必要なのでしょう? 妹さんの……」

 その言葉に、恒の動きが止まる。

「当然、もしもの時の、保険も付けます」
「そこまで調べたのか?」
「…………」
安価・お題で短編小説を書こう!8
23 :この名無しがすごい![sage]:2020/04/05(日) 21:29:28.91 ID:1dJ33h6X
【トライアルセクション】(3/3)


 渋面を作る恒とは対照的に、山田が笑っていない笑みを作る。
 恒は、舌打ちを1つすると、降参だとばかりに両手を上げた。

「分かったよ、アレに乗って、宇宙人をブッ飛ばせば良いんだな?」
「あくまで、実践テストです。テストの結果いかんでは、そのまま正規パイロットと成っていただいても構いませんよ?」

 ******

 ブスッとした顔で、パイロットスーツの恒がロボットに乗り込む。
 一週間の訓練で、恒は、このロボットの特性は掴んでいた。
 そして今日、初の実戦である。
 エイリアンが襲来したからだ。
 コクピットが密封され、シリコンリキッドが充填される。

(何度体験しても慣れんな、これは)

 それでも、衝撃を吸収するこのリキッドがなければ、恒の命に関わるだろう為、我慢するしかない。
 コクピット内がシリコンリキッドで満たされ、水中にも拘らず呼吸が出来るようになると、恒は、操縦用の水晶を握った。
 網膜に直接映像が投射され、恒の視界がロボットのソレとリンクする。

『では、発進シーケンス開始します。良いですか? 天津さん』
(オッケーだ、何時でも良いぜ!)
『あ、後、帰還後は、直ぐにレビューを提出してくださいね?』
(発進直前に、気を削ぐ様な事、言うんじゃねぇよ!!)

 管制室で、クスリと笑う山田を恒は感じた。

『では、ご無事にお戻り下さる事を願っています』
(了解だ!! 天津 恒、ゲイル・バインダー、出る!!)

 もしかしたら、初出動で緊張する自分の力を抜かせる為の、彼なりのジョークだったのかもしれないな、等と考えながら、射出された恒は、まだ視界に捉えられぬエイリアンを睨み付けたのだった。
安価・お題で短編小説を書こう!8
34 :この名無しがすごい![sage]:2020/04/05(日) 23:32:53.94 ID:1dJ33h6X
>>11
本当に怖いストーカー被害ですね
相手の心情をおもんばかる訳でもなく
身勝手な想いを一方的に押し付けるのは愛情でも何でもないですよね

>>16
例え、どれ程憎いと思っていたところで
実際に手を出してしまったらアウトですね
ソレをした時、その後どんな事に成るか、想像できないのは痛ましい事です


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