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18 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 08:50:01.51 ID:e1cFdxSm - ソイやソイや
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19 :この名無しがすごい![]:2016/02/11(木) 10:46:35.98 ID:e1cFdxSm - age
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127 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 10:55:02.67 ID:e1cFdxSm - 玲一と亜門はあーでもないこーでもないと言いながら、真冬だというのに汗をボトボトと落としつつ火を起こしていた。
雛子が希望していた熊野古道を観光した鷹山一家だったが、サーフィン休暇でこちらに来ていた葛西夫婦と南紀のキャンプ場で合流した。 「玲一君のパワーを持ってしてもだめか」 「いや亜門はん、これ力関係ないんちゃいますか」 「いや、押し付ける力が強いほど摩擦係数が上がるはずだ」 バーベキューセットの回りでいらつく女性陣のプレッシャーを感じながら必死で板に棒を押し付けてきりもみさせている。 「お、ちょっと煙出てきた、がんばれ玲一くん」 「そぉりゃあああああ」 玲一が一気に手を揉み合せると、ついにブワっと煙が上がった。 「よしここに火種落として」 木の繊維を丸めたものを差し出すと、玲一が黒く煤けた粉を落とす。そして亜門が腕を大回転させた。ぼっと火がついて顔を浮き立たせた二人は、設営されたバーベキュー場所に振り返った。 美世がスポーツグラスをかけてボンベを背負い、二つハンドルのついたバーナーで火炎放射をしている。 「そこのキミー!」 亜門の声に気がついた美世が火を消し、直立してサングラスを取った。既に炭はパチパチと音をたてて真っ赤になっている。 「なんや」 「見てたでしょ、僕達頑張ってんの」 「グダグダしてんのは見た」 「グダグダ言うな!」 玲一が亜門の頭上からビシっと指をさした。 「男のロマンを台無しにすなや!」 「ほな男のロマンもここ入れろや」 美世はパチパチと燃え盛るコンロを指差した。 「いまさら無駄やろ!」 「ほな最初から無駄な事すな」 「あんたのせいや!」 亜門がイライラしたように人さし指をトントンと振りながら美世の前に進み出た。 「アウトドアの醍醐味を味わいにきたんでしょうが、わかってないなー」 二人がじっと睨み合っていると茜が美世の横に行き、腕に掴まった。雛子も反対側から腕に掴まった。 「お腹すいた」 声を合わせた二人にがっくりとうな垂れた亜門を見て、我関せずでディレクターズチェアに座っていた鷹山と泰蔵が噴出した。 日が暮れてバーベキューも終わり、一つのロッジに集まって飲みながら歓談していた。そこで顔を寄せ合いながら悪い笑顔を浮かべる二人がいる。 「いいかい玲一君、関西のサーファー仲間に聞いた話だが、この近くに有名な心霊スポットがあるらしい」 「ほんまでっか」 二人は何も言わずとも心は一つだった。二人は目だけを動かして、笑いながら歓談している美世を見た。 「ふっふっふ」 夜半過ぎ。 「でででで出たー!」 キャンプ場の真ん中付近から聞こえた声に皆目が覚めてロッジのドアを開けた。地面にへたりこんだ亜門と玲一が大きく肩で息をしている。二人とも何故か背中にリュックサック。 それぞれロッジの階段を下りて二人の周りに集まった。美世が怪訝そうに言う。 「こんな夜中に何しててん」 「い、いやそれが」 言葉を詰まらせた玲一を庇うように亜門が言う。 「いや、ちょっと寝られないから散歩にでもって、そしたら玲一君も同じみたいで」 「その荷物なんなん?」 「い、いやこれはお茶とかタオルとか」 もちろん美世を驚かせるためのびっくりグッズだ。前もって仕掛けておいて美世を恐怖のどん底に落とす計画だったのだ。 「眠れんかったて、わりと本気の散歩やん」 「とにかくそれはいいから、出たんだよ」 「何が?」 「お化けが!」 美世の頬が一瞬ぴくりとしたが、溜息をついて言った。 「しょーもない、おるわけないやん」 「いやだからほんとだって!」 「姉ちゃんほんまや、あれはあかんやつやった」 「ケッタイなやっちゃらやなぁ」 「私見たい!」 場違いに元気よく言ったのは雛子だった。 「姉さんまで、どうせ柳の木かなんかやで」
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128 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 10:58:10.23 ID:e1cFdxSm - 「廃屋の中なんだよ!」
亜門は興味本位だったなどと適当に理由をつけて経緯を話した。どうやら廃屋の廊下を進んだ一室で、人でありながら人でない物を見たようだ。雛子がわくわくした様子で言う。 「怖い話好きなんだけど私ってまるで霊感がなくて、でも友達に霊感強い子がいてしょっちゅう見るっていうから見せてもらいに行ったら、今日は居ないってそんなのばっかり」 「そら姉さん騙されてんで、考えたらわかるやろ」 「じゃあ玲一君と店長も私に嘘言ってんの?」 「そらぁ、嘘というか見間違いやろ」 亜門と玲一が強い口調で断固否定した。 「ぜったい違う!」 「姉ちゃん、見間違いとかそういうレベルやないねんて、見たらわかるわ」 「ねえ美世ちゃん、見に行こうよ明日」 「そらぁ、それで姉さんが納得するんならええけど、でもどうせおらんで」 次の日の日没後。 鷹山と茜はハナから信じていなかった。二人で残って部屋飲みするとのこと、あまり気の進まない亜門と玲一と、お化けより人の反応が気になる泰蔵が揃う中 美世がしきりに時計を見ていた。泰蔵が言う。 「姉ちゃん何してんねや、さっさと行こうや」 「もうちょっとや、あ、来た」 見ると、常夜灯が並ぶキャンプ場の通路を真っ黒のリムジンが走ってきて目の前で止まった。 「誰や」 「お化けなんぞいっこも怖ないし、怖いんは生きてる人間て相場が決まっとる、まあ、うちは信じてないけど姉さんになんぞあったらあかん、念のためや」 運転手が降りて後部座席を開き、雪駄を履いた白足袋の足がにゅっと出てきた。降り立ったのは冠が高く、立派な袈裟をかけた高僧だった。 「びびりすぎやろ!」 玲一がビシっと美世を指を差した。 「紹介する、お山から来てくれはった観念さんっていうおじゅっさんや」 「じゅっさん言うな!高野山から呼んどいて!」 「比叡山は姉さんが恨んでるから高野山から読んでん」 「そこ違う!いやその前に恨んでるの?!」 「恨んでないよ!」 美世が和尚に帯封3本はありそうな封筒を渡して言った。 「まあどうせガセやし散歩がてら気楽に行きまひょか」 「どう見ても必死のパッチやんけ!」 一行は件の古いお屋敷の前に立った。平屋作りで左右に低く広がった屋根がいかにも没落した旧家のようで雰囲気がある。立ち入り禁止と書いた屋門の大扉は蝶番が壊れて一つは 地面に落ちてしまい、一つは傾いている。観念がしげしげと様子を見ていう。 「ふむ、特に邪気はおまへんなぁ」 及び腰の亜門と玲一に比べ、美世は観念の後ろで顎をしゃくりあげてニヤニヤしている。絵面的には番長に従う子分だ。雛子は興味津々に期待の表情をしている。 泰蔵は腕を組んでリラックスし、何か面白い事にならないかと人々を観察していた。 一行は足を進めて開きっぱなしになった立派な土間の玄関に足を踏み入れた。すえた臭いが鼻を突いて、懐中電灯であたりを照らすとうち捨てられた木製の指物や家具が埃を 被っている。観念が奥に進んだが、回りを立体的に見回してまた言った。 「特に何もないようですなぁ」 玲一が言う。 「おかしいなぁ、昨日はもうここであかん空気が満タンやってんけどなぁ」 観念がかまちに足をかけた時に雛子の電話が鳴って玲一と亜門が飛び上がった。 「あ、ごめん、大学からだわ、先行ってて」 そういって玄関から出ると、何か話し始めた。観念に続き次々と廊下に上がり、最後に泰蔵が上がった時だった。 「あれ?」 「どないした泰蔵」 玲一が振り返って懐中電灯を胸の所に当てて泰蔵の顔を伺うと、眉間に皺を寄せて硬直している。 すると観念も何かの気配を感じて立ち止まった。美世は既に腕を抱え込んでさすっている。その次の瞬間全員が感じた。回りの温度が一気に下がり、鉛のような空気に変わった。 「き、きききききた、これやぁー」
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129 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 10:59:03.24 ID:e1cFdxSm - 観念がジャラリと数珠を翻して手を合わせ、ブツブツと何か唱え始めた。そして迷う事なく足を進めると、一つの部屋の前で立ち止まった。障子は開け放たれている。
「間違いない、あそこや、和尚はんにはわかってはるんや」 恐る恐る全員が続き、迷いなく部屋に足を踏み入れた観念に付き従った。お経のトーンがだんだん上がってきて最後には大声で怒鳴るようになったが、重圧に耐えるように読経を止めた観念が言った。 「くぅっ、なんたる怨念!」 そう言った瞬間一斉に懐中電灯が消えて一同は顔面蒼白になった。その時畳の上に黒いシミができた。真っ暗な部屋の中で何故か全員がそれを認識した。そのシミがドーム状に膨らみ ズズズズと人の頭のような何かがせり上がってきた。ザンバラの長髪に顔には梵字の書かれた札が隙間無く貼られ、目の部分には目隠しのように一枚の札が貼られている。ボウっと青白く光るそれが 足まで出現した。ボロボロの遍路のような格好をしたそれに向かって観念が読経を再開して数珠を振るう。 「オ オ オ オ オ オ 」 谷底から響いてくるような唸り声が聞こえてきて強風が吹き荒れる。観念の袈裟がバタバタとなびく。もはや言葉を発する事もできない一行は半分白目になっていた。 「かっーーーー!」 観念が叫んだ瞬間ピタリと音と風が止んだ。化け物に変化は無い。一同はゴクリと唾を飲んだ。 「うけっ」 不気味な声に観念の真後ろに隠れていた美世は少し顔を出して化け物を見た。 「うけっうけっうけけけけ」 声は美世の頭上から聞こえてくる。はっと気づいて観念の腕を引いてこちらを向けさせると、だらしない歓喜の表情になって笑っている。そのまま観念はひょこひょこと歩きだし、出口に向かってドタドタと走り出してしまった。 「うけけけけけけけけ」 観念の後ろ姿を見守ってしばし硬直していた美世がくるっと化け物を見た。しばらく何の動きも無かった化物が突然すーっと美世に向かって平行移動してきた。 「ぴぃやあああああああ!」 「姉ちゃん逃げろや!」 そうは言われても足がすくんで動けない美世は目の前に迫った化け物の頭をバシっと叩いた。 「シバいた!」 化け物が体を半回転捻りながら片膝をついた。 「効いた!」 「なんかぬるっとした!」 「その前に触れたらあかんやろ!」 化け物がまたズズズズと音を立てそうな雰囲気で立ち上がってきて美世の鼻先まで迫った。表情はわからないが激しく怒っているのは明らかだった。 「も…もううち…あかん、おま、おま、おまら…にげ、にげ、にげや…」 その時突然化け物がぴくりとして動きを止めたが、美世は硬く目を瞑って死を覚悟した。 「ヴ ヴ ヴ」 不気味な唸り声に美世が目をあけるとドアップの化け物の顔がカタカタと揺れている。 「ヴヴヴヴヴヴヴォーーー!」 「ぎゃあああああああ」 何か突然叫び始めた化け物に美世が思わず地面にしゃがみこんだ次の瞬間、化け物はパンと弾けるように飛散して霧のように消えてしまった。周りの空気がふっと軽くなって 皆がきょろきょろと辺りを見渡した。 「ここなの?」 雛子がひょっこりと顔を出した。 「よかった、先に行ってと言ったけど、よく考えたら一人で歩くの超怖いね、観念さんはなんかバカウケしながら帰っていったけど、やっぱりガセだったの?」 しゃがみこんで頭を抱えていた美世が脱兎の如く雛子に飛びついてわんわんと泣き始めた。 「ちょっと、どうしたの?」 「お化け、お化けがぁ」 「またまたー」 「いや、ほんま、ほんまやて姉さん、ごっつい怖かってんから、あれはヒクソングレイシーでも泣く」 ロッジに帰って落ち着いた美世が必死で語るが、不満そうな顔の雛子が反論する。 「だって居なかったじゃん、玄関のとこ居たけどそんな声聞こえなかったし、美世ちゃんまで私を担いで笑いものにするの?」 美世が真剣な顔になって雛子をじっと見た。 「うちが姉さんにそんな事するわけないやろ」 「じゃあ何?お化けはいたけど私が行ったら居なくなったって事?」 「そや!」 その時一同があれっという表情になった。 「もういいよ、人の事バカにして」 「ね、姉さんは霊感無いんやなしに霊力が強すぎるんちゃうん」 「お化けからダウン取った姉ちゃんも大概やけどな」 「そらうちは姉さんのお守りを肌身離さず持ってるもん」 その時美世がはっとした。 「姉さん、うちと組んで商売せえへんか」 勘のいい泰蔵が突っ込んだ。 「やめとけや、宗教みたいになってまうで」 「そんなんちゃう、ただのお悩み相談とグッズ販売や」 「宗教やんけ!」
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130 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 11:00:19.94 ID:e1cFdxSm - しばらく書いてないのでサラっと書いたネタ話です。
適当に評価してくださいw
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521 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 11:32:09.91 ID:e1cFdxSm - >>519
釘バットの役目は威圧によって争いを避ける事ですよ あと、本気でやりあう事になった際には 衣服を絡め取って押さえつける事ができる平和な武器です
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523 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 12:56:42.74 ID:e1cFdxSm - >>522
武器にはなるが有能ではないな たとえば素手の剣道家が射程圏外でぴたっと止まった状態で対峙するとしよう 先の方が重いバットを振り上げて振り下ろすのには時間がかかる 振り上げた途端に踏み込まれてアウト 突いたら突いたで払われてアウト 素人同士のグダグダの喧嘩で有利になる程度
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- 底辺卒業作者が傷を舐め合うスレ [無断転載禁止]©2ch.net
528 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 14:55:10.07 ID:e1cFdxSm - http://ncode.syosetu.com/n8807dc/
底辺スレで相手にされませんでした。 よろしくお願いします。 👀 Rock54: Caution(BBR-MD5:0be20a4887bc3d3353f527d3636c44e3)
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- 【本好きの下剋上】 香月美夜総合スレ 258冊目 [無断転載禁止]©2ch.net
61 :この名無しがすごい![sage]:2016/02/11(木) 16:30:46.94 ID:e1cFdxSm - 実は転移陣設置許可事態はガブリエーレ時代に承認されて設置されたけど色々あって忘れ去られた説
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