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774RR
CD125T 二十三台目

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CD125T 二十三台目
626 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 16:33:03 ID:lW9jNc2a

龍神の話で似た様な事を経験したことがある。

2年前の11月、橋本市にある、友人の職場を訪ねた。
用が済み、早々に帰ろうとしたが、友人が定時で仕事を終わるので食事をしようと誘ってきた。
すぐに帰る予定だったので迷ったが、ひさしぶりの再会ということもあり了解した。

自宅は田辺市にあり、最短ルートで帰るには龍神スカイラインを通る必要がある。
来るときはもちろんそこを通ってきたし、バイクで走るには最高の道だ。
しかし、暗くなると様相は一変する。 あたりは真っ暗になり気温も5℃以下になる。

食事が終わり、ファミレスの前で友人と別れた。
さあ、どうしようか・・和歌山市まで出て高速で帰るか、それとも来た道を戻るか・・
用が済み次第、帰る予定だったので、トレーナーに春用のジャケットという格好だ。
高速はずっと寒さに震えながら1時間以上走ることになる。
しかも、その高速に乗るには渋滞の一般道を1時間以上走る必要がある。
どうせ寒いのは一緒だ、距離の近い方から帰るか・・・
龍神スカイライン入り口あたりに着いた時には、PM 7:00を少し過ぎていた。

CD125T 二十三台目
627 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 16:34:04 ID:lW9jNc2a
辺りは想像以上に真っ暗だった。 ネイキッドバイクの1灯ヘッドランプでは、コーナー出口が見えない。
60km/h程の速度で慎重に走る。 この速度ならクリアできないコーナーはここにはない。
対向する車もまったくなく、道沿いに明かりもない。時々街灯があるだけだ。

寒さに震えながら、10分ほど走っただろうか。 
ジャケットの襟元をきっちり閉めようと、道路左側の少し広くなっている場所にバイクを止めた。
タバコを一服しようかとも考えたが、辺りのあまりの暗さに、早々に走りだそうと何気なく右肩越しに
振り向いた。  ・・・50mいや、100mか、暗さで距離感がつかめない。 何かいる。
路肩に黒いかたまりがある。 だが、形さえはっきりしない。 辺りは真っ暗だ。
バイザーを上げ、目をこらす。 ん、バイクか? ブレーキランプの灯りでかすかにシルエットが浮かぶ。
確かにライダーが跨っているようだ。 しかし、さっきは全く気がつかなかった。
ということは、同じように走ってきて後から止まったのか? いやそれならヘッドランプの灯りに気づくはず。
少し気味が悪くなり、すぐに走り出す。 後から追ってくるような気がして、何度もミラーを確認する。
・・・何も後ろからくる様子はない。 シルエットからは、カウルの付いた大型車のように見えた。
隼かZZRみたいな感じか。 何だったんだ、一体・・。 そんなことを考えながらしばらく走る。

左に食事処が見えてきた。 さすがに閉まってるな・・そうつぶやき隣にある駐車場に目が行った。
・・・バイクに跨ったライダーがいた。 正確には、道の左側に店があり、その向かって右に道に沿って
駐車場がある。 その最先端、どちらかというともう道という場所にそのバイクはいた。
真っ黒だ。 ライトも点いていない。 しかし、黒づくめのライダーが跨っている。
そのまま目を離せずに、横を通過する。 全く動かない。 こちらを見る様子もない。
おかしい・・あきらかに普通の反応じゃない。 人ではないのか?
その考えが頭をよぎった瞬間、猛烈な恐怖感が襲ってきた。
逃げないと・・ 無我夢中で加速する。
CD125T 二十三台目
628 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 16:52:45 ID:lW9jNc2a
寒さなのか、恐怖からなのか、体の震えが止まらない。 必死でタンクを膝で押さえつける。
無我夢中で2、3のコーナーを抜け、ミラーを確認する。 何も来る様子はない。
そのままスピードを緩めることなく走り続け、どのくらい走っただろうか、暗闇の中に展望台が見えた。
フルブレーキで駐車場に滑り込む。 当然だが、駐車場には誰もいない。
無人の駐車場を、展望台に近い場所まで進み、バイクを止めた。
展望台の下にある売店も真っ暗で、公衆電話と自動販売機のある周辺のみほの明るい。
ヘルメットを脱ぎ、タバコを一服し、ホットコーヒーを飲んでいるうちに少しずつ落ち着いてきた。
 さっきのがもしこの世の者じゃなかったとしても、直接なにかするわけじゃないよな。
 むしろこういう場合、よくある話だとオーバースピードで自爆ってパターンじゃないか。
 落ち着け、落ち着け・・そうだ、万が一転倒しても怪我しないスピードで走ろう。
CD125T 二十三台目
630 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 17:14:30 ID:lW9jNc2a
コーヒーを飲み終わり、2本目のタバコを吸いながらバイクをなんとなく見ていると、ヘッド
ライトの灯りが駐車場に入ってきた。 車だ。 
年配の男性が降りてこちらに向かってくる。 小柄で温和そうな人だ。
こんばんは。 挨拶を交わす。 こんな時間にこんな場所で2人きりなんだから、当然だ。
トイレから出てきた男性が話しかけてきた。
 バイクは寒いでしょう。この時期でも凍結することがあるからゆっくり走ったほうがいいですよ。
2,3分たわいのない会話をして男性は去っていった。
車が走り去って少しして気づいた。 あ、後ろについて行ったらよかったな。 ・・まだ追いつけるだろ。
CD125T 二十三台目
632 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 17:36:54 ID:lW9jNc2a
タバコを消し、ヘルメットを被る。 シートの上に置いたグローブを取り、ふと前を見た時、
心臓を掴まれたような衝撃が襲った。 200m程先、駐車場の最も山側に黒いシルエット
が浮かんでいる。バイクだ。もう疑う余地はない。実際に走ってきたはずはない。
音もなく、ライトの灯りもなく、彼はそこに来ていた。 追ってきたのか? それとも?
再び恐怖に襲われたが、さっき走っていた時よりはいくらか落ち着いている。
 こういう場合エンジンがかからないってのが定番だよな。
そんな事を考えながらセルボタンを押す。 
エンジンはあっけなく始動した。 そのまま威嚇するようにレーシングし、ヘッドライトを
彼の方に向ける。 いない!? 
彼は消えていた。 
 まあ、ちゃんと見ようとしたときはもういないってのも定番だよな。
さあ、どうするか・・さっきの車に追いつくペースか、こけても怪我しないペースか・・
そんなことを考え、後ろを気にしながらも、展望台駐車場を後にした。
CD125T 二十三台目
634 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 17:57:41 ID:lW9jNc2a
駐車場から田辺方向に向かうと、下りのワインディングが続く。
コーナーの先が全く見えない為、ペースを上げることが出来ない。
ギクシャクして、変なところでブレーキングしてしまう。
 だめだ、全く乗れてない・・ 追いつくどころじゃないな。
ペースをさらに落とし、40kmほどで慎重に走る。
 それにしても暗すぎるだろ・・全くなんにもみえねえよ・・ そんなことを呟きながら走っていると、
「フォォォーン・・・・、オォォォー」 自分のではないバイクの音だ。 遠くから聞こえてくる。
前後にライトの明かりは見えない。 確認する為にクラッチを切り、回転を落とす。
「・・・オォォォーン」 確かに聞こえてきた。 対向か、後ろからか、姿を探すが見えない。
CD125T 二十三台目
636 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 18:40:15 ID:lW9jNc2a
この時、このエンジン音の主に対して、さっきの黒いバイクという考えは不思議となかった。
実際に誰かが、自分と同じく寒い思いをしながら走っているんだなとしか考えなかった。
後ろから来ているのなら一緒に走れるな・・待とうか。  路肩に停車し、だがスタンドは出さずに、
すぐに走り出せる状態でしばらく待ってみた。 遠くでエンジン音が聞こえている。
4サイクル・・排気量はそんなに大きくなさそうだ・・ 体をひねって後ろを注視しつづけた。
・・こないな。 っていうか、エンジン音が近づいてこない・・・ 
まるで、さっきの駐車場をぐるぐる回っているような・・・
CD125T 二十三台目
637 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 18:55:33 ID:lW9jNc2a
バイザーを上げ、音に全神経を集中する。
シフトアップ、ダウン・・間違いなくバイクの音だ。 しかも高回転まで回している。
しかし、一向に近づいてこない。 さっきの駐車場からは約10KMくらいだ。十分音は聞こえる・・・
そこまで考えて、凍りついた。 黒いバイクか! 駐車場を回っているんだ! なぜ? 何か、誰かを探して?!

だめだ、早くここを離れないと! バイクをスタートさせ、無我夢中で走る。
高回転まで回すとエンジン音で気付かれるかもしれない・・・ 早め早めにシフトアップする。
 来るな、来てもなんにもいいことないぞ・・霊感なんかないからな・・
そんなことをヘルメットの中で呟きながら必死で走る。
CD125T 二十三台目
638 :774RR[sage]:2008/11/27(木) 19:06:44 ID:lW9jNc2a
しばらく走り続け、道の駅龍神に着いた。 駐車場に入ると、何人かいる。 体中の力が抜け、
思わず座り込んだ。

そこからは民家を増えてきて交通量もある。 その夜は無事に帰りつくことができた。
その後、職場で龍神出身の人から聞いた話だが、黒いバイクを見たという話はよく聞くらしい。
そして、その前後に必ず死亡事故が起こっているとのこと。
事実、この体験をした時期に、ライダーが1人事故で亡くなったそうだ。

これは本当の体験談ですが、時系列は合っていても、実際の時間はもう少し遅かったかもしれません。
バイクに乗っていると時計を見ることが少ないもので、確かこのくらいだったようなという時間です。
長文失礼いたしました。


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