- バイクにまつわる恋愛話 26th
913 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 14:24:10 ID:/maZHEux - 好きな人に好きだと何故素直に言えなかったのかと、今でもたまにフっと思う相手がいる。
バイクに到達するまで長いですが、大丈夫でしょうか?
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916 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 15:16:50 ID:/maZHEux - ではお言葉に甘えて、よろしくです。
読みにくかったり、駄文&長文で嫌気がさしたらごめんなさい。最初に謝っておきます。 当時中学2年だった私。 相手の子は1つ下のT。 私の親は離婚・再婚を何度も繰り返し、そのせいでとは言わないが私は荒れていた。 対してTの家は古くから建築業を営み、近所でも有名な厳格な家だった。 男子バレー部でマネージャーと補欠部員の関係だった私とT。 Tが新入部員として入ってきた時から、私の一方的な片思いが始まった。 毎日部活の時間が待ち遠しかった。 Tとは挨拶をする事をキッカケに、日常の会話ぐらいはできるまでに進展していた。 校舎の南と北に別れた教室の廊下に出て、友達としゃべるフリをしながらよくTを探した。 ある日私はTと同じ学年の、私のイトコに頼んでTの写真を手に入れてもらった。 その写真を私はベッドの横に置き、大事に大事にしていた。 でもこの写真の件で、イトコの友達から私がTの事を好きだと言う事が知れ渡ってしまった。 その日部活に行くと、同級生の部員が 「お前とTかー。お前でかすぎやしTはちっせーし、つり合わんやろ?」 と言ってきた。 私は当時162cm。でもTは155cmくらいだった。 それからは部活に行くと、私とTをわざと部室で2人にしてみたり 試合があるとベンチの隣同士でTと私を座らせるようにしたりと、 ちょっとしたからかいが始まった。 私は気が小さい。体は大きいけどとてもとても気が小さかった。 そして一度だけ、こんな状況の中でTと目があった事があった。 でもTはプイっとそっぽを向いたままこちらを一度も見る事はなかった。
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917 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 15:29:01 ID:/maZHEux - その日以降私はTと目を会わせる事も、会話する事も出来なくなり、Tへの思いを封じ込めた。
それからは同じ片親の友達と夜遊びを始めて、教室内でケンカしたり、学校をサボったり。。。 部活にはたまに行き、Tの姿を確認しては途中で帰ってきたりしていた。 先生からも親からも見放されていて、あまり小言を言われる事もなかった。 私が3年になり、Tも少し身長が伸びたようだった。 身長のせいでなかなかレギュラーにもなれずにいたT。 セッター向きでなくジャンプ力があるにも関わらず、いつも大会ではベンチを暖める役だった。 ある日、夏の大会に向けて他校との試合をする事になった。 その前日、私は先生に呼び出され 「明日大事な試合があるから、今日は部活にきてくれよな。 ボールの個数とかテーピングの補給とかいろいろして欲しい事があるんだ。」 と言われた。 「、、、わかりました。」
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918 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 15:43:45 ID:/maZHEux - 私がTの事を好きだとバレてから1年くらいがたっていた。
もう誰も私とTの事をはやし立てたり等しない。 その日は暑くて暑くて、一日中ダルダルになっていた。 夜7時頃、部活も終わりになり、部員たちがネットを片付け始めた。 私も部室でボールを磨いた後、袋詰め作業をしていた。 その時Tが部室にやってきた。 Tは無言で一緒に袋詰めを手伝い始めた。 お互いなんの会話もせず、もくもくとしなければいけない作業を続けていた。 気まずい空気の中、Tが突然話し掛けてきた。 「あんまり、、、部活こないね。」 Tに話し掛けられると思ってもいなかった私は、不自然にキョドりながら、 「え、、、あ、、、う、、、その、、い、忙しくて!」 精一杯答えようと思ったが、なんとも嘘くさい返答しか出来なかった。 「明日の試合には来る?」 行く気はなかったが、Tに行かないとは言えなかった。 私:「、、、うん、行くよ。」 T:「オレ明日、試合に出るんだ。」 私:「そっかー。レギュラー入りしたんだね。おめでとう!」 T:「うん、ありがとう。」 これだけの会話だった。 Tは私に話しかけてきたけど、私はTに心を開く事ができなかった。 怖くて怖くて、私が心を開けたのは唯一ベッドの横に置いてあるTの写真だけだった。 結局試合には行ったが、帰りのバスに一緒に乗るのが嫌で私は途中で抜け出し帰ってしまった。
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922 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 16:18:20 ID:/maZHEux - ご支援ありがとうございます。
女ですが、限りなく男っぽく振る舞っていました。 自分を守る術をしらなくて、弱い自分をさらけだす事ができなくて あの頃は常に男っぽく強くしていたらいいだろうなー、って安易に考えてました。 続きです。 それからしばらく相変わらずな日が続く。 部活にも行ったり行かなかったり。偶然廊下でTにバッタリあった時もある。 Tから気さくに声をかけてくるようになったが、常にマイナス思考な私は表面上は 気さくな受け答えが出来ても、もう少しを踏み込んでというとこまでにはいかなかった。 秋になり3年の私たちは修学旅行に行った。 周りの友達は好きな人にお土産を買うとかで妙なテンションで盛り上がっていた。 3年同志のカップルでは互いに土産物を交換して身に付けている人達もいた。 私もTに何かお土産を買っていこう。 漠然とそんな事を考えながらTへの土産物を探し始めた。 さんざん悩んだ挙げ句アルミ製のマグカップを2つ単品で買い、1つを包んでもらいTに渡す事にした。 部活の始まる少し前にTを呼び出し、体育館の裏で渡した。 Tは驚きながら、でも嬉しそうに「ありがとう!」と言って受け取ってくれた。 私とTと、実はお揃いのマグカップ。 一度も使う事もないまま今だに我が家のガラス棚に飾ってある。 私は隣の家のお兄さんの影響か、とてもバイクに乗りたかった。 今の自分を変えたいっていうのと、家から逃げ出したいっていうのとで バイクの免許を取るのはとても大事で必要な事なように思えた。 あとバイクの事を考えてる時は、Tの事を考えずに済むからかもしれない。
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925 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 17:09:23 ID:/maZHEux - 結局マグカップを渡したものの、Tに好きだという事も言えないまま卒業してしまった。
それから私は16になる前から自動車学校に通い、 16になった時には近所の板金屋で見つけたFZ250を買った。 バイクを手に入れてからは毎日毎晩バイクに乗りまくった。 いろんな知り合いができ、夜遊びどころか朝まで遊んだ。 家にはほとんど寝に帰るだけ。 早朝から深夜まで、とにかく乗れる時にバイクに乗っていた。 私が16歳の秋。 その日は珍しく私の家には誰もいなかったので、しばらく家でテレビを見ようと横になっていた。 すると玄関のチャイムがなった。 面倒くさいし、出ないでおこうと思っていたら、しばらく間をおいてもう一度チャイムがなった。 さっきの奴がしばらく考えてもう一度チャイムを鳴らしたのかと思ったら なんか妙に可哀想に思えて、重い腰をあげて玄関を開けた。 そこにはTがいた。 私:「えっ?! ???あれ?、、、なんで???」 T:「いや、あの、、前通ったらバイク止まってたし、いるみたいだから。。。」
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928 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 17:25:36 ID:/maZHEux - 1年ぶりぐらいのTは相変わらずカッコいいままだった。また少し身長が伸びたようだ。
私ときたら休日の昼間で干物と化していた。Tシャツにジャージ姿。頭もボサボサだし、、、 多分Tから見たら、目も飛び出してるだろうし、フリーズしていかにも不様な姿だったろう。 「ちょ、、ちょっと待ってて!」 私は家の中にすっ飛んで行くと、頭を整え服を着替えようとした。 服、、、服、、、ふく、、ふくがないーーーー!あれもこれもバイク用ばっかぢゃんかーー!! かなり慌てふためいて、とりあえず、自分の持っている服の中ではまだまともなTシャツとGパンを着た。 5分くらいTを玄関先に待たせたまま、大慌てで用意をした。 玄関を開けるとTがいた。 ほんとにTだ。ますますカッコよくなってる。。。 私:「ごめん。待たせて。」 T:「ううん、そんな事ないよ。」 、、、やっぱり会話が成り立たない。 私は相変わらず人付き合いがヘタなままの気が小さい女だ。 ましてやTに何を話す? 共通点がひとっっっつも見つからなかった。 しばらく沈黙していた。 すると突然Tは自分の自転車に走り出し、カゴから何か取り出して持ってきた。 私の顔の前にその箱を突き出すとTは言った。
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932 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 17:35:47 ID:/maZHEux - T:「コレ。お土産。」
私:「お土産??」 T:「オレこの前、修学旅行だったんだ。去年お土産くれただろ?」 私:「うん。、、、でも、、、そんな前の事だし。」 T:「いいんだ。ハイ!」 Tは私にその箱を渡すと、「じゃ!また!!」と言って最高の笑顔を私にくれると自転車に乗って帰って行った。 「ありがとーー!!!」私もできる限りの好印象の笑顔を返すと手をブンブン回してバイバイした。 家に入ってからお土産を開けてみると、かわいいかわいいピンクの陶器の灰皿だった。 「ぷっ!」 思わず吹出してしまった。 確かに荒れまくってるけどさ、灰皿って何さ!普通16の女の子に渡すもんじゃないっしょ! おかしくておかしくて、あまりのかわいらしさに使う気なれなかった。 これもまた、一度も使う事もないまま今だに我が家のガラス棚に飾ってある。 それから次ぎの週の休日、なんとなくだけど私はどこへも出かけず家にいた。 家の中には私がいる事で不機嫌な4度目の継母と、娘をうとましく思っている父親。 この家の中では私の存在はタブーだった。 娘である私に一切の感心もみせない父親と、一言でも気に入らない事をいうとキレて暴力を振るう継母。 だけど私は家にいた。 長い時間のようでもあり、苦痛だけど楽しくもある、、、そんな時間だった。
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933 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 17:44:24 ID:/maZHEux - 玄関のチャイムが鳴った。
今度は大した服じゃないけど、外には出かけられる服で私は臆する事なく玄関を開けた。 Tだった。 T:「こんにちは」 私:「こんにちは」 二人して約束もしてないのに、なんとなく会う事が決まっていたかのような挨拶だった。 でもTも何を話していいのか分らない様子だった。そして私もまた何を話していいか分らなかった。 その時家の奥から足音が聞こえてきたので、私は慌てて戸をしめて外に出た。 私:「少し歩こうか?」 T:「うん」 しばらくの沈黙のあと、Tが聞いてきた。 T:「お土産、、、気に入ってくれた?」 私:「はは、うん。」 T:「良かった。」 私:「いや、でもアレはないと思うよ。」 T:「え?じゃタバコ吸わないの?」 私:「いや、、、吸います。、、、でも勿体無くて、、、使えないかな。」 二人で笑いながら歩いて、近くの神社に行った。 神社の裏に二人で座り込み、2時間ほど沈黙を交えながらいろんな会話をした。
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934 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 18:02:37 ID:/maZHEux - ふとTが言った。
T:「あ、、、もう結構時間たったよね?」 私:「多分ね。でもそんなに時間たってないように感じるよね。」 私は笑いながら言ったが、だがTは少し曇った顔だった。 T:「うーん。オレ帰らなきゃ。」 私:「あ、そうなの?」 T:「うんごめん。オレんち、、、厳しいから。」 私:「ふーん。そっかー。じゃ帰ろうか。」 今思うと、Tは学校の事や妹の事などを話してくれたが、父親と母親の事は一切話さなかった。 私も人に話しのできる家庭じゃないから何も言わなかったけど、、、。 Tと私は帰ると決まった時からまた沈黙になってしまった。 ゆっくりと歩きながら私の家に着くとTは言った。 「また会いに来てもいいかな?」と。 私は「うん、いいよ。」と答えた。 Tはそれを聞くとニコっと笑って自転車で帰っていった。 なんだか心があったかい。 人に必要とされたり、大事に思われたり、とっても心があったかくなった。 でもTがうちに来てくれないと私とTは会えない。 また私が家に居られる時間も極めて少ない。 私はTの家も、電話番号も知らない。 一度電話帳で調べたけど、田舎なので、隣近所がみな同じ名字で結局どの家か分らなかった。 バイクで行くには怪しすぎる田舎の小さい部落。 第一Tが私に電話番号を教えないのなら、かけてもらいたくないのだろうと思い、 また私も自分の家の電話など使いたくなかったからTと同じく電話番号を聞く事もしなかった。
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936 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 18:11:43 ID:/maZHEux - それから私は少しマジメに家にいる事にした。
夜は必ず出かけてたけど、自分の居場所のない家に居ようと心掛けた。 今度も休日にはTが来てくれるかもしれない。そんな事を考えながら2〜3日たった日の事。 夜の10時ごろ、、、窓に何かが当った。 虫? そう思って窓際に近づくと、ついたり消えたりしている電灯の下でTが大きく両手を振っていた。 私はTに合図を送るとバイクのキーとメット2つを持ってすぐ外に出た。 私:「どうしたの?こんな夜遅くに!」 T:「いや、その夜だし家を抜けだせたからきてみたんだ。」 私:「大丈夫なの?そんな事して、まずくない?」 T:「平気平気。もうみんな寝ちゃったからバレないって。」 私:「ほんと?」 T:「うん!」 私:「じゃぁちょっとだけ話ししたら、送っていこうか?」 T:「えっオレ自転車だからいいよ。WWW」 私:「そっか。そうだったね。」 T:「何?バイクに乗せてくれるつもりだったの?」 私:「うん、まぁね。」 T:「やった。じゃちょっと乗せてくれる?」 私とTは夜の道をバイクでタンデムしながら海まで走った。 Tは後ろで「すっげー!バイクって気持ちいいなー!」って感動してた。 私はTに「気持ちいいでしょー!しっかりつかまっててよー!」って言いながら 多分めちゃくちゃニタつきながら運転していた。 15分も走ると海に着いた。 Tと私はしばらく海で座り込んで話していた。 もう秋、肌寒いし、受験だし、あんまり長くは私が気になって話しは出来なかったけど、 Tは自分の進路の事を迷っているらしく、なんの相談にも乗れない私に愚痴をこぼしてた。
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937 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 18:22:07 ID:/maZHEux - この日を境にTは夜になると受験勉強そっちのけで2〜3日に一度は私に会いにくるようになった。
嬉しくもあり、なんとも複雑な心境だった。 そんな事が1ケ月も続いたある日。 バイクで出かけようとしていた私に、Tが聞いてきた。 T:「今日家に入れないかな?」 私:「え?」 T:「あ ダメならいいんだけど。」 私:「うーーーんと、、、いいけど、あんまりキレイじゃないよ?」 T:「いいんだ。オレちょっとカゼひいたみたいで、さすがに今夜はバイク無理だな。」 私:「うん、わかった。いいよ、でも静かにしててよね。うちの継母キレると怖いから。」 夜の10時頃に音を忍ばせて2階の自分の部屋にTを招き入れた。 せまい6畳、ベッドとコンポにタンス。 壁には自分が好きなアニメだった超人ロックのポスター貼ってあるし。 とてもとても、人を招き入れられるような部屋ではありませんが、、、。 いつも話しているTだったけど、なんか部屋に入れてしまうと妙に改まってしまって、、、 二人とも思いっきり沈黙してた。
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938 :FZ250乗り[sage]:2007/08/17(金) 18:33:28 ID:/maZHEux - とりあえず、小さいテレビもあったのでそれをつけて、ベッドに二人で座って会話もなく固まっていた。
するとTが小さく「あっ」と言った。 私:「どうしたの?」 T:「いや、その。。。なんでもない!」 私:「えーなになに?WWW」 T:「なんでもないよ」 私:「あ、トイレ?」 T:「ち、、ちがう!、、、コレ。」 Tはコレと言ってベッドの棚を指さした。 そこには私がイトコから手に入れてもらったあのTの写真。 しかもしかも、私は御丁寧にT以外の人物を排除すべく、Tだけを切り抜いて飾ってあった。 私はしまっっっった!!!!と思ったが、もうしどろもどろになって、何も言えず下を向いた。 T:「この写真だったんかー。恥ずかしいなー!」 私:「・・・。」 T:「オレ写りわりーし!WWW」 私:「・・・。」 私は顔をあげる事もできず、部屋にはテレビの音だけが響いていた。 涙が出そうだ。 もうTには帰ってもらおう。今日はもう顔を見られたくない。 長かったのか、短かったのか分らないしばらくの沈黙のあとだった。
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