- 棋〇B〇総合スレPart8
612 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:05:32.81 ID:ujm/BESt - 前々スレpart6の>>756-760に書いた『王子と貴公子』の後編を投下する前に、既に忘れ去ってる人も多そうだし過去スレ遡るのも面倒かと思うのであらすじから
前編は参毎道目線、後編は才たろう目線なのでお暇な方は遡ってみてください 2019年秋。 関西に遠征する度に才たろうと会っている参毎道。いつからか二人の間には甘酸っぱい雰囲気が流れている。 ある日、才たろうが「新しく考えた手料理を食べて欲しい」と参毎道を一人暮らしの自宅に招く。 とても美味しく出来上がった栄養バランスの整った料理の数々が実は夏頃体調を崩していた参毎道をみて大切な人が体調悪い時にどんなものを作りたいか考えて出来たレシピだ、大切な人は君だと参毎道に告白する才たろう。 「ずっと君を見ていて何かが辛そうだと思っていたけど、なんとなく何故か分かってしまってな。でも、誰が悪いわけでもないんだよなぁ〜それもまた君にとっては辛いんかなぁ」 「あの子すごく無邪気で君のこと誰よりも慕ってるもんなぁ……そんな様子を見ているうちに、このままでいるより俺が君を幸せにしたいって気持ちになったんや」 その才たろうの言葉に、自分があの幼馴染に長年片想いしていることを全て受け入れたうえで才たろうが告白してくれているのを悟る。 そして、これからのためにあの幼馴染とのことを語り出すのだった……。
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613 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:06:29.13 ID:ujm/BESt - 王子と貴公子〜後編〜
彼と会うたびにその細やかな気配りに感動する。いかにも騎士らしい凛々しく整った顔立ちなのに、人懐っこくて可愛らしい笑顔。 誰にでも優しく丁寧に接し、『同歩の参毎道』と呼ばれるほどの人当たりの良さと親しみやすさでファンから愛される存在でイベントにも解説にも引っ張りだこ。 まさに『貴公子』と呼ばれるに相応しい。それもただの貴公子ではなく、俺の好きな駒を巧みに操るからこその貴公子と呼ばれている。かっこええなぁ。そんな彼が今、俺の告白の返事をしようとしてくれている。 「腐女子や腐男子の皆さんはさ、俺とあいつのすごくいいストーリーを考えてくれるんだよね。『運命的で許嫁みたいな出会い』とか、『お似合いの幼馴染カップル』なんてさ。でも、現実は残酷なんだよね」 いつも通りの明るく爽やかな語り口だが、きっと本当は辛いはずだ。こうやって彼はいつも周りに気を遣う。そんなところも好きになった。 俺が何故告白するに至ったかを話したことでこんな辛いことを語らせてしまっているが、彼にとってはどんな答えを出すにしても必要なことなのだろう。しっかり受け止めよう。せめて、彼がどんな答えを出したとしても彼の辛さを和らげる存在でいられたら……。 「だってあいつ、女の子が好きなんだもん。いつも『ねぇタツ〜野木阪の黒石真衣さんにどうやったら会えるかな?彼女にしたい』なんてきいてくるんだよ。全然脈ナシだよね。才たろうくんの言う通りだよ。ほんとあいつ無邪気で、俺の気も知らないでさぁ……」 「参毎道くん……」
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614 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:08:46.97 ID:ujm/BESt - 「それならせめてライバルとして高め合っていけたら、なんて思っていたけどそれもあいつ長背さんとライバルとしての絆がどんどん育っていってさ……俺、そんなときにもCクラスからなかなか抜け出せなくてほんと何やってるんだろって」
俺はずっと不思議だった。なんで俺にとってこんなにも眩い存在である彼はこんな謙虚過ぎるほど謙虚なのかと。その答えは彼とほぼ同門のみんなと仲良くしている場で彼を見ているうちに分かってきた。 参毎道くん、鷹見くん、ユーキくん、俺の四人で食事をしていた時のことだ。自然と隣り合わせて座る幼馴染みの二人、自然とユーキくんの世話を焼く参毎道くん、そんな二人を見た鷹見くんの一言。 「ユーキはさぁ、つきあうなら参毎道みたいな気が利いて世話好きで優しい人じゃないと無理だね。参毎道タイプ以外とは絶対続かないよ〜こんなにずっとユーキみたいな天然な子に優しくしてくれる人なかなかいないよ?」 「ん〜そうねぇタツにはほんと昔からよくしてもらってるね。ありがとうタツ!あ〜タツが女の子だったらよかったのになぁ」 この時、参毎道くんが一瞬泣きそうな表情になっていたのがずっと胸に焼きついている。それでも瞬時に笑顔に切り替えて明るく言った。 「いやいや〜そんなのもう長いつきあいだから今更だよ!こちらこそいつもありがとうねユーキ」 今にして思えば、鷹見くんは参毎道くんの気持ちに気づいていてなんとかユーキくんとの仲をアシストしようと試みていたのだろう。だが当のユーキくんの恋愛対象は女性で……きっと参毎道くんは長いこといつもこうして気持ちを否定され続けてきたんだ。そして、そのたびに周りのためにこうして無理して笑顔になってきたんやろなぁ……。誰が悪いわけでもない仕方のないこと。だけど、それが一番辛い。 運命としか思えないような巡り合わせで出会った幼馴染み、切磋琢磨して同じ夢を叶えて同じ世界でプロになった二人、幼稚園児の頃から今までかけて築いた揺るぎない絆。そんな絶好の舞台を用意されてきたのに、男同士というだけで伝えることも出来ないまま否定される恋……。 決して彼自身を否定されたわけではないのに、長年想い続けるうちにそう感じるようになっていったのは想像に難くない。
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615 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:10:00.73 ID:ujm/BESt - 将〇でも苦しい時期が続いてきて、そんななかでユーキくんと長背くんのライバルとしての絆が深まるのもきっと大きな要因だったのだろう。将〇も恋もなかなか抜け出せない蟻地獄の中……。
参毎道くんは謙虚だけどそれだけじゃない。将〇も恋も思うようにいかずにずっと自信を失っているんだ。俺だったら絶対そんな思いさせないのに……! 「子供の頃からいつの間にか好きになっててさ、想い続けていてもいつかあいつを困らせるのは目に見えてるし、自分だってそんなのキツいし……でも、なかなか気持ちを手放せなくて……」 あ〜これはやっぱりどんなに辛くてもユーキくんのことを想い続けていくパターンやろか……それならそれで、俺はずっと君のことを想って見守っていたい……。 「でも、そんな時に才たろうくんとよく会うようになって、素敵な人だなって思うようなところ会うたびにいっぱい発見して、一緒にいて居心地よくて、なんだかホッとして……会えない時も気づいたら才たろうくんのことばかり考えるようになってて……えーっと……」 ……ん?こ、これは……もしかして……!?
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616 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:11:46.49 ID:ujm/BESt - 「だから、その……不束者ですが、よろしくお願いします……」
色白の綺麗な頬を赤らめて目を潤ませながら俺の目をまっすぐ見てそう言う参毎道くんに見とれたまま固まってしまったがすぐに我に返った。 「ほ、ほんまか……!めちゃくちゃ嬉しいんやけど……あぁよかったぁ!途中まで俺振られるんやろなと思っとったから余計心臓バクバクするほど嬉しいわぁ……」 「ご、ごめん!才たろうくん、俺がずっとあいつに片想いしてたの気づいてるようだったからまずそこちゃんと話す前におつきあいよろしくお願いしますって言ったら『え、あいつどうしたん?』って不安に思われるかなって……」 「俺のこと考えて辛い思い出話してくれたんやなぁ……ありがとうな」 「俺、ずっとあいつの幼馴染みに戻りたかったんだ。あいつを好きって感情を知る前の関係に…… だから、最初才たろうくん意識しだしたときに自分は本当に才たろうくんのこと好きなのか、あいつから逃げたいだけなのかわからなくなって…… でも、才たろうくんと何度も会ううちに、あー俺本当に才たろうくん好きなんだなって…… すっごい恥ずかしいんだけどさ、俺、あいつ以外に好きになったことないまま大人になっちゃって、ズルズル引きずって恋愛経験もないからそんなこともわからなくって……」 「それのどこが恥ずかしいんや……それだけ一人の人を一途に想ってたってことや。恥ずかしいどころか素敵なことや。参毎道くんのそんなところも俺はたまらなく愛おしい」 「才たろうくん……」
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617 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:13:16.51 ID:ujm/BESt - 「俺のこと好きになってくれてありがとうなぁ……絶対幸せにしたるからな……一緒に幸せになろうな」
「うん……俺の方こそ、好きになってくれて……ありがとう……」 参毎道くんの瞳から涙が零れる。その涙があまりにも綺麗で胸が締めつけられて、気づいたら椅子に腰かける参毎道くんを背中から抱きしめていた。振り返り俺の顔を覗き込む参毎道くんの瞳に吸い込まれるように唇を重ねた。 「ねぇ……これ、夢じゃないよね?」 「夢ちゃうわ……でも、夢ちゃうかって思うくらい幸せや」 「才たろうくん……あぁ、ドキドキしすぎて酔いが回ったかも……」 「それはあかんな。はよ寝とき」 立ち上がったもののふらつく参毎道くんの身体を抱き上げベッドに運ぶ。 「え、俺、才たろうくんにお姫様抱っこされてるじゃん……ねぇこれやっぱり夢じゃない?」 「もう、だから夢ちゃうってwここに水置いとくから飲んでな」 「ありがとう……才たろうくん、そんな細いのに俺をお姫様抱っこできるんだぁ……やっぱりタイトル取るような人は鍛えてるんだねぇ……すごい……」 「そんな鍛えられてるかわからんけど、参毎道くんがめっちゃ細身だからなんとか持ち上げられたわ」 「俺も栄養とって鍛えよう……順〇戦勝ち上がるには体力も大事だよね……」 眠そうな声でそんな話をしているうちに眠りについた参毎道くん。彼の寝顔を眺めながらいろんなことを考える。
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618 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:16:22.04 ID:ujm/BESt - 先程の涙の意味はなんだろう?きっと彼にきいても嬉し涙だと答えるだろう。でも、俺と付き合うということはあの幼馴染みのことをのことを断ち切ることでもあるわけで……。
20年以上想っていた人を振り切るのは容易なことではない。まして、今後遠距離恋愛になる俺より近くにいてこれからもたくさん会うであろう相手ならなおさら……。 俺と会えないうちに何かがあってまた彼に戻らないよう、彼の眠るベッドに潜り込んで身も心も自分のものに……いや、酔いが回ってる人にそんなん人としてあかんやん……!なんて感情が沸き起こり心の中で天使と悪魔が戦うなか…… 「んん……才たろうくぅん……」 参毎道くんが寝言で俺を呼ぶ声に一気に心臓の鼓動が速くなって頬も火照り、そんな自分に驚いて前もって敷いておいた布団に潜り込んだ。 もう、なんなん……?なんでこんな寝顔綺麗なん?寝言で俺の名前呼ぶとかなんなん?あかんわ、こんなん可愛すぎて胸が苦しいわ……。 焦ったらあかんいうことかなぁ。俺もベタ惚れすぎてまだまだそんな一気に関係深められそうもないってことでもあるなぁ……甘酸っぱい気持ちでいっぱいや。 彼のことを大切にして少しずつ進展させていこう。そして俺のことを時間をかけてもっともっと好きになってもらおう。彼がユーキくんとまた幼馴染みとして接していけるように。きっとそれが最善やな。
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619 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:18:18.08 ID:ujm/BESt - 朝目覚めたら、参毎道くんの顔が目の前にある。
「ん〜おはよう……昨夜けっこう酔いが回っとったようやけど具合大丈夫?」 「うん、おかげさまで。ありがとう」 「それならよかったわぁ……ん?どうしたん?」 「いや……昨夜のこと、夢じゃないんだなって……」 「ほんまやなぁ、なんか幸せすぎてふわふわして夢みたいやけど、夢ちゃうんやなぁ」 そんなやり取りをした途端に双方照れてしばし無言になり見つめ合い、しばらくして双方照れながら微笑み合う。 「……朝ごはん、何食べたい?」 「ん〜……才たろうくん作るものみんな美味しいから迷うなぁ。昨日みたいな感じいいなぁ」 「じゃ、あんな感じで何か作るわ」 「やったぁ〜ありがとう」 朝ごはんを食べながら他愛もない話。でも、今までと何かが違う。今までより落ち着くような、もっと甘酸っぱいような……。そんな時間を過ごすうちにあっという間に彼が東京に帰る時間になり駅まで送る。 「あ〜これからいわゆる遠距離恋愛かぁ。参毎道くんに会いたくなったり何かあったら飛んでいきたいわぁ」 「もう、そんなこと言って〜才たろうくん対〇たくさんあるんだから無理に来ちゃダメだよ?それで才たろうくん調子崩しちゃったらいやだし。俺もなかなか会えないの淋しいけど、会えない間に俺も才たろうくんみたいに強くなれるよう頑張らなきゃだし……ん?急に真顔だけどどうしたの才たろうくん?」
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620 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:19:31.49 ID:ujm/BESt - 「いや……俺のこと気遣ってくれるところや将〇に前向きなところに惚れ直しとった」
「もう〜才たろうくん……!そんなこと言われたら俺も惚れ直しちゃうじゃん……」 「ならもっと惚れ直して、惚れ直して」 「ふふふ、もう……」 「俺がもっと強くなったら惚れ直してくれるんかなぁ」 「だね。俺ももっと強くなったらまた才たろうくん惚れ直してくれる?」 「もちろんや。お互い頑張っていこうな」 「うん!ありがとう」 新幹線が発車する少し前。参毎道くんが思い詰めたような顔をしてる。 「才たろうくん、俺……」 「ん?」 「俺、これからずっと才たろうくんのこと好きだから。ずっと、才たろうくんだけだよ」 「……おぉ、あ、ありがとう……!」 「じゃ、また」 照れくさそうな笑顔で新幹線に揺られていく彼に手を振る。きっと彼は俺の嫉妬や不安を察してたんやな。だから安心させるためにこうやって……えぇ、なんやこれ……どんだけ惚れ直させる気やねん。俺も惚れ直させるしかないやん。 そんなふうに交際が始まって、2020年3月。今期の順〇戦が終わりお互いの結果が出た。 「才たろうくん、Aクラス入りおめでとう!」 「参毎道くんも昇級おめでとう!一度ドツボにハマると実力あっても抜けるの大変やからなぁ。ほんまおめでとうなぁ」 「才たろうくんがいてくれたからだよ。才たろうくんに追いつきたい、強くなりたいって励みになった」 「俺も参毎道くんの存在が励みになったわ。もっと強くなったら惚れ直してくれる言うてたから頑張ったわ」 「ふふ、実は俺も……惚れ直してくれた?」 「もちろんや。参毎道くんは?」 「もちろん!」
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621 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:21:42.36 ID:ujm/BESt - こうしてお互いを称えあえるようになる間に、ただでさえなかなか会えない二人がますます会えない事態が起きた。でも、連絡は取り合えるしオンライン会議ツールもある。
「こうやってオンライン会議できるもの考えてくれた人に感謝やなぁ。おかげで参毎道くんと実際には会えなくても顔見ながら話せて淋しさは半減や」 「俺も。また早く会えるようになりたいね。会えるようになったら、俺……」 「ん?」 「ううん、なんでもない」 「なんや、気になるわぁ〜」 「ん〜……今度会えたら、ギュッとしたいし、ギュッとして欲しいな……なんて」 「……」 「……才たろうくん?」 「いやぁ……あまりに可愛すぎて悶絶しとった」 「びっくりしたぁ!引かれたかと思ったじゃん!」 「引くわけないやん。俺だって毎日早く会ってギュッとしたいって思っとるんやから」 「さ、才たろうくん……」 「はよ会いたいなぁ」 「うん……あ〜!なんか恥ずかしくなってきた!またね!」 照れてオンラインを切る時の参毎道くんの真っ赤な笑顔に俺はひとり悶絶。 いつかまた直接会える日までこんなふうに何度も悶絶させられるんやろなぁ。 END
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622 :名無し名人[sage]:2021/01/02(土) 20:49:39.45 ID:ujm/BESt - 明けましておめでとう
コロナで仕事の体制大幅に変わってなかなか書き終わらず投下できず……その間ROMって癒されてたよ〜ありがとう 書いてる間に才たろう&参毎道カップルがイケメンなCM出るわ参毎道が才たろうのN〇K杯解説するわ供給豊富でありがたかったw 実は運営にもこのカップル推しいるのではなんて思ったりw N〇K杯は才たろうのこと雅と褒めてたのもよかった 「タイミングが合えば会うこともある」と話してたけど、あれ?前は連絡取り合って予定合わせるようなこと言ってたような……記憶違いかな? 妄想はかどるからあまり仲良くしてると歩〇子に見つかりお付き合いがバレるからということにしておこうw こんな世の中ですが萌えで乗り越えていきましょう 今年もよろしく
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