- 羽生善治は大山康晴を超えることができるのか? 22
550 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 00:05:05.63 ID:SYkYprwH - 「名人の譜・大山康晴 完結編」
https://shogipenclublog.com/blog/2020/04/21/ooyama-48/
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559 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 15:08:30.71 ID:SYkYprwH - 大山将棋はなぜ最強なのか@
「いま、(中盤までの力量が)同じ力量の人が十局を戦ったとする。 同等の力の人であれば十局のうち五局はすべり出しが有利に展開し、残る五局は作戦的に不利を背負うことになる。 そうした状況下で、なお七割台の勝率を維持するには、優勢な五局は確実に勝ち、残る五局のうちでも二局は逆転させて勝利をつかまねばならなくなってくる。」 大山康晴『勝負強さの人間学』 さて、優勢な将棋では勝ちを急ぐことはない 最短の最善手を指さなくとも確実に勝てばいい このことを大山は釣りに喩えて説いている ──釣った魚を逃してしまうことがあるが、逃した魚ほど大きいものだ それというのも大魚であればあるほど侮れない力があるからにほかならない 急いては事を仕損じる 泳がせて、魚が弱り、疲れるのを待って釣り上げるのがコツである では、劣勢なときはどうしたらよいのか ──挽回しようと勝負手を放つことを考えてはいけない 現状の悪さを冷静に見極め、それ以上に悪くならないように辛抱強く指すことが第一に重要だ 耐え続けているといつしか逆転の望みが出てくるものだ つまり、局面がよいときは最善手を指す必要はないが、局面が悪いときは最善手を指し続けることが逆転に繋がると大山は説いている
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560 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 15:16:45.02 ID:SYkYprwH - 大山将棋はなぜ最強なのかA
大山将棋をこのように理解してみると、局面の違いごとの悪手度に大山将棋の特徴がしっかり現れていることがわかる 藤井羽生森内中原大山谷川の悪手度比較 https://i.imgur.com/rBPbzST.png これは、大山のレートが羽生や谷川より低いことを強調した解析であるが、これを逆用して大山将棋がなぜ史上最強なのかを語ることができる @形勢が良い局面での悪手度比較 1000以上の6局面の順位の合計で採点 羽生15森内16中原16大山21谷川26藤井32 A形勢が悪い局面での悪手度比較 -1000以下の6局面の順位の合計で採点 大山16中原18羽生19谷川22森内23藤井28 大山は@形勢が良い局面での悪手度比較では6棋士4番手だが、勝ち味が遅くても確実に勝つことが大事と心得ていたことと合致する そして、A悪い局面での悪手度比較では悪いときは最善手を指すしかないという言説通り大山が1位だった ところで、形勢が良いとき、悪いときの悪手度のどちらでも最下位は藤井になっている これの解釈はここではおいといて、大山将棋の真髄にもう少し迫ってみよう
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561 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 15:19:26.45 ID:SYkYprwH - 大山将棋はなぜ最強なのかB
過去に大山の勝負観の要約を紹介したわけだが、再度投稿しよう 「攻めに関連して、撤退するときの心得を述べてみよう。 撤退というと、見込みを失って後退することと思われ勝ちであるが、私が将棋の戦いで撤退を考えるのは優勢な状態のときである。 不利に陥ったから撤退するのではない。 私は、木村さんや升田さんと戦っていて、攻め続けられるよりも一転して受けに回られるときのほうが、よっぽどこわく感じたものである。 強い人の将棋とは、そういうものである。」 これが大山流勝ち将棋の真髄といってよい 山田道美は大山のこうした戦いに直に触れて知って、大山将棋には「終盤が二度ある」と評している 釣りの喩えに戻る 「ひっぱって釣り上げずに泳がせていると、形勢が接近して、相手も勝つチャンスがめぐってきたと錯覚する。」 「ただ、こちらは形勢が接近したかのように見えても、ちゃんと釣り針に食いつかせているのだからあわてることはない。弱るのを待って確実に釣り上げることを策しているだけなのである」 勝ち将棋の極意を、まるで昨今のソフトの評価値を知っているかのように語っているのが印象的だ
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562 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 15:20:23.25 ID:SYkYprwH - 大山将棋はなぜ最強なのかC
大山が自分で語っているように「形勢が良いときは手綱をゆるめるようにしていた」というのであれば、ソフトの評価値が下がることも大山の思惑通りだったことになる 「勝負に勝った」というのがすべてであるから、優勢な将棋の評価値は強さの指標にする意味がないとも言える つまり、プロ棋士の強さを知る上で重要なのは「負け将棋を逆転させる力量がある棋士なのか否か」のほうに違いない これが核心だとすると、形勢が悪い局面での悪手度のその低さにおいて順位1位の大山が史上最強の棋士であることに納得がいくわけだ 「私は悪手を指したときは、『どれだけ、この悪さを維持できるか』という自分との戦いを、第一の重大な勝負と見る... ...勝負手という言葉は、なるほど響きはよいが、ほんとうはあまり用いるべき手ではない」
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564 :名無し名人[sage]:2020/04/22(水) 16:55:30.59 ID:SYkYprwH - >>560
形勢が一方に傾いた局面では優勢劣勢を問わず藤井が最下位だった この解釈をしてみたい 真っ先に思い付くのが、ソフトの浅い解析で悪手と判定されただけで、実は最善手もかなりあるのではないか、という疑問だろう しかし、ここでは検証のしようがなく、藤井だけの現象にする根拠もない話なので、これ以外の可能性について考えてみた @終盤が得意なため、奇手や妙手を掘り下げて読むことが多くなり、実際に指すことがよくある A形勢が悪い局面を挽回するために勝負手を多用するタイプである Bこうした、奇手、妙手、勝負手のたぐいは主に自分より棋力が低い棋士を相手にしていたときの読み癖で、これまでは鮮やかに勝ったり、逆転勝ちすることが多々あったのではないか Cしかし、冷静に最善で応じられると悪手になるのではないか Dしたがって、強敵には通用せず逆転されたり、負けを早めるだけになることもあるのではないか こうした解釈が多少でもあたっているとしたらどうか 藤井は形勢が接近していたり互角の局面では悪手度が少ない棋士である 今以上に最強棋士になるためには、形勢が離れた局面での実戦経験を強敵相手に積むことが課題ではないだろうか
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