トップページ > 将棋・チェス > 2012年01月11日 > F57XIxFu

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羽生vs加藤 伝説の5二銀

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羽生vs加藤 伝説の5二銀
105 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:01:14.46 ID:F57XIxFu
記録室。過去の色々な対局がここで眠っている。
昨日の棋譜を探す。あった、昨日の棋譜。
順位戦、タイトル予選など様々な棋譜がある。
加藤は「ほう、ほう、うーん」当初の目的を忘れ1つ1つの棋譜を丁寧に見つめる。そんな中、ガチャリとドアが開いた。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
106 :レベルリセットされた[sage]:2012/01/11(水) 16:05:51.29 ID:F57XIxFu
少し小太りの男。三浦八段。三浦は、珍しい人に出会ったと少し驚く。多少、加藤とは因縁はあるが怨敵では無い。尊敬と畏敬は持っているが、仲が良いわけでは無い。

羽生vs加藤 伝説の5二銀
107 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:07:55.60 ID:F57XIxFu
声をかけるべきか悩む。普通なら声をかけるべきだ。ただ、かなり集中しておられるし、話しかけても会話になる自信がない。
加藤の一方的なトーク術を自分は捌けない。嫌いではない。含蓄も哲学もある、ただ、多少疲れる。
どうしよう、どうしようと迷っていると加藤がバッと顔を上げ自分を見つめてきた。

羽生vs加藤 伝説の5二銀
108 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:10:48.45 ID:F57XIxFu
「あー、あの、えぇ、三浦、三浦先生。お久しぶりですね」「加藤先生。ご無沙汰しております」
「最近の将棋は私の若い頃とは若干違いながら時々に古い型も出てくる。いや、その面白いですね」「はい」三浦は相槌で答えた。

羽生vs加藤 伝説の5二銀
109 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:13:22.55 ID:F57XIxFu
「先生、今日は棋譜を探しに来たのですか?」「えぇ、はい。昨日のですね、棋譜を、はい」
棋譜の対局者で加藤先生と戦われる人がいただろうか?と頭を巡らす。そういえば、対局相手の棋譜ではなく師匠の棋譜を探したことのある人だ。

羽生vs加藤 伝説の5二銀
110 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:15:27.57 ID:F57XIxFu
師匠と弟子では将棋が違う。
花村先生はトリッキーな将棋だが、弟子の森下卓先生や深浦先生は正統派の代名詞。
加藤先生は何を探しているのだろうか?興味深い。聞いてみようか?どうしよう。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
111 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:18:03.28 ID:F57XIxFu
相変わらず、加藤は棋譜を眺めながら満足そうに、1人うんうん、ほうほう言っている。
ここで会ったが縁だと、三浦は「今日は、どの棋譜をお探しなんですか?」
「えぇ、ああ、はい。今日は米長先生のですね、棋譜を探しに来ました」
昨日?米長?はっと気付く。
「加藤先生、ここには公式対局しかありません。昨日の対局は公式ではありませんから、ここには無いですよ」
羽生vs加藤 伝説の5二銀
112 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:20:04.57 ID:F57XIxFu
加藤は目をパチパチし「ほう、でしたら、どこに有るんでしょうか」「加藤先生、こちらです」
三浦は、受け付けへと向かう。
「昨日の米長先生が対局された棋譜をプリントアウト出来ますか?」
受け付けはニッコリと「お待ち下さい」と告げた。
カタカタと一枚の紙が吐き出される。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
113 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:24:02.02 ID:F57XIxFu
三浦は受け取り「加藤先生どうぞ」「あ、ありがとうございます。どうも、私はハイテクは駄目でして」「先生、私もです」「三浦先生、ありがとうございました」
加藤が紙を大事そうに受け取る。
それを三浦は見つめながら、やはり加藤先生も気になるのか?あの2人の関係はよく分からない。
自分には、あれだけ全てを捧げて戦える相手はいるだろうか?頭に数多の棋士が浮かぶ。自分はまだまだだ。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
114 :名無し名人[]:2012/01/11(水) 16:27:41.30 ID:F57XIxFu
加藤先生の様な歴史に名を残し相手を認め、相手から認められる人間にはなれていない。
三浦は拳をぎゅっと握り締め、更なる飛躍を誓った。

紙を受け取った加藤は対局の出来る椅子席の隅に座る。
棋譜を眺め駒を順々に並べる。一手一手確認しながら棋譜を再現していく。

羽生vs加藤 伝説の5二銀
115 :下げ忘れた[sage]:2012/01/11(水) 16:30:48.09 ID:F57XIxFu
相変わらず、うんうん1人楽しそうに頷きながら。
時々、手が止まり、不機嫌そうに腕を組む。うーんと何度か唸る。
駒音が険しく響いた。

米長先生は悪くない。けして悪くない。
ただ。

加藤は、相手の強さに感服しつつあった。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
116 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 16:34:11.28 ID:F57XIxFu
多少、筋悪な手。棋理に適わない手もあるが流れを逃さない的確な手の数々は認めざるをえない。
米長の綻びを確実に捉え広げる。最後はどうしようもない。
それから、加藤は何度も何度も、棋譜を再現した。
若い棋士が何人か着席する。奨励会員だ。プロの卵の彼等達は驚く。加藤一二三先生がいる。
怖い者見たさもあり、そっと加藤に近付いた。加藤の将棋を横目で見る。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
117 :名無し名人[]:2012/01/11(水) 18:59:21.21 ID:F57XIxFu
初めは気付かずに見ていた奨励会員がはたと気付く。周りの奨励会員と目で確認する。

今、加藤先生が並べられている棋譜は昨日の米長先生の棋譜だ。
奨励会員は勇気を出し声をかける。「あの、加藤先生」
横に並んだ自分の孫より若い子達に、加藤は一瞬戸惑う。
「どうしましたか?」加藤の優しい声に奨励会員は落ち着きを取り戻す。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
118 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 19:06:25.81 ID:F57XIxFu
「それは、昨日の米長先生の対局ですよね?」「あ、はい。えぇ、気になりまして調べておりました」
奨励会員は再度勇気を出す。二度と無いかもしれない機会だ。「加藤先生。お忙しい中、失礼だと思いますが私達に勉強させて下さい」
加藤は暫し考え、たまには良いかと「はい、それでは私も勉強させて下さい」
加藤と奨励会員の間でルールが決められる。一手約10秒の早指し。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
119 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 20:06:07.96 ID:F57XIxFu
加藤対奨励会員達の対局が始まった。
先ほどまでにこやかな表情の加藤だったが、いざ盤を挟むとキッと表情が締まる。バシッバシッと鋭い駒音が響く。
対して奨励会員は、そろそろと手を指す。
あっという間に一局目が終わる。加藤の棒銀に潰されてしまった。
奨励会員は小さく「負けました」
加藤は表情を緩め、うんうん頷く。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
120 :名無し名人[sage]:2012/01/11(水) 20:08:09.58 ID:F57XIxFu
一手目から並べて、ここはこうかな?こうかな?と一人感想戦をする。奨励会員は加藤の読みの深さに驚愕しながら、一人感想戦を聞く。一通り終わり「うん、私の完勝です」と締めた。
羽生vs加藤 伝説の5二銀
121 :名無し名人[]:2012/01/11(水) 20:52:57.94 ID:F57XIxFu
その後、順番に奨励会員が対局する。何十盤と指しただろうか。結局、誰一人加藤には勝てずにいた。
そこへ、急に声がかかる「加藤先生、何やってるの」
馴れ馴れしそうな、居丈高な喋り声。
奨励会員達が、きっと背筋を伸ばす。加藤は盤面から顔を上げ「ああ、これは米長先生」
米長は珍しい、加藤先生は今日は対局が無い。また、トラブルでも持ち込む気か?とワクワクしていた。


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