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99 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:34:12.85 ID:io0HDV9o - <財政均衡主義の呪縛からの覚醒>
http://www.adpweb.com/eco/eco910.html ・金融緩和政策の限界 先週号で述べたように、どの先進国(日・米・欧)の経済もどん詰まり状態である。 特に日・欧はマイナス金利といった極限的な金融緩和政策を採っているが、実態経済へのプラス効果は限定的である。 むしろマイナス金利による金融機関経営への悪影響が現れている。 日本だけでなく他の先進国も「消費年齢世代」の人口減少という問題に直面している。 つまりこれによる消費不足とそれに起因する国内の投資不足によって経済は低迷したままである。 さすがに金融緩和政策が限界に来ていることを人々は薄々察している。 企業は有望な投資案件がないので内部留保が増え続けている。 これについては16/9/12(第907号)「労働分配率と内部留保」で日本の企業の内部留保の増加を取上げた。 しかし欧米の大企業も事情は同じである。米国の多国籍企業は国外(主にタックスヘイブン)に2兆ドルもの留保金を持っている。 中でもアップル社はアイルランドに2,000億ドルもの内部留保を保有していて、EUとアイルランド、そして米国の当局同士がアップル社への課税を巡って対立している。 日本だけでなく、先進国の企業は株主からROE(株主資本利益率)を最大にする経営が求められている。 しかし国内外ともめぼしい投資案件は減っている。したがって企業の預金の形で保有される内部留保だけが積み上がっているのである。 ところがここで企業はジレンマに落ち入る。 内部留保が増えることは株主資本が増えることを意味し、これによってROE(株主資本利益率)は低下するのである。 これを避けるには配当や役員賞与を増やすということが考えられるが、これらには株主から必ずしも賛同は得られない。残るのは他の企業の買収(M&A)ということになる。しかしどれだけ盛んに企業買収(M&A)が行われても、一国の経済の経済成長にはほとんど影響はない。 このように企業(特に大手多国籍企業)は極限的な金融緩和が行われても、 需要が見込めないので設備投資など経済実態に影響を及すような新規の大型投資に踏出すことに躊躇している(つまり古典派経済学なんて本当にお呼びでない)。 企業買収(M&A)を除けば、投資で増えているのは不動産投資だけである。 たしかに大都市(NYやロンドンなど)での不動産投資は増えていて、不動産価格が上昇している。しかしこれもそろそろピークであろう。 先週号で今日の低成長率、低金利、低物価上昇率は先進各国の共通した現象と指摘した(先週号で「ニューノーマル」と筆者は呼んだ)。 しかし子細に見ると先進国(日・米・欧)で事情が微妙に異なる。一番軽症なのが米国である。 米国はヒスパニック系などの移民が多く、経済の状態は新興国に似ていてまだ需要が増える余地がある。 本誌は07/11/5(第503号)「米国のサブプライム問題」で、これを「内なる新興国」と指摘した。 したがって日・欧とは違い、米国は低い水準であるが金利はまだマイナスになっていない。 反対に昨年の12月に利上げし、今年の12月にも利上げが噂されている。しかし利上げ回数の予想は年3〜4回であったが、せいぜい1回が限界である。このように経済の成熟という点で、米国も日・欧に近付いていると筆者は見ている。 一方、日・欧はともに米国より難しい状況に落ち入っている。 金融緩和政策はほぼ限界まで来ているが、まるで経済の低迷から脱する気配がない。 ただ日本に比べ欧州の方がより深刻と筆者は思っている(ましなのはユーロ安で輸出が伸びているドイツぐらいである)。 特に問題なのは若年層の高い失業率である。この欧州の雇用問題にはほぼ打つ手がない。
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101 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:35:45.34 ID:io0HDV9o - ?財政均衡主義に対する新しい動き
経済不調に見舞われている先進国(日・米・欧)は、まず金融政策として金利低下政策を行った。 ところがこれが限界まで来たため、次に量的緩和に踏出さざるを得ないことになった。 しかしさらにこれも限界に達し、とうとう日・欧はマイナス金利という極端な金融政策に突入した。 ちなみにこの極端な金融政策は為替安競争に通じるところがあるが、国際協調を唱う当事者達はあまり口に出せない。 いずれにしても先進国の金融政策は出尽くし感がある。つまり経済政策は万策尽きたように見える。 しかし経済政策には、もう一つ財政政策という柱がある。ところが先進国ではこの財政政策は少なからずタブー視され、今日まで政策の選択肢から外されてきた。 先進国(日・米・欧)では、財政政策どころか財政の赤字でさえ度々大きな政治問題になる。 米国では13/1/14(第739号)「年頭にあたり」で取上げたように、2012年暮には「財政の崖」問題が起り財政赤字が政争の具に使われた。 この背景には1985年に成立した財政均衡法(グラム=ラドマン=ホリングス法)があった。 主要な欧州の国家には昔から財政均衡主義の素地が根強く有り、財政赤字を嫌う。 10/7/5(第622号)「サミットの変質」で取上げたように、リーマンショックから2年も経っていないのに、 欧州各国はやや積極的な財政政策から緊縮財政に大転換した。 ギリシャの財政危機を発端に英国などが付加価値税の増税に踏切ったのである。 また財政赤字をGDP比3%以内に抑えるというEUの取決めを守れない南欧諸国には、いつもペナルティーが課せられている。 日本でも13/10/7(第772号)「消費税増税、次の焦点」で取上げたように、橋本政権下で「財政構造改革法」が成立した。 だが財政均衡を目的としたこの法律と関連法は次の小渕政権が辛うじて停止した。 しかしプライマリーバランス回復の絶対視や14年度の消費税増税分の9割を目立たない形で財政再建に回すなど、 日本ではこの「財政構造改革法」の精神みたいなものが脈々と受継がれている。 先進国(日・米・欧)は、共通して「消費年齢世代」の人口減少と所得が増えないことによって家計の消費は増えない。 また前述したように企業は需要が増えないので、内部留保を増やしGDPを増やすような投資を控えている。 さらに金融政策も効かなくなった。これらは経済学が想定していなかったことである。残るは内需不振の各国は輸出に活路を見い出すだけになっているが、これに対しても米国が各国の為替安政策を強く牽制している。 冒頭に述べたように、先進国(日・米・欧)の経済はどん詰まり状態に落ち入っている。 しかしどの国も経済成長によって解決すべき大きな問題を抱えている。 ところが期待していた金融緩和政策の効果に限界がはっきりと見えてきた今日この頃である。 さすがに先進国(日・米・欧)の中で、財政均衡主義の呪縛から脱しようとする国が現れるようになった。 まさに新しい動きである。最初に動いたのはアベノミクスの日本であった。 安倍政権は1年目に大型の補正予算を組み、さらに日銀の異次元の金融緩和が加わり成果を収めた。 ただ2年目以降は消費税増税などによってアベノミクスは頓挫している。今日、新経済対策によってアベノミクスの巻き返しを図っているところである。 欧州ではイタリアなど特に南欧諸国が財政政策に軸足を置き始めた。 ここで障害となるのが「財政赤字のGDP比3%基準」である。もちろんドイツなどはこの動きに猛反発するであろう。 しかし英国のEU離脱決定によって欧州全体が今日動揺しているので、チェックが甘くなり南欧諸国の財政拡大政策は案外すんなりと実施される可能性が出てきた。 米国では大統領候補が共に財政政策を堂々と公約に盛込んでいる。 まずクリントン候補が大型のインフラ投資計画を掲げている。そもそも米国では公共投資は州政府の管轄であり、連邦政府がこれを主導するという話は異例である。 トランプ候補も負けじと企業減税を訴えている。何か先進国(日・米・欧)全体が財政均衡主義の呪縛から覚醒を始めたと感じられる。 来週は今週号の続きで、ヘリコプターマネーにも話は及ぶ。
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107 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:40:22.02 ID:io0HDV9o - 17/3/27(932号)
http://adpweb.com/eco/index.html <シムズ理論とシムズ教授> ・コンピューターの計算能力の進歩 脚光を浴びているシムズ理論であるが、当然ながらこれを否定する意見や批判が出ている。 そこで筆者自身のシムズ理論に対する見解を示す。先週号で話をしたように筆者はシムズ理論の結論にほぼ納得している。 ただシムズ理論の弱点や突っ込まれる所を筆者なりに考える。 まず「物価水準の財政理論」(FTPL)の結論は、シムズ教授達のシミュレーション分析から導き出されたものと筆者は見ている。 シムズ教授の専門は、シミュレーションによって経済を分析する計量経済学である。そもそもノーベル賞もシムズ教授の新しいシミュレーション分析手法に対し与えられたと筆者は理解している。 この重要な点に、シムズ理論を批判するマスコミやエコノミストは何故か触れない。 シミュレーション・プログラムは、経済現象の変化の予測に使う便利な道具である。 しかしその反面、プログラム自体やプログラムの設定が過っている場合には、シミュレーションの結果も間違うことになる。 したがってプログラムに問題がある時、もし政府がこれを信じると経済政策でミスリードする危険性がある。筆者もこの点は承知しているつもりである。 実際、11/12/19(第691号)「シミュレーションモデルの話」などで取上げて来たように、マクロ経済に関するシミュレーション・プログラム(モデル)はいくつもある。 モデルが異なると、同じ条件でプログラムを走らせても結果は異なる。 極端なケースとして、04/11/1(第365号)「妄言・虚言の正体」で取上げたように「私のシミュレーションプログラムでは1兆円も財政支出を増やすと日本でハイパーインフレが起る」 と言って引下がらないA教授という経済学者もいた。 100パーセント正しいマクロ経済モデルというものは存在しない。せいぜい「これは比較的正しいモデルでは」と言った程度であろう。 ただA教授のモデルなどは話にならないと言える。 筆者は、シムズ教授達が使っていると考えるモデルは「まとも」と見ている(ただし絶対に正しいとまでは言えないが・・これはシミュレーション分析というものの宿命)。 この根拠として、日本経済復活の会(会長小野盛司氏、顧問宍戸駿太郎筑波大学名誉教授)が14年前行ったシミュレーション分析の結果とシムズ理論の結論が似ていることが挙げられる。 財政政策に伴って財政が悪化しても、むしろ最終的に財政状況は良くなると両者は同じような結果が出ている(財政状況が良くなるの意味合いに違いがあるようだが・・来週これを説明する)。 ちなみに小野さんは宍戸駿太郎教授の奨めもあって、03/1/27(第282号)「所得を生むマネーサプライ」の後がきで述べたように、 この結果をサミュエルソンに送ったところ賛同する返事が来た(これについても来週も取上げる)。 ただ小野さんが使ったシステムとシムズ教授のプログラムでは、当然、後者の方がより優れたものと筆者は考える。 これはこれはコンピューターの計算能力が時代と共に格段に進歩しているため、より複雑なプログラムであっても瞬時に結果が得られるようになったからである。 したがってより現実に則したシミュレーション分析が可能となっている。 例えば固定されていたパラメーターも変数として扱うことができる。これによって中央銀行の金融政策の変更などもシステムに取込むことができるようになったと考える。
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108 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:40:34.74 ID:io0HDV9o - ・シムズ理論とシムズ教授の提言の間の「裏」
ただシムズ理論の核心とされる「政府は財政再建に取組まない」という宣言だけでインフレが起るとは筆者も思わない。 当然、財政支出の増加や減税による財政悪化というプロセスが必要と筆者達は考える。 ところがシムズ理論では、新規国債は発行しないことになっている。 シムズ理論では「通貨価値を大きく毀損」することでインフレを起こし、このインフレによって返す政府債務が減価し財政問題が解決することになっている。 前段でシムズ理論を導いたモデル自体は「まとも」と筆者は述べたが、いざこの理論を現実の経済政策(財政政策)に適用するとなると、たちまち非現実的な事態に陥る。 例えば財源がない状態で政府は歳出を行うという奇妙なことになる。ここは「シムズ理論」と「シムズ教授の政策提言」は別物と理解する他はないと筆者は考える。 要するに「通貨価値を大きく毀損」しても良いといった覚悟で極端な政策を実行せねば、デフレ経済から脱却し財政再建を実現することは到底無理とシムズ教授は言いたいと筆者は理解する。 シムズ理論とシムズ教授の提言の間にはどうも「裏」が有りそうである。 財政を悪化させることによってむしろ将来の財政状況が良くなるというシムズ理論は、財政再建一辺倒の日本の財務当局や周りの御用学者やマスコミに衝撃を与えている。 これに対し「シムズ理論はいい加減な考え」というキャンペーンを彼等は始めたと筆者は見ている。 日経新聞にもこの類の批判が掲載されている。その代表が先週号で紹介した「日本国債・・描けぬ出口」と「転機の財政金融政策」の特集である。 今週はその中から池尾和人慶大教授の「シムズ理論」批判を取上げる。 まず池尾教授は、現行の日銀の異次元の金融緩和政策が行き詰っていると指摘する。 マネタリーベース(資金供給量)を日銀が責任を持って増加させれば、予想インフレ率が上昇するという論理は池尾教授が言うように破綻状態である。 つまり金融政策だけでは予想インフレ率をコントロールできず、リフレ派の主張が無効であることが証明されたと池尾教授は強調する (これに対して一部リフレ派は消費増税がリフレ政策の効果を消し去ったと反論)。 一方、政府は財政収支を悪化させる手立て(財政支出増や減税)を持っていることで有利であると池尾教授は認めている。 つまりシムズ理論に沿った政策によってインフレが起る可能性があるかもしれないと言う。 ところがこれはあくまでも可能性であり、実現しないことも有り得ると中途半端である。 もしいずれ財政収支の悪化を相殺する措置がとられるという見方がされると予想値は据え置かれたままで(例のポンコツのリカードの中立命題)、 何も起らない事態も有ると指摘する。 逆に財政悪化宣言によって、国債の暴落が起って(特に国債がバブル化している場合)予想値が急速に下方修正され、 急激な物価上昇を招くかもしれないと教授は指摘する。 これは国債暴落によって金利が急上昇し財政悪化が加速しシムズ理論で想定している以上に予想値が下がることを念頭に置いている。 つまり予想値引下げによってインフレが一段と激しくなるという事態を前提にした理屈らしい。 しかしこれは中央銀行がハイパーインフレが起っても何もしないという非現実的な想定である。 いずれにしても池尾教授は、財政政策でインフレ率をコントロールすることは不可能と結論付けている。 この論理は、筆者が見かけたシムズ理論批判のほとんどに共通する。 つまりシムズ理論に沿った政策はインフレを起こす力が全くないか、あるいはハイパーインフレを招くかのどちらかと決め付ける。 これらのシムズ理論批判に対する筆者の反論を一つだけ挙げておく。 シムズ教授は、中央銀行デフレ脱却するためのインフレターゲット政策は否定するが、 インフレ時のインフレターゲット政策(要するに金融引締め政策)は有効と見ていると筆者は解釈している。 現実に英国のようにインフレターゲット政策で成功している国はある。 残るシムズ理論の最大の課題はどのような手段で「通貨価値を大きく毀損」させるかである。 来週はシムズ教授の提言の「裏」と、日本経済復活の会のシミュレーションに対するサミュエルソンの感想を取上げる。
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110 :日出づる処の名無し[sage]:2017/04/21(金) 16:43:27.14 ID:io0HDV9o - >>109
んで最低賃金過去最高の伸び 平均賃金も絶賛上昇中とw 派遣も需要亡くなってきたしなw
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112 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:46:35.96 ID:io0HDV9o - >>111
そんなに絶賛デフレのどん底だった民主時代disるのやめろよw つか庶民は物価高で苦しんでるんじゃなかったのかよw
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170 :日出づる処の名無し[sage]:2017/04/21(金) 16:46:53.26 ID:io0HDV9o - 露助しね
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114 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:51:00.19 ID:io0HDV9o - 17/4/3(933号)
http://adpweb.com/eco/eco933.html <シムズ理論の裏> ・シムズ理論での財源 先週号で述べたように、シムズ理論の最大の疑問はどのような手段で「通貨価値を大きく毀損(大きな物価上昇)」させるかである。 シムズ教授は「例えば2%の物価上昇が実現するまで増税を行わないと政府が宣言する」と言った提言を行っている。 しかしこの程度のことで「通貨価値を大きく毀損」がうまく行くとは誰しも思わない。 実際、安倍政権は2度も消費増税を延期したが物価は上昇しなかった。 一方、シムズ教授は、金融緩和が極限まで行った段階(ゼロ金利)では財政政策が有効と説いている。 この点は、筆者達もこれを「オーソドックスなポリシーミックス」と賛同する。 しかし教授は、財政政策の具体的な財源については明確にしていない。 財源としては国債の増発が考えられる。しかし国債は償還が前提となり、将来の増税などによる財政の健全化を「予想」させる。 これではインフレ期待が生まれず「通貨価値の毀損」は起らないとシムズ教授は判断しているようである。 このようなシムズ教授の政策提言を突き詰めれば、筆者は財源はまさに「政府紙幣」となるのではと思っている。 先週号のシムズ理論とシムズ教授の提言の「裏」とはこれだと筆者は考える。 ところで教授は他のシニョリッジやヘリコプター・マネーを容認しているようである。 さらに中央銀行による国債などの債券の買入れ政策(QE)も決して否定していない。 しかし国債の発行には償還が付きまとい、またQEには「出口」を唱える勢力が必ず現れる。 また中央銀行を介したシニョリッジは、中央銀行の独立性が問題にされる。 特に米国では、FRBが1951年のアコード締結で独立性を回復した後、政府の金融政策への関与は憚れるようになっている。 これらの障害を全てクリアし、財政支出を増大させ減税を実施するための究極の手段は前述の「政府紙幣の発行」と筆者は考える。 シムズ理論に沿った政策を実現するための最も合理的な解答はこれしか考えられないのである。 ただ中央銀行が政府に協調し、国債の買入れを行うことには教授は異議を唱えないであろう。 また国債の償還期間を長くすることにも賛成すると筆者は考える。 要するに教授の発言は、その国での政策の実現性にポイントを置いていると筆者には感じられる。 シムズ理論の「通貨価値の大きく毀損」に対し、 当然、「ハイパーインフレ」を意図的に招くとは何と恐ろしい発想というヒスティリックな声が必ず上がる。 これに対してシムズ教授はインフレが起るからこそ財政状態が良くなると、両者の主張は噛み合わない。 そこで問題になるのが「政府紙幣の発行」の実現性である。 筆者は、日本ではほとんど実現性はないが、米国ではある程度実現する可能性があると見ている。 もちろん「政府紙幣」を口に出せば米国でも猛反発が起るであろう。 06/4/24(第434号)「もう一つ勇気を」で紹介したように、「経済学者が政府紙幣発行を主張する時は、 経済学界から追放されることを覚悟しておかなければならない」とスティグリッツ教授も半分冗談を言っているくらいである。 しかし12/12/24(第737号)「日銀とFRBの違い」で述べたように、 過去に米国では16代リンカーン、20代ガーフィールド、そして35代ケネディと3人の大統領が政府紙幣を発行するか、 あるいは発行しようとした。特にケネディは政府紙幣発行の大統領令に署名していた。 ところがこれらの3人の大統領の全てが暗殺されたのである。 シムズ教授も内心では「政府紙幣」と思っていても、なかなか口に出せない事情が色々とあると筆者は勝手に憶測している。
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116 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:54:31.78 ID:io0HDV9o - ・容易ではない通貨価値の毀損
シムズ理論に関して分かりにくい課題を二つ挙げる(一つは来週)。 一つは「インフレ」に関する事柄である。シムズ理論に反対する日本の財政再建派(財政規律派)は、 シムズ理論に沿った政策はインフレを起こす力が全くないか、あるいはハイパーインフレを招くかのどちらかと支離滅裂なことを言っている。 ところが実際のところ、日・米・欧の先進国では、近年、物価上昇が起らなくなっている。 米国ではこれを「ニューノーマル」と称している。 一般の国民にとって物価が上昇しない方が好ましいのに、何故、シムズ教授が経済をインフレ化させることを政策目標にしているのか分かりにくいと筆者は思っている。 この点を低インフレが消費の弱さの裏返しと解釈でき、またこの低インフレが政府の累積債務問題を悪化させる。 この財政悪化による消極財政がさらに低インフレを招くといった悪循環を招くと教授は考えているのであろう。 筆者は、財政が積極財政に転換に転じても容易には物価上昇は起らないと考える。 伝統的な経済学の論争では、物価上昇についてはデフレギャップの大きさが問題にされてきた。 デフレギャップが大きいと見る経済学者は、多少の財政支出増による需要増ぐらいでは物価は上がらないと見る。 一方、デフレギャップが小さいと見る経済学者やエコノミスト(日本の主流派)は、小さな追加的な需要増でも物価は急騰すると主張する。 中には今日の日本の雇用状況を既に「完全雇用」とバカげたことを言っているエコノミストがいる。 ところで日本(他の先進国も同様)の消費構造の変化によって、需要が増えるほど価格が下落する「モノ」や「サービス」の消費割合が大きくなっていると筆者はずっと主張してきた。 IT製品や通信費などがその典型である。経済学的には「収穫逓減」産業から「収穫逓増」産業への移行と言ったところであろうか。 この影響も物価上昇を抑えていると筆者は考える。 また先進国で増えている雇用は概ね専門的な知識や技術を必要としない単純労働が中心である。 この分野の労働者は「競争的周辺部」であり(労働組合などない)、人手不足となっても賃金は上がりにくい。 特に欧米では、多くの移民がこの種の職業に就くのでますます賃金の上昇が望めなくなっている。 しかもこのような労働者の割合は確実に大きくなっている(したがって失業率が下がっても平均賃金は上がらない)。 このようにデフレギャップの大きさだけで物価上昇を語るのは、時代の変化に背を向けていると筆者は考える。 先週号で取上げた日本経済復活の会(会長小野盛司氏、顧問宍戸駿太郎筑波大学名誉教授)のシミュレーション分析でも物価はなかなか上がらなかった。 公共投資や減税の金額を段々と増やしてみたが、物価への影響力は限定的であった。 ちなみに小野さんは日経NEEDSのプログラムをレンタルし(レンタル料はけっこう高かった)、シミュレーションを行った。 もちろん計量経済学者の宍戸教授はご自分のプログラムをお持ちであったが、世間で多少なりともオーソライズされている日経NEEDSを使った方が良かろうという宍戸さんのアドバイスがあった。 これも宍戸さんのアドバイスで、小野さんはこのシミュレーション分析の結果を何名かの著名経済学者に送ってみた。 すると03/1/27(第282号)「所得を生むマネーサプライ」で述べたように、驚くことにサミュエルソンから返事が来たのである。 その中に「大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分高くならないとしても、気にしなくても良い。 インフレ率自身は政策の最終目標ではないからだ。 重要なことは、流動性のわなに起因される消費の欠如を取り除くことであり、それ以外のものではない。」 (If strong tax cuts were "to bring remarkable recovery of Japanese economy",then I would not worry about a failure to achieve a positive inflationrate. This latter condition is not itself a primary goal of policy.)という記述があった。 筆者は、今日、シムズ理論が脚光を浴びていることを見て、このサミュエルソンのこの指摘を改めて思い出した。 おそらく同様にシムズ教授も多少の財政政策で、物価が簡単に上昇すること(三流経済学者の言っているハイパーインフレ)は絶対にないことを承知しているはずと 筆者は憶測している。だからこのようなことを踏まえ「通貨価値を大きく毀損させる程の大胆な財政政策が必要」と言っていると筆者は解釈している。 来週は、もう一つの課題である財政の均衡と、さらに経済再生政策提言フォーラムの話を取上げる。
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117 :日出づる処の名無し[]:2017/04/21(金) 16:57:15.15 ID:io0HDV9o - >>115
>安倍首相「消費増税なければ、アベノミクスはうまくいっていた」「失敗であった」 その通りじゃん、それで?w だから大規模財政出動やれって話なんだがw
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