- 【兄妹なのに】生殺し妹文学館【募る想い】第十八巻
682 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:45:37.86 ID:G5ITZB0U - 人が来ない、盛り上がりが欲しい、そんな貴方に>>8のススメ。
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- 【兄妹なのに】生殺し妹文学館【募る想い】第十八巻
683 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:47:57.68 ID:G5ITZB0U - 持っていても、辛くなるだけ。
それは、兄が誕生日に買ってくれた本。 無愛想だけれども、それでも見せてくれた愛情。 兄弟としてではない、一人の女性としての愛情。 そんな想いの詰まった本。 でも、今はもう居ないあなたの面影が甦るだけ。 想いは戻っても、失われた命は戻らないというのに。
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684 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:50:02.51 ID:G5ITZB0U - 【書火祭】という祭りが、毎年密やかに行われている。
そんな都市伝説にも似た噂話が、耳に入ってきた。 書を焼き、鎮魂を奉げることで、未練を断ち切るという儀式。 気付けば私はそこにいた。 あの思い出の詰まった本を持って。 密やかなものだと言うことで、目立たないようにしてきたが。 他の人は皆、顔すら確認できない程に用心深く、顔を隠している。
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685 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:52:41.96 ID:G5ITZB0U - 順番を待つ間、私は離れた場所で、炎を眺めていた。
一人につき、三十分程度の長い儀式だ。 他の参列者は皆、ただ黙々と、近くで待っているだけだが。 初参加の緊張も相まって、立ち続けてはいられなかった。 ……他の人は、どんな気持ちでここへ来ているのだろうか。 他人のプライバシーを侵害するほど無神経な訳ではないけれど。 やはり気になってしまうのは仕方がない事だと思う。
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686 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:55:03.96 ID:G5ITZB0U - 「おや、初めての方ですか?」
不意に声を掛けられ、慌ててそちらの方を見る。 見た目は三十路くらいの男性。でも、不精ひげを剃ればもう少し若いか。 珍しく顔を隠していない人で、少し緊張が解けた。 「ええ。この本を燃やして頂こうと思って…」 「そうですか。私はもう燃やしてきたので、後は終わりを待つだけです」 どうぞ、と差し出された缶ジュースを受け取る。 男性は横に座り、私と同じように炎を眺めていた。
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687 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:57:13.97 ID:G5ITZB0U - 「私が何を燃やしたのか、知りたいですか」
男性は正面を向いたまま、そう訊ねてきた。 「……そうですね。差し支えなければ、教えてください」 私もまた、正面を向いたまま返事を返した。 「私が燃やしてきたのは、妹との交換日記です」 「……妹さんは、どうされたのですか」 「死にました。自殺です。お腹の子供も道連れになってしまいました」 炎が爆ぜる音が響いてくる。
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688 :向こうの230 ◆EldeW1Y/XY [sage]:2011/08/14(日) 23:59:35.43 ID:G5ITZB0U - 私は妹に恋をしました。
妹も私に恋をしました。 それが禁断の感情であることは百も承知の上で、です。 交換日記から始まり、恋人になり、そして身体を重ねる。 そうして過ごしていた日々は、父親のせいで崩壊しました。 私たちの関係を知り、それを小説に仕立て上げ、売ったんです。 内容には実名が使われていて、私達は全てを世間に晒されました。 父は印税の全てを持って逃亡、母は欝病になり、そして、妹は自殺しました。
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