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ゲームセンター名無し三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目

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三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
529 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 00:19:27 ID:yD9h2hvb
―目を覚ましたら、室内にいた。

妙な鎧を着た敵と戦って、何とか味方の退路を開いて、敵を追い返して、そのまま倒れて…
そこからの記憶はない。とにかく、気がついたら私は床に寝かされていた。


銀屏は、体を気遣いながら上半身を起こした。
倒れた時体を支配していた痛みも、大分引いている。体を見ると、あちこち包帯が巻かれていた。
どうやら、自分は誰かに助けられてここに今まで寝かされていたようだ。
見回すと、中華のそれとは意匠がかなり異なるが、とても綺麗な作りの部屋である。
この感じだと、ここに住んでいるのはかなり身分の高い人なのだろう。
南蛮なんて言うからと思っていたが、全然野蛮なんてことはなかった。
いや…ただ見くびっていただけなのかもしれない。でなければ、ここまで不覚は取らなかった。
そう思うと、やはり悔しい気持ちが込み上げてくる。皆は、無事だろうか。
(そういえば、冷艶鋸は…)
冷艶鋸を探す。ほどなくして、右手の近くの柱に立て掛けてあるのを認めた。
ほっとする。失くしたとあっては、遺してくれた父にも、渋々譲ってくれた関興にも申し訳ない。
「……?」
視線を感じる。敵意は感じられない。誰か、部屋に入ってきたのか。そっと振り向いた。
三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
531 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 00:29:58 ID:yD9h2hvb
「あ、起きたか。ちょうどよかった」
女の人だった。素人目にも上等だと分かる服を身に纏っている。
手にぶら下がっているのがバナナというのが、少し異様なくらいだ。
「とりあえず食べな。疲れた顔してるよ」
優しい笑顔のせいか、それとも何やらにじみ出る風格のせいか、不思議と警戒心がおこらない。
言われるがまま、銀屏はそれを受け取った。綺麗な指先である。
「あなたは…?」
「私?祝融、って言って分かるかい?」
その言葉を聞いて、銀屏は固まった。確か、父に教わった名前で…
「祝融って、あの火の神様の…!?」
そして慌てる。祝融はそんな姿を見てカラカラと笑った。
「私は見ての通り人間だよ。ま、御先祖様はどうだか分かんないけどね」
「は、はあ…」
いきなりとんでもないことを聞かされた。銀屏はため息をつき、バナナを食べ始める。
祝融はそんな銀屏の姿を笑顔で見ていた。
「……」
綺麗な人だ。正直に、銀屏は思った。神と同じ名前なのも、偶然ではないのかもしれない。
自分も大人になれば、こうなれるのだろうか。考えかけてやめる。
戦場に、美しさは何となく余計な気がしたのだ。そして、目の前の彼女もそれとは無縁だと。
三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
533 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 00:38:29 ID:yD9h2hvb
「しかし、こんなとこまであんたは何しに来たんだい?青龍刀なんか握って倒れたりして」
そんな銀屏に、祝融は口を開いた。どう答えたものか迷ったが、冷艶鋸はここにあるし、
別に隠しだてする必要もないだろうと思った。
「…戦いに、来たんです。詳しいことはよく知らないけど、南蛮がどうとかって」
「……それで?」
努めて冷静に、祝融は相槌をうった。
「皆を助けるために戦って、皆は助かったけど私は倒れちゃって…今はこんな状態です」
さっき聞いた兀突骨の話と符合する。少女が偃月刀を操って自分を阻んだ、と語っていた。
皮肉なものだ、と思う。ただそうしたかったからと助けた娘が、実は敵だったなんて。
戦場に出る女なんて、自分くらいなものかと思っていたら、そんなことはなかったようだった。
だが、別に戦ったり殺し合ったりする義務はない。ここでは、一人の女として振る舞うだけだ。
「そうかい…そりゃ災難だったね。でも良かったじゃない、こうして生きてるんだし」
「良くは、ないです」
少し銀屏の声が細くなる。
「私を守るために、いっぱい人が死にました。私が守りきれなくて、いっぱい人が死にました。
私が、私がもっと強かったら、きっとこんな風には…」
三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
534 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 00:43:41 ID:yD9h2hvb
事情はよく分からないが、気持ちは良く分かる。自分も、そう思ったことがある。
しかし、こんな若さでそんなことを背負い込む必要はないだろう。祝融は、ゆっくり答えた。
「女は男より弱い。強い女でも強い男には敵わない。これは、揺るがしようがないと思うけどね」
「でも、決めたんです。お父様みたいに強くなって、皆と一緒に戦うって」
「……まあ分かるけどさ。あんた、えーと名前は?」
予想していなかった質問に、銀屏はちょっと慌てた。
「えと、銀屏です」
「銀ちゃん。あんた、技と力があれば強くなれるなんて思ってないだろうね?」
またまた予想外の質問。しかも、今度は答えられない。図星なところもあったから。
祝融も、別にそれが分かっていて訊いたわけではない。
ただ、自分もまた同じ誤解をしていたことがあったからだった。
「確かにそれも強さって呼ぶのかも知れないよ。けどさ、それで何が手に入る?」
「?」
知らず、饒舌になっていた。理由はよく分からない。銀屏が、昔の自分と重なったわけではなかった。
「屍の山?新しい敵?敗者からの恨み?…銀ちゃん、そんなもの欲しいかい?」
「いや、そんなことは…」
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536 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 00:56:22 ID:yD9h2hvb
「技は力を鋭くするだけさ。それで出来るのは死ぬ苦しみを短くすることだけ。
戦って戦って、傷ついて傷つけて、結局残ったのは返り血だけなんて、そんな人生送りたいかい?」
「…………」
銀屏は俯いてしまう。
もしかしたら、そういうことを教わりこそすれ考えたことがないのかも知れない―
そう、祝融は直感した。…全く、男はものを教えるのが下手だ。
「強さってのは、そんなものじゃない。例えば銀ちゃん、お母様のこと、思い出せるかい?」
「お母様…」
「家を守って、旦那さん支えて、子どもを守って。それも、強さじゃないのかい?」
いや、本当はそれこそが―と言いたかったのだが、それはやめた。
戦場に身を置く自分が言えたことではない気がしたからだ。
「確かに…」
「ん。要はそういうことなんだよ。
強さってのは隣で泣いてる人を守れることであり、誰か一人のために命を賭けられることであり、
どんなに旦那がボロボロで帰って来ても黙って笑顔で迎えて、支えてやれることなのさ。
いい機会だ、この際考え違いを改めちまいな。見ず知らずの私が言うのもなんだけど。
銀ちゃんは女だ。男にはなれない。だから、女にしかできないやり方で強くなればいい」
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537 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 01:06:20 ID:yD9h2hvb
初対面の人間にいきなり一気に語り過ぎている、とは思った。
だがそれ以上に、話せるのは今しかないと、何かが祝融を衝き動かしていた。
やっぱり、銀屏が若かったからだろうか。
「…………」
ただ、銀屏の表情を見る限り、一方通行で終わっているわけでもなさそうだった。
「難しくは考えなくていいさ。それ食べながら、ゆっくり考えればいい」
「…はい」
「じゃ、後でまた来るよ。何かあったら人を呼べば駆け付けるから」
銀屏の部屋をあとにする祝融。こういう考え事の時、他人は邪魔にしかならない。
あとは銀屏が決めること―彼女は、そう自分を納得させた。

「……」
もくもくとバナナを食べながら、銀屏はさっきの言葉に思いを巡らせる。
「女の強さ……か」
頭では理解できているが、うまく言葉にはできない。
ただ、そのもどかしさは今の銀屏にとって不快なものではなかった。

それからも、祝融と銀屏は他愛もない会話を繰り返した。まるで、親子のような会話だった。
そして、それから二日目の朝。
「再び、諸葛孔明の軍が攻めて来ています!」
夫と共にその報を聞く、祝融の表情は優れなかった。
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538 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 01:10:11 ID:yD9h2hvb
いつものことでもあるのだが、今回は銀屏のことがある。
どうしようかと一瞬迷うが、そのまま行動を開始する。やるべきことは、ひとつしかない。

「銀ちゃん。あんたのお仲間が、助けに来たみたいだよ」
部屋に入って声をかける。銀屏の顔が、ぱっと華やいだ。
「本当ですか!?それはすぐに行かないと」
「あーっと、ちょっと待った」
「…何ですか?」
祝融は頭をかき、言葉を続ける。
「銀ちゃんは、これから先も戦場で戦い続けるのかい?」
「恐らくは」
少し迷ったそぶりを見せ、銀屏は頷く。その目に迷いはない。
「そうかい。なら、私の言ったことは覚えてるね?」
「はい」
「意味のある強さを、手に入れるんだよ」
きちんと分かっている返事だ。なら、これ以上言葉はいらない。
「短い間でしたが、お世話になりました」

礼をして去って行く銀屏の背中をじっと見送り、祝融は呟いた。
「次会う時は敵同士かも分からないけど…死ぬんじゃないよ、銀ちゃん…」


これは、歴史に埋もれたわずか数日間の、一期一会の物語。
三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
539 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 01:11:22 ID:yD9h2hvb
以上

TBS世界遺産と風呂のせいで投下間隔が開いたことをお詫びします
三国志大戦の武将はエロかわいい 34人目
543 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/12/11(月) 01:42:14 ID:yD9h2hvb
俺にとっての銀子と祝融は悟飯とピッコロみたいなイメージなのです

んじゃオヤフミ…(´-ω-`)゚


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