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123 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/11/27(月) 00:03:35 ID:BxhCtq/9 - 悪趣味な祭典の前夜、彼──アーデルハイドは父ルガールに連れられてある一室に連れて行かれた。
私の他にも、この祭典の重要人物と思われる外道達が数人、彼の後を付いていく。 厳重なる警備がなされる部屋のロックを解除する彼の父。 暗闇に包まれた部屋に光が当てられる。 そこには様々な武器が置いてあった。 禍々しい呪われた銃、神々しい光を放つ剣。ロケットランチャー。 中には蠢く正体不明の袋まである。 彼の父は外道達に説明する。 『この中の物は祭典をより美味しくする、まさにスパイスです。』 『皆様のご協力により、古今東西、様々なスパイスが手に入りました』 と。 そして彼の父は各武器の説明を始めた。 武器の使い方、性能、歴史。そして出資者の話。 正直、アデルは聞いていても面白くもなんともなかった、むしろ反吐がでる気分になっていた。 「さて、このスパイスも中々面白いものでしてな」 紹介する武器も半数ほど終わった頃だろうか。父は何の変哲も無いラジカセを手に取った。 「このラジカセはSONY純正の名機、発売後20年たった今でもキチンと綺麗な音がでます。オークションにだせば中々の高値が付く事でしょう」 会場から落胆の溜息が聞こえる。 武器の中には参加者を絶望の淵に落とす”ハズレ”と言う、武器にならない、悪趣味なものも混ざっている。これもそのうちの一つだろうと、私も含め誰もが思った、 父と、一人の男を除いて。 「ふふふっ…これもゲームを面白くする”はずれ”とお思いでしょう。しかし!ここにいるウォン氏の協力を得て、このラジカセは素晴らしい兵器となったのです!」 ラジカセが置いてあった場所の奥の布を引っ張る父。 下種どものどよめきが歓声に変わる。 布に囲まれていたせいで気づかなかったが、布の奥には強化ガラスに囲まれた四角い空間があった。 その中に、少女が展示されていた。 この倉庫に置かれる”物”の一つとして囚われた。 肩翼が引きちぎられた、羽の生えた少女が物として展示されていた。 彼女は虚ろな目で、天井しかない空を見ていた。
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127 :はーぴーのうた 5/24[sage]:2006/11/27(月) 00:10:56 ID:BxhCtq/9 - 【──VIPルーム大会場 → 武器庫】
「…警備も無し…か。」 全ての支給品が配り終わられ、役目を終えた武器庫。 価値のある物が無くなったここに、警備など必要ないと言う事なのだろうか。 「…ここには価値がある物はない…と、言いたいのか…?」 名も知れぬ少女に対するこの仕打ちに沸々と怒りが沸いて来る。 こんな馬鹿げたゲームの支給品として連れて行かれて 社会復帰が不可能な程身体をボロボロにさせて 客の興味を引かせるためだけに見世物にされて 最後には監視する価値も見出さずに 一人、逃げる事も許されず… 「くそっ!まだ中にいるんだぞ!少女が!!」 警備の無い武器庫の中に入る。 馬鹿げたゲームに翻弄された悲劇の少女を助けるために。
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128 :はーぴーのうた 6/24[sage]:2006/11/27(月) 00:12:14 ID:BxhCtq/9 -
【武器庫】 重い扉を押し開ける、音も無く開く扉、それにあわせ、暗闇に一筋の光が差し込む。 懸命に赤い目を凝らしてはみるが、照らし出された先に少女の姿はなかった。 彼女の証を呻きのひとつ、身じろぎのひとつたりとも逃すまいと、彼は全五感を振り絞る。 無機質なコンクリートの床に響く自らの靴音が邪魔をする、一歩、また一歩と歩くたびに彼女の気配を消すような気がした。 それにしても、この雰囲気が懐かしく感じる。そう、幼いころを思い出す。 父がよくする、マフィアやギャングとの取引の現場はこんな感じだった。 例えばうらびれた港の倉庫の中。銃器が発する鉄の匂い。重苦しい雰囲気。そしてそう低く無い頻度で転がる「邪魔者」の屍骸から漂う酸敗した脂肪の――――。 「――――っ!」 違和感を感じ、アデルははっと顔をあげる。。 今この現場にはあの時と違って、そう多数の銃器は置かれていなかったはずだ。だとすればこの決して薄く無い鉄の匂いの出所は── ────血────!? 木箱と木箱の間に少女はいた、手首に鎖を付けられたまま”物”として。少女はそこにいた。 あの鉄の匂いの元となったのだろう、舌を切られた時に出したと思われる出血で赤く染まった服を着た彼女が。 ボロボロになった片翼を弱々しく垂らし、ピクリとも動かない彼女に駆け寄る。 「っ…!!おい!しっかりするんだ!!」 口元に手をかざす。かすかだが吐息を感じる。それについてはホッと息をなでおろす。 ただかなり衰弱しているのだろう、アデルの声にまったく反応を示さない。 「…もう大丈夫だからな、絶対助けてみせるからな!!」 彼女を縛る鎖を外し、アデルは彼女を抱きかかえる。 この馬鹿げた大会を止められないのならば、せめて彼女だけでも助けてみせる。 それが父を止める事ができなかった彼の、せめてもの抵抗だった。
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129 :はーぴーのうた 7/24[sage]:2006/11/27(月) 00:13:09 ID:BxhCtq/9 - 【会場内、客用個室】
『(…ここは…?)』 ──浅い、浅い眠りから目を覚ます。 そこにあったのは、明るい光、見慣れない天井、美味しそうなスープの匂い、真っ白いワンピース、そしてふかふかのお布団。 目を瞑る前の風景を思い出す。暗く、薄汚れた天井、すえたカビと血の匂い、自分の血で赤く染まったワンピース、そして冷たい無機質な石の床。 彼女は思う。ああ、私はとうとう天国へいっちゃったんだと。 しかし、引きちぎられた片翼と、声を出せなくなった彼女の舌、そして体中の痛みにより、まだ生きているのだと気づいた。 「あ、目を覚ましたのか!よかった…」 突然の声にビクッと身体を振るわせる少女。逃げ出そうとベットの端へと後ずさる。 「…あ…か…!?」 また酷い事をされる、そう思うとも今の彼女には声を上げる事も、抵抗する事も出来ずただ震える事しかできない。 「…!!!」 声の主は彼女に近寄り、手を伸ばす。また行われるであろう惨劇を想像し、彼女は背中を丸め、ぎゅっと目を瞑る。 「…怖かっただろう…もう大丈夫だ…」 目を瞑り、ガタガタと震えている彼女の髪をそっと撫でる声の主。 その手は、とても冷たかったが、とても優しく、そしてとても暖かかった。 「私の名前はアーデルハイド、アーデルハイド・バーンシュタイン。君の、味方だ…」
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- うんこ
47 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/11/27(月) 00:58:11 ID:BxhCtq/9 - かけるかな?
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141 :はーぴーのうた 18/24[sage]:2006/11/27(月) 01:01:02 ID:BxhCtq/9 -
【会場内ヘリポート、自家用機メンテナンスルーム】 「ハーピー、待たせてしまってすまない。」 厳重なる扉のロックを外し、ハーピーが待つヘリコプターのドアを開けるアデル。 彼の顔を見て、安心したかのように天使の笑顔を向けるハーピー。 彼女の頭をそっと撫で、コクピット内に乗り込む。 「さて…」 操縦席の電気系統のスイッチを入れる、ドルルル…という激しい音と共に上部にあるプロペラが回りだす。 「よし!かかった!」 エンジンがかかった事に小さく拳を握る。後は出発をするのみ。 「ハーピー、少しゆれるが我慢をし…」 我慢してくれ、そう伝えようと後ろを振り向き、愕然とするアデル。 彼女が、いないのだ。 「…!?ハーピー…!?」 エンジンを切り、ヘリのドアを開け外にでる。 靭帯を切られ、翼をもがれた彼女。自分から外にでれるはずがない。 アデルに冷たく、激しく嫌な予感が過ぎる。 「ハーピー!どこだ!!」 狭い出口内に鳴り響くアデルの声。 「ほう…”これ”の名前はハーピーというのですか」
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142 :はーぴーのうた 19/24[sage]:2006/11/27(月) 01:02:03 ID:BxhCtq/9 -
アデルの叫び声にも似た木魂が静まり返った頃、ゴスッという鈍い音の後、彼の後ろから少し高めの声が返ってくる。 「誰だ!!」 声のする方向に振り向く。 そこには、長髪の東洋人──ウォンが立っていた。 彼の横にはハーピーが倒れていた。先ほどの鈍い音は腹部を蹴られたのだろうか、体と羽を丸め、苦しそうに震えている。 「…っ貴様は…ウォン!?」 「これはこれは、私の名前を覚えて下さっていたのですか。アーデルハイト君。」 細い瞳がアデルに向けられる。眼鏡越しでも分かるその深い闇。 「しかし…君がこんな事をする人間だったとは…別に"コレ"自体には価値はありませんから、どうされても構わないのです、が!!」 そう言い放ち再び倒れているハーピーを石ころか何かのように蹴転がす 石ころのように転げるハーピー、その姿はアデルの中にある『殺意』という感情を燃え上がらせるには十分な行為だった。 「なら!ハーピーから離れろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 叫ぶや否や、ウォンに向けて駆け抜けるアデル。 「やれやれ…人の話は最後まで聞きましょう。」 「うおおおおおおおおおおお!!!!」 その勢いのまま、憎しみの元凶の体をつかもうと、渾身の力を込めた左腕を伸ばす。 「!?」 だが、その左腕は空を切った。 「風声鶴唳…こう見えても私は臆病でして、些細な事も気になってしまうんですよ…」 本来なら眼前にいるはずのウォンが背後にいた。高速で動いたというより、元々そこにいたかのように平然な態度で先ほどの続きを話しながら。 「ちぃ!!」 何故自分の後ろに?そんな疑問が彼の頭を過ぎる。が、今はそんな事を考えている時ではない。そう自分に言い聞かせ二の撃を与えんと足を振り上げる。 が、再びその攻撃は空を切る。
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143 :はーぴーのうた 20/27[sage]:2006/11/27(月) 01:04:03 ID:BxhCtq/9 -
「確かにこれ自体はどうでもいいのですが…外に連れ出そうとするのは感心しません。どこから足が付くのか分かりませんから…ね」 気づいた時にはウォンはハーピーの真横にいた。アデルを挑発するかの如く、ハーピーに三度目の蹴りが打ち込まれる。 「…貴様!!ハーピーから離れろと言った筈だああああぉっ!!」 アデルの左手に赤い闘気が付加される。怒り、憎しみ、そのようなネガティブな感情が篭ったその左腕は、今まででの攻撃の中で一番のスピードを出しながらウォンに向かっていく。 「やれやれ…本当、話を聞かない愚かしい人だ…」 かぎ爪のごとく開かれた赤い左手がウォンの体を捕ら「 」える。初撃の時とは違い、今回は手ごたえがあった。 「うううううおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 掴んだ勢いを殺さない内に、 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 怒りと憎しみを込め、 「はあああああああああああああああああああああ!!」 その体を、 「だあああああああああありゃあああああああぁぁぁぁぁあ!!!!」 壁に叩き込む。
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144 :はーぴーのうた 21/27[sage]:2006/11/27(月) 01:07:49 ID:BxhCtq/9 -
ドゴォ!と言う激しい音と共に揺れる空間。 なおも力を緩めずに壁に押し付ける。 線を覆うように舞い上がる土煙。 手から伝わる内臓が破裂する特有の感触。 それに伴う鉄の匂い。 そして、舞い散る一枚の羽。 「………え?」 土煙の中に、1枚、又一枚と、羽が舞い上がる。 「は…ね…?」
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145 :はーぴーのうた 22/27[sage]:2006/11/27(月) 01:08:50 ID:BxhCtq/9 -
「いやあ、凄い凄い、こんな物を食らってしまってはまさに七花八裂…いかな私とはいえバラバラになっていたかもしれませんねぇ。」 "壁に叩き込んだはず"の者の声が後ろから聞こえる。 「あ…あ…?」 後ろを振り向く、そこには"壁に叩き込んだはず"の”彼”が立っている。 「何が起こったかわからないと言った顔をしていますねえ…?」 土煙が引いていく。 「冥土の土産に教えてあげるのが筋…と言いたい所ですが、私に貴方を殺す気はありません。ですから教えて差し上げるわけにはいきませんねぇ、残念ながら。」 そこにあったのは、飛び散る翼、視線を隠す土煙、破裂した内臓の血の匂い。 「うそ…だ……」 再び赤く染まったワンピース、そして──── 「うあ…あ…ああ…あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ああ…あああああ…」 慟哭が、響く。
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146 :はーぴーのうた 23/27[sage]:2006/11/27(月) 01:11:19 ID:BxhCtq/9 -
「──しかし…ここまでグチャグチャにするとは…可愛そうに…」 ハーピーの成れの果てを見ながら、悲しみの言葉を投げかけるウォン。言葉とは裏腹に口元を吊り上げる。 「…貴様が…」 「…おや?どうかしましたか?」 「貴様が殺したんだろうがぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 行き場のない悲しみが、再び彼を動かす。 「おやおや?これは愚なる事をおっしゃる…」 その様子を見つつ、右腕を前に出すウォン。 「あなたの言葉はまるで得手勝手…」 右腕に灰色の闘気が集中し、その気は剣に形をかえる。 「責任転嫁…彼女を殺したのは…」 「貴方だ!」 剣となった灰色の闘気がアデルに向かい放たれる。 それが──彼を──
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147 :はーぴーのうた 24/30[sage]:2006/11/27(月) 01:18:15 ID:BxhCtq/9 - 【会場内ヘリポート自家用機メンテナンスルーム→???】
──Amazing grace how sweet the sound That saved a wretch like me I once was lost but now am found── ──歌が、聞こえる 「…ここは?」 歌声に引かれたように目を覚まし、あたりを見渡す。 太陽の優しい光、青く透き通った空、風にのってやって来る潮の匂い、一面に広がる青々と茂った草原 そして 翼を広げ 歌う 少女 「now I see────♪あ、アデルさ〜ん♪」 少女が自分に気づき、彼の名前を呼びながらこっちに駆け寄ってくる。 「ハーピー…?ハーピー!生きてたのか!」 その問いに彼女は優しく微笑む。 「いいえ〜♪私はお亡くなりになってしまいました〜♪」 「…と、言うことは…そうか…私も彼の一撃を受けて…」 「それも違いますよ〜♪ここは〜あなたの〜夢の中ですよ〜♪」 「…夢?」
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148 :はーぴーのうた 25/30[sage]:2006/11/27(月) 01:19:24 ID:BxhCtq/9 - 「そうですよ〜♪アデルさんは今気絶している最中です〜♪」
その答えに言葉を失ってしまうアデル。先ほど起きた事はすべて現実。彼女を守れなかったどころか、彼女をこの手で殺してしまった事も── 「暗い顔をしないでください〜♪私がここにいるのは〜♪アデルさんにお礼をしたいからなんです〜♪」 「…お礼?」 「はい〜♪助けてくれたお礼です〜♪サタン様に頼んで〜♪用意してもらったんですよ〜♪」 満面の笑みを浮かべ両手を広げる。次の瞬間、ポンっと言う音と共にサイズが違う二つの箱が何処からともなく落ちてくる。 「はい〜♪大きい箱と小さい箱〜♪どちらでも〜♪好きな方を選んでください〜♪」 その二つの箱を彼の前に差し出す彼女。 それに対して彼は俯き、拳を握り締めたまま、何も返事をしなかった。 「あれぇ〜♪アデルさ〜ん?どうしたんですか〜♪」 何も反応を示さない彼の顔を覗き込もうとする。 「…ふざけて…いるのか…?」 覗き込もうとする前に、彼が重々しく口をあける。
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154 :はーぴーのうた 26/30[sage]:2006/11/27(月) 02:05:13 ID:BxhCtq/9 - 「…アデル…さん〜?」
「ふざけているのか!お礼だと!何故!!何故私が君からお礼を受け取らなければならないんだ!?」 段々と荒々しくなる。彼女を助けられなかった悲しみ。彼女を殺してしまった自分への怒り。そのような者が彼の中に渦巻いていた。 「私は!君を救えなかった!それどころか君に止めを刺したのは私なんだ!!それなのに!お礼だと!?私は…!!」 話終わる前に彼の口を人差し指でそっと抑える。 「いいえ〜♪私は貴方に救われたんですよ〜♪」 「何を…何を救ったというのだ!!?」 「貴方に救ってもらったのは心ですよ〜♪あのまま苦しい気持ちで人知れず死んでいくだけだった私の〜心を〜助けてくれました〜♪だから〜そんな顔はやめてください〜♪」 「しかし…私は…」 まだ、自分自身が許せないといった表情をする彼。
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155 :はーぴーのうた 27/30[sage]:2006/11/27(月) 02:06:02 ID:BxhCtq/9 -
彼女は少し背伸びして、瞳に溜めた涙をぬぐい、彼の頭をそっとかき上げる。 そして、彼の額にそっとキスをする。 「これが〜♪どちらも選ばなかった時の、お礼です〜♪」 「ハーピー…君は…」 「ちなみに〜♪大きいプレゼントの中身は北海道直送毛蟹の詰め合わせ〜♪小さいプレゼントの中身は富山県名物ますのすしでした〜♪どちらもとっても美味しいのに、残念でした〜♪」 「はは…どっちも…私にはいらないな…」 アデルは目に涙を溜めながらも、ここに来て初めての笑顔を見せた。
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156 :はーぴーのうた 27/30[sage]:2006/11/27(月) 02:06:56 ID:BxhCtq/9 -
「あっ♪やっと笑ってくれましたね〜♪」 そんな彼を見て、満面の微笑みを浮かべる彼女。 「貴方みたいな人には〜♪笑顔が似合ってますよ〜♪」 彼女の体が、少し宙に浮かぶ。 「これからも…そうやって…」 「ハーピー…?」 徐々に、徐々に空へと上っていく。 「笑っていて…くださいね…?」 そして、その体は…天に昇って 「ハーピー!!」 太陽の優しい光、青く透き通った空、風にのってやって来る潮の匂い、一面に広がる青々と茂った草原 そして 翼を広げ 天に向かう 少女
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157 :はーぴーのうた 29/30[sage]:2006/11/27(月) 02:07:46 ID:BxhCtq/9 -
彼女の歌声が、再び聞こえてくる── ──Through many dangers Toils and snares I have already come Tis grace have brought me Safe this for And grace will lead me home── ──さようなら ありがとう──
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158 :はーぴーのうた END[sage]:2006/11/27(月) 02:08:42 ID:BxhCtq/9 - 【会場内ヘリポート、自家用機メンテナンスルーム】
「うっ…っ…!」 浅い、浅い眠りから目を覚ます。 そこにあったのは、薄暗い蛍光灯、見慣れない天井、腹部の激しい痛み。 「…私…は…ぐうっ?」 痛みが残る腹部を見てみる。ウォンの一撃が痛々しいアザとなっている。が、貫かれた分けではないらしく、致命傷にはなっていない。 「何故…私は…」 腹部を押さえながら痛みを堪え周りを見渡す。ウォンも、彼女も居ない。 証拠を消すためにウォンが"処理"したのか、それとももしかしたら、すべて夢だったのでは。 そう思うアデルの面前に一枚の羽が舞い落ちる。 「…少なくとも、夢ではなかった、か…」 その翼を握り締め、その場に屈みこむ。 「ハーピー…」 そして、静かに嗚咽を漏らした。 「私には…無理だ…」 静かに 「さすがに…笑えないよ…ハーピー…」 嗚咽を漏らし続けた。
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159 :ゲームセンター名無し[sage]:2006/11/27(月) 02:16:52 ID:BxhCtq/9 - 規制のために書き込む事すらままならないですが…
これにて終了です。 数ヶ月ほどSSから離れていたのでリハビリがてら書いていた外伝がまさかこんなに大作になるとは… 協力してくださった皆様、ROMってくれた皆様、さまざまな人に、ご協力ありがとうございますを伝えたい気分だ… 以上、書きたい事かけてすっきりしました! さあて!後は本編書くぞ!!
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