- 【咲-Saki-】須賀京太郎カプ総合スレ127
723 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2020/04/07(火) 07:48:15.87 ID:Pvir+ygS0 - 「君が須賀京太郎君だね?」
真正面からの声に、足が止まる。 壮年の、所謂ダンディな男性がそこにいた。 「え……と……?」 「おっと。私は原村恵……原村和の父と言えば分かりやすいかな?」 弛緩していた感覚が、一気に張り詰める。 こういう時に限って一緒に帰っている道連れはいない。 「和の親父さん、ですか。……えと、俺に用事とか…でしょうか?」 「あぁ、急にすまない。…立ち話もなんだ、君の時間さえ良ければ、そこの喫茶店で…少し話したいことがあってね」 断れ。断れ。断れ。断るんだ。絶対ヤバいやつだ。 京太郎の未だに浅く短い人生経験からも、警鐘を鳴らすほどの危機。 だが、反面、原村和の父親と話すことへの興味に意識が引かれているのも事実。 「───喜んで」 「ありがとう。──代金は私が持とう、好きに飲み食いしてくれていい」 しっかとした背筋を見せて歩みだす姿は、なるほど、和が厳格だと語るほどのことはあるのだと理解した。 『私は和に厳しくしすぎているだろうか』 『君たち麻雀部の仲間たちの前で、和はどういう生活をしているだろうか』 『妻とは仲睦まじげなのだが、どうにも私は避けられている気がしてならないんだ』 『厳しいことを言った自覚もある。悪いことを言ったどしとも思う』 『だが、それは父としての親心なのだ……好き好んで厳しくしたくはない。あれほど愛らしく美しい愛娘、蝶よ花よと可愛がるだけで済めばそれに越したことはなかったんだよ』 京太郎は、自宅のベッドに寝転びながら、数時間前のことを反芻していた。 ブラックコーヒーで唇を濡らし、まるで教会で己の罪を懺悔する咎人のような有様の先達を見ているのは、何というか胸が痛むものがあった。 必死にフォローし、和に悪いとは思いつつも彼女の交友関係を晒し、生活の一部を晒し、またフォローして。 どうやら信頼は勝ち取れたらしい。 連絡先を交換し、君になら和を任せられると太鼓判を押されて。 翌日、自分の父親と京太郎がメル友になっていることを知った和が、「自分はいつ京太郎と婚約したっけ」と困惑することになる。
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- 【咲-Saki-】須賀京太郎カプ総合スレ127
725 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2020/04/07(火) 13:46:33.59 ID:Pvir+ygS0 - 「和は、親の私が言うのもなんだが……稀代の美少女だと思っている。風呂上がりや寝起きなど、実の娘相手なのに煩悩が騒ぐことさえある」
ケーキを食べながら、ローテンションになる壮年男性。 傍から見ればなんだと言いたくなる光景だが、幸いにもここは須賀家。 京太郎と仲良くなった原村家の大黒柱は、年頃かつ育ちの良い実娘との付き合い方に日々悩んでいた。 「まぁ、和は……。気難しそうなところもありましたが、麻雀部で仲間を作って、阿知賀の旧友と再会して…とどんどん明るくなっていきましたから」 そうだ、それだよ、と訴えるような眼差し。 「正直、妻が和と同じタイプの美人で良かったと、つくづく実感している。男寡婦であの娘と二人暮しなどしていることを考えると、今でも背筋が冷たくなるとも」 そりゃあそうですよね。と、相槌を二つ。 須賀京太郎が原村和と一つ屋根の下で暮らすことを想像し、若干ニヤついた後、恐ろしさに背筋が震えた。 同級生で、部活の仲間で、それなりに親しませてもらっているだけでも耐える場面は多いのに。 「かといって、和は恋愛経験など殆どないはずでね。仕事の都合で転校を繰り返させたのは私達だが……知る限り、同世代の男で初めて心を開いた男は京太郎君、君のはずだ」 そう断じられても、京太郎としては答えがない。 気まずさが勝ったか、ちらりと恵を見ると、ひどく真剣な顔をしていた。 「京太郎君」 はい、と二つ返事。 「君になら和を任せられる。娘のこと、よろしく頼む」 まだ恋人ですらないんですが、という訴えは通らないらしい。 そもそも京太郎が弁舌で太刀打ち出来る相手でもなかったし。 同級生の美少女にどう伝えるか悩みながら、須賀京太郎の時間は流れていく……。
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733 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2020/04/07(火) 23:18:27.27 ID:Pvir+ygS0 - >>732
フォロワーとか普通についてきそうで困惑
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