- 【咲-Saki-】須賀京太郎カプ総合スレ123
934 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2019/05/18(土) 07:33:20.61 ID:9n6UY0eY0 - ぎゅうと抱き竦められ、淡は息を飲んだ。
胸の下で、京太郎の両手が繋がれ。 きっと、酷いことをされるんだ。 きっと、酷いことをされて、京太郎だけのモノにされてしまうんだ。 それでも、抜け出そうとはしなかった。 出来ないのではなく、しなかった。 「………ね、ねぇ……?」 「キョータローは……おもち?触らなくてもいいの?」 「……触らないの?」 普段の騒がしさは鳴りを潜め、縮こまった姿は少動物もかくやと言わんばかりで。 「ね、もうちょっとで対局だから」 「ちゅー、して?」 「おもち、ぎゅっとして?」 「キョータローと一緒なら負けないから」 「キョータローと一緒だもんね」 恋仲になれるほど、素直になれないのに。 今は、勇気も誇りも意地も、全部ある。 全部、自分を抱き締めている少年から。 「うん!勇気も元気も充電してもらったからね!」 名残惜しいが、もう対局の時間だ。 少年の手が解かれ、程なくして自由の身になった美少女が立ち上がろうとして。 少年は、ほんの少しの勇気を振り絞って、キスをした。 嫌われるかもしれないけど、と独りごちて。 淡の頬に薄く紅がさして、微笑んだ。 「いっぱい勇気をもらったから──絶対に負けないから!」 「だから───」 「戻ってきたらまた、ぎゅーってして」 「ちゅーしてね!」 少年の幼馴染の名前を以て例えるのは余りに皮肉ではあるが── 一輪の黄花が、卓上で咲き誇った。
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